要介護2とは?認定基準や身体状態、利用可能なサービスを紹介

加齢によって自分でできないことが増え、日常生活で部分的な支援が必要になると「要介護2」と認定されます。要介護2は決して珍しい状態ではなく、誰もが認定される可能性がありますが、具体的にどのような状態なのか、認定されたらどのような介護保険サービスを受けられるのか、分からないことも多いのではないでしょうか。


そこでこの記事では、要介護2の認定基準や身体状態、受けられるサービスについて詳しく解説します。自分や家族が要介護2に認定されたという方は、ぜひ参考にしてみてください。

要介護2とは?認定基準や身体状態、利用可能なサービスを紹介
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要介護2とは


要介護2は、日常生活動作や理解力、判断力に低下がみられ、部分的に見守りや支援が必要になります。例えば歩行時に杖や歩行器などの支えがないと歩けない、排泄時に着衣の上げ下げができないため人の支援が必要など、日常生活になんらかのサポートが必要な状態です。また、理解力や判断力などが低下している場合が多いため、服薬管理・金銭管理も必要になる場合があります。

 

要介護2の具体的な身体の状態

要介護2と認定された方の具体的な身体状態としては、次のような例が挙げられます。

●   食事や排泄は一人でできる

●   立ち上がったり歩いたりするときに、ふらついてしまう(一人では困難)

●   自分では背中を洗えない

●   爪切りや着替えなど、日常生活に必要な動作が難しい

●   薬を飲み忘れることがある

●   お金の管理が難しくなる

●   認知症の初期症状が見られる(食事をしたこと自体を忘れてしまうなど)

要介護2と認定されたとしても、食事や排泄などは一人でできるため、付きっきりでの介護は必要ありません。ただし一人での歩行は難しく、着替えなども自分一人では難しいため、日常生活を送るためにはサポートを要します。また、認知症の初期症状が見られるなど、認知機能が低下することも要介護2の特徴です。

要介護2の認定基準

要介護2は、要介護認定において要介護認定基準時間が「50分以上70分未満の方」が該当します。

要介護認定は居住区の地域包括支援センターや役所で申請し、認定調査や主治医の意見書を基に算出されます。

 

要介護認定基準とは

1日に必要な介護の時間のことを「要介護認定等基準時間」といいます。

介護区分別の要介護認定基準時間は次のように定められています。

 

認定区分
要介護認定等基準時間
自立 (非該当)
25分未満
要支援1
25分以上32分未満
要支援2
32分以上50分未満
要介護1
要介護2
50分以上70分未満
要介護3
70分以上90分未満
要介護4
90分以上110分未満
要介護5
110分以上

 

認定調査では、全74項目の基本調査と特記事項・心身の状況の聞き取りや動作確認をして、コンピューターによる一次判定を行い、その後、主治医の意見書・認定調査の特記事項などを加味して要介護判定が決定する仕組みです。

要介護認定基準時間を算出する際は、以下の点から判断されます。

●   直接生活介助:入浴・食事・排泄などの介護

●   間接生活介助:洗濯・掃除などの家事援助など

●   問題行動関連介助:俳諧に対しての探索・不潔行為に対する後始末など

●   機能訓練関連行為:歩行訓練・日常生活訓練などの機能訓練

●   医療関連行為:輸液管理・褥瘡処置などの診療補助など

 

参照:厚生労働省「用語の説明

上記表に分類されている介護の時間を換算し算出しています。

要介護2の主な原因

要介護2と認定されるに至る原因は、次のような順位となっています。

 

  1. 認知症|18.7%
  2. 脳血管疾患(脳卒中)|17.8%
  3. 骨折・転倒|13.5%

認知症によって判断能力が低下したり、脳血管疾患や骨折・転倒によって身体機能が低下したりすると、要介護2と認定される状態になりやすいことは覚えておきましょう。

参考:厚生労働省|介護の状況

 

要介護2と「要介護1」「要介護3」との違い

要介護2の前後にある要介護1・要介護3との違いについて見ていきましょう。

介護

区分

身体状況

区分支給限度額

同居者の介護状況

介護保険サービス

要介護1

身の回りのことはできるが、部分的に見守りや介助が必要な時がある。

 

