老人ホームの体験入居で確認すべき8つのポイント!体験入居のメリットや注意点も

老人ホームをいくつか見学して、入居したい施設が見つかれば、契約する前に体験入居をするのがおすすめです。入居後に「なんだかイメージしていたのと違う」とならないように、実際に施設にお試しで入居し、改めて確認と検討すると安心です。
この記事では、老人ホームの体験入居で受けられるサービスや確認するべきポイントなどについて解説します。

老人ホームの体験入居で確認すべき8つのポイント!体験入居のメリットや注意点も
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体験入居とは?


老人ホームの中には、入居契約の前にお試しで短期間入居することができる「体験入居」を実施しているところが多くあります。初期費用なしで実際の老人ホームでの生活を体験できるので、重要な判断材料になります。

 

老人ホーム選びで体験入居が必要な理由

老人ホーム選びにおいて、体験入居は施設選びの重要な判断材料となるため、非常に大切な役割を果たします。

体験入居では、他の入居者と同じようにサービスを受けることができ、実際に一定期間施設で過ごすことができます。スタッフや他の入居者の雰囲気を知ることができたり、介護・生活支援サービスを体験できたりするため、その施設での暮らしをイメージすることが可能です。体験入居をすることで、納得して施設を選ぶことができます。

また、体験入居を通じて老人ホームでの1日を知ることもできるので、老人ホームでの生活を把握できるいい機会となります。

 

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老人ホームの体験入居のメリット


老人ホームに体験入居してみることで、以下のようにたくさんのメリットがあります。

●     アクティビティや実際のサービス体験ができる

●     設備の快適さを確かめられる

●     入居者の様子が分かる

●     食事の味や量が確認できる

●     スタッフとの相性や雰囲気が分かる

 

パンフレットからの情報収集や施設の見学だけでは知り得ない部分も、直接体感できる点が体験入居の大きなメリットです。以下で詳しく見ていきましょう。

アクティビティや実際のサービス体験ができる

多くの老人ホームでは、入居者の健康維持やコミュニケーション促進のため、さまざまなレクリエーションや季節のイベントなどを用意しています。体験入居の期間中に開催されていれば、一緒に参加することも可能です。
また体験入居では、洗濯や掃除などの生活支援サービスや食事サービスなどの基本的なサービスを体験できます。介護保険サービスに関してはケアプランに基づいたサービス利用となるため、体験入居では利用できないこともありますが、他の入居者がどのようにサービスを受けているか近くで見られる利点があります。見学では難しい早朝や夜間の様子も把握できるため、人員体制が整っているかなどもチェックできる点も大きなメリットといえるでしょう。


設備の快適さを確かめられる

入居後に実際に使う、居室やトイレ、リハビリ施設などを利用して、使い勝手まで知れる点がメリットです。施設の設備は共同で使用するものもあり、臭いがついていたり、食べかすがそのままだったりする状態だと快適性は損なわれます。しっかりと管理されているか、清掃が行き届いているかといった目線で、設備の衛生面やスタッフの管理意識などを確認できるのもメリットです。
また暮らしの快適に影響する、室温や生活音などにも気づけるよい機会です。室温の設定が合わない場合は調節してもらえるのか、お隣の音漏れは大きくないかなども確認できます。実際に過ごしてみないとわからないことに気づけるのは、大きなメリットでしょう。

入居者の様子が分かる

体験入居では、入居者が快適に過ごしているかなどの様子が分かるのが、メリットの一つです。体験入居では、レクリエーションの参加や食事などで、他の入居者と一緒に過ごす機会もあります。施設の暮らしぶりを一日通して見られるため、入居後の生活を具体的にイメージできます。
またその際に、施設での暮らしはどうか、スタッフの人柄やサービス品質などについて、リアルな声を聞けるのもメリットです。ご家族が来訪している場合は、また違った視点の情報を得られるかもしれません。老人ホームの入居者の意見は、外部からはなかなか知る機会がないため、積極的に話しかけていろいろと教えてもらうことが大切です。自分が安心して生活できる環境かどうかの判断につながるでしょう。

