良い老人ホームの見分け方とは?施設の種類やポイントを徹底解説

高齢者の安心安全な生活のためには、良い老人ホーム選びが重要なポイントです。しかし、はじめての老人ホーム選びですので分からないことや不安なことが多いかと思います。一口に老人ホームと言ってもたくさんの種類や施設があります。この記事では、良い老人ホームを選ぶステップや見分け方のポイントを解説します。ぜひ老人ホーム選びの参考にしてください。


#老人ホーム#施設サービス#条件#選び方
この記事の監修

すぎもと ゆりこ

杉本 悠里子

有料老人ホームで介護士として約12年勤務した後、社会福祉士を取得。急性期病院の医療ソーシャルワーカーとして、入退院支援に携わる。現在は、スマートシニア入居相談室の主任相談員として、多数のご相談に応じている。



良い老人ホームとは

良い老人ホームの定義は人それぞれですが、充実したサービスを受けることができ、雰囲気がよく安心して生活できる施設は良い老人ホームと言えます。

特に、入居者とスタッフの関係性は重要です。入居者とスタッフが良好な関係を築いている施設であれば、ストレスなく充実した毎日を送ることができるでしょう。

良い老人ホームを選ぶためには、設備やサービスの充実度だけではなく、スタッフの人柄や入居者の雰囲気なども確認することが大切です。





良い老人ホームを選ぶ5つのステップ

老人ホーム選びは、慎重に行う必要があります。以下のステップで選ぶのがおすすめです。

  1. 希望条件の整理

  2. 候補の選定

  3. 見学

  4. 体験入居

  5. 申し込み・契約

STEP1 希望条件の整理

まずは入居者ご本人とご家族で話し合い、希望条件を複数洗い出しましょう。しかし、希望を全て叶えてくれる施設を見つけるのは難しいです。そのため、希望条件を出し終わったら、条件に優先順位をつけていくことが大切です。ご家族で話し合う時は、いろいろな条件が出てくると思いますが、特に重要な論点は「立地条件」「資金計画」「サービス内容」の3つです。


立地条件

立地は、ご家族の面会のしやすさや入居者ご本人が外出を楽しめるかを左右する重要なポイントです。ご家族にとって面会が負担にならないよう、都道府県だけでなく、車で行きやすいか、交通機関を使って行くことはできるかなど、アクセスに関して条件を整理することも大切です。

また、趣味や息抜きになるスポットが施設の近くにあるかなど、ご本人の希望にあわせて周辺環境についても条件を整理しましょう。


資金計画

入居前には、費用が問題なく払えるか審査があるところがあります。ご自身の貯金や収入(年金など)に見合わない高額な施設を選んでしまうと、あとで行き詰まってしまいます。無理なく費用を支払い、住み続けるためにも資金計画を立て、適切な施設を選ぶことが大切です。


サービス内容

生活するうえで最低限のサービスが担保されていることは前提ですが、食事の内容や雰囲気、どのようなレクリエーションが用意されているか、などプラスアルファの部分も重要になります。イベントを通じて趣味を継続できるか、食事を楽しめるかなど、入居者ご自身の趣味嗜好にあわせて、サービス内容についても条件を整理しましょう。


STEP2 候補の選定

希望条件に優先順位をつけたら、優先順位の高いものから順にパソコンやスマートフォンなどで検索していきます。

検索するうえではポータルサイトを利用すると便利です。気になる施設については、ホームページをチェックしたりパンフレットを取り寄せると多くの情報を得ることができます。

また、候補は3ヵ所ほどに絞ると比較検討がしやすく、見学の負担も少ないのでおすすめです。


STEP3 見学

候補を3ヵ所ほどに絞ったら、事前に施設に確認し、見学に行くと良いでしょう。施設に行って、実際に設備や雰囲気などを確認することで、ホームページやパンフレットだけではわからない情報を得ることができます。また、不明点をスタッフに質問することもできます。見学時は、事前に予約をして施設に迷惑をかけないようにするのがマナーです。

