有料老人ホームの費用はいくら?相場や安く抑える方法などを詳しく解説

老人ホームへの入居を考える際に、最も重要になるのが費用です。「入居にあたっていくら用意すれば良いのか」「毎月どのくらいの費用がかかるのか」「なるべく安く済ませる方法はあるのか」など、わからないことは多いですよね。そこで今回は、有料老人ホームにかかる費用について、内訳や相場、安く抑える方法などを徹底解説いたします。

#老人ホーム#介護付き#住宅型#費用#選び方
この記事の監修

すぎもと ゆりこ

杉本 悠里子

有料老人ホームで介護士として約12年勤務した後、社会福祉士を取得。急性期病院の医療ソーシャルワーカーとして、入退院支援に携わる。現在は、スマートシニア入居相談室の主任相談員として、多数のご相談に応じている。


有料老人ホームとは?介護付きと住宅型の違いは?

有料老人ホームとは、厚労省の定義によると、老人を入居させ、①食事の提供 ②介護(入浴・排泄・食事)の提供 ③洗濯・掃除等の家事の供与 ④健康管理 のいずれかのサービス(複数も可)を提供している施設のことです。

出典:厚生労働省「有料老人ホームの概要」

有料老人ホームは、大きく3種類に分かれます。提供するサービスの範囲や対象が異なるので、費用を知る前にそれぞれの特徴を理解することが大切です。


介護付き有料老人ホーム

「介護付き有料老人ホーム」とは、要介護の方を対象とした老人ホームのことです。

食事や掃除などの身の回りのことから身体介護、レクリエーションまで、生活を幅広くサポートするサービスを提供しています。

都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、介護サービスの提供基準を満たしている場合のみ「介護付き有料老人ホーム」となります。


住宅型有料老人ホーム

「住宅型有料老人ホーム」は、食事や洗濯などのサービスを提供する高齢者施設のことです。「介護付き有料老人ホームから介護サービスがなくなったもの」と考えると分かりやすいです。介護付き有料老人ホームのようにスタッフが介護サービスを提供することはありません。そのため、介護が必要になった場合は外部の介護事業所(居宅介護支援事業所)と契約をし、訪問介護による介護サービスを受けることとなります。


健康型有料老人ホーム

「健康型有料老人ホーム」とは、生活に関する基本的なことは自分でできるという高齢者に対し、食事や家事などをサポートする老人ホームのことです。あくまでも「サポート」であり、身の回りのことは自立してできることが前提なので、要介護になった場合は退去となります。

健康型有料老人ホームは数が少なく、「有料老人ホーム」と言うと基本的には介護付きか住宅型のどちらかのことを指すことが多いです。


有料老人ホームの入居にかかる費用とは?

有料老人ホームにかかる費用には、入居時費用と月額利用料があります。


入居時費用

入居時費用とは契約時にまとめて支払うもので、「入居一時金」(想定入居期間分の家賃の前払い)、「敷金」などにあたります。後で詳しく説明しますが、老人ホームによっては月額費用が高い代わりに入居一時金がかからないところもあります。


入居時費用のメリット・デメリット

入居時費用がかかることは、デメリットだけではありません。

入居時費用を払うということは、月額利用料を前払いするということです。そのため、入居時費用がかかる分、月額利用料が安くなるというメリットがあります。

一方、入居時にまとまった費用の支払いが必要になる点には注意が必要です。また、入居一時金の返還をめぐってトラブルが発生する可能性もあります。入居一時金の返還については後述します。


月額利用料

月額利用料とは、居住費や食費などを合算して月々支払うものです。納得して費用を支払うためには、月額利用料の内訳を理解する必要があります。

月額利用料は、有料老人ホームの種類によって異なりますが、介護サービス費と生活費の2種類に分かれます。


介護サービス費

介護サービス費は、介護付き有料老人ホームの場合に発生するものです。介護サービスに対して発生する基本料である「施設介護サービス費」と、サービス内容や人員配置に応じて追加で発生する「サービス加算」に分類され、どちらも介護保険が適用されます。


介護サービス費は要介護度に応じて変化する

介護サービス費は介護サービスに対して発生するため、要介護度によって金額が変わります。要介護度が大きくなればなるほど費用も大きくなります。基本的に自己負担額は1割ですが、所得に応じて2割、3割と変わるので、まずはご自身の自己負担割合を確認しましょう。


