老人ホームの正しい選び方を13のポイントで紹介!良い施設の見極め方

老人ホーム選びで重要なポイント13選!
老人ホーム選びで重要なポイントとしては、次の13項目が挙げられます。
● 老人ホームの種類
● 費用
● 入居条件
● 退去条件
● 介護・生活支援サービス
● 医療体制
● 認知症への対応
● 看取りへの対応
● 食事の内容
● レクリエーション・イベント
● 立地・周辺環境
● 設備の充実度
● 施設の雰囲気
もちろんすべて大切なポイントですが、実際に老人ホームを選ぶときは、優先順位をつけることも必要です。たとえば費用が安い老人ホームは、立地が良くなかったり、設備が充実していなかったりします。立地や設備にこだわりがなく、必要な介護サービスを受けることができれば問題ないという場合には、そのような施設を選んでもいいでしょう。
しかし介護サービスだけではなく、立地・設備はもちろん、食事やレクリエーションなども重視したい場合には、費用については優先順位を下げたほうがいいかもしれません。ここからは、このような判断の参考になる情報を、それぞれのポイントごとに詳しく解説します。
老人ホームの選び方1:老人ホームの種類
老人ホームを選ぶときに、まず注目すべきなのが「施設の種類」です。老人ホームにはさまざまな種類があり、それぞれ入居金や月額費用の水準が異なることはもちろん、入居条件や提供サービスにも違いがあります。どの種類の老人ホームを選ぶべきか考える際は、次のポイントに着目してみてください。
● 公的施設なのか民間施設なのか
● 入居条件
● 受けられるサービス
施設の種類ごとに、上記のポイントをまとめた一覧表を見てみましょう。
種類 | 運営種別 | 入居条件 | 受けられるサービス | 特徴 | |||
介護 | 看護 | 医療 | 食事 | ||||
介護付き有料老人ホーム | 民間施設 | 自立~要介護 | 〇 | △ | △ | 〇 | 介護サービス費が定額で、要介護度が上がっても退去の必要性がない |
住宅型有料老人ホーム | 自立~要介護 (介護の必要性が低い人) | △ | △ | △ | 〇 | 見守り・生活支援が充実しているが、介護サービスは外部委託 | |
健康型有料老人ホーム | 自立 | × | × | × | 〇 | 介護・医療サービスは提供されておらず、介護の必要性が高まると退去しなければならない | |
サービス付き高齢者向け住宅 | 自立 | △ | △ | × | △ | 賃貸住宅であるため入居者の自由度が高く、配偶者との同居も可能 | |
グループホーム | 要支援2~要介護 | 〇 | × | × | 〇 | 認知症患者に特化した施設で、入居者が共同生活を送る | |
シニア向け分譲マンション | 自立~要支援 | × | × | × | △ | 富裕層向けの施設で、入居者向けの設備・サービスが充実している | |
特別養護老人ホーム (特養) | 公的施設 | 要介護3~ | 〇 | △ | △ | 〇 | 長期的な介護を前提としてており、要介護度の高い方のみを対象としている |
ケアハウス (軽費老人ホームC型) | 自立型:自立~要支援 介護型:要介護 | 〇 | × | × | 〇 | ある程度は自立しているものの、家庭での生活が難しい60歳以上の高齢者を対象としている | |
介護老人保健施設 (老健) | 要介護 | 〇 | 〇 | △ | 〇 | リハビリテーションを目的とした介護施設で、3〜6か月程度での退所が前提 | |
介護医療院 | 要介護 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 医療的ケアと介護サービスの両方を提供しており、看取りにも対応 | |
養護老人ホーム | 自立 | × | × | × | 〇 | 経済面で困っている高齢者の社会復帰を主たる目的としており、あくまでも介護施設ではない |
公的施設と民間施設の違い
老人ホームは「公的施設」と「民間施設」に大別されますが、何が違うのかよく分からないという方もいるかもしれません。もっとも大きな違いは、入居にかかる費用です。基本的に公的施設のほうが利用料が安価に設定されているため、費用を重視する場合には、公的施設を選んだほうがいいでしょう。
ただし費用が安いことに伴い、公的施設は人気が高く、入居待ちが発生していることも少なくありません。また、公的施設は入居要件が厳しく、さらに提供されているサービスも一律であるため、窮屈に感じる可能性もあります。
民間施設にも一定の入居要件が存在しますが、柔軟に対応してくれる施設も珍しくありません。また、各施設がそれぞれ設備や食事メニュー、レクリエーションなどに注力しており、入居者の好みにマッチした施設を選びやすいことも特徴です。費用以外に重視するポイントがある場合には、民間施設も選択肢に入れてみてください。
老人ホームの選び方2:費用
老人ホームにかかる費用は、「入居一時金」と「月額費用」の2つに大別されます。
【入居一時金とは?】
前払い家賃としての性質を持つ初期費用のことで、数年〜十数年分の想定家賃が請求されます。ただし、すべての老人ホームで必要となるわけではなく、入居一時金が0円の施設も少なくありません。
【月額費用とは?】
老人ホームの利用にあたって毎月かかる費用のことで、施設介護サービス費用・居住費・食費・管理費(光熱費・人件費など)などに細分化できます。
費用を重視して老人ホームを選ぶ場合は、次のポイントを意識してみてください。
● 入居一時金の有無
● 月額費用に含まれる費用項目
先述したとおり、入居一時金は必ず請求されるものではありません。手元資金を温存したい場合は、入居一時金0円の施設を選ぶといいでしょう。(ただし入居一時金0円の施設は、月額費用が割高に設定されています)
また、月額費用に含まれる費用項目は、施設の種類によって異なります。たとえば介護サービス費は、「介護付き有料老人ホーム」「特別養護老人ホーム」などの月額費用には含まれていますが、「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」などの月額費用には含まれていません。そのため住宅型有料老人ホームなどで介護サービス(居宅サービス)を受ける場合、施設への月額費用とは別に、外部の介護事業者への利用料も支払わなければならないのです。資金計画を立てるためにも、施設の月額費用にどのような項目が含まれているのか、しっかり確認しておきましょう。
なお、入居一時金と月額費用の相場は、施設の種類によっても異なります。それぞれの相場は次のとおりです。
種類 | 入居金相場 | 月額費用相場 |
介護付き有料老人ホーム | 0~630.0万円 | 15~35.1万円 |
住宅型有料老人ホーム | 0~46.0万円 | 13.4~31.5万円 |
健康型有料老人ホーム | 0~1億円 | 10.0~40.0万円 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 0~22.1万円 | 11.3~23.9万円 |
グループホーム | 0~15.4万円 | 12.4~19.7万円 |
シニア向け分譲マンション | 2,300~4,350万円 | 10.0~29.2万円 |
特別養護老人ホーム (特養) | 0円 | 4.9~15.0万円 |
ケアハウス (軽費老人ホームC型) | 0~30.0万円 | 9.3~22.0万円 |
介護老人保健施設 (老健) | 0円 | 6.7~16.2万円 |
介護医療院 | 0円 | 6.8~17.0万円 |
養護老人ホーム | 0円 | 0円~ (利用者の年間収入による) |
無理のない支払い金額で探しましょう
安心して老後を過ごすためには、無理なく支払える水準の施設を探すことが重要です。入居者本人の受給年金のみで支払える水準なのかどうかを意識してみてください。年金受給額は現役時代の収入・加入実績によって異なりますが、一般的な会社員であった方の受給額は月額15〜20万円程度でしょう。
たとえば特別養護老人ホームの月額費用相場は4.9〜15万円であるため、入居者本人の年金だけ支払えるケースが多いです。一方、介護付き有料老人ホームの月額費用相場は15〜35.1万円、住宅型有料老人ホームの月額費用相場は13.4〜31.5万円であるため、年金だけで賄うことは難しいかもしれません。もし預貯金に余裕がある場合には、全額前払い方式の入居一時金を設定している施設も選択肢に入れてみてください。想定家賃を前払いすることで、月額費用を抑えられるためです。
老人ホームの選び方3:入居条件
入居条件についても、各施設によって異なります。確認すべきポイントは次のとおりです。
● 要介護度の条件があるか
● 年齢の制限があるか
● 収入・資産の条件があるか
● 保証人・身元引受人が必要か
● 住民票が施設が所在する自治体以外にあっても入居できるか
● 特定の疾病に対して入居制限あるか
これらのポイントのなかで、とくに確認すべき点は要介護度の条件があるかどうかです。施設の種類ごとに、受け入れてもらえる目安を比べてみましょう。
種類 | 自立 | 要支援 1~2 | 要介護 1~2 | 要介護 3~5 |
介護付き有料老人ホーム | △ | △ | 〇 | ◎ |
住宅型有料老人ホーム | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 |
健康型有料老人ホーム | ◎ | △ | ✕ | ✕ |
サービス付き高齢者向け住宅 | ◎ | ◎ | △ | ✕ |
グループホーム | ✕ | △ (要支援2~) | 〇 | 〇 |
シニア向け分譲マンション | ◎ | 〇 | △ | △ |
特別養護老人ホーム (特養) | ✕ | ✕ | ✕ | ◎ |
ケアハウス (軽費老人ホームC型) | 〇 | 〇 | △ | △ |
介護老人保健施設 (老健) | ✕ | ✕ | 〇 | 〇 |
介護医療院 | ✕ | ✕ | △ | 〇 |
養護老人ホーム | 〇 | 〇 | ✕ | ✕ |
一口に高齢者向けの施設といっても、要介護度が高い方のみを受け入れている施設もあれば、自立した方のみを受け入れている施設もあります。そのため入居者の方がどのような状態なのかに応じて、最適な施設を選ばなければなりません。
また、施設が所在する自治体以外に住民票があっても入居できるかどうかも確認しましょう。たとえばグループホームは各自治体が提供する「地域密着型サービス」であるため、基本的に入居者の住民票がある市区町村に所在する施設にしか入居できません。
老人ホームの選び方4:退去条件
入居条件と合わせて、退去条件についても確認しておきましょう。たとえば次のような状態になると、施設側から退去を求められることがあります。
● 介護の必要性が高まった(要介護度が上がった)
● 医療依存度が高まった
● 入院が長引いた
● 暴力・暴言などの問題行動が見られた(認知症による症状を含む)
これらの退去条件は、施設の種類によって異なることも知っておきましょう。たとえば健康型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅などに入居している場合、介護の必要性が高まったら退去しなければなりません。一方、介護付き有料老人ホーム・特別養護老人ホームなどは要介護度が高い方の利用を前提としており、介護の必要性を理由に退去を促されることはないため安心してください。
老人ホームの選び方5:介護・生活支援サービス
介護サービスを提供する老人ホームを選ぶ際は、介護体制や生活支援の充実度合いがポイントになります。
介護付き有料老人ホームには、介護保険法で「3人の入居者に対し1人の介護スタッフ」という最低基準が設けられています。老人ホームの中には、最低基準よりもスタッフ人員を増やすことにより、手厚い介護サービスを提供しているところもあります。
その分上乗せ介護費がかかり月額費用が高くなる場合もありますが、ゆとりのある介護サービスを受けたい場合は人員配置に注目しましょう。
また、生活支援サービスについてもチェックしてください。生活支援サービスの内容は施設によって異なりますが、主に以下のとおりです。
● 洗濯
● 掃除
● 見守り・セキュリティコール
● 郵便や宅配の取り次ぎ
● フロントやコンシェルジュによる来訪者の応対
● 買い物代行
● 役所や銀行などの手続き代行
充実した生活を送るためには、手厚く、入居者のニーズに合った生活支援サービスを提供している施設を選びましょう。
老人ホームの選び方6:医療体制
医療的なケア(医療行為)を必要としている場合、その施設の医療体制についても確認しましょう。資格によって対応できる行為が異なるため、次の比較表(一例)を参考にしてみてください。
一般的な介護職員 | 特定の研修を終えた介護福祉士 | 看護師 |
体温測定 目薬の点眼・服薬の介助 ガーゼの交換・湿布の貼付 等 | 口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の喀痰吸引 胃ろうなどによる経管栄養 | 点滴管理 人工呼吸器管理 インスリン注射 等 |
とくに看護師が配置されている施設は多くないため、糖尿病などを抱えている場合には注意してください。
老人ホームの選び方7:認知症への対応
ご本人が認知症を患っている場合は、認知症の方を受け入れている施設を選ぶ必要があります。
以下の施設では、認知症の方に対応しているケースが多いです。
● グループホーム
● 特別養護老人ホーム
● 介護療養型医療施設
● 介護付き有料老人ホーム
また、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、軽度の認知症の方を受け入れているケースが見られます。
認知症の方に対応している施設では、認知症に関する専門知識を持ったプロのスタッフがケアを行ってくれたり、認知症の方専門のフロアを設けていたりします。そのため、認知症の方も安心して生活できるのが魅力です。
老人ホームの選び方8:看取りへの対応
終身利用を考えている場合は、看取りに対応している施設を選びましょう。
看取りとは、施設で最期を迎えることです。ご本人やご家族の希望を尊重しながら、身体的・精神的苦痛を緩和し、尊厳ある生活を送ることができるようにサポートします。なお、医療ケアを伴う場合は、看取りではなくターミナルケアに該当します。
看取りに対応している施設は増えており、特に特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームの8割以上が対応しています。一方、自立を対象とした施設では、対応していないケースが多いため注意が必要です。
老人ホームの選び方9:食事の内容
老人ホームでは、多くの入居者が「食事」を楽しみにしています。しかし高齢になると咀嚼力(噛む力)・嚥下機能(飲み込む機能)が低下することも多く、誤嚥によって肺炎になってしまうことも珍しくありません。そのため入居先を選ぶときは、どのような食事メニューが提供されているかどうかも確認してみてください。介護を前提とした施設では、次のような介護食が提供されていることが多いです。
● ソフト食
● きざみ食
● とろみ食
● ゼリー食
● ミキサー食
● 水分補給食
これらメニューが「栄養補給」のみを目的とするのではなく、「食事」として楽しめるものになっているのか、実際に試食してから入居を決めてもいいでしょう。
老人ホームの選び方10:レクリエーション・イベント
有料老人ホームの中には、レクリエーションやイベントに力を入れているところもあります。レクリエーションが豊富なところなら、趣味を見つけたり他の入居者と活発にコミュニケーションを取ったりしやすいです。
レクリエーションやイベントの充実度合いは、認知症予防の面でも大事にしたいポイントです。
老人ホームで行われているレクリエーションやイベントの例は、以下のとおりです。
【レクリエーション】
● 体を動かすレクリエーション:ラジオ体操、風船バレー、ボーリングなど
● 手先を使うレクリエーション:折り紙、季節のお菓子作りなど
● 頭を使うレクリエーション:クイズ、伝言ゲーム、しりとりなど
● 地域交流・社会貢献につながるレクリエーション:バザー、近隣の幼稚園児との交流、ボランティア活動など
【イベント】
● お正月
● お花見
● 夏祭り
● 紅葉狩り
● クリスマス
● お誕生日会 など
老人ホームの選び方11:立地・周辺環境
老人ホームを選ぶときは、施設のスペックだけではなく、立地・周辺環境も意識するといいでしょう。とくに確認すべきポイントは次のとおりです。
● 今まで住んでいた場所と雰囲気が似ているか
● 近くに息抜きできるスポットがあるか
● 家族が面会に行きやすいか
まず第一に、今まで住んでいた場所と雰囲気が似ている立地の施設を選んだほうが、入居に伴うストレスを軽減できます。たとえば自然が多い場所に暮らしていた方なら、都市部の老人ホームよりも、緑に囲まれた老人ホームを選んだほうがいいでしょう。
自立した状態で住宅型有料老人ホームなどに入居する場合には、施設の近くに息抜きできるスポットがあるかどうかも重要です。散歩に適した公園・美術館・商業施設などがあれば、気分転換しやすいでしょう。また、家族が面会に行きやすい立地かどうかも意識してみてください。

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老人ホームの選び方12:設備の充実度
より住環境に優れた老人ホームを選びたい場合にチェックすべきポイントとしては、次のようなものが挙げられます。
● 居室の広さ
● 居室にトイレ・洗面台があるか
● 収納スペースが十分か
● どのような娯楽設備があるか
とくに注目すべき点が「水回り設備」です。トイレ・洗面台などの水回り設備が共有スペースにしかない施設も珍しくはありません。なるべくプライベートを確保したいという場合には、居室にトイレ・洗面台などの水回り設備がある施設を選ぶといいでしょう。
老人ホームの選び方13:施設の雰囲気
雰囲気の良い施設に入居したほうが、老後の暮らしが彩られるでしょう。そのため施設の雰囲気が良いかどうかも重要なチェックポイントだといえます。雰囲気を肌で感じるためにも、候補先の施設へ一度は見学に行ってみてください。
見学に行くときは、昼食の時間に合わせることもおすすめです。見学と合わせて食事を試食できる施設も多く、入居者がどのように食事を楽しんでいるのか見ることで、よりリアルな施設の雰囲気を感じられるでしょう。
老人ホームの選び方!その他のチェックポイント
そのほか、以下のポイントについても、併せて確認しておきましょう。
ポイント1:運営法人の経営状況
運営法人の経営状況は、施設に長く入居し続けるために欠かせないポイントです。少子高齢化が進む現在、多くの民間企業が介護施設運営に参入しています。施設の数が増えていると同時に、経営が傾き、倒産して廃業に追い込まれるケースが増えているのが現状です。施設が倒産してしまった場合、住み替えが必要になることもあります。
長く安心して住み続けるためには、運営法人の経営が安定しているか、介護事業での実績は豊富であるかなどを確認しましょう。
ポイント2:夫婦同室で入居できるか
夫婦で入居する場合は、夫婦で1つの居室に入居するか、それぞれ個室で生活するか考えておくと良いでしょう。基本的に、2人部屋がある民間施設では、夫婦同室が認められているケースが多く見られます。介護度が離れていたり、入居後に状態が変わることで、夫婦どちらかに負担がかかることも想定されるため、夫婦入居のケースを施設に確認すると良いでしょう。
なお、特別養護老人ホームに入居したい場合は、夫婦同室だけでなく、夫婦同時の入居も難しいため注意が必要です。特別養護老人ホームは月額利用料が安いことから人気が高く、入居待ちも多いです。夫婦であっても、入居できる順番は別々に決められるため、入居時期がずれてしまうことを理解したうえで申し込みましょう。
ポイント3:持ち込める私物の内容
私物を多く持ち込める施設であれば、ご本人が愛用している日用品や思い出の写真などを居室に持ち込むことができます。施設によって、持ち込める私物の数や種類は異なります。特に、大型の家具や貴金属、多額の現金などについては、持ち込みを禁止している施設が多いです。
自宅のようにリラックスした状態で過ごせるよう、私物をどのくらい持ち込めるか、持ち込んではいけないものは何か、事前にチェックしましょう。
【ケース別】老人ホームの選び方
さて、ここまで紹介したポイントをふまえ、次のような課題を抱えている方はどのように老人ホームを選ぶべきなのか、具体例を見ていきましょう。
● 認知症で自宅での生活が難しくなってきた場合
● 今は自立しているが今後、何かあったら不安な場合
● 退院を控えているが帰宅後の自宅生活が不安な場合
認知症で自宅での生活が難しくなってきた場合
認知症で自宅での生活が難しくなっているものの、適切なサポートを受ければ自分でできることもある場合には、「グループホーム」への入居を検討してみてください。グループホームで共同生活を送ることで、認知症の進行を緩やかにする効果も期待できます。
一方、認知症が進み、身体的な介護の必要性が高い場合には、「介護付き有料老人ホーム」や「特別養護老人ホーム」への入居がおすすめです。ただし、認知症患者に対応していない施設もあるため、あらかじめ対応可否を確認しておきましょう。
今は自立しているが今後、何かあったら不安な場合
今は自立しているものの、将来的に何かあったら不安だという場合、「シニア向け分譲マンション」「サービス付き高齢者向け住宅」「住宅型有料老人ホーム」などが選択肢になりえます。それぞれ自立して生活することを前提としつつ、見守りサービスなどを利用できるため、何かあったときでも安心です。
もし将来的に介護が必要になった場合も、外部の事業者から「居宅サービス」を受ければ、同じ施設で暮らし続けることも可能です。ただし、あまりにも介護の必要性が高くなると、退去を求められる可能性があることは覚えておきましょう。
退院を控えているが帰宅後の自宅生活が不安な場合
退院を控えているが帰宅後の自宅生活が不安な場合、その方の回復状況、もしくは介護の必要度に応じて選ぶべき施設が異なります。たとえば、いずれは自宅で生活したい場合には「介護老人保健施設」でリハビリテーションを受けるといいでしょう。一方、ある程度は自立しているものの退院後に自宅で暮らすのが不安な場合には、先述した「サービス付き高齢者向け住宅」「住宅型有料老人ホーム」などもおすすめです。
もし介護の必要性が高い場合には、病院から直接「介護付き有料老人ホーム」「特別養護老人ホーム」などへ入居してもいいでしょう。
良い老人ホームの見分け方とは
せっかくなら「良い」老人ホームに入りたいと考えている方は多いでしょう。しかