老人ホームの見学時のチェックポイント6つ!質問内容や注意点も
老人ホームへの入居を考える際、実際に見学して施設の実態を知ることが重要です。しかし「どこを見ればよいか」「何を準備すればよいか」と疑問に思う方もいることでしょう。何の準備もせずに見学した場合、「後から気になることが出てきた」「大事なことを確認し忘れた」となってしまう可能性があります。
この記事では、老人ホームを見学する際のポイントや注意点について解説します。ぜひ参考にして、有意義な見学にしてください。

老人ホーム選びは、見学が大事!

老人ホーム選びにおいて、見学は非常に重要な役割を果たします。施設を訪れ、実際に設備や雰囲気などを確認することで、ホームページやパンフレットだけではわからない情報を得ることができます。それらの情報は、施設選びの重要な判断材料となります。
また、ホームページやパンフレットの写真は良く見えるよう工夫されて撮られていることが多いです。「パンフレットでは豪華そうに見えた設備が、実際に見学してみると意外と簡素だった」ということもありうるため、実態を知ることが大切です。
入居してから「こんなはずではなかった」と後悔しないよう、必ず見学をしましょう。
老人ホームの見学で、チェックすべきポイント6つ
老人ホームの見学でチェックしておくべきポイントは、大きく以下の6つが挙げられます。
- 建物・設備
- サービス内容
- スタッフの質
- 医療・リハビリ体制
- 契約内容
- 運営法人の経営状況
この6つの項目のなかでもさらに細かくチェックポイントがあるため、1つずつ詳しく解説します。
【ポイント1】建物・設備

建物・設備については、以下の6つのポイントをチェックしましょう。
● 食堂やリビングなどの共有スペース
● 専用居室
● 入浴設備
● 設備の使いやすさ
● 清掃・メンテナンス
● アクセス・周辺環境
1.食堂やリビングなどの共有スペース
食堂やリビングなどの共有スペースは、多くの入居者が集まるため、施設の雰囲気を感じ取りやすいです。また、共有スペースは他の入居者とのコミュニケーションの場であり、過ごす時間も長いため、老人ホームでの生活において重要な役割を果たします。
パンフレットやホームページの写真では豪華そうに見えたが、実際に見てみると意外と簡素だった、ということも珍しくありません。清掃が行き届いているか、スペースは使いやすそうかなど、見学で実態を確認することが大切です。
2.専用居室
老人ホームでは、居室で過ごす時間も想像以上に長いので、老人ホーム生活においては重要な役割を果たします。日当たりや眺望が良い居室なら充実した生活が送れます。また、トイレやシャワー・洗面台などの設備は、使い勝手を確認しましょう。
さらに、メジャーを持っていけば家具を置くスペースについても確認できます。実際にそこで生活することを想像しながら見学しましょう。
3.入浴設備
将来介護度が上がった場合でも安全に入浴できるよう、入浴設備もチェックすることが大切です。
入浴中は事故が発生しやすいため、手すりやスロープなどの安全対策に問題はないかを確認しましょう。また、寝たままでも入浴できる特殊浴槽がある施設であれば、介護度が重くなっても浴槽を利用できます。
時間帯によっては入浴設備を見学できない場合があるため、事前に見学を希望する旨を伝えておくことが必要です。
4.設備の使いやすさ
居室や共有スペースの設備を使用できる場合は、見学時に使い勝手をチェックしましょう。
実際に使ってみることにより、安全に利用できるか、機能が充実しているかなどを確認できます。
5.清掃・メンテナンス
施設内の清掃やメンテナンスが行き届いているかも、欠かせないポイントです。
こまめに清掃されていない施設は、衛生管理やスタッフの人員体制に不安があります。特に、スタッフの人員が不足していて清掃まで手が回っていない場合は、サービス全体の品質が低い可能性が高いです。
また、物が整理整頓されておらず床にそのまま置いてある場合は、物にぶつかって転倒したり、車椅子で通りにくかったりするリスクが考えられます。
床にゴミは落ちていないか、物は整理整頓されているか、不快な臭いがしないかなどを、見学時にチェックしましょう。