また、見学は入居予定者ご本人とご家族一緒に行くことがおすすめです。2〜3人で見学すると、1人では気づかない点がわかったり、1人は写真撮影・他の人はメモのように役割分担できたりするので、見学の時間を有効活用できます。

見学後は、入居者ご本人とご家族で見学時のメモや写真などを見返し、比較検討を行いましょう。


STEP4 体験入居

入居したい施設が見つかったら、体験入居を申し込みましょう。体験入居では、契約の前にお試しで短期間入居することができ、実際の老人ホームでの生活を体験できます。体験入居では、以下のように他の入居者と同じサービスを受けることができます。

  • 食事

  • 入浴

  • 生活支援

  • 入浴・排泄介助などの介護サービス

  • リハビリ

  • レクリエーション

サービスや食事、雰囲気などを体験し、合う・合わないを判断します。ご家族が中心となって施設選びを行う場合でも、入居者本人の感想を聞いて意思を尊重することが大切です。

体験入居は、見学のように複数施設に申し込むより、入居を希望する施設の最終判断として利用しましょう。体験入居には滞在日数分の利用料がかかりさらに慣れない環境で一定期間過ごすことになるため、金銭的負担やご本人への負担がかかるからです。


STEP5 申し込み・契約

体験入居を経て本格的に入居したい施設が決まったら、申し込みと必要書類の提出を行います。入居審査の後は、契約・入居になります。ここまでのステップをしっかり行うことで、入居者ご本人・ご家族双方が納得する老人ホームに入居することができます。


老人ホームの選び方については、以下の記事も参考にしてください。


良い老人ホームを選ぶために重要な11のポイント

良い老人ホームの見分け方について、押さえておきたい11のポイントを説明いたします。

  1. ​入居者に合った老人ホームの種類

  2. 立地条件

  3. 施設長をはじめとしたスタッフの雰囲気・対応

  4. 入居者の雰囲気

  5. 食事

  6. 介護体制

  7. 医療機関との連携

  8. リハビリ体制

  9. レクリエーション

  10. 緊急時の対応

  11. 運営会社の経営状況・入居率


入居者に合った老人ホームの種類

老人ホームをはじめとする高齢者向け介護施設には、さまざまな種類があります。上の表は、高齢者向け介護施設の種類一覧表です。表のように、介護施設は公的施設と民間施設の大きく2つに分かれ、その中でも公的施設は5種類、民間施設は6種類に分かれます。施設によって、提供するサービスや費用相場が変わります。


また、老人ホームによって対象とする入居者の要支援・要介護度が異なります。上の表は、6種類の老人ホーム別要支援・要介護度の一覧です。


特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、自治体や社会福祉法人が運営する公的施設です。介護サービスをメインに提供し、要介護度3以上の方が入居の対象になります。公的施設なので入居にあたって入居一時金はかからず、月額費用も民間の有料老人ホームに比べると安いのが特徴です。


養護老人ホーム

養護老人ホームは、特別養護老人ホームと同じく公的施設です。自宅で生活することが難しい高齢者の生活・自立支援をメインに行っており、介護を主たる目的としていない点が特徴です。そのため、自立した生活を送れる高齢者が入居対象となります。


軽費老人ホーム(ケアハウス)

軽費老人ホームは、地方公共団体や社会福祉法人が運営し、名前の通り他の施設に比べて安く利用することができる老人ホームのことです。軽費老人ホームにはA型、B型、C型があり、C型はケアハウスと呼ばれます。自立しているが自宅での生活に不安を感じる高齢者を対象としていますが、ケアハウスの中にも介護サービスを受けられる介護型が存在します。


介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームとは、原則として要介護の方を対象とした民間運営の老人ホームのことです。食事や掃除などの身の回りのことから身体介護、レクリエーションまで、生活を幅広くサポートするサービスを提供しています。都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、介護サービスの提供基準を満たしている場合のみ「介護付き有料老人ホーム」となります。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、食事や洗濯などのサービスを提供する高齢者施設のことです。自立から要介護の方まで幅広い方を対象としていますが、介護付き有料老人ホームのようにスタッフが介護サービスを提供することはありません。そのため、介護が必要になった場合は外部の介護事業所(居宅介護支援事業所)と契約し、訪問介護による介護サービスを受けることとなります。


健康型有料老人ホーム

「健康型有料老人ホーム」とは、生活に関する基本的なことは自分でできるという高齢者に対し、食事や家事などをサポートする老人ホームのことです。あくまでも「サポート」であり、身の回りのことは自立してできることが前提なので、要介護になった場合は退去となります。


立地条件

立地条件は、希望条件の整理の際に重要となるポイントです。立地については、見学に訪れる際に併せて確認してみましょう。


入居者ご本人の自宅から近いか

入居者ご自身の自宅に近いところであれば、環境変化によるストレスが少なくすみます。ご近所の友人にも会いやすいため、これまで通りの友人関係を維持することができる点も安心です。

また、信頼しているかかりつけの病院や通い慣れた美容院などの施設がある場合、変わらずに通うことができることは大きなメリットです。


ご家族の交通の便が良く、面会に行きやすいか

ご家族の面会のしやすさは、入居者とご家族の安心のためにも大切なポイントです。定期的に面会に行くためには、電車1本で行けたり、車で比較的簡単に行けるなど、負担にならないアクセスの施設を選ぶことも重要です。

最近では、新型コロナウイルス感染防止のため、オンライン面会に対応している施設も増えています。しかし、緊急時のことも考えると、直接会いに行きやすい立地であることは依然重要なポイントです。


今まで住んでいたところに似ているか

街並みや自然環境などが今まで住んでいたところに似ていると、環境変化への戸惑いやストレスを軽減できます。元々都会に住んでいた方がいきなり田舎に住むと、交通の便や周辺施設の充実度に差を感じてストレスになってしまうことも多いです。逆に、地方で暮らしていた方がいきなり都会に住むと、喧騒や物価の高さなどが住みにくさの原因になります。


近くに息抜きになるスポットがあるか

施設の近くに息抜きになるスポットがあると、気分転換ができ、精神の安定につながります。散歩に出かけ、四季の変化を感じることもできます。

また、映画館や美術館・美容院など、周辺施設の充実度合いも重要です。趣味や息抜きになるスポットが近くにあれば、気軽にお出かけしてリフレッシュすることができます。外出が楽しみになるようなスポットが近くにあることは、身体機能の維持・向上や精神衛生上非常に重要です。


施設長をはじめとしたスタッフの雰囲気・対応

施設の雰囲気を左右するのが、スタッフの人柄や対応です。穏やかな雰囲気か、マナー教育が行き届いているか、入居者の目線に立っているか、食事や入浴などの際に適切な支援を提供しているかなどは、施設で快適な生活を送るためには重要なポイントです。スタッフの雰囲気や対応は、見学や体験入居で確認しましょう。

また、スタッフの雰囲気に大きく影響を与えるのが施設長です。見学や体験入居の際に施設長と接する機会がある場合は、施設長の人柄や、質問などに真摯に対応してくれるかどうかを確かめることが大切です。


入居者の雰囲気

他の入居者の様子も重要なポイントです。入居者の表情やスタッフとのコミュニケーションの様子に注目することで、老人ホームでの暮らしが充実しているかを感じ取ることができます。このポイントは、パンフレットやホームページでは特に分からない部分なので、見学や体験入居の際に確かめてください。


食事

食事は生活の楽しみの1つです。老人ホームでは栄養士が食事の内容を管理していますが、栄養バランスだけでなく味や見た目も重要です。冷めた料理を提供していないか、食器・盛り付けなどが工夫されているか、食事に関する説明は十分かなど、食事の内容が充実していることは、良い老人ホーム選びのポイントになります。

また、老人ホームではご本人の体調に合わせて、普通食だけでなく介護食や治療食も提供されます。これらの食事も普通食同様に美味しく食べやすいかは、調理者の技量に左右されます。特にきざみ食やとろみ食などの介護食の場合は、食べやすさを重視しましょう。

さらに、食事の内容だけでなく、食事を味わう食堂の環境も重要になります。清掃が行き届いているか、他の入居者が楽しそうに食事をしているか、などもポイントです。


介護体制

介護サービスを提供する老人ホームを選ぶ際は、人員体制の手厚さがポイントになります。

介護付き有料老人ホームには、介護保険法で「3人の入居者に対し1人の介護職員または看護職員を配置する」という最低基準が設けられています。老人ホームの中には、最低基準よりもスタッフの人数を増やすことで、手厚い介護サービスを提供しているところもあります。その分上乗せ介護費がかかるため月額費用が高くなる場合もありますが、充実した介護サービスを受けたい場合は、人員体制に余裕がある施設を選びましょう。


医療機関との連携

老人ホームは、医療機関と連携をとることで訪問診療や緊急時の対応に備えています。どのような医療機関と連携しているか、見学時に確認しておきましょう。


疾患や必要な医療行為への対応

入居者ご本人が持病を患っている場合や、それに伴い医療行為を必要とする場合、施設がそれに対応していることは重要なポイントです。胃ろうや人工透析など、医療行為が必要な場合は、それに対応した医療体制を整えている施設を選ぶ必要があります。

介護職員と看護師・医師では、扱える医療行為が異なります。そのため、ご本人の疾患や必要な医療行為にあわせて、適切な人員体制であることを確認しましょう。例えば、体温や血圧の測定、カテーテルの準備などは介護職員が行えますが、インスリン注射やカテーテルの交換などは看護師が担当します。また、診察や処方箋の交付、人工透析などは医師が行える医療行為です。特に、夜間にも医療行為が必要なら24時間看護師が常駐している施設を選ぶ必要があります。

疾患・医療行為への対応については、施設に問い合わせることで確認することができます。


リハビリ体制

老人ホームの中には、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などがリハビリを行ってくれるところもあります。また、食事や入浴、トイレなどの日常生活が自立して行えるよう訓練することで、寝たきりの予防や生活能力の維持を図るところもあります。リハビリ体制が整った施設を選べば、健康で豊かな生活を送ることができます。


レクリエーション

老人ホームの中には、レクリエーションに力を入れているところもあります。レクリエーションが豊富な施設であれば、趣味を見つけたり他の入居者と活発にコミュニケーションを取ったりしやすいため、ご本人の生活に良い刺激となります。レクリエーションの充実度合いは、認知症予防の面でも大事にしたいポイントです。


 緊急時の対応

緊急時の対応も重要なチェックポイントの1つです。特に、夜間の対応と体調急変時の対応、災害時の対応については事前に確認しておきましょう。


夜間の対応

夜間はスタッフの人数が限られる時間帯であるため、どのような人員体制で対応しているかを確認することが大切です。

何分おきに巡回してくれるのか、夜間に看護師は常駐しているのかなどをチェックし、夜間でも介護サービスや医療ケアを受けられる施設を選ぶと安心です。


体調が急変した際の対応

体調が急変した際の対応も重要なチェックポイントです。介護付き有料老人ホームのように医療機関と連携している施設であれば、連携先の病院で優先的に医療ケアを受けられます。

どの医療機関と連携しているのか、救急対応はしてくれるのかなどを事前に確認しておきましょう。


災害時の対応

自然災害や火災発生時の対応を確認しておくことも大切です。避難確保計画や業務継続計画をしっかり策定しているか、日頃から避難訓練を実施しているかなど、災害対策を徹底しているかを重視しましょう。

医療ケアが必要な方の場合は、特に災害時の医療対応については確認が必要です。停電時用の非常電源は確保されているのか、酸素ボンベのストックはあるのかなどを質問し、災害発生時も必要な医療ケアを受けられるかを確認しましょう。

老人ホームを選ぶ際に、ハザードマップに目を通し、その地域にはどのような災害リスクがあるかを把握しておくことも欠かせません。


運営会社の経営状況・入居率

民間運営の老人ホームの場合は、運営会社の経営状況が良好で、介護事業での実績が十分であるかを確認しましょう。最近では介護事業のニーズが急速に拡大しており、新規参入する企業が増えています。安心安全な施設を選ぶためには、信頼がおける運営会社であることも大切です。

これらの情報は、インターネットで調べることもできますし、重要事項説明書にも掲載されています。重要事項説明書とは、契約にあたって大切な事項を消費者(ここでは入居対象者のこと)に説明する「重要事項説明」の際に用いられる書類のことです。老人ホームの重要事項説明書には、施設の運営会社の情報や設備・提供サービス・人員体制・料金体系など、その施設に関するあらゆる情報が記載されています。

重要事項説明書は、施設や自治体のホームページに掲載されていることが多いです。ホームページに掲載されていない場合は、施設に問い合わせをすることで郵送・メール送付などの対応をしてくれます。いつでも入手することができるので、ぜひ確認してみてください。

重要事項説明書の中でも、「事業主体の概要」「入居希望者への事前の情報開示」「別添資料」の3点を読むことで運営会社についての情報を知ることができます。


事業主体の概要

その施設を運営する事業者について、事業者名や所在地、電話番号やホームページなどの基本情報や、その施設が他にどのような事業を運営しているのか、などが掲載されています。


入居希望者への事前の情報開示

契約書や施設の管理規定、財務諸表など、施設に関する情報を事前に入居希望者へ開示するか否かや、開示方法などが記されています。特に、財務状況が開示されることを確認しましょう。


別添資料

その施設を運営する事業主体が、同じ都道府県で運営している他の介護サービス事業を記した一覧表が含まれています。


見学時にチェックしたいポイント

老人ホームを見学する際は、特に以下のポイントをチェックすることをおすすめします。

  • 見学者のペースに合わせてくれるか

  • 昼食前のスタッフの対応

  • 車椅子が汚れていないか

  • 観葉植物は手入れされているか

  • 掲示物が更新されているか

見学者のペースに合わせてくれるか

1つ目は、スタッフが見学者のペースに合わせてくれるかです。施設のペースではなく、見学者のペースに合わせてくれる施設なら、入居者や家族に寄り添ったサービスを提供してくれると判断できます。

重点的にチェックしたい施設については見学時間を長くとってくれる、質問が多くても1つずつ丁寧に答えてくれるなど、こちらのペースに合わせて見学させてくれるかをチェックしましょう。


昼食前のスタッフの対応

2つ目は、昼食前のスタッフの対応です。昼食前は、食事の準備や食堂への誘導などで忙しい時間帯です。忙しい中でも入居者に丁寧に対応しているかを確認することで、施設やスタッフの実態を判断できます。

昼食の様子を見学できる場合は、どのような食事介助を行っているか確認することも大切です。入居者一人ひとりの体調に合わせて、適切な介助を行っている施設であれば安心して入居できるでしょう。


車椅子が汚れていないか

3つ目は、車椅子が汚れていないかです。車椅子が綺麗な状態であるか、タイヤに空気がしっかり入っているかを確認することで、福祉用具の扱い方がわかります。車椅子が綺麗に保たれている場合は、福祉器具を丁寧に扱い、こまめにメンテナンスしている施設と判断できるでしょう。


観葉植物は手入れされているか

4つ目は、観葉植物が手入れされているかです。観葉植物の手入れが行き届いている施設であれば、普段から掃除が徹底されていると判断できます。衛生管理の様子を見極めるためにも、観葉植物は適切に管理されているか、葉にほこりが溜まっていないかなどをチェックしましょう。


掲示物が更新されているか

5つ目は、掲示物が更新されているかです。掲示物が最新のものに更新されている場合は、細かい部分まで気を配る余裕があることがわかります。すでに終了しているイベントの案内や、角が折れ曲がった古いポスターが掲示されたままである場合は、スタッフの人手が足りず清掃が疎かになっている可能性があります。

また、掲示物をチェックすることで施設での暮らしがわかるというメリットもあります。共用スペースには、イベントやレクリエーションの写真や、入居者が作った作品、1週間の予定などが掲示されているケースが多いです。掲示物にも目を通し、施設での毎日の様子や雰囲気を確認しましょう。

見学時に質問したいポイント

見学時は、施設長やスタッフに質問する時間があります。見学を有意義なものにするためにも、事前に質問したい事項をまとめておきましょう。

ここでは、見学時に質問したい3つの事項について解説します。

  • 施設に私物を持ち込めるか

  • 退去条件は何か

  • スタッフの定着率

施設に私物を持ち込めるか

施設に私物を持ち込めるかは、事前に確認しておきましょう。

多くの老人ホームが、使い慣れた家具やテレビ、本、趣味の物などの持ち込みを許可しています。ただし、スペースをとる大きいものや、大きな音が出るものなど、一部持ち込みが認められないものも存在します。

趣味のグッズや慣れ親しんだ私物と一緒に生活できるよう、持ち込みたいものがある場合は施設に持っていけるかを質問しましょう。


退去条件は何か

見学時、退去条件について確認することも大切です。

基本的に、老人ホーム入居中に強制的に退去となる事はありません。しかし、施設で対応できない身体状況になった場合や、ほかの入居者に危害を加えてしまった場合など、退去が求められるケースもあります。

後々トラブルに発展するリスクを防ぐためにも、退去条件について確認しておきましょう。


スタッフの定着率

スタッフの定着率も、良い老人ホームを見極めるうえで重要なポイントです。

定着率が高ければ、その分スタッフにとって働きやすい施設であると判断できます。また、熟練したスタッフからサービスを受けられる可能性も高く、安心して入居できるでしょう。一方、定着率が低い場合は人手が足りておらず、サービスも手薄で不十分な可能性があります。

スタッフの定着率については重要事項説明書に記載されているため、見学時に手に入れることをおすすめします。


体験入居時にチェックしたいポイント

続いて、体験入居時にチェックしたい3つのポイントについて解説します。

  • 朝のスタッフの対応

  • 要望に対して先回りして対応してくれるか

  • 食器が汚れていないか

朝のスタッフの対応

1つ目は、朝のスタッフの対応です。朝はモーニングケアや朝食の準備で忙しく、対応が雑になってしまいがちです。忙しい朝でも丁寧に対応してくれるか、人員が足りているかなどをチェックしましょう。

朝のスタッフの対応は見学ではわからないポイントであるため、体験入居時にしっかり確認することが大切です。


要望に対して先回りして対応してくれるか

2つ目は、要望に対して先回りして対応してくれるかです。入居者が求めていることを汲み取って先回りして対応してくれる場合は、スタッフの質が高いと判断できます。また、スタッフへの教育制度が整っている可能性も高いです。

質の高いサービスを受けるためにも、入居者目線で考えてくれるか、丁寧に向き合ってくれるかを確認しましょう。


食器が汚れていないか

3つ目は、食器が汚れていないかです。食器が綺麗に洗われているかどうかは、施設の衛生管理の実態やスタッフの衛生意識を判断する材料となります。

また、どのような食器が使われているかも確認することが大切です。入居者にとって使いやすい食器や、食事のおいしさを引き立たせる美しい食器が使われている場合は、入居者のことを第一に考えていると判断できます。


【ケース別】おすすめの介護施設

ここでは、おすすめの介護施設をケース別に紹介します。

  • 手厚い介護サービスを受けたい場合は介護付き有料老人ホーム

  • 必要なサービスを選びたいなら住宅型有料老人ホーム

  • 自由度の高い生活を送りたい場合はサ高住

  • 認知症の方ならグループホーム

入居者ご本人のニーズに合った施設を選ぶ際の参考にしてください。

手厚い介護サービスを受けたい場合は介護付き有料老人ホーム

手厚い介護サービスを受けたい場合は、介護付き有料老人ホームがおすすめです。

介護付き有料老人ホームは、行政から「特定施設入居者生活介護(特定施設)」の指定を受けており、介護保険サービスを定額で利用できるのがポイントです。

また、介護付き有料老人ホームには介護スタッフが常駐しているため、24時間介護サービスを受けることができます。

医療機関との提携や看護師の配置も義務付けられているため、医療ケアが必要な方も安心して入居できるでしょう。


必要なサービスを選びたいなら住宅型有料老人ホーム

必要なサービスを選びたい方には、住宅型有料老人ホームがおすすめです。

住宅型有料老人ホームは、生活支援サービスを提供する施設です。介護サービスは基本的には提供されません。そのため、介護サービスを利用したい場合は、外部の介護事業者(居宅介護支援事業所)と契約する必要があります。

外部サービスを自由に組み合わせて利用できるため、必要なサービスを柔軟に選択したい方におすすめです。


自由度の高い生活を送りたい場合はサ高住

自由度の高い生活を送りたい方には、サービス付き高齢者向け住宅がおすすめです。

サービス付き高齢者向けでは、安否確認や生活相談といったサービスを受けられます。

介護施設ではなくあくまでも住宅であるため、1日のスケジュールやプログラムは決められていません。そのため、自宅で過ごすのと同様に自由な生活を送ることができます。

自宅での生活に不安があるものの、プライベートを確保して自由な生活を送りたいという方には、サービス付き高齢者向け住宅が適しています。

認知症の方ならグループホーム

認知症の方が安心して生活するためには、グループホームへの入居がおすすめです。グループホームは、5〜9人でユニットを組み、専門スタッフのサポートを受けながら共同生活を送る施設です。家事をほかの入居者と分担し、できることは自分でやるというスタイルで生活するため、認知症の進行をやわらげる効果が期待できます。

少人数であり、スタッフや入居者の入れ替わりも激しくないため、ストレスなく生活できるのも魅力です。


良い老人ホームの見分け方に関するよくある質問

最後に、良い老人ホームの見分け方に関するよくある質問と回答を紹介します。

  • Q.良い老人ホームの特徴は?

  • Q.良い老人ホームを選ぶためには高級老人ホームに入居すべき?

  • Q.体験入居は必ずするべき? 

Q.良い老人ホームの特徴は?

良い老人ホームの特徴は何ですか?

良い老人ホームの主な特徴としては、「設備やサービスが充実している」「スタッフと入居者が良好な関係を築いている」などが挙げられます。特に、スタッフと入居者の関係性は、ストレスなく毎日を送るうえで非常に重要です。スタッフの人柄やほかの入居者の雰囲気も考慮して、入居者ご本人が快適に過ごせる老人ホームを選びましょう。

Q.良い老人ホームを選ぶためには高級老人ホームに入居すべき?

良い老人ホームを選ぶためには、やはり高級な老人ホームに入居するべきでしょうか?

高級老人ホームでは手厚いサービスを受けられることが多いですが、必ずしも良い老人ホームであるとは限りません。老人ホーム選びでは、入居者ご本人とご家族にとって相性の良い施設を探すことが大切です。「高級老人ホームだから間違いないだろう」「高級な施設でなければ良いサービスを受けられないのでは」と考えてしまうと、施設選びに失敗してしまう可能性があります。見学や体験入居を通して、雰囲気が合うかどうかも重視して選びましょう。


Q.体験入居は必ずするべき? 

体験入居は必ずしなければならないものですか?

体験入居は義務ではありませんが、入居者ご本人に合う施設を選ぶためには体験入居をすることをおすすめします。体験入居では、施設での1日の過ごし方やスタッフのサービス、ほかの入居者の雰囲気といった様々な情報を収集できます。パンフレットや見学だけではわからない情報を判断材料にできるのがメリットです。安心して入居できる施設を選ぶためにも、体験入居に申し込むことが大切です。

まとめ

今回は良い老人ホームの見分け方について、施設を選ぶステップとポイントを説明しました。良い老人ホームを選ぶためには、以下の11のポイントに着目しましょう。

  • 入居者に合った老人ホームの種類

  • 立地条件

  • 施設長をはじめとしたスタッフの雰囲気・対応

  • 入居者の雰囲気

  • 食事

  • 介護

  • 医療体制

  • リハビリ体制

  • レクリエーション

  • 緊急時の対応

  • 運営会社の経営状況・入居率

老人ホーム選びは、入居者ご本人とご家族双方にとって重要な意思決定になります。納得のいく老人ホームを選ぶためには、早めに情報収集をスタートさせ、時間をかけて検討することが大切です。また、見学や体験入居を通して、施設の実態を把握することも欠かせません。

この記事が、良い老人ホーム選びのお役に立てれば幸いです。


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