高級老人ホームとは?特徴や一般的な老人ホームとの違いを徹底解説
老後の生活を彩る選択肢の一つとして、高級老人ホームへの入居を検討している方も増えています。しかし高級老人ホームへ入居するには相応の費用がかかるため、一般的な老人ホーム、もしくはサービス付き高齢者向け住宅へ入居したほうがいいのではないかと迷っている方もいるでしょう。
そこでこの記事では、高級老人ホームの特徴や一般的な老人ホームとの違いについて詳しく解説します。高級老人ホームに入居するメリットが知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

高級老人ホームとは?
高齢化の進行に伴い老人ホームの需要が増えていますが、そのような状況下で他社と差別化するために、一般的な有料老人ホームと比べて高品質なサービス・設備を提供する老人ホームも現れています。そのような品質にこだわる老人ホームは利用料も高額であるため、「高級老人ホーム」と呼ばれているのです。
なお、有料老人ホームは「住宅型有料老人ホーム」「介護付き有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3種類に分けられますが、いずれの種別においても高級路線の施設は存在します。自立している方なら「住宅型」「健康型」の高級老人ホーム、介護の必要性を見据えている方なら「介護付き」の高級老人ホームを選ぶといいでしょう。

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高級老人ホームの特徴
高級老人ホームの特徴としては、費用が高いこと以外にも次のような点が挙げられます。
● 利便性のよい立地
● 快適な居室空間
● 多彩な共用設備
● 豪華な食事
● 豊富なレクリエーション
● 充実した医療・介護体制
これらの特徴に魅力を感じる方は、高級老人ホームへの入居を検討するといいでしょう。それぞれの特徴について、詳しく解説します。
利便性のよい立地
有料老人ホームの月額費用には、「居住費」も含まれます。これは家賃としての性質を持つ費用であるため、一般的な賃貸住宅などと同じく、立地がいい場所では高く設定せざるをえません。そのため低価格志向の施設はもちろん、一般的な有料老人ホームは月額費用の水準を抑えるため、郊外に建設されることも多いです。
しかし高級老人ホームは月額費用を高めに設定するため、地価の高い場所に施設を建設しても経営が成り立ちます。そのため東京や大阪などの都市部・駅の近くなど、利便性のよい場所にあることも珍しくありません。(都市部の喧騒を離れたい方のために、風光明媚な場所・避暑地・リゾート地などに展開している高級老人ホームも存在します)
快適な居室空間
一般的な有料老人ホームの居室も、バリアフリーで快適に暮らせるようになっています。そのため普通に暮らしたい方にとっては、大きな支障はありません。しかし高級老人ホームの居室はバリアフリーであるだけでなく、家具・インテリアなどにもこだわられています。高級ホテルのような内装・設備で、快適に暮らせることが特徴です。
また、有料老人ホームの居室の最低面積は13㎡(約8.5畳)と定められており、多くの施設はこの面積を基準に居室を設計していますが、高級老人ホームはさらに広々とした居室を設けていることも少なくありません。LDKを備えた居室もあるなど、まるでマンションのように暮らせることも高級老人ホームならではの特徴といえるでしょう。
多彩な共用設備
高級老人ホームは居室だけではなく、共用設備も豪華です。たとえばフィットネスセンター・プールなど身体を動かせる施設をはじめ、カラオケボックス・シアタールーム・麻雀ルームなどの娯楽施設、図書館・カフェテリアなど落ち着ける施設、さらには理美容室やレストランなどが併設されていることも珍しくありません。