施設に貼ってある掲示物に注目するのもおすすめです。古い掲示物がそのまま貼ってある場合は、管理が行き届いていない可能性があります。
6.周辺環境やアクセスのしやすさ
見学で実際に施設を訪れることにより、アクセスや周辺環境も分かります。家族が訪れる際にも不便ではないか、散歩や買い物などがしやすい環境か、静かで落ち着いているかなど、アクセスや周辺環境についても併せて確認しましょう。
【ポイント2】サービス内容

サービスについては、以下のポイントをチェックしましょう。
● 健康管理体制
● 生活支援・介護サービス
● レクリエーション・イベント
● 食事
1.健康管理体制
健康管理体制については、訪問診療や健康診断を受けられる回数、医師や看護師の人員体制などを確認しましょう。
訪問診療に対応している場合は、わざわざ医療機関を訪れることなく、施設で診察を受けられます。また、施設で健康診断を定期的に受けられる場合は、万が一病気を発症した際も、早期発見・早期治療を実現できます。
医師や看護師の人員体制については、常駐の有無や常駐している時間帯、医師や看護師不在時の緊急対応などについて説明を受けましょう。
2.生活支援・介護サービス
施設によって、入居者に提供するサービスは様々です。入居者の身体状況に応じて、入浴介助や排泄介助など、生活を送るうえで必要な介護・支援サービスは異なります。そのため、入居前に必要なサービスを提供しているかどうかを確認することが大切です。
特に、介護付き有料老人ホームのように介護サービスを提供している施設の場合、介護体制については必ず質問しましょう。
中でも、人員体制は介護サービスの手厚さを左右するので確認が必要です。例えば、介護付き有料老人ホームの場合は「要介護者3人に対して介護職員または看護職員を1人以上配置しなければならない」という決まりがあります。施設の人員体制が最低基準をクリアしているのは前提ですが、それよりも余裕のある人員体制の場合、より手厚くゆとりのあるサービスを受けられると判断できます。
3.レクリエーション・イベント
レクリエーションやイベントが充実している施設では、生き生きとした毎日を送ることができるでしょう。
レクリエーションやイベントを通して新たな趣味を見つけたり、他の入居者とコミュニケーションを取れたりします。認知症予防にも効果があります。
どの程度の頻度で、どのような内容が行われているか、入居者が積極的かつ楽しそうに参加しているかを確認しましょう。
4.食事
食事は、生活の質を左右する重要なポイントです。見学時に試食ができる場合は、食事が口に合うかを確認しましょう。
味はもちろん、綺麗に盛り付けられているか、飽きないようメニューが工夫されているか、冷めた料理を提供していないか、食事に関する説明は十分かなどを確認してください。
【ポイント3】スタッフの質

スタッフについても、以下のポイントをチェックしましょう。
● スタッフ・施設長の雰囲気
● 人員体制
● スタッフの勤続年数・離職状況
● スタッフの教育体制
1.スタッフ・施設長の雰囲気
スタッフの雰囲気は、施設全体の雰囲気を左右する重要なポイントです。見学時にスタッフと接する際に、対応が丁寧であるかを確認しましょう。また、スタッフが入居者と接する様子を観察し、入居者の目線に立ってサービスを提供しているかを確認することも大切です。
スタッフの中でも、特に施設長の人柄は必ずチェックしましょう。施設長は、スタッフや施設全体の雰囲気に大きな影響を与えるためです。施設長が丁寧に案内してくれたり、質問に的確に答えてくれたりする施設であれば、安心して入居できるでしょう。
2.人員体制
スタッフの人員体制については、人員が不足していないかを確認しましょう。
老人ホームには人員配置基準がありますが、基準を満たしているからといって、手厚いサービスを受けられるとは限りません。見学時に、スタッフが慌ただしくしていたり、入居者に雑に接していたりする場合は、人員が不足している可能性があります。
数字だけを見るのではなく、実際のスタッフの様子をチェックして、人員体制に問題がないか判断しましょう。