生活費

生活費には、以下のような費用が含まれます。

  1. 居住費

  2. 食費

  3. 管理費

  4. 日常生活費

  5. 上乗せ介護費

  6. 介護保険対象外のサービス費

  7. 医療費

それぞれについて解説します。


居住費

居住費は、家賃に該当する費用です。立地や設備の充実度、居室の広さなどによって異なります。


食費

食費は、材料費や厨房維持管理費などをもとに、施設が独自に設定します。日ごとに食費を算出する施設もあれば、定額で請求する施設もあります。外部の事業者に委託して食事を提供している場合は、委託費用も含まれます。

なお、有料老人ホームで提供される食事については、以下の2つの要件を満たす場合、軽減税率である8%が適用されます。

  • 1食につき640円以下であること

  • 1日の食費の合計が1,920円に達する金額までの食費であること(オーバーした分には消費税10%が適用される)

管理費

管理費は、水道光熱費や設備のメンテナンス費、事務費用などのことです。


日常生活費

洋服や洗面グッズ、ティッシュペーパーなど、日用品にかかる費用も考慮する必要があります。


上乗せ介護費

上乗せ介護費は、介護付き有料老人ホームが厚生労働省が定めた人員配置基準よりも多く看護・介護職員を配置し、厚い介護サービスを提供している場合に発生する可能性がある費用です。

介護付き有料老人ホームでは、介護サービスが必要な入居者3名に対して、1名以上の看護・介護職員を配置する、という基準があります。この基準よりも多くの職員を配置している場合は、サービス費用とは別で、上乗せ介護費が加算される可能性があります。


介護保険対象外のサービス費

介護保険対象外のサービス費とは、レクリエーションやイベントへの参加費用、理美容代などです。名前のとおり介護保険が適用されないため、全額自己負担となります。


医療費

医療機関を受診した際や薬代、訪問診療の利用にかかる費用など、医療費もかかります。


介護保険サービスの自己負担額

介護保険サービスの自己負担額は、原則1割です。所得によって、2割または3割になる可能性があります。

たとえば、介護保険サービスの費用が1万円だった場合、自己負担割合が1割であれば、自己負担額は1,000円です。残りは介護給付によってまかなわれます。

ただし、要介護度によって支給限度額が定められており、限度額を超えた分は全額自己負担となる点に注意しましょう。

また、介護付き有料老人ホームのような施設で受ける介護サービスは定額制である一方、外部の事業者が提供する居宅サービスは従量制(利用回数や利用時間などによって料金が決まる制度)という違いがあります。


有料老人ホームの費用相場

ここでは、有料老人ホーム・介護施設にかかる費用の相場を見ていきましょう。各介護施設の入居時費用と月額利用料の相場は、おおよそ次のようになっています。有料老人ホームの中には、ラグジュアリーな設備や充実したサービスを提供する高級な施設もあります。こうした高級老人ホームは、費用が高額になる傾向にあります。


入居時費用

月額利用料

介護付き有料老人ホーム

0~630万円

15~35.1万円

住宅型有料老人ホーム

0~46万円

13.4~31.5万円

健康型有料老人ホーム

0~1億円

10~40万円


【都道府県別】関東圏の老人ホーム費用相場


入居時費用

月額利用料

東京都

404.4万円

24.9万円

千葉県

90.3万円

17.3万円

埼玉県

71.5万円

16.3万円

神奈川県

180.8万円

19.6万円

群馬県

15万円

12.2万円

茨城県

40.5万円

12万円

栃木県

24.2万円

13.7万円

このように、老人ホームの費用はエリアによっても異なります。一般的に、地価が高いエリアでは、老人ホームにかかる費用も高くなります。

また、同じ県内でも、駅や商業施設の近くなど便利な場所にある老人ホームは、費用が高くなる傾向にあります。

費用をなるべく抑えたい場合は、立地にも注目するのがおすすめです。


有料老人ホームの費用シミュレーション

ここでは、要介護度3のAさんが介護付き有料老人ホームに入居する場合、入居にかかる費用をシミュレーションしてみましょう。

なお、支出は入居時費用と月額利用料のみと仮定し、費用負担を軽減する制度や控除制度などは利用しないものとします。

Aさん

神奈川県在住

要介護3

75歳から85歳までの10年間、介護付き有料老人ホームに入居する

年金受給額は月10万円、貯金は合計1,500万円

Aさんが入居する介護付き有料老人ホーム

入居一時金:150万円

月額利用料:20万円

この場合、介護付き有料老人ホームにかかる費用は以下のとおりです。

入居一時金

150万円

月額利用料

2,400万円

合計

2,550万円

一方、 Aさんの貯金と年金を合わせた収入は、以下のようにまとめられます。

年金受給額

1,200万円

貯金額

1,500万円

合計

2,700万円

結果、費用負担と比べて収入が若干多いことがわかりました。

ただし、月額利用料の他に介護保険料や医療費などの費用がかかります。もう少し余裕を持たせるためには、費用が安い施設を選んだほうが賢明と言えるでしょう。


入居一時金の返還制度を理解する

前述の通り、「入居一時金は想定入居期間分の家賃の前払い」という位置付けです。そのため、指定の居住期間より前に退去した場合、残りの金額が返還されるという仕組みになっています。償却の期間などは施設によって変わりますので、事前に入居契約書や重要事項説明などでチェックしましょう。以下では、返還制度を理解するために押さえておきたい用語を説明します。


初期償却とは

初期償却とは、退去時に返還されない費用のことで、入居と同時に償却されるため、「初期償却」と言われます。初期償却は、施設により定めていない場合もありますが、設定している施設は入居金の10%〜30%とすることが多いです。

90日以内に解約した場合は、クーリングオフ制度により初期償却分も返還対象となります。91日以降は早く解約しても初期償却分は返還されないので注意です。


償却期間とは

償却期間とは、想定居住期間を元に定められ、5年前後とする場合が多いです。償却期間の前に退去する場合は、残りの金額が返還されます。償却期間を過ぎても入居する場合、返還金はありません。入居一時金の支払いは一度だけのため、想定居住期間を超えて入居する場合は、入居一時金がないプランに比べて総支払額を抑えることができます。

以下の条件の老人ホームを2年で退去した場合、入居一時金はいくら返還されるでしょうか。シミュレーションしてみましょう。

入居一時金:500万円

初期償却:80万円

償却期間:5年で毎月均等償却

まず、入居一時金から初期償却を引いた420万円が期間に応じて返還されうる額になります。次に、毎月償却される額を計算しましょう。

420万円を5年で毎月均等償却するため、420万円÷60ヶ月=7万円が毎月償却される額となります。

つまり、入居から2年で退去する場合は7万円×24ヶ月=168万円が償却されるため、差額である420万円-168万円=252万円が返還されることになります。


費用の支払い方式について

有料老人ホームの費用は、入居一時金の支払いの有無に応じて以下3種類の支払い方式があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので押さえておきましょう。

  1. 全額前払い方式

  2. 一部前払い方式

  3. 月払い方式


全額前払い方式

想定入居期間分にかかる全額を一括して前払いする方式です。初期負担は掛かりますが、その後の金銭的負担がないというメリットがあります。また、想定期間分よりも長く生活した場合、前払い分に追加で費用が発生することはありません。そのため、長く生活すればするほど、一部前払い方式や月払い方式と比べて総支払額を抑えることができます。

しかし、入居期間中に何らかの理由で月額利用料が値下がりした場合、その差額は返還されないというデメリットがあります。また、クーリングオフ期間を過ぎると、早く退去しても初期償却分は返還されないので注意が必要です。


一部前払い方式

入居一時金として、一部前払いをし、残額を月額費用として支払う形式です。

全額前払い方式に比べると、払える範囲で入居金の一部を支払うため、多少入居時の負担は低くなります。また、毎月の支払額が高くなる月払い方式と比べると、入居金を一部支払っているため、月々の負担は少なくなります。


月払い方式

入居一時金がなく、月額費用として毎月支払う形式です。まとまった初期負担がないため、入居時の金銭的負担が少ないのがメリットです。しかし、入居一時金を支払う場合に比べて月額費用が高くなるため、長い目で見ると支出が多くなる方式とも言えます。また、想定期間よりも長く入居する場合も、その分を払い続ける必要があるというデメリットもあります。


有料老人ホームの権利形態

有料老人ホームには、3つの権利形態があります。

  • 利用権方式

  • 建物賃貸借方式

  • 終身建物賃貸借方式

以下では、それぞれの特徴について解説します。


利用権方式

利用権方式とは、居住部分を利用する料金と、サービスを利用する料金が一体となった権利形態のことです。居住権とサービス利用権がセットになっている、と考えるとわかりやすいでしょう。