食事の味や量が確認できる

体験入居では、実際に提供されている食事も食べられるため、味つけや量の多さなどを確認できます。たとえ栄養バランスが整っていても、あまりにも好みの味付けから離れていると食事量がとれず、結果的に栄養をうまくとれない事態につながってしまいます。食べるときに温度が冷めてしまっていると、美味しさも損なわれてしまうでしょう。
老人ホーム入居後、毎日の食事を美味しく楽しめるかどうかで、生活の質は大きく変わります。そのため事前に食事の傾向を知れるのは、大きなメリットといえます。
また体調不良時には食べやすいものに変更してくれるのか、アレルギーがある場合に別メニューを用意してもらえるかなども質問できるため、有効な判断材料になります。


スタッフとの相性や雰囲気が分かる

老人ホームで生活するうえで大切なのが、スタッフとのコミュニケーションです。体験入居することで、スタッフが普段入居者とどのように接しているか、コミュニケーションの取り方や言葉遣いなどが分かります。
また不安や疑問に感じることをスタッフに質問・相談してみるのもポイントです。そのときに親身になってくれるか、サポートしてくれるか、丁寧な説明をしてくれるかなど、対応方法や介護への姿勢が観察できます。スタッフ同士の連携やチームワーク、雰囲気なども感じ取れるでしょう。
体験入居の際に、入居者同士の交流に入れない、レクリエーションに参加しづらいという場合、スタッフに相談してみましょう。新しい環境に馴染めるように配慮してくれるスタッフだと安心できます。

老人ホームの体験入居で受けられるサービス

体験入居で実際に受けられるサービス項目を以下にまとめました。それぞれのポイントについて説明します。

 

●     食事

体験入居の場合も、他の入居者と同じ内容のメニューが提供されます。

●     入浴

他の入居者と同じく入浴も可能であり、使い勝手や環境をチェックできます。ただし入浴頻度は施設によって異なります。

●     生活支援

居室の清掃や洗濯、買い物代行などの生活支援サービスも利用できます。施設によってサービス内容や頻度などには違いがあるため、希望するサービスがあるかどうか確認が必要です。

●     身体介護

入浴介助や排泄介助、食事介助など、必要に応じた介護サービスを受けられます。

●     リハビリテーション

機能訓練指導員による、身体機能の向上を目的としたリハビリを受けられます。

●     レクリエーション

その他の入居者と一緒にレクリエーションへ参加できます。レクリエーションの内容や頻度は施設によって異なり、季節のイベントをはじめ、映画鑑賞など文化的な活動や、身体を動かすアクティビティなどさまざまです。

 

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体験入居の期間と費用

体験入居できる期間は施設によって異なります。1泊から1週間程度入居できる場合が多く、中には最長1ヶ月と長く利用できるところもあります。

施設で1週間程生活すると、受けられるサービスやスタッフ・他の入居者の雰囲気を感じ、そこでの暮らしをイメージすることができます。

費用については施設によって変わりますが、1泊5,000〜15,000円ほどかかることが多く、日数に応じて支払います。入居者の介護度に応じて金額が変わるところもあります。また、体験入居中にかかる介護サービス費用は介護保険適用外なので、全額自己負担となるため注意が必要です。

 

体験入居から契約までの流れ

老人ホームの体験入居から契約までは、基本的には以下のようなステップで進みます。

  1. 見学で比較検討をする
  2. 体験入居を申し込む
  3. 申し込み・必要書類の提出
  4. 面談・入居審査
  5. 契約

各ステップについて、以下で詳しく説明いたします。

1.見学で比較検討する

パンフレットやホームページで見学に行きたい施設を絞ります。2〜3ヵ所ほど見学するのがおすすめです。見学で施設・設備の実態や、スタッフや他の入居者の雰囲気を確認し、不明点を質問します。見学後は、入居者ご本人とご家族で見学時のメモや写真などを見返し、比較検討を行いましょう。

 

2.体験入居を申し込む

入居したい施設が見つかったら、体験入居を申し込みましょう。サービスや食事、雰囲気などを体験し、合う・合わないを判断します。ご家族が中心となって施設選びを行う場合でも、入居者本人の感想を聞いて意思を尊重することが大切です。

体験入居は、見学のように複数施設に申し込むより、入居を希望する施設の最終判断として利用しましょう。体験入居には滞在日数分の利用料がかかり、さらに慣れない環境で一定期間過ごすことになるため、金銭的負担やご本人への負担がかかるからです。

 

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3.申し込み・必要書類の提出

体験入居を経て本格的に入居したい施設が決まったら、申し込みと必要書類の提出を行います。申し込みから入居までは、1ヶ月ほどかかることが多いです。

施設によって必要な書類は変わります。以下は必要書類の例です。

●    利用申込書

●    戸籍謄本

●    住民票

●    印鑑、印鑑証明

●    所得証明書

●    健康診断書

●    介護保険被保険者証

●    診療情報提供書

書類の中には、すぐに入手できないものもあります。特に、診療情報提供書・健康診断書は医療機関に作成を依頼するため、取得までに2週間以上かかることもあります。余裕を持って準備するようにしましょう。

 

4.面談・入居審査

面談では、施設の担当者と入居者ご本人・ご家族が面会し、希望条件や身体状況などを確認します。

 

入居審査では、面談の内容と健康診断書や所得証明書などに基づき、入居予定者の健康状態や要介護度、経済状況などが検討されます。特に、経済状況については継続した利用料の支払いがポイントとなり、身元保証人の有無が重視されます。身元保証人は、費用が払えなくなった際の保証や退去手続きの対応、緊急時の連絡先などの役割を担います。何らかの事情で身元保証人を立てられないという場合は、身元保証人不要の施設を選んだり、保証会社の利用を検討する必要があります。

5.契約

審査に通ったら、いよいよ契約です。契約時は、入居契約書や重要事項説明書に基づいて、契約や施設について説明を受けます。特に重要なことは、重要事項説明です。重要事項説明とは、契約にあたって大切な事項を消費者(ここでは入居対象者のことをいいます)に説明することです。重要事項説明書には、契約の中でも特に重要なポイントが書かれています。入居後にトラブルにならないよう、しっかり確認しましょう。重要事項説明では、特に以下の3つのポイントを確認する必要があります。

入居一時金の償却期間と初期償却

老人ホームの中には、契約時に初期費用として入居一時金を支払う必要がある施設があります。入居一時金は、「想定入居期間分の家賃の前払い」という位置付けの費用のことです。指定の居住期間より前に退去した場合、残りの入居期間分の金額が返還されるという仕組みになっています。この想定入居期間は施設によって異なるので、契約時に確認しましょう。

また、入居一時金の償却でもう1つ重要なのが「初期償却」です。初期償却とは、入居一時金から引かれる一定額のことで、退去時に返還されません。初期償却は施設によって異なります。入居金の10〜30%と定めているところが多いですが、契約時に必ず確認しましょう。

 

上乗せ介護費の有無

上乗せ介護費とは、基準よりも多く看護・介護職員を配置している場合に徴収できる費用のことです。上乗せ介護費の有無は施設によって異なるので、契約時に確認しましょう。

クーリングオフ(短期解約特例)に関する記載

入居一時金の支払いにはクーリングオフ(短期解約特例)が適用されるため、90日以内に解約した場合、施設には一時金の返還義務があります。法律で義務付けられているとはいえ、クーリングオフについてきちんと契約書に書かれているかを確認しましょう。

体験入居時の持ち物


体験入居に必要な持ち物は施設によって変わりますが、以下のようなものを用意しましょう。事前に施設に問い合わせ、必要なものを確認してみてください。

●    衣類:普段着、パジャマ、下着など

●    靴:室内履き、外履き

●    洗面用具・口腔ケア用品:歯ブラシ、コップ、洗顔料、タオル、入れ歯ケースなど

●    消耗品:おむつ、ティッシュペーパーなど

●    入浴用品:石鹸、シャンプー、リンス、タオルなど

●    薬・医療器具・介護用具(必要に応じて)

●    健康保険証

●    介護保険被保険者証、介護保険負担割合証

●    介護・看護サマリー(必要な介護や病歴・治療の情報などをまとめた書類)

体験入居の1日の流れ

多くの老人ホームでは、入居者に共通のタイムスケジュールがあります。食事やレクリエーション、自由時間などが設定されており、基本はそのスケジュールに沿って生活を送ります。なお、サービス付き高齢者向け住宅のように入居対象を自立や要支援としている施設では、スケジュールは用意されておらず、1日を自由に過ごせる場合もあります。

スケジュールが決まっている施設では、7時前後を起床時刻、20時前後を就寝時刻と定めているところが多いです。1日3回の食事の他に、リハビリテーションやレクリエーション・自由時間などが設定されています。

体験入居で実際にスケジュールを体験することで、契約前に施設での暮らしをイメージできるようになります。

 

体験入居時に確認すべき8つのポイント

老人ホームの体験入居の必要性やメリット、流れなどについて把握できたところで、ここからは体験入居で確認しておくべきポイントを8つ紹介します。どのようなことに注目して体験すればよいか解説しているため、ぜひ参考にしてください。