さらに、入居者の家族が泊まれるゲストルームが付いた施設もあります。老人ホームの中に宿泊施設があれば、家族も面会に来やすいでしょう。また、高級老人ホームでは各居室に浴室があるケースが多いですが、中には共有スペースとして温泉設備を提供している施設もあります。このように共用設備が多彩なことも、高級老人ホームの特徴の一つです。
豪華な食事
有料老人ホームでは基本的に1日3食+おやつが提供されますが、高級老人ホームではそのメニューが豪華なことも特徴といえます。一般的な老人ホームよりも高価な食材が使われたり、メニューのバリエーションが多かったり、食事に力を入れている高級老人ホームは少なくありません。
また、高級老人ホームによっては「特別食」として、お寿司やデザート、さらにはアルコールを提供していることもあります。加齢に伴って嚥下能力が低下している方や、健康のために避けるべき食材がある方には、その制約の中で豪華な食事を提供してくれることも特徴です。
豊富なレクリエーション
居住環境だけを重視するなら、高級な高齢者住宅(サービス付き高齢者向け住宅・シニア向け分譲マンション)へ入居することも選択肢となるでしょう。しかしこれらの施設は、あくまでも純粋な居住施設であるため、レクリエーション・イベントなどは開催されないケースが多いです。
一方、高級老人ホームは「老人ホーム」であるため、身体機能・認知機能を維持するためのレクリエーションも提供されています。たとえばダンスやフィットネス・水中ウォーキングなどで身体機能を高めたり、音楽・書道・デッサン・陶芸などのようなクラブ活動で入居者同士のコミュニケーションを維持したり、さまざまなレクリエーションが提供されていることが特徴です。
充実した医療・介護体制
医療体制・介護体制が充実していることも、高級老人ホームの特徴といえます。たとえばクリニックを併設している施設や、看護師が常駐している施設を選べば、医療的ケアを必要としている方でも安心して暮らせるでしょう。介護スタッフが基準より多く配置されている施設を選べば、より細やかな介護サービスが期待できます。
医療スタッフ・介護スタッフの数が多ければ、それだけ人件費もかかるため、月額費用も高額です。しかし費用よりもサービスを選びたいという場合には、ぜひ医療・介護体制の充実した高級老人ホームを選んでみてください。
なお、介護士・看護師だけではなく、理学療法士・言語聴覚士などが在籍している施設も多いです。もしリハビリテーションなどを必要とする場合は、それらの専門家が配置されているかどうかも確認してみてください。
高級老人ホームと一般的な有料老人ホームとの違い
高級老人ホームと一般的な有料老人ホームとの違いは、施設などのハード面から、提供サービスなどのソフト面まで多岐にわたります。高級老人ホームと一般的な有料老人ホームとの違いについて、一覧表で比べてみましょう。
比較項目 | 一般的な有料老人ホーム | 高級老人ホーム |
入居費用 (初期費用) | 介護付き:0~630万円 住宅型:0~46.0万円 健康型:0~1億円 (0円の施設も多い) | 1,000万円~ (数千万円の施設が多い) |
月額費用 | 介護付き:15.0~35.1万円 住宅型:13.4~31.5万円 健康型:10.0~40.0万円 | 20.0〜50.0万円 |
立地 | 市街地~郊外 車がないとアクセスできない施設も多い | 都市部・駅近など利便性のいい場所 リゾート地 |
建物 | バリアフリー完備 | バリアフリー完備 高級感のある建物 |
居室 | 最低面積は13㎡(約8.5畳) お風呂・トイレなどの有無は施設による (居室に水回り設備がない老人ホームもある) | 広々とした居室 LDKを備えた居室もある 水回り・各種設備もハイグレード プライバシーを確保しやすい |
共用設備 | トイレ・お風呂など レクリエーションルームを備えた施設もある 娯楽施設があるかどうかは施設による | カラオケボックス・シアタールーム・図書館・カフェテリア・理美容室・レストラン・ゲストルームなど多岐にわたる |
食事 | 栄養士が健康・身体状態にあわせて献立を作成 介護食も提供 | 健康・身体状態はもちろん、素材や味にもこだわり 特別食としてお寿司などが提供される施設もある 介護食も提供 |
レクリエーション | 身体機能にあわせたサークル活動など | 多種多様な活動がラインナップされ、旅行などに行く施設もある |
介護体制 | 法令に基づき配置されている | 法令で定められた最低人数よりも多く介護スタッフを配置している施設もあり、きめ細かな対応が期待できる |
医療体制 | 看護師が配置されている施設は少数 医療機関と提携している施設もある | 看護師が配置されている施設も多い クリニックが併設されている施設もある |
高級老人ホームの費用相場
さて、高級老人ホームへの入居を検討するとき、もっとも気になるのが「費用」でしょう。ここからは高級老人ホームの費用相場について解説します。
高級老人ホームにかかる費用の内訳
高級老人ホームにかかる費用の内訳は、初期費用としての「入居一時金」と、ランニングコストとしての「月額利用料」の2つに分けられます。相場は次のとおりです。
入居一時金 | 1,000万円~ (数千万円の施設が多い) |
月額利用料 | 20.0〜50.0万円 |
それぞれどのような費用なのか、詳しく見ていきましょう。
入居一時金
入居一時金は「前払い家賃」としての性質を持つ費用です。数年〜十数年分の家賃を支払うことになるため、高級老人ホームへ入居する場合は最低でも1,000万円程度の予算を確保しておきましょう。数千万円程度の予算があると、選択肢が拡がります。
なお、一般的な有料老人ホームの場合、初期費用が0円の施設も少なくありません。しかし高級老人ホームは資金に余裕がある方を対象としているため、基本的に初期費用はかかるものと認識しておきましょう。
月額利用料
月額利用料は、サービス費・食費・管理費などのランニングコストのことです。高級老人ホームの月額利用料の相場は20.0〜50.0万円と、一般的な施設の2倍程度に設定されています。
高級老人ホームにかかる費用の支払方式
さて、高級老人ホームへの費用の支払い方としては、その内訳に応じて次の3種類に分けられます。
● 前払い方式
● 月払い方式
● 併用方式
それぞれどのような支払い方式なのか、詳しく見ていきましょう。
前払い方式
想定入居期間分にかかる家賃の全額を、入居時に一括して支払うのが「前払い方式」です。入居一時金が高額になりますが、月額利用料には居住費(家賃)が含まれなくなるため、ランニングコストの負担を減らせます。
月払い方式
居住費を毎月支払っていく方式が「月払い方式」です。この場合、入居一時金が0円に設定されるケースが多いですが、敷金が必要な場合があるため確認しましょう。
併用方式
想定居住期間分の家賃の一部を入居一時金として支払い、残額を月額費用として支払うのが「併用方式」です。全額前払い方式よりも併用方式のほうが支払い総額は多くなりますが、入居一時金は安くなるため、手元に資金を温存しておきたい方は併用方式の施設を選ぶといいでしょう。
高級老人ホームに入居するメリット
高級老人ホームに入居することには、さまざまなメリットがあります。
快適な環境の中で暮らせる
高級老人ホームは、入居者にとって快適な生活環境を提供することを最優先に考えています。一般的な有料老人ホームと比較して、広々とした居住空間や高品質な家具、最新の設備が整っているため、入居者は自宅にいるかのような安心感を得ることができます。また、施設内のインテリアや景観にもこだわりがあり、リラックスできる雰囲気が漂っています。
さらに、高級老人ホームでは、食事の質にも特に配慮されています。栄養バランスを考えた美味しい料理が提供されるだけでなく、入居者の好みに応じたメニューの選択肢も豊富です。これにより、食事の時間が楽しみとなり、日々の生活に彩りを添えることができます。
