関東版

家具・家電が備え付けのメリット

老人ホームに入居するときには、毎日使用する衣類や衛生用品（洗面用具や排泄用品）の他、これまで使用していたテレビやテレビ台、タンス（衣装ケース）、床頭台、椅子などを持ち込む方が多くいらっしゃいます。多くの老人ホームが居室に備えているものとして、介護用ベッドとエアコン、カーテンが中心で、その他のものはすべて入居者とご家族が用意する必要があるからです。

運営会社や施設の種類により、介護用ベッド、カーテンがない場合もあります。特に、自立～要支援の方を対象とした施設の場合は、介護用ベッドをご自身でレンタルあるいは購入する必要があります。
例えば住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅は、介護保険の自己負担内で必要なサービスを組み合わせて生活するため、介護用ベッドを置いていないことがあります。

しかし、老人ホームによって、居室に家具や家電が備わっていることがあります。例えば家具であれば、ベッド、テレビ台、タンス、椅子やテーブルなど、家電であれば、ミニキッチン、冷蔵庫、浴室などです。

居室に家具・家電がそろっていると、入居者の衣類や衛生用品、タオルなど最低限のものを準備することで、すぐに施設での生活を始めることができます。セカンドハウスや週末のみの利用で施設入居を検討する入居者にとっては、気軽に自宅との行き来することができます。

また、荷物搬送のために運送業者や引っ越し業者を利用する場合は、料金の負担も大きくなるため、もともと居室に備わっていることで料金の負担を軽減することもできます。居室の広さや間取りによっては、持ち込みたい物の寸法が合わないこともあります。入居を機に、家具・家電を買い替えるケースは多く聞きますが、そのような出費や手間がないため、入居準備をスムーズに進めることができます。

入居対象者に合わせた入居後の生活を、イメージしましょう

家具・家電備え付けであっても、居室に建付けの物でなければ入居者ご家族の希望により、居室に置かないことも可能です。必ず使用しなければいけないわけではないため、持ち込みたい物と備え付けの物を見比べて検討される方が多くいらっしゃいます。
また、居室の間取りや広さにより、備え付けのものに差があります。例えば、居室Aはベッドだけだけれど、居室Bにはベッド、キッチンが付いている。また、居室Cはベッド、キッチン、お風呂も付いているけれど居室数が少ないなど、空き居室に左右される場合もあります。施設利用料も、居室が広く備え付けの物が多い分、高く設定されている傾向にあります。

老人ホームによっては、入居時に「家具・家電プレゼント」のキャンペーンを行っていることもあります。期間限定であることがほとんどで、複数の商品から選ぶケース、あるいは指定の金額の範囲内で入居者ご家族が自由に購入するケースと様々ですが、そのようなキャンペーンを上手に利用するのも良いでしょう。

高齢者の方は環境の変化により、不安になったり混乱する傾向が強いと言われており、入居者が使い慣れたものを使用することには、入居前と入居後の環境変化を少なくする目的があります。
入居準備の手間や負担を考える一方で、入居対象者の生活スタイルや使用している物、老人ホーム入居後に何を使用するか、何を持って行くのが良いかに合わせて、準備を進めましょう。

居室に備えている家具・家電を実際に見て確認しましょう。 場合によってはモデルルームのみの見学となるケースがありますが、その際は「入居するときは何が置いてありますか」と尋ねることで、居室引き渡しの時に何が置いてあるか分かります。

備え付けの家具・家電が分かったら、入居対象者が使用できるか、使用しやすいか確認します。居室での過ごし方や生活スタイルで、使用する物としないものが出てくる場合は、使わないけれど居室に置きっぱなしでも不自由ないか、代わりの物を置きたいため備え付けの物が施設で引き取りが可能か、など質問しましょう。

入居対象者が認知症の方の場合は、特に以下の点に気を付けて見学することをお勧めします。

家電操作に不安がある場合は、誤って操作できないようロック等できるか

家具は入居者にとって安心して使用できるものか（ふと掴まった時に体勢が不安定になり、転倒やけがの恐れがないか）

備え付けの物がある場合、入居者が使い慣れたものに交換可能か

もちろん入居時にお元気であっても、施設で長く生活することを考えると心身の状態が変わることが想定されます。そのような場合も踏まえて見学し、実際に入居者されている方のケースも質問することで将来を見据えた入居生活をイメージすることができます。