理解力や判断力に軽度の低下がみられる。

16,765単位

見守りや適度なサポート

利用できる介護保険施設が増える

要介護2

身の回りのことができないことが増え、日常生活に部分的な支援が必要。

 

要介護1より認知機能面に低下がみられ金銭管理などの支援が必要。

19,705単位

食事や内服の確認や準備などの軽微なサポート

立ち上がりや排泄動作などの直接的なサポート

要介護3

 

24時間なんらかの支援が必要。

 

認知症に罹患している人が多い。

 

一人では自宅の生活が困難な状態。

27,048単位

立ち上がりや排泄動作などの直接的なサポート

特別養護老人ホームの申し込みが可能になる

 

「要介護1」は比較的介護の必要性が低い状態ですが、「要介護2」は軽〜中度の要介護状態、「要介護3」は特別養護老人ホームへの申し込みが可能になるほど中〜重度の要介護状態だといえます。それぞれの違いについて、もう少し詳しく解説します。

要介護1との違い

要介護1の方は、基本的な日常生活動作は問題ありませんが、理解力や判断力が低下しており一部の動作に介助や見守りが必要です。また、要介護2の方と比べると、区分支給限度額が3,000単位ほど低くなります。そのため、介護保険サービスの利用時間や回数が少なくなります。


要介護3との違い

要介護3の方は、 日常生活の中で24時間なんらかの介助や支援が必要です。要介護2の方より、認知症を患っている方の割合も多くなり、理解力や判断力の低下が見られます。そのため、自宅で暮らすことが困難になる方も多い傾向です。また、区分支給限度額が7,300単位ほど増加するため、多様な介護保険サービスを利用できます。さらに、公的施設である特別養護老人ホームの申し込み要件を満たすため、介護施設の選択肢も広がります

要介護2で利用できる介護サービス

要介護2で利用できる介護保険サービスは以下の通りです。基本的には要介護1と同様のサービスが受けられます。

介護保険サービスによっては、要介護1よりも必要な単位数が高く設定されているため、自己負担額が増加します。しかし、区分支給限度額が高く設定されているため、サービス選択の範囲は広がります。詳しくは担当のケアマネジャーに相談するとよいでしょう。

 

サービスの種類
利用できるサービス
サービス内容
訪問型サービス
訪問介護(夜間対応型含む)
ヘルパーが利用者の居宅を訪問
入浴・排泄・食事などの身体介護や、掃除・調理・買物などの生活支援を提供
訪問看護
看護師が利用者の居宅を訪問
医療的な処置や薬管理、必要に応じて入浴・排泄介助を提供
訪問入浴
移動可能な浴槽を持ち込み、3名体制で利用者の入浴をサポート
訪問リハビリ
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)などが利用者の居宅を訪問
医師の指示のもとリハビリテーションを実施
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
定期的な巡回、もしくは利用者からの連絡によって、利用者の居宅を訪問
入浴・排泄・食事などの介護をはじめ、療養生活を支援するための看護、その他の日常生活を送るうえで必要なサービスを提供
居宅療養管理指導
医師・歯科医師・薬剤師などから提供される療養上の管理及び指導
通所型サービス
通所介護(デイサービス)
老人デイサービスセンターなどで提供される、入浴・排泄・食事などの介護サービス
日常生活に必要なサービス・機能訓練も提供される
通所リハビリ(デイケア)
介護老人保健施設・病院・診療所で提供されるリハビリテーション
利用者の心身機能の維持回復・日常生活の自立サポートが目的
地域密着型通所介護(デイサービス)
老人デイサービスセンターなどで提供される、入浴・排泄・食事などの介護サービス
日常生活に必要なサービス・機能訓練も提供される
地域密着型であるため、原則としてサービス提供事業者のある市町村に住む人が対象
認知症対応型通所介護(認知症デイ)
認知症かつ要介護と認定された方を対象に、デイサービスセンターなどで提供される入浴・排泄・食事などの介護サービス
日常生活に必要なサービス・機能訓練も提供される
療養通所介護
療養通所介護計画にもとづき、看護師による観察が常時必要な重度要介護者・がん末期患者などを対象としたサービス
入浴・排泄・食事などの介護サービスや、日常生活上の世話・機能訓練を提供
短期入所型サービス
短期入所生活介護(ショートステイ)
特別養護老人ホームなどの施設で短期間生活し、各種介護サービスを受ける
短期入所療養介護(療養型ショートステイ)
介護老人保健施設などの施設で短期間生活し、看護・医学的な管理の必要となる介護や機能訓練を受ける
公的施設サービス
介護老人保健施設
看護・医学的な管理の必要となる介護や機能訓練、その他に必要な医療サービス、日常生活上のサービスを提供
軽費老人ホーム
居宅での生活が困難な60歳以上の高齢者に対して、食事や生活支援サービスを提供
C型(ケアハウス)では介護も提供
養護老人ホーム
環境的・経済的な事情で居宅での生活が難しい高齢者を受け入れる
(経済的な事情で入居する高齢者が多く、介護サービスは提供されない)
介護医療院
要介護高齢者を対象とした長期療養・生活のための施設
医療と介護の両方を提供
民間施設サービス
有料老人ホーム
家事援助(洗濯・掃除など)
生活支援
介護付き有料老人ホームでは介護サービスも提供
サービス付き高齢者住宅
安否確認サービス
生活相談サービス
認知症対応型共同生活介護
認知症の利用者が共同生活を送る住居で提供される入浴・排泄・食事などの介護サービス全般
日常生活に必要なサービス・機能訓練
複合型サービス
小規模多機能型居宅介護
入浴・排泄・食事などの介護
日常生活に必要なサービス・機能訓練
居宅・通所・短期間の宿泊を組み合わせて利用
看護小規模多機能型居宅介護
入浴・排泄・食事などの介護
療養生活を支援するための看護
日常生活に必要なサービス・機能訓練
居宅・通所・短期間の宿泊を組み合わせて利用
その他
福祉用具貸与
車椅子や介護用ベッドなどのレンタル
特定福祉用具販売
入浴や排泄などで用いる、貸与に適さない福祉用具の購入補助
住宅改修
手すり設置・段差解消などを目的としたリフォーム費用の補助