3.スタッフの勤続年数・離職状況
スタッフの勤続年数や離職状況について、見学時に資料を見せてもらうのがおすすめです。
勤続年数が短いスタッフが多い場合は、サービスの質に不安があります。労働環境が悪く、離職率が高いという可能性もあるでしょう。
離職するスタッフが多い施設では、スタッフの入れ替わりが激しいため、スタッフと信頼関係を築くのが難しくなります。
勤続年数が長いスタッフが一定数在籍しており、スタッフの離職率が低い施設が理想的です。
4.スタッフの教育体制
スタッフの教育体制についてもチェックしましょう。教育が行き届いている場合は、サービスの質が全体的に高いと考えられます。また、教育体制が充実している施設では、スタッフもモチベーション高く働けるため、人員体制が安定している可能性が高いです。
【ポイント4】医療・リハビリ体制

医療体制やリハビリについても、しっかりとチェックしていきましょう。
1.医療体制
老人ホームでの暮らしを安心安全なものにするためには、医療体制の確認も重要です。協力している医療機関や対応可能な医療行為について確認しましょう。
特に、入居者が持病を患っている、あるいはそれに伴い医療行為を必要とする場合、施設がそれに対応しているかどうかを確認する必要があります。介護職員と看護師・医師では、扱える医療行為が異なるため、必要な医療行為を行える人員体制かどうかは確認しましょう。特に、夜間にも医療行為が必要な場合、24時間看護師が常駐している施設を選ぶ必要があります。
2.リハビリ体制
身体機能の維持・向上のためにリハビリは重要です。最近では、独自のプログラムやイベント・レクリエーションなどを通じてリハビリに力を入れている施設もあります。リハビリのプログラムや設備、リハビリ担当スタッフの人員体制などを確認しましょう。
3.認知症ケア
認知症に対応しているかも重要です。認知症ケアには、特に専門知識や専門のサポート体制が求められるため、認知症の方の専用フロアを設け、専門スタッフが対応する場合もあります。
認知症の症状によっては、受け入れが難しい施設もあります。現在認知症を患っていない場合でも、将来的に認知症になる可能性はあるため、職員の対応方法や認知症ケアの有無についても、見学時に確認しておきましょう。
【ポイント5】契約内容

契約内容についても、見学時に確認しましょう。
入居条件・退去条件
入居条件や退去条件は、施設によって異なるため確認が必須です。
施設によっては、介護度が重い方や認知症の方の受け入れに対応していない場合があります。入居者ご本人の介護度や持病、認知症の有無などについて相談し、入居条件を満たしているかを確認しなければなりません。
また、終身利用できる施設であっても、退去条件に該当する場合は途中で退去が必要な可能性があります。持病が悪化して長期間の入院が必要になる、介護度が重度になるなど、入居中にご本人の体調が変化するケースは少なくありません。退去条件を確認し、長く住み続けられる施設を選びましょう。
月額利用料・プラン
契約後のトラブルを防ぐためには、月額利用料やプランの詳細について、事前によく確認しておきましょう。
ホームページやパンフレットに記載されている月額利用料の目安には、日用品代や医療費、オプションサービス費などが含まれていない場合があります。よく確認しないまま契約した結果、入居後に「実は月額利用料が予算をオーバーしていた」と判明するケースも考えられます。
月額利用料の詳細やプランの内容について担当者に質問し、契約前に詳細なシミュレーションができるようにしましょう。
入居一時金の償却・返還条件
入居一時金の返還をめぐってはトラブルが起こりやすいため、入居一時金の償却や返還条件についても確認が必要です。
入居一時金は、契約時にまとめて支払う費用です。数ヶ月・数年分の利用料の前払いという位置付けであり、入居期間によっては後で一部が返還されます。たとえば、想定入居期間を10年として入居一時金を支払ったものの、5年で亡くなってしまった場合は、残りの5年分の入居一時金が返還されます。
償却は、想定される入居期間に応じて1ヶ月ごとに金額を消費することです。償却には、入居時にまとまった額を消費する「初期償却」と、毎年一定額を消費する「均等償却」があります。償却率は施設によって異なり、償却率が高く設定されている場合は、返還される金額が少なくなるという仕組みです。
そのため、入居一時金の償却や返還条件については、事前に確認しておきましょう。
保証人の責任範囲
入居契約の際は、基本的には身元保証人を決める必要があります。入居者のご家族が身元保証人になるケースが多いです。
保証人は、以下のような役割を担います。
● 入居者に何かあった際の緊急連絡先
● 利用料を支払えなくなった際の保証
● 治療方針の確認や入院手続き
● 入居者が亡くなった際の退去手続きや身柄引き取り
保証人の責任範囲は施設によって異なります。認識の齟齬が発生しないよう、保証人を選ぶ前に責任範囲を確認しておきましょう。
また、保証人に年齢制限を設けている施設もあるため、保証人になれる人の条件についても事前確認が必要です。
【ポイント6】運営法人の経営状況

民間企業が運営する老人ホームの場合、経営状況をしっかりとチェックしておく必要があります。経営不振などが原因で、倒産するケースや別の会社に変わる可能性があるからです。
民間企業が運営する老人ホームは、近年では介護専門の法人だけでなく、医療や不動産、建設などの異業種から参入する事業者が増えています。異業種が運営する老人ホームの場合、それぞれ得意とする提供サービスは異なります。入居後に受けたいサービスに合わせて選択できるという利点はあるものの、介護事業の知識やノウハウがないために経営不振に陥り、倒産や廃業するケースも少なくないのです。
入居している途中でこのような事態が起こると、事業者が変更することにより月額利用料の見直しやケア内容の変更、最悪の場合、住み替えが必要といった問題につながりかねません。安心して入居を続けるためにも、事業者の経営状況が安定しており、倒産や廃業のリスクが少ない施設であるかを見極める必要があります。
経営状況をチェックする方法としては、財務状況について質問をすることです。見学の際に質問して、情報を開示してくれるか、どのように説明してくれるかチェックしておきましょう。
またパンフレットなどに掲載されている入居率からも推測できます。入居率によって経営の安定は左右されるため、あまりにも入居率が低いところは注意が必要です。
老人ホームの見学で質問すべき事項
老人ホームの見学は、気になることを直接施設のスタッフに質問ができるよい機会です。漏れのないように、事前に質問事項をまとめておくことが大切です。
ここでは、見学時に質問しておいたほうがよい事項を3つ紹介します。
介護方針について
施設がどのような介護方針をもって、サービスを提供しているのか質問を投げかけてみましょう。民間企業が運営する施設は、それぞれの介護方針があるため、提供されるサービスにも違いがあります。介護方針については、ホームページやパンフレットに掲載されている場合が多いですが、改めてスタッフに直接確認することが大切です。
スタッフが話す内容を聞いたうえで、見学したときの施設の雰囲気やサービス品質、入居者の様子などを照らし合わせながら、入居するかどうか判断を行ってください。施設の方針と求めているサービスや条件が合致していれば、快適な暮らしにつながる可能性が高まるため、必ずチェックしておきたいポイントです。
個別対応の可否
そのほか、入居者ご本人に必要な医療ケアやリハビリ、宗教的な事情などに対応してもらえるか、見学時に相談することが必要です。
面会や外出・外泊
ご家族の面会や、外出・外泊の可否については、見逃しやすいポイントです。
面会の回数や時間帯が制限されていたり、外出・外泊の日数に上限があったりする可能性もあります。
面会しやすい施設なら、親御さんと離れていても安心できるでしょう。
チェックシートの準備がおすすめ
ここまで、老人ホームの見学時にチェックすべきポイントや、直接質問すべき事項について紹介しました。これらを漏れのないように見学当日に確認するためには、以下のようなチェックシートを準備しておくのがおすすめです。
【チェックシートの例】
施設名: | |
入居一時金: | 月額利用料: |