利用権方式は、有料老人ホームに多く見られる権利形態です。

入居者が亡くなった時点で契約が終了し、権利も消滅します。


建物賃貸借方式

建物賃貸借方式は、賃貸借方式のうち、居者が亡くなった後も居住権が継続する権利形態です。

そもそも賃貸借方式は、建物の居住部分のみに関する権利形態です。サービス利用権は含まれないため、介護サービスや生活支援サービスを受ける場合は、別途契約が必要になります。借地借家法によって整備されており、通常の賃貸契約には賃貸借方式が採用されています。

建物賃貸借方式では、入居者が亡くなった場合でも、月額費用を支払い続けることにより居住権が継続します。そのため、居住権の相続が可能です。


終身建物賃貸借方式

終身建物賃貸借方式は、建物賃貸借方式のうち、入居者が亡くなった時点で契約が終了する権利形態です。

終身建物賃貸借方式を採用できるのは、国土交通省による高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)の認可を受け、都道府県から許可を得た限られた施設のみです。

終身建物賃貸借方式は、60歳以上から利用できます。(夫婦で入居する場合は、一方が60歳以上であれば、もう一方が60歳未満でも利用できます。)

入居者が亡くなった時点で原則契約が終了し、相続はできません。ただし、入居者の配偶者が1ヶ月以内に申し出を行い、月額費用を支払うことにより、継続して居住できます。


有料老人ホームの費用を安く抑える方法とは?

ここでは、有料老人ホームの費用を安く抑える方法を4つ紹介します。

  • 施設の設備や外観にこだわらない

  • 個室ではなく相部屋にする

  • 地価の安い地方で探す

  • 制度を利用する

施設の設備や外観にこだわらない

通常の賃貸と同じで、アクセスが多少良くない、また居室が狭かったり、築年数が経っていたりする場合、当然賃料は安くなります。施設の条件(立地、居室の広さ等)にこだわると、その分費用も高くなるため、費用を抑えたい場合は、ある程度スペックを考慮して、老人ホームを探しましょう。


個室ではなく相部屋にする

老人ホームの中には、個室と相部屋があります。相部屋の方が費用は安いことが多く、入居者である高齢者ご自身が問題ないという場合は、相部屋を選ぶのもおすすめです。ただし、同室に入居者がいることに抵抗があったり、他の生活音が気になったりする方の場合、ストレスになることもあります。入居者の性格も考慮して選ぶと良いでしょう。


地価の安い地方で探す

前述の通り、老人ホームの月額費用は都道府県によって変動があります。地価の高い首都圏に比べ、地方の老人ホームであれば費用を抑えることができます。地方の方が自然が豊かでゆったりとした生活環境であることが多いため、好みの環境によっては地方での入居を検討してもいいかもしれません。


制度を利用する

有料老人ホームの費用の負担を軽減するために、利用できる制度は以下のとおりです。

  • 医療費控除

  • 高額介護サービス費制度

  • 高額医療・高額介護合算制度

  • 高額療養費制度

  • 介護保険施設の特別減額措置

  • 利用者負担軽減措置

  • そのほかの制度


医療費控除

医療費控除は、1月1日〜12月31日の1年間に支払った医療費が10万円(合計所得が200万円未満の方は合計所得の5%)を超える場合、所得税の控除を受けられるという制度です。確定申告を行うことにより、控除を受けることができます。

控除額は、施設によって以下のように異なります。

<全額>

  • 介護老人保健施設

  • 介護医療院

  • 介護療養型医療施設 など

<費用の1/2>

  • 特別養護老人ホーム

  • 地域密着型特別養護老人ホーム など

上記のとおり、有料老人ホームにかかる費用は、基本的には医療費控除の適用外です。しかし、薬代や医療機関への交通費、介護サービス費の一部には、医療費控除が適用されます。


高額介護サービス費制度

高額介護サービス費制度とは、介護保険の自己負担額が上限限度額を超えた際、市区町村に申請することにより、超過分が「高額介護サービス費」として返ってくる制度のことです。