 

要介護2から利用できるレンタルサービス


要介護2からは、レンタルできる福祉用具が増えます。各福祉用具は以下の通りです。

特殊寝台

特殊寝台とは、介護用ベッドのことです。介護用ベッドとは、起き上がりや立ち上がる動作を補助する機能があるベッドのことを指し、電動モーターによって頭部や脚部分の上げ下げやベッドの高さ調整をコントローラーで操作できます。その他、ベッド用の柵・手すり・テーブル・スライディングボード・介助用ベルトも対象となります。

 

<レンタルベッドの利点>

●    ​起き上がり・立ち上がり動作を補助することができる

●    コントローラーで簡単に操作できる

●    介助者の負担の軽減になる

●    本人の安楽な姿勢を維持できる

●    身体状況に合わせてベッドを変更できる

 

車いす

病気やけがなどで運動制限がある人や体力の低下がみられ、移動時に手助けが必要な人が利用できます。様々なタイプの車椅子があり、身体状況や環境に合わせて利用可能です。

自走標準型車いす・介助用標準車いす・普通型電動車いすが対象となります。

●   自走標準型車いす

タイヤの外側についているハンドリムを回すことで前進後進・方向転換などの操作を行います。

●   介助型車いす

自走式と比べると車輪が小さくコンパクトで軽量に作られています。介助型車いすは介護者が押して動かすため、ハンドリムがなく乗っている本人は操作することができません。

●   普通型電動車いす

ジョインスティック型とも呼ばれているタイプです。前後左右に動くレバーを操作し走行します。

参照:一般社団法人 全国福祉用具専門相談員協会「レンタル・販売対象種目」

床ずれ防止用具

寝たきり状態の方が褥瘡予防のために利用します。1日に何度も必要な体位交換(除圧)の回数が減り介護者の介護負担軽減につながります。様々なタイプがあるため、身体の状態に合わせて選択できるため、ケアマネジャーなどの専門職と相談して決めると良いでしょう。

 

体位変換器

寝返りなどの介助を簡単にできるようサポートする福祉用具です。体位変換に使用する用具には以下のような種類があります。

●   ライトターン

櫛状になっている部分に大腿部(太もも)を挟み、てこの原理を利用して最小の力で体位変換することができます。

●   トレイージースライドシート

身体の下に敷き、上下左右にベッド上を滑らすことで楽に移動できます。

●   セロリ

枕やクッションのようになっていて身体の下に差し込み身体を安定させ体圧分散します。

 