リハビリの内容・質

日々のリハビリは健康維持や向上、自立支援のためにも重要な項目であるため、確認しておきたいポイントです。
老人ホームごとにリハビリプログラムがあるかどうかは異なります。また単にリハビリといっても、立ち上がり訓練や歩行訓練などの個別リハビリや、工作や体操などを複数名で行う集団リハビリ、食事や着替えなど日常動作によるリハビリなどさまざまです。老人ホームによっては、専門のスタッフがいなかったり看護師が機能訓練を実施したりする場合があるため、どのような人員配置になっているかもチェックしておきましょう。

入浴時の介助

入浴時の安全対策やプライバシーへの配慮については、確認しておきたいポイントです。入浴時は、床が滑りやすいなどの理由から転倒や怪我といった事故につながりやすく、ヒートショックなどの危険もあります。また介助を必要とする際は、数名のスタッフによって行われることもあります。
自力で入浴できる場合は、滑り止めのついたチェアや手すり、床に転倒防止マットを敷いているなどの設備が整っているか確認することが大切です。また入浴介助を利用する際は、シャワーをかける前に水温を確かめたり声掛けしたりなどの配慮はどうか、プライバシーへの気遣いはどうかなどもチェックしておきましょう。
リフトなどの機械が備わっている入浴設備の場合は、どのような方が利用の対象となるかも確認しておきたいポイントです。現状は入浴介助を必要としていない場合でも、将来的に必要となる可能性もあります。

生活支援

老人ホームでは、居室の清掃や洗濯などの生活支援サービスがあります。清掃に関しては衛生面に影響してくる部分であるため、どれくらいの頻度で行うか、丁寧に掃除してくれるかを確認しておく必要があります。ほこりが溜まっていたり汚れが放置されたりしていないか、チェックしておきましょう。
また要介護度が高い場合、洗濯のサービスは不可欠です。洗濯サービスの有無だけでなく、洗い方やたたみ方に問題がないかも確認しておきたいポイントです。

レクリエーション

老人ホームによってレクリエーションの内容や頻度は異なるため、こちらも確認しておくべきポイントです。レクリエーションは、入居者の身体機能の向上やコミュニケーション促進、ストレス発散などを目的に行われるものです。老人ホームでの単調になりがちな暮らしに楽しみや変化を与え、生活の質を高めるために重要な役割を果たしています。
たとえば、ストレッチや体操など、体を動かすレクリエーションを毎日行っている、準備を要するものに関しては週に1〜2回実施、曜日別でさまざまなレクリエーションを開催など、施設ごとに特色はさまざまです。なかにはレクリエーションの豊富さを特長としている施設もあります。
体験入居のときに開催されていれば、参加してみるのがおすすめです。ただしレクリエーションによって追加の費用がかかることもあるため、料金についても確認しておきましょう。

 

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安全性

老人ホームでは、転倒や転落、誤嚥、徘徊による行方不明などの事故が起こるリスクは高いといえます。そのようなトラブルに対し、リスクを防止できる安全対策がしっかりされているか、確認する必要することが大切です。たとえば安全な動線が確保されているか、有事の際にスタッフにすぐ連絡できるかなどが確認ポイントとして挙げられます。
セキュリティや災害時の対策についても確認が必要です。安心できるセキュリティか、避難経路は確保されているかなども確認しておきましょう。
また急な体調変化という可能性も考えられるため、夜間のスタッフ人員配置や医療体制についても確認が不可欠です。24時間、看護師が常駐する施設などであれば安心できます。

 

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食事の内容や種類

食事は栄養摂取だけが目的でなく、暮らしのなかでの楽しみや喜びにつながる大切なものです。老人ホームでは基本的に、1日に3回の食事と1回のおやつの時間があり、体験入居でも同じメニューが提供されるため、味付けや傾向、ボリュームなどをチェックできます。
また月間の献立表を見せてもらい、バリエーションの豊富さもチェックするのがおすすめです。最近では食事メニューを充実させている老人ホームが増えています。
病気に対応した治療食に変更などが可能かどうか、身体の状態にあわせて介護食に対応してくれるかといった柔軟性もチェックしておくべきポイントです。現状は通常の食事を楽しめていても、将来的になんらかの病気を煩ったり食べる能力が衰えたりすることも考えられます。柔軟に対応してくれる施設であれば、長く入居を続けられるでしょう。

入居者の印象・雰囲気

入居者の印象や雰囲気も意識してみましょう。入居者同士で良好な人間関係を築けることは、入居後の生活にも大きく影響します。
どのような入居者がいてどのような人間関係か、コミュニケーションはとれているかなどを観察します。体験入居は短期間ですが近くで観察できるため、入居者の会話が多い、明るい表情が多い、和やかな様子というように、雰囲気を感じ取れたり気付きがあったりするはずです。
ここなら安心して暮らせそうかどうかを検討するうえで、印象や雰囲気も大切な判断材料となるでしょう。

周辺環境

老人ホームが位置する周辺環境も無視できません。周辺環境は入居者の暮らしやすさはもちろん、家族が訪れやすいかどうかにも影響します。
住み慣れた地域であれば入居者にとって安心ですし、家族の家から近いと面会に訪れやすいといったメリットがあります。自立歩行ができる方にとっては、近隣施設が充実していたり利便性がよかったりすれば、外出の機会を持とうとするため健康維持にもつながるでしょう。
その他、安全に散歩できそうな場所はあるか、坂道が多くて外出が億劫にならないかなどを確認しておくとよいでしょう。

体験入居時に注意すること

老人ホームの体験入居は、共同生活に参加するということです。施設や他の入居者の迷惑とならないよう、そして施設での生活に早く慣れるためにも、以下の心得・注意点を理解したうえで体験入居することをおすすめします。

施設のルールやスケジュールで生活する

体験入居であっても、施設のルールやスケジュールにあわせて生活しましょう。食事の時間帯や自由時間、入浴時間などが決められている場合、今までの生活とのギャップに戸惑う方も多いです。しかし、他の方と生活を送る施設は共同生活の場でもあります。ルールやスケジュールを守ることは、他の入居者が気持ちよく過ごせるためにはもちろん、契約・入居後の生活に早く慣れてご本人のストレスを軽減するためにも重要になります。

 

訪問は指定の時間内で、他の入居者に配慮する

ご家族の訪問については、訪問可能な時間帯が決まっていることもあります。訪問する場合は、体験入居であっても施設が指定する時間を守りましょう。

訪問時は、大声で話したり他の入居者の居室を勝手に覗くなど、迷惑をかけないようにしましょう。特に相部屋の場合は、居室ではなくラウンジのような共用スペースを利用するのがマナーです。

また、体験入居中は、どんな様子か知りたいと考えるご家族もいらっしゃいます。しかし、訪問回数や時間に制限を設けている施設もあります。ご家族に毎日会えるわけではないという状況をご本人に理解していただくためにも、体験入居中は毎日訪問するのではなく、入居後と同じ頻度・時間帯で訪問するようにしましょう。

 

体験入居に関する押さえておきたいポイント

ここからは、老人ホームの体験入居に関するポイントを解説します。

不明な点は体験入居中に確認する

体験入居は施設選びの最終判断材料となります。期間中に少しでも不明な点や不安な点があったら、必ず施設に相談してください。施設側も、入居者ご本人とご家族双方が納得したうえで選ぶことを望んでいます。些細なことでも気になることは質問し、不安のない状態で契約に進みましょう。

 

体験入居後は本人からしっかり感想を聞く

ご家族が中心になって施設選びをする場合でも、入居者ご本人から体験入居の感想を聞き、意思を尊重することが大切です。ご本人が嫌だと感じる場合、施設での生活は大きな負担となり「こんなはずではなかった」と後悔することになってしまいます。ご本人・ご家族が納得したうえで契約に進みましょう。

 

 

体験入居する老人ホームの選び方

老人ホームは、施設の種類が多くそれぞれ特長が異なるため、そもそも体験入居先をどのように選べばよいかわからないという方も多いことでしょう。
ここでは数ある老人ホームのなかから、体験入居する施設をどのように選べばよいかについて紹介します。

希望の条件を明確にする

まずは、本人やその家族が希望する条件を明確にすることが大切です。入居後の暮らしをイメージしながら、必要となるサービスや設備、環境などの条件を出していきます。たとえば夫婦二人で一緒に入居したい、家族がアクセスしやすい場所がいい、自然豊かで静かな環境で暮らしたい、リハビリ体制やレクリエーションが充実しているなどのいくつかの希望が挙げられるでしょう。希望条件のなかでも優先度の高いものを決めると、体験入居先の候補を絞りやすいです。