上限限度額は所得などによって変わります。詳しくは市区町村に問い合わせてみてください。


高額医療・高額介護合算制度

高額医療・高額介護合算制度とは、医療保険各制度の世帯に介護保険の受給者が存在する場合、1年間で支払った医療保険と介護保険の合計額が自己負担限度額を上回った場合に、超過分が払い戻される制度のことです。限度額は年額56万円を基本とし、所得などに応じて設定されます。利用を検討する場合は、市区町村に問い合わせてみてください。


高額療養費制度

高額療養費制度は、医療機関や薬局などで支払った費用が1ヶ月の上限を超えた場合、超過分が払い戻される制度のことです。

上限額は70歳未満と70歳以上で異なり、さらに所得に応じて設定されています。

有料老人ホームの入居にかかる費用負担を軽減できるわけではありませんが、怪我や病気によって医療費負担が増加した場合は、利用を検討してみてください。


介護保険施設の特別減額措置

介護保険施設の特別減額措置とは、利用者負担段階が第4段階(市町村民税課税世帯)の方に適用される制度です。

第4段階に該当する場合、通常は軽減制度を利用できません。しかし、世帯の1人が介護施設に入居したことにより生計が困難となる場合は、特例として食費・居住費について第3段階の負担限度額が適用されます。

制度を利用するためには、一定の要件をすべて満たす必要があります。詳細は、市区町村の窓口に問い合わせてみてください。


利用者負担軽減措置

社会福祉法人の利用者負担軽減制度とは、経済的に困窮している方が、対象の社会福祉法人が運営する以下のようなサービスを利用する際、利用者負担額が軽減される制度です。

  • 介護福祉施設サービス(特別養護老人ホーム)

  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 (地域密着型特別養護老人ホーム)

  • 短期入所生活介護(ショートステイ)

  • 訪問介護

  • 通所介護(デイサービス)

  • 地域密着型通所介護

  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護

  • 夜間対応型訪問介護

  • 認知症対応型通所介護

  • 小規模多機能型居宅介護

  • 複合型サービス

  • 第1号訪問事業のうち介護予防訪問介護に相当する事業

  • 第1号通所事業のうち介護予防通所介護に相当する事業

有料老人ホームに入居しながら、上記のようなサービスを利用したい場合は、利用を検討してみてください。

ただし、対象の社会福祉法人が運営するサービスでなければ、軽減措置は適用されません。詳細は、各自治体の福祉課に問い合わせて確認しましょう。


そのほかの制度

そのほか、市区町村や自治体が独自に制度を実施していることがあります。

利用できるものはないか、問い合わせて確認してみるのがおすすめです。


入居中に費用が支払えなくなった場合の対処法

老人ホーム入居中に何らかの都合で費用が払えなくなってしまった場合、すぐに退去となるわけではありません。本人が払えない場合、まず配偶者や子供などの身元引受人に請求されます。

身元引受人も支払えない場合、定められた猶予期間の後に退去となります。この猶予期間は3ヶ月〜6ヶ月と比較的余裕がある場合が多いです。しかし、老人ホームによってはもっと短いところもあります。契約書や重要事項説明書に書いてあるので、入居時に必ず確認してください。


生活保護を受給するという選択肢もある

生活が困窮し、入居中に費用が支払えなくなった場合は、生活保護を受給するという選択肢もあります。

生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を保証し、自立をサポートするため、必要な保護を行う制度のことです。生活保護では、生活を営むために必要な各種費用に対応して、生活扶助や住宅扶助、介護扶助のように、必要な扶助が支給されます。

生活保護を受給している65歳以上の第1号被保険者も、介護保険制度を利用することができます。介護サービスの自己負担割合は1割です。生活保護費の介護扶助から、自己負担額がまかなわれる仕組みです。

生活保護を受給するためには、一定の条件を満たす必要があります。利用を検討している方は、まずは最寄りの福祉事務所に相談してみましょう。

また、生活保護の方の受け入れ可否は、施設によって異なります。入居中に生活保護を受給したい場合は、施設に相談することも大切です。

出典:厚生労働省「生活保護制度」


有料老人ホームの費用を準備するための資金計画

有料老人ホームの費用を無理なく支払い続けるためには、早いうちから資金計画を立てることが大切です。資金計画を立てることにより、老人ホームを選びやすくなったり、老後資金としていくら確保すればよいかを理解できたりします。

資金計画を立てる際は、有料老人ホームの入居にいくらかかるか、今後の収入見込みはいくらかを計算しましょう。そして、必要な資金を捻出する方法を考えます。


老後資金はいくら必要?