また、共用スペースも充実しており、入居者同士の交流を促進するためのラウンジや趣味活動のための部屋が設けられています。これにより、孤独感を軽減し、社会的なつながりを持ちながら生活することが可能です。高級老人ホームは、ただの居住空間ではなく、心身ともに充実した生活を送るための環境が整っているのです。

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趣味や楽しみが増える
高級老人ホームでは、入居者が充実した生活を送るための多彩なアクティビティや趣味の機会が提供されています。一般的な有料老人ホームと比べて、より豊かな環境が整っているため、入居者は自分の興味や関心に応じた活動を楽しむことができます。
例えば、アートや音楽、料理教室などのワークショップが定期的に開催されており、入居者同士の交流を深める場ともなっています。また、外出イベントや旅行プランも充実しており、自然や文化に触れる機会が多く設けられています。これにより、日常生活に彩りが加わり、心身の健康を保つことができます。
さらに、趣味を通じて新たな友人を作ることができるのも大きな魅力です。同じ趣味を持つ仲間と共に過ごすことで、孤独感を軽減し、充実した人間関係を築くことができます。高級老人ホームは、ただの生活の場ではなく、人生をより豊かにするためのコミュニティとしての役割も果たしています。
健康的な生活が送れる
高級老人ホームでは、入居者が健康的な生活を送るためのさまざまな取り組みが行われています。まず、栄養バランスを考慮した食事が提供されることが大きな特徴です。
シェフが手がける美味しい料理は、入居者の健康を支えるだけでなく、食事の楽しみをも提供します。季節ごとの食材を取り入れたメニューや、個々の嗜好に応じた特別な食事も用意されており、食事の時間が待ち遠しくなることでしょう。
また、運動やリハビリテーションのプログラムも充実しています。専門のスタッフによる指導のもと、体力を維持し、健康を促進するためのアクティビティが行われています。これにより、入居者は自分のペースで運動を楽しむことができ、身体機能の向上や維持が期待できます。
さらに、定期的な健康診断や医療サポートも整っており、入居者の健康状態を常に把握する体制が整っています。万が一の病気や怪我に対しても、迅速に対応できる医療スタッフが常駐しているため、安心して生活することができます。このように、高級老人ホームは入居者が心身ともに健康で充実した生活を送るための環境が整っているのです。
介護や医療が必要になっても安心
高級老人ホームの大きな魅力の一つは、入居者が介護や医療を必要とする場合でも安心して生活できる環境が整っている点です。多くの高級老人ホームでは、専門のスタッフが常駐しており、24時間体制で入居者の健康状態を見守っているため、急な体調の変化やけがに対しても迅速に対応することができます。
また、医療機関との連携が強化されているため、必要に応じて専門医の診察や治療を受けることが可能です。これにより、入居者は自宅での生活では得られない安心感を持ちながら、日々の生活を送ることができます。さらに、介護サービスも充実しており、個々のニーズに応じた柔軟な対応が行われるため、入居者一人ひとりが快適に過ごせるよう配慮されています。
生活の自由度が高い
生活の自由度が高い施設が多いことも、高級老人ホームに入居するメリットの一つです。とくに住宅型・健康型など自立した高齢者を対象とした施設なら、外出・外泊の制限がないことも珍しくありません。
また、ゲストルームが完備されている施設なら、家族や友達を呼んで1日中一緒に過ごすことも可能です。ペットと同居できる施設を選べば、自宅から犬・猫を連れていくこともできます。
高級老人ホームの入居条件は?
高級老人ホームに入居するためには、各施設が提示する条件を満たすことが重要です。これらの条件は、施設ごとに異なる場合がありますが、一般的には入居者の生活の質を確保するために設けられています。まず、施設の運営方針やサービス内容に合った入居者を選ぶことで、より快適な生活環境を提供することが目的です。
具体的には、入居希望者は施設が求める健康状態や介護の必要度、さらには経済的な条件をクリアする必要があります。例えば、医療的なケアが必要な方や、特定の介護度を持つ方は、施設の受け入れ基準に合致しているかどうかが重要です。また、入居者の年齢や生活スタイルも考慮されるため、事前にしっかりと確認しておくことが求められます。
【条件1】年齢
高級老人ホームに入居する際の重要な条件の一つが年齢です。多くの施設では、入居者の年齢を一定の範囲に設定しており、一般的には65歳以上の高齢者を対象としています。この年齢制限は、施設が提供するサービスや環境が高齢者のニーズに特化していることを反映しています。
年齢制限が設けられている理由の一つは、入居者同士のコミュニケーションや生活スタイルの調和を図るためです。同じ世代の人々が集まることで、共通の話題や趣味を持つ仲間ができやすく、より充実した生活を送ることができます。また、年齢に応じた適切なケアやサポートを提供するためにも、年齢制限は重要な要素となっています。
ただし、施設によっては特例として、65歳未満の方でも入居可能な場合があります。例えば、特定の医療的なニーズがある方や、介護が必要な方などは、年齢に関係なく受け入れられることがあります。このような場合は、事前に施設に相談し、具体的な条件や状況を確認することが大切です。
【条件2】介護度(要介護・要支援区分)
高級老人ホームに入居する際の重要な条件の一つが「介護度」です。介護度とは、入居者がどの程度の介護を必要としているかを示す指標で、一般的には介護保険制度に基づいて評価されます。介護度は1から5までの5段階に分かれており、数値が高いほど、より多くの介護が必要とされることを意味します。
高級老人ホームでは、入居者の介護度に応じたサービスを提供しています。例えば、介護度が高い方には、24時間体制での介護スタッフのサポートが受けられる環境が整っていることが多いです。一方で、介護度が低い方には、必要に応じて柔軟にサービスを利用できるようなプランが用意されていることもあります。
また、介護度の評価は定期的に見直されるため、入居者の状態に応じて適切な介護サービスが提供されることが求められます。これにより、入居者は安心して生活を送ることができ、必要なサポートを受けながら自立した生活を維持することが可能です。
【条件3】認知症・医療ケアの有無
高級老人ホームに入居する際、認知症や医療ケアの必要性は重要な要素となります。多くの高級老人ホームでは、入居者の健康状態や介護の必要度に応じたサービスを提供していますが、施設によってその対応は異なります。特に認知症を抱える方に対しては、専門的なケアが求められるため、入居前に施設の方針や体制を確認することが大切です。
認知症ケアに特化したプログラムを持つ高級老人ホームも増えており、入居者が安心して生活できる環境を整えています。これには、専門のスタッフによるサポートや、認知症に配慮した生活空間の設計が含まれます。入居者が自分らしく過ごせるよう、日常生活の中でのコミュニケーションや活動を重視したプログラムが提供されることが多いです。
また、医療ケアが必要な方に対しても、医療機関との連携を強化している施設が多く、定期的な健康チェックや緊急時の対応が可能です。入居者の健康状態に応じた適切な医療サービスを受けられることは、高級老人ホームの大きな魅力の一つです。入居を検討する際には、自身の健康状態や必要なケアについてしっかりと考え、施設の選択肢を比較することが重要です。
【条件4】支払い能力
高級老人ホームに入居するための重要な条件の一つが、支払い能力です。これには、入居時に必要な初期費用や月々の利用料を支払うための経済的な余裕が求められます。高級老人ホームは、一般的な有料老人ホームに比べて、サービスや設備が充実しているため、費用も高額になることが多いです。そのため、入居希望者は自身の資産状況や収入をしっかりと見極める必要があります。
具体的には、入居時に必要な一時金や、月々の管理費、食費、介護サービス費用などが含まれます。これらの費用は、施設によって異なるため、事前にしっかりと確認し、予算を立てることが大切です。また、長期的な視点で考えると、将来的な医療費や介護費用も考慮に入れる必要があります。