認知症老人徘徊感知器

部屋の出入り口やベッド付近に設置することで、人の動きやドアの開閉を感知し介助者に知らせることができます。マットになっていて踏むことで感知するタイプや赤外線で感知するタイプ、ドアの開閉で感知するタイプ、ペンダント式など様々なタイプがあります。ご本人の状態に合わせて選択可能です。

 

要介護2でもらえるお金はある?

要介護と認定されると、お金(補助金や支援金)がもらえると思っている方もいるかもしれません。しかし先述した一部の介護用具購入・介護予防住宅改修に対する補助以外に、直接お金をもらえる仕組みはありません。
公的介護保険制度は原則として、利用者に対して現物(介護サービス)を給付する仕組みです。そのため金銭的な補助はありませんが、1〜3割の自己負担で介護サービスを受けられます。

 

要介護2の区分支給限度額

要介護2で必要になる介護保険費用を解説します。

要介護2の方は、要介護1に比べると区分支給額が増える分、利用できる介護保険サービスが増えます。しかし、介護保険サービスによっては必要な単位数が増え、自己負担額も増えるため注意が必要です。

要介護2の区分限度支給額は19,705単位です。つまり、1ヶ月間で19,705単位の介護保険サービスを利用できることを意味します。

介護度別の区分支給限度額は以下の通りです。

 

介護区分

区分支給限度額

要支援1

5,032単位

要支援2

10,531単位

要介護1

16,765単位

要介護2

19,705単位

要介護3

27,048単位

要介護4

30,938単位

要介護5

36,217単位

 

要介護1と比べると3000単位ほど増え、利用できる介護サービス時間や回数を増やすことができます。

要介護2の方の区分支給限度額を金額に換算すると以下の通りです。

 

要介護区分
介護負担割合
自己負担額

要介護2

1割負担

19,705円

2割負担

39,410円

3割負担

59,115円

※1単位=1円

区分支給限度額を超えてサービスを利用した場合は、超過分が全額自己負担となるため注意が必要です。

 

要介護2でかかる介護費用例

要介護2と認定された場合、ケアマネジャーが作成する「ケアプラン」に沿って介護サービスを受けることになります。このケアプランによって、どのような費用がかかるのか変わる点が特徴です。「自宅で一人暮らしの場合」と「公的施設に入所する場合」のケアプラン例を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

 

自宅で一人暮らしの場合

●   介護保険の自己負担割合は1割

●   月・水・金曜日ははデイサービスで入浴と昼食を利用

●   デイサービス利用日の朝は、訪問介護でデイサービス準備や送り出し

●   火・木・土曜日は訪問介護を利用して掃除や買い物代行

●   日曜日は訪問看護で内服薬のセットや体調確認

 

利用する事業所

1回当たりの利用単位

1ヶ月の利用単位数

自己負担金額

デイサービス

(通常規模)

655単位

7,860単位

7,860円

訪問介護

(生活援助)

182単位

2,184単位

2,184円

訪問介護

(デイサービス送り出し)

249単位

2,988単位

2,988円

訪問看護

470単位

1,880単位

1,880円

合計

-

14,912単位

14,912円

注:1単位10円で計算。加算などは含まず

 

上記表以外にも、事業所別の加算・デイサービスでの費用(食事代など)もかかるため、利用するサービス事業所に確認が必要です。また、訪問介護には介護度別に、生活援助の利用回数の上限が決められているため、ケアマネジャーに相談しましょう。

公的施設に入所中の場合

●   介護老人保健施設を利用

●   介護保険の自己負担割合は1割

 


多床室
従来型個室
ユニット型個室

1日当たりの利用単位
1ヶ月あたりの自己負担額
1日当たりの利用単位
1ヶ月あたりの自己負担額
1日当たりの利用単位
1ヶ月あたりの自己負担額
介護サービス費
836単位
25,080円
759単位
22,770円
841単位
25,230円
居住費
11,310円
50,040円
60,180円
食費
43,350円
合計
79,740円
116,160円
128,760円

※1ヶ月30日で計算  ※老健タイプ:基本型

※「地域加算」を含む各種加算は含めないもの

また、上記以外に、事業所加算(サービス提供体制強化加算など)・医療費(他科受診分)・日常生活費(洗濯代・理美容代など)が必要となります。

参照:厚生労働省「介護報酬の算定構造」

 

要介護2で受けられる助成制度

要介護と認定されると、いくつか助成制度を受けられるようになります。代表的な制度は次の3つです。

●    紙おむつ給付とおむつ代助成制度

●    高額介護サービス費制度

●    障害者控除

それぞれの助成内容について、詳しく見ていきましょう。

紙おむつ給付とおむつ代助成制度

おむつ代は介護保険からは給付されませんが、各自治体が独自に「紙おむつ給付制度」や「おむつ代助成制度」を提供しています。必ずしもすべての自治体に制度があるわけではなく、中には要介護3以上の高齢者が対象とされていることもありますが、要介護2の方も対象となっている可能性もあるため、要介護認定を受けている方がお住まいの自治体のホームページを確認してみてください。

高額介護サービス費制度

高額介護サービス費制度とは、1か月間の介護保険サービス費が下記の所得区分ごとに設けられた上限を超えた際に利用できる制度です。

区分

毎月の負担上限額

課税所得690万円以上

(年収約1,160万円以上)

140,100円(世帯)

課税所得380万円以上690万円未満

(年収約770万円以上1,160万円未満)      

93,000円(世帯)

市町村民税課税~課税所得380万円未満

(年収約770万円未満)

44,400円(世帯)

世帯全員が市町村民税非課税

24,600円(世帯)

世帯全員が市町村民税非課税

前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下

24,600円(世帯)

15,000円(個人)

生活保護受給者等

15,000円(世帯)

参考:厚生労働省

この上限額は世帯ごとに定められているため、両親がともに要介護に認定されている場合などは対象となりやすいでしょう。

障害者控除

障害者控除とは、納税者自身・同一生計の配偶者・扶養親族が、所得税法上の「障害者」に当てはまる場合に一定額の所得控除を受けられる制度です。介護保険法の要介護認定を受けただけでは障害者控除の対象とはなりませんが、要介護度1〜5の方は確定申告時に障害者控除対象者認定書を提出することで控除の対象となります。

要介護2で一人暮らしはできる?

結論から述べると、要介護2で自宅で生活している方は多いです。

要介護2の認定を受けている方は、理解力や判断力の低下が見られ、日常生活において部分的なサポートを必要とします。そのため、自宅での生活が困難になる方もいるでしょう。しかし、要介護2の認定を受けている方でも自宅で生活を続けることはできます。要介護2の方が自宅で生活するポイントは以下の通りです。

 

一人暮らしの場合の生活ポイント

要介護2の高齢者が安全に一人暮らしを継続するには、介護保険サービスを上手く活用して住環境を整え、転倒などのリスクを軽減すると良いでしょう。具体的な改修箇所としては、手すりの設置・浴室暖房・階段照明などが挙げられます。また、介護保険外サービスとしてシルバー人材派遣サービスや民間の配食サービスなども利用すると良いでしょう。要介護2の方の一人暮らしを支えるためには、複数のサービスを導入して、心身の変化に柔軟に対応できる環境を整えることが大切です。

 

家族が同居している場合の生活ポイント

日常的に介護が必要な場面が増えていきますが、できることできないことを、家族や関係する事業所と共有し、自尊心を傷つけないように対応することが大切です。家族が仕事などで留守にする場合や一人になる時間帯が多い場合は、デイサービスや訪問系の介護保険サービスを利用すると良いでしょう。介護保険サービスを利用することで、専門職が日々の体調変化などをチェックし、報告してもらえます。また、家族の介護疲れなどには、ショートステイを上手く利用することで、リフレッシュを図ることもできます。長期的な視点を持って、生活の負担が大きくならないように介護保険サービスを利用することが大切です。

 

要介護2で介護施設に入居するのは早い?