老後資金として必要な金額は、それぞれのライフスタイルや趣味などによって異なります。

金額を断言することは難しいですが、総務省の家計調査報告によると、二人以上世帯の1ヶ月あたり消費支出の平均は、以下のとおりです。

  • 40〜49歳:321,269円

  • 50〜59歳:359,963円

  • 60〜69歳:299,362円

  • 70歳以上:237,203円

出典:家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要(総務省統計局)

このように、退職後も1ヶ月あたり約20万円〜30万円はかかることが分かります。


資金を捻出する方法

資金を捻出するためには、資産を現金化しましょう。不動産や自動車など、使用していない固定資産を売却するのが一般的です。

また、自宅を売却して、資金を得る方法もあります。以下のように、自宅に住み続けながら資金を得られる方法もあるため、ぜひ利用を検討してみてください。

  • リバースモゲージ:自宅を担保として生活資金を借り入れ、ご本人が亡くなった後に自宅を売却し、借入金の返済に充てるという制度
  • リースバック:自宅を売却した後に再度賃貸借契約を結び、賃貸として住み続けながら売却益を獲得できる制度

有料老人ホームの費用についてよくある質問

最後に、有料老人ホームの費用についてよくある質問を4つ紹介します。

Q.有料老人ホームの費用は医療費控除の対象になる?

Q.年金だけで老人ホームの費用は払える?

Q.入居中に施設が倒産したらどうする?

Q.老人ホームの費用は親子どちらが負担する?

Q.有料老人ホームの費用は医療費控除の対象になる?

有料老人ホームの費用は医療費控除の対象になりますか?

有料老人ホームの費用は、基本的には医療費控除の対象にはなりません。しかし、医療機関の診療代や診療のための交通費、薬代、特定の条件を満たす場合、介護サービス費の一部は医療費控除の対象となります。

Q.年金だけで老人ホームの費用は払える?

年金だけで老人ホームの費用を支払うことはできますか?

ご自身の年金のみで、有料老人ホームの費用を支払うこともできます。しかし、有料老人ホームは決して安くはないため、首都圏を避けるなど費用を抑える工夫が必要です。また、公的施設の利用を検討するのもおすすめです。住宅型有料老人ホームや介護付き有料老人ホームは、民間企業が運営している民間施設であり、公的施設に比べて費用は高くなる傾向にあります。年金だけで費用を払いたい場合、公的施設の利用を検討しましょう。ただし、国民年金は厚生年金に比べてもらえる額が少ないため、国民年金だけで老人ホームの費用を払うのは難しいと言えます。まずは年金がいくらもらえるのかを把握しましょう。

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Q.入居中に施設が倒産したらどうする?

入居中に施設が倒産した場合はどうなるのでしょうか。

入居中に施設の運営会社の財務状況が悪化し、倒産するリスクもゼロではありません。倒産後は、施設が閉鎖するケースと、別の会社が運営を引き継ぐケースがあります。前者の場合、次の入居先を探さなければなりません。一方、後者の場合は同じ施設に住み続けることが出来ますが、サービスや料金、スタッフなどが変わることがあるため、これまでと同じようには生活できない可能性があります。安心して生活し続けるためには、施設の運営会社の財務状況に問題はないか、信頼できるかもチェックしたうえで、施設を選びましょう。

Q.老人ホームの費用は親子どちらが負担する?

老人ホームの費用は親子どちらが負担するものですか?

老人ホームの費用を親子どちらが負担するかは、ご家庭によって異なります。親子のどちらかが負担する場合もあれば、折半することもあるでしょう。事前に話し合って決めておくことが大切です。ただし、お子さんが入居一時金を全額負担する場合、贈与税が発生する可能性があります。結果的に負担額が増えてしまうため、注意が必要です。

まとめ

今回は有料老人ホームにかかる費用について、種類や相場、安く抑える方法などをご紹介いたしました。どのような施設を利用するかによって、毎月の費用は変わってきます。入居者ご自身とよく話し合い、早めに入居計画を立てることにより、必要な資金を準備することが大切です。

老人ホームに関する話題は、少し話しづらい場面も多いですが、入居者ご自身とご家族双方が納得して安心安全な暮らしを送れるよう、この記事をきっかけに話し合っていただければ幸いです。

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