項目 | チェックポイント | メモ |
建物・設備 | ●食堂やリビングなどの共有スペース ●専用居室 ●入浴設備 ●設備の使いやすさ ●清掃・メンテナンス ●周辺環境やアクセスのしやすさ | |
サービス内容 | ●健康管理体制 ●生活支援・介護サービス ●レクリエーション・イベント ●食事 | |
スタッフの質 | ●スタッフ・施設長の雰囲気 ●人員体制 ●スタッフの勤続年数・離職状況 ●スタッフの教育体制 | |
医療・リハビリ体制 | ●医療体制 ●リハビリ体制 ●認知症ケア | |
契約内容 | ●入居条件・退去条件 ●入居一時金の償却・返還条件 ●保証人の責任範囲 | |
運営法人の経営状況 | ●運営法人の経営状況 | |
必ず質問しておきたい事項 | ●介護方針について ●個別対応の可否 ●面会や外出・外泊 |
上記を参考にして、その他ご自身が必要とするケアやサービス、気になる項目なども反映させましょう。
スマートシニア入居相談室でも、見学時のポイントをまとめたチェックリストをご用意しています。画像をクリックするとPDFが表示されるので、印刷して当日ご活用ください。
老人ホームの見学までにやるべきこと

老人ホームの見学までにやるべきことをリストアップしました。以下のようなステップで進めましょう。
- 見学に行きたい施設をピックアップする
- 見学候補日時を複数出す
- 施設に連絡をとり、予約する
- 見学時に確認すべきポイントや質問をリストアップする
- 持ち物を確認する
各ステップについて、以下で詳しく説明いたします。
1.見学に行きたい施設をピックアップする
見学は、1ヶ所の施設ではなく複数行うことがおすすめです。複数施設を見学することにより、比較検討することができます。入居予定のご本人とご家族でホームページや資料を見て、見学に行きたい施設を一緒に選ぶのがおすすめです。
また、見学に行く数が多すぎても、負担になってしまいます。3ヶ所ほどに絞るのがおすすめです。見学には最低でも1施設1時間はかかるため、それを考慮したうえで、負担にならない数の候補をピックアップしましょう。
2.見学希望日時を複数出す
見学に行きたい施設が決まったら、見学希望日時を出しましょう。施設側の都合もあるため、複数日時を出すことが大切です。また、見学は入居予定者ご本人とご家族一緒に訪れるのがおすすめです。2〜3人で訪れることにより、1人では気づかない点がわかったり、1人は写真撮影・1人はメモのように役割分担できたりするため、見学の時間を有効活用できます。
3.施設に連絡をとり、予約する
老人ホーム見学の際は、事前に予約をすることが大切です。「飛び込みで見学した方が施設本来の姿がわかる」と考える方が時々いらっしゃいますが、他の見学者と重なったり担当者が不在だったりする可能性もあり、せっかく見学に訪れても十分に時間をとって対応してもらえない場合もあります。見学者・施設双方にとって納得のいく見学になるよう、必ず予約をしましょう。
施設に連絡をする際は、以下の点を伝えましょう。
● 氏名
● 見学希望日時
● 見学人数
● 当日の交通手段
● 当日の連絡先(携帯電話番号やメールアドレスなど)
● 試食の希望の有無
● 見学時の写真撮影の可否
● 当日もらいたい資料(契約書の雛形や契約時に必要な資料一覧など)
試食については、希望すれば施設で出されている食事を試食できるところもあります。前もって準備が必要であるため、予約時に試食希望の旨を伝えましょう。
施設によっては、見学の予約時に入居予定者の身体状況や入居条件などについて質問されることもあります。施設が指定している質問事項に答えることにより、見学がスムーズに進みます。
4.見学時に確認すべきポイントや質問をリストアップする
見学時に確認すべきポイントや質問事項については、「つい確認し忘れてしまった」ということがないようメモ帳にリストアップし、当日持参できるようにしましょう。
見学時に見るべきポイントについては、次の項目で詳しく説明するため、ぜひ参考にしてください。
5.持ち物を確認する
当日は、以下の持ち物を用意しましょう。
● 筆記用具