さらに、支払い能力があることは、入居後の生活の質にも大きく影響します。経済的な不安が少ないことで、安心して生活を楽しむことができ、心身ともに健康的な生活を送ることが可能になります。したがって、高級老人ホームへの入居を検討する際には、しっかりとした経済的基盤を持つことが重要です。
【条件5】保証人(身元保証人・身元引受人)
高級老人ホームに限った条件ではありませんが、施設へ入居するためには保証人(身元保証人・身元引受人)も必要です。保証人は月額利用料などの支払い保証を含め、次のような役割を担います。
● 入居者本人が費用を支払えなくなったときの保証
● 入居者本人の認知機能が低下し、意思決定が難しくなった場合の対応窓口
● 入居者が死亡したときの退去手続き・遺品回収
もし保証人を任せられる子供・親族がいない場合には、保証会社の利用を検討しましょう。また、少数ですが保証人がいなくても契約できる高級老人ホームも存在します。
高級老人ホームの見学から入居までの流れ
高級老人ホームの見学から入居までの流れは、おおむね次のとおりです。
- 見学の予約
- 見学
- 体験入居
- 申し込み
- 契約に必要な書類の準備
- 施設スタッフとの面談
- 入居審査
- 契約・入居
気になる高級老人ホームを見つけたら、いきなり入居を申し込むのではなく、まずは見学に行きましょう。スタッフの雰囲気や入居者同士のコミュニケーション状況、料理の味などを確かめておくと、入居後のミスマッチを防げます。より念を入れて確認したい場合は、数日〜1週間程度の体験入居を申し込んでみてください。1泊ごとに費用がかかりますが、夜間の様子なども確認できるためおすすめです。
見学・体験入居を経て入居先を決めたら、申し込みを行います。契約に必要な「診療情報提供書」や「健康診断書」などの書類を伝えられるため、集めていきましょう。書類が集まったら、施設スタッフと面談し、健康状態・希望条件などの情報を擦り合わせます。(介護が必要な場合はケアマネジャーが同席し、介護プランを作成することもあります)
つづいて各種条件をもとに入居審査が行われ、問題がなければ契約し、入居手続きは完了です。先述したとおり入居一時金は最低でも1,000万円程度かかる施設が多いため、あらかじめ用意しておきましょう。
高級老人ホームを選ぶ際のポイント
ここまで紹介した情報もふまえると、高級老人ホームを選ぶ際のポイントとしては次の5つが挙げられます。
● 費用面を考慮して選ぶ
● 生活しやすい立地にあるかで選ぶ
● 医療体制や認知症に対応できるかで選ぶ
● 信頼性のある運営会社を選ぶ
● 実際に見学や体験をして選ぶ
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
費用面を考慮して選ぶ
第一に、高級老人ホームは一般的な介護施設と比べて入居費用が高額であるため、費用面を考慮して選ぶようにしましょう。もし入居後に費用を支払えなくなると退去しなければならないため、長期にわたって無理なく支払える水準であるか確認してみてください。
なお、費用を検討するときは、介護にかかる費用を考慮することも重要です。たとえば住宅型有料老人ホームに入居する場合、施設として介護サービスは提供されないため、介護が必要になった場合は外部の介護事業者と直接契約する必要があります。この場合、介護サービスを受けた分だけ、老人ホームの月額費用とは別に介護費用が必要となることは覚えておきましょう。介護サービスを受けたときに必要となる1か月あたりの費用は、自己負担額が1割の場合は次のとおりです。
| 支給限度基準額 | 自己負担額 |
要支援1 | 50,320円 | 5,032円 |
要支援2 | 105,310円 | 10,531円 |
要介護1 | 167,650円 | 16,765円 |
要介護2 | 197,050円 | 19,705円 |
要介護3 | 270,480円 | 27,048円 |
要介護4 | 309,380円 | 30,938円 |
要介護5 | 362,170円 | 36,217円 |
上記の限度額の範囲内なら1割の自己負担で介護サービスを利用できますが、超過する場合は全額自己負担となるため注意しましょう。(ケアマネジャーに相談すれば、支給限度基準額で受けられる介護プランを作成してくれます)
生活しやすい立地にあるかで選ぶ