予算に問題がないかで選ぶ

老人ホームにかかる費用は、主に入居の時に支払う「入居一時金」と毎月支払う「月額利用料」の2つがありますが、そのどちらも老人ホームによって相場は異なってきます。
今ある資産と将来見込まれる収入を考慮して、無理なく支払える施設を探さなければなりません。生活保護を受けている場合や年金だけが頼りの場合、その費用でまかなえる施設を選ぶ必要性もあります。

介護が必要かどうかで選ぶ

介護の必要性についても、老人ホーム選びを左右する大きな要素です。たとえば要介護度が低い場合は、安否確認や生活相談サービスが受けられるバリアフリー対応の「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」がおすすめです。自宅のように自由度の高い暮らしを送り、必要であれば外部の介護サービスが受けられます。また日常生活で介護が一部必要な方であれば、必要なサービスが選択でき発生した分のサービス利用分を支払う「住宅型有料老人ホーム(住宅型)」が候補に挙がるでしょう。そして常に介護が必要となる要介護が高い場合は、毎月定額で介護サービスを24時間受けられる「介護付き有料老人ホーム」だと安心です。
老人ホームによって介護サービスの有無や充実度は異なるため、要介護度に合わせて施設の種類を絞るとよいでしょう。

認知症ケア・医療ケアが必要かで選ぶ

持病がある場合は、医療ケアを受けられる施設を選ぶことが大切です。介護付き有料老人ホームは、日中に看護師1名が常駐しており、介護サービスに加えて一部の医療行為も受けられます。また認知症の方を受け入れる施設も多数ありますが、施設によって認知症ケアの内容は異なります。そのため認知症の方の場合、認知症の専門スタッフが常駐している「グループホーム」が選択肢の一つとなるでしょう。
持病や身体の状態によって必要とする認知症・医療ケアには違いがあるため、施設のサポート体制と特長を確認して選ぶ必要があります。

 

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体験入居に関するよくある質問

ここでは体験入居についてよくある質問を紹介します。

施設見学と体験入居の違いは?

老人ホームの施設見学と体験入居は、どちらも入居を検討するうえで欠かせないプロセスです。施設見学では、設備やサービス内容など施設概要を把握して、スタッフや入居者の雰囲気を感じ取れます。体験入居は日常生活を送りながら、実際のサービス利用や入居者とスタッフとの交流が行えます。双方とも得られる情報や目的は異なるため、どちらも行うことが望ましいです。
入居したい老人ホームの候補が挙がったら見学で比較検討をして、そのなかで気になる施設があれば体験入居で最終確認をするのがおすすめです。

体験入居は何件ほど行くべき?

老人ホームの体験入居は、施設での生活を実際に体験できる貴重な機会ですが、何件くらい行くべきか悩む方も多いことでしょう。とくに回数の制限や目安はありませんが、体験入居は1か所にするのが基本的な考えです。
体験入居後、「一旦帰宅して検討する」「やっぱり辞めておく」という選択はもちろん可能です。しかし施設側は「契約前のお試し期間」という意識を持っており、2回3回と繰り返すのを許容しないケースがほとんどです。

比較検討するためにいくつかの施設を見学して、理想の施設が見つかったら契約前に体験入居で最終確認をするという流れが一般的です。

まとめ

老人ホームの体験入居は、入居後に「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを防ぐためにも不可欠です。実際にサービスやアクティビティを体験し、使い勝手や快適さを確認できます。またスタッフとの相性や入居者の様子なども把握できる点は大きなメリットです。必要となる介護サービスはもちろん、リハビリや医療ケア、レクリエーション、食事内容など、今回紹介したチェックポイントを意識してみてください。
以上、老人ホームの体験入居について詳しく解説しましたが、まだまだ入居に関する悩みがあるという方もいることでしょう。そのような場合は介護施設のプロに相談するのがおすすめです。
「スマートシニア」は介護・医療・施設に関する豊富な知識と経験を持った専任スタッフが施設探しをサポートします。ご相談・ご紹介は無料で、入居後のフォローまで行っていますのでぜひ一度ご相談ください。

 


この記事の監修

すぎもと ゆりこ

杉本 悠里子

有料老人ホームで介護士として約12年勤務した後、社会福祉士を取得。急性期病院の医療ソーシャルワーカーとして、入退院支援に携わる。現在は、スマートシニア入居相談室の主任相談員として、多数のご相談に応じている。

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