● 確認事項をリストアップしたメモ
● カメラ
● メジャー(居室に置ける家具のサイズを確認するため)
● 歩きやすい靴(施設だけでなく、周辺を散策して周辺環境を確認するため)
老人ホーム見学のおすすめの時間帯
老人ホームの見学におすすめの時間は、入居者やスタッフが共有スペースに集まる時間です。たとえば昼食やレクリエーションなどが挙げられます。この時間帯であれば施設の雰囲気に加えて、入居者の普段の過ごし方や、スタッフの介護の姿勢など、たくさんの情報が得られるでしょう。
食事の時間帯であれば、食事介助の様子と、提供されているメニューなどを一緒に確認できます。見学時に食事を試食できるケースもありますが、入居者ごとに合わせた食事形態を把握できる点もメリットです。
またレクリエーションも、コミュニケーションの促進や身体機能の維持・向上などのため、今後生活するうえでとても大切な時間です。一般的に昼食後にレクリエーションが行われることが多いため、昼食と一緒に見学するのがおすすめです。
ただし、自身が施設選びで何を重要視するかによって、適切な見学の時間帯は異なってきます。たとえばリハビリを重要視しているのであれば、リハビリが行われている時間帯に見学して、設備や内容、頻度などをチェックする必要がありますし、入浴設備を確認したいのであれば、誰も使ってない時間帯にチェックする必要があります。
1度の見学ですべてを確認できなければ、時間帯を変えて再度見学するのもおすすめです。入居後に後悔することのないようにしましょう。
老人ホーム見学時のマナー

老人ホーム見学は、実際に生活している入居者の様子を見せてもらいに行くため、他の方の家にお邪魔するという心構えで行くと良いでしょう。
● 人数変更は事前に連絡し、連絡した人数以上で訪れない
● 入居者の方の邪魔にならないよう配慮する
● 写真撮影が可能かを確認する
人数変更は事前に連絡し、連絡した人数以上で訪れない
施設側は、見学予定の人数に合わせて試食や書類などの準備をしています。人数変更がある場合は、必ず事前に連絡しましょう。特に予定よりも人数が増える場合は、それだけ施設側の準備負担も増えてしまいます。事前連絡なしに、連絡した人数以上で訪れるのは避けましょう。
入居者の方の邪魔にならないよう配慮する
老人ホームは、まわりの入居者の方が生活しているスペースです。大声を出したり勝手に話しかけたりして不快な思いをさせないよう、しっかり配慮しましょう。
写真撮影が可能かを確認する
見学の際は、施設や設備を写真に残しておくと、見学後に比較検討する際に役立ちます。写真を撮る場合は、撮影しても問題ないかを必ず施設に確認しましょう。また、他の入居者の方の顔が写らないよう配慮が必要です。
老人ホームのパンフレットを見るときのポイント
老人ホームの見学をする前に、パンフレットなどで施設の情報を事前に調べる方も多いはずです。ここでは見学に行く前に、パンフレットを見るときのポイントについて解説します。とくに以下の3つには注意が必要です。
● 「特定施設入居者生活介護の指定」を受けているか確認
「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設は、国が定めた基準を満たしており、施設が直接、介護保険サービスを提供することが許可されています。これにより入居者は、要介護度に合わせた介護サービスを1〜3割の負担で受けられます。
反対に指定を受けていない老人ホームは、外部の介護サービスを併用して提供するため、同じ要介護度によっても費用が異なることがあります。
そのため、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているといった内容が、パンフレットに記載されているかチェックしてください。
● 「終身介護」と記載があっても注意が必要
特別養護老人ホームの場合、終身介護を原則としているため基本的には亡くなるまで入居できます。また近年では終身介護を行う有料老人ホームも増えてきています。
しかし老人ホームごとに退去要件が設けられており、この要件に該当すると、退去を求められることもあります。たとえば、認知症が悪化してしまい問題行動が多い、治療が必要となり長期入院が必要といったケースが挙げられます。