自立した状態で高級老人ホームへ入居し、自由に外出なども楽しみたい場合は、施設が生活しやすい立地にあるかどうかも重要です。たとえばリゾート地にある老人ホームは豪華な反面、商業施設などが周りにないことも珍しくありません。頻繁に外出するつもりの方は、公共交通機関に近い施設や、商業施設・公園・医療機関が近い施設を選ぶといいでしょう。
また、施設周辺の治安環境を確認することも重要です。街灯が多いエリアを選べば、夕方から夜間にかけて外出しても安心でしょう。周辺に警察署・交番があるかどうかも確認してみてください。
医療体制や認知症に対応できるかで選ぶ
長期にわたって同じ施設に暮らし続けたい場合、医療体制をチェックすることも重要です。たとえば介護スタッフしかいない施設の場合、点滴管理などの医療ケアは対応してもらえません。医療ケアを任せたい場合は、看護師が在籍している施設を選びましょう。職員の資格に応じて対応できる行為の例は次のとおりです。
一般的な介護職員 | 特定の研修を終えた介護福祉士 | 看護師 |
体温測定 目薬の点眼 服薬の介助 ガーゼの交換 湿布の貼付 | 口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の喀痰吸引 胃ろうなどによる経管栄養 | 点滴管理 人工呼吸器管理 インスリン注射 |
特定の研修を終えた介護福祉士、もしくは看護師が在籍している高級老人ホームを選べば、将来的に医療ケアが必要になっても暮らし続けられるでしょう。クリニックなどが併設されている老人ホームを選べば、より安心です。
また、認知症への対応有無は、施設ごとに大きく異なります。実は認知症患者を受け入れている高級老人ホームは多くありません。高級老人ホームはプライバシーを重視する入居者も多く、徘徊などの症状が見られる認知症患者の受け入れが難しいのです。しかし認知症の方を受け入れている高級路線の介護施設もゼロではないため、条件を絞って探してみてください。
信頼性のある運営会社を選ぶ
高級老人ホームを選ぶときは、運営会社の信頼性も重視すべきです。たとえば、もし入居後に老人ホームの運営会社が倒産してしまったとしても、ほとんどのケースで別の企業に運営が引き継がれるため、強制的に退去させられる可能性は低いかもしれません。
しかし経営状況が悪くなると、倒産に至るまでの間にサービス品質が落ちる可能性があり、別の会社に運営が引き継がれた結果、サービス内容が変わってしまう可能性も否めません。また、もし引き継ぎ先が見つからない場合は、施設は閉鎖されてしまうため、退去する必要があります。
将来にわたって安心して暮らし続けるためにも、信頼性のある会社が運営する老人ホームを選ぶようにしてみてください。
実際に見学や体験をして選ぶ
高級老人ホームを選ぶときは、パンフレットやホームページなどだけ情報を集めるのではなく、実際に見学・体験入居をしたほうがいいでしょう。やはり施設の清潔感・スタッフの雰囲気・食事のクオリティなどは、実際に施設を訪れてみなければ分かりません。理想の施設に入居するためには、少なくとも一度は現地を訪れてみてください。

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高級老人ホームはいつ入居するのがおすすめ?
老人ホームへ入るべきタイミングに明確な決まりがあるわけではないため、介護が必要になってから入居すべきか、それとも元気なうちに入居すべきか、入居タイミングに悩んでいる方もいるかもしれません。
しかし高級老人ホームはイベントやレクレーションが豊富で、食事にも力を入れている施設が多いことを鑑みると、元気なうちから入居したほうが楽しめることは多いでしょう。高級老人ホームの中には夫婦で生活できる施設もあるため、もし高齢者だけでの暮らしに不安を感じている場合には、なるべく早いタイミングで入居してみてください。
まとめ
高級老人ホームは入居費用が高い分、施設・サービスがともに充実していることが特徴です。一般的な老人ホームと比べると施設数は少なく、入居一時金は1,000万~数千万円、月額利用料は20.0〜50.0万円もの費用がかかるため誰でも入居できるわけではありませんが、もし資産に余裕がある場合には、ぜひ選択肢の一つとして検討してみてください。
なお、一口に高級老人ホームといっても、その特色は施設ごとに大きく異なります。条件を絞って効率よく高級老人ホームを探したい場合は、ぜひスマートシニアを使ってみてください。「高級老人ホーム」という区分だけではなく、立地や提供サービス・併設施設などの条件で絞って理想的な老人ホームを探すことも可能です。
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