要介護2と認定されたとしても食事や排泄は自分でできるため、介護施設に入居するのはまだ早いのではないかと思う方もいるかもしれません。しかし結論としては、要介護2の方が入居施設に入居するとしても、その方の心身の状態によっては決して早くはありません。
たとえば家族の介護負担がすでに限界に達している場合や、認知症の症状が進行してしまっている場合、居宅サービスを受けながらの一人暮らしに不安を感じている場合には、介護施設へ入居したほうがいいでしょう。一口に介護施設といってもさまざまな種類があるため、介護度や生活状況にあわせて適切な施設を選んでみてください。


 

要介護2の人におすすめの介護施設

要介護2の方が利用できる介護施設は複数あるため、悩む方も多いです。今回は目的や状態にあったおすすめの施設を紹介します。ただし、ご本人の状態や経済力、施設のサポート内容などはそれぞれ異なるため、実際に見学や相談を通して検討することが大切です。

リハビリを希望する場合は「介護老人保健施設」

リハビリを希望する場合は、介護老人保健施設がおすすめです。介護老人保健施設は公的な介護保険施設で、医師の指示のもとリハビリが受けられる他、多職種が連携して在宅復帰を支援しています。入所後3ヶ月間は短期集中リハビリとしてリハビリの時間と頻度が多い他、日常生活の中でできないことは介護士や看護師などの支援を受けることが出来ます。民間施設に比べ安価に利用できますが、基本的に長期間の入所ができない施設です。

 

自由度を求める場合は「サービス付き高齢者向け住宅」や「住宅型有料老人ホーム」

サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームなどの民間施設では、比較的自由度が高く、希望に合わせたサービスを選択可能です。ほとんどが個室でバリアフリーの環境が整っています。60歳以上で自立した生活ができる方から介護度の低い方が対象の施設です。そのため、安否確認や生活相談のサービスはありますが、介護サービスの提供はありません。食事提供や夜間の職員配置に関しては、事業所ごとに異なるため、確認が必要です。介護が必要な場合は外部の事業所と契約することで、様々な介護保険サービスを利用できます。


認知症の場合は「グループホーム」

認知症がある場合は、認知症専門の施設であるグループホームがおすすめです。医師より認知症と診断された65歳以上で要支援2以上の認定を受けている方が対象になります。グループホームは地域密着型のサービスのため、住所と同一のエリアにある施設を利用しなくてはなりません。1ユニット5〜9人の共同生活を行い、専門の職員から認知症ケアやサポートを受けながら生活できます。少人数制のユニットケアはなじみの関係ができやすく、変化が少ないため不安を感じることが少なく穏やかに過ごすことができます。

要介護2で特別養護老人ホームには入れるの?

介護施設というと、特別養護老人ホーム(特養)を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。しかし特養は原則として要介護3以上の方を対象としているため、要介護2の方は入居できません。ただし例外として、下記条件を満たしている場合には特例的に入所できる可能性があります。

●   認知症を原因に、日常生活に支障をきたす症状・行動・意思疎通の困難さなどが頻繁に生じる

●   知的障害や精神障害を原因に、日常生活に支障をきたす症状・行動・意思疎通の困難さなどが頻繁に生じる

●   家族などから深刻な虐待を受けている

●   単身世帯であったり同居家族が高齢・病弱だったりするため支援を受けられず、地域での介護サービス・生活支援も不十分

もしこれらの要件に該当する場合は、行政や地域包括支援センターなどに相談してみてください。

まとめ

要介護2は食事や排泄などは一人でできるものの、歩行や着替えなどでサポートを必要とする状態です。また、認知機能が低下し、薬の服用や金銭管理が難しいという場合もあります。このような状態で一人暮らしをするのは難しく、同居していたとしても家族に少なからず負担をかけるケースもあるため、住宅型有料老人ホームなどに入居し、居宅介護を受けながら生活するのもおすすめです。
スマートシニアでは要介護2の方に向いている高齢者施設を、条件を絞って検索できます。希望にあった施設を効率よく探したい方は、ぜひスマートシニアを活用してみてください。

 


この記事の監修

とぐち まさき

渡口 将生

介護福祉士として10年以上現場経験があり、現在は介護老人保険施設の相談員として従事。介護資格取得スクールの講師やWEBライターとしても活動中。家族の声を元にした介護ブログを通じ、2019年3月、NHKの介護番組に出演経験もある。

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