「終身介護であれば安心」「亡くなるまで面倒をみてもらえる」と思いがちですが、施設ごとの要件や病気の進行などによっては、退去しなければならないこともあるため注意が必要です。
● 「24時間対応」の内容を確認する
24時間対応とうたっていても、各老人ホームの体制はさまざまです。たとえば、「介護スタッフが24時間常駐して、ケアや見守りを提供できる」のと、「看護師が24時間常駐して、いつでも医療ケアを提供できる」のでは大きく異なります。
また「夜間はスタッフが常駐していないが、ナースコールなどで連絡がとれる」「病院や医師と連携しており、24時間連絡がとれる」という意味である場合もあります。
そのため夜間の時間帯は、どのようなスタッフが何人いるのか、医療ケアはどのように受けられるのかなどを確認するようにしてください。
パンフレットに書かれている内容が不明確な場合は、見学時に質問するようにしましょう。
老人ホームの見学後は体験入居で確認しよう
見学に行って入居したい施設が決まったら、体験入居で実際の住みやすさを確認しましょう。
体験入居では、契約の前に老人ホームでの生活を短期間体験できます。ほかの入居者と同様に、介護サービスや生活支援サービス、食事、レクリエーションといったサービスを受けることができます。
体験入居でチェックすべきポイント
体験入居では、以下のポイントをチェックしましょう。
● 入居者の様子や雰囲気
● スタッフの人柄や対応の丁寧さ
● 設備が使いやすいか
● 居室の広さや日当たりは問題ないか
● 清掃が行き届いているか
● 生活音や臭いが気にならないか
● 食事が口に合うか
● 食事に関する説明は丁寧か
老人ホームの見学に関するよくある質問
最後に、老人ホームの見学についてよくある質問と回答を紹介します。
老人ホームは何ヶ所見学すべき?
老人ホームは、2〜3ヶ所見学しましょう。複数の施設を見学することにより、「あの施設の方が雰囲気が明るかった」「居室はこの施設の方が使いやすそう」というように、比較検討できます。ただし、何箇所も見学する必要はありません。見学する施設数が多すぎると、混乱して選ぶのが難しくなってしまうためです。また、見学には1〜2時間ほどかかるため、疲れてしまう可能性もあります。まずはパンフレットやホームページなどで情報を集め、見学に行く施設を2〜3ヶ所選定しましょう。
老人ホームは親子で見学すべき?
老人ホームは親子で一緒に見学に訪れるのが望ましいです。親子で見学することにより、様々な視点から施設をチェックできます。また、1人が写真撮影、1人がメモというように、役割分担もできます。施設選びや手続きの準備を、親御さんの代わりにご家族が進めているケースもあるでしょう。しかし、見学には親御さんも同行することをおすすめします。実際に老人ホームで生活するのは親御さんであるため、親御さんの意見を尊重して施設を選ぶことが大切です。
まとめ
老人ホームの見学について理解しておきたいポイントは、以下のとおりです。
● 老人ホーム選びで後悔しないためには、見学に訪れる必要がある
● 見学では、建物・設備やサービス、スタッフについて確認しよう
● わからないことはスタッフに質問し、疑問を解消することが大切
● 納得のいく老人ホームを選ぶためには、複数の施設を見学し、比較検討する
今回は、老人ホーム入居までに必要なステップである施設見学について、流れやポイントなどをお話しいたしました。実際に見学に行くことにより、老人ホーム選びにおいて重要な判断材料となる情報を得ることができます。納得のいく老人ホームを見つけ、安心した生活を送れるよう、ぜひこの記事を参考にご本人とご家族で見学に訪れてみてください。
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有料老人ホームで介護士として約12年勤務した後、社会福祉士を取得。急性期病院の医療ソーシャルワーカーとして、入退院支援に携わる。現在は、スマートシニア入居相談室の主任相談員として、多数のご相談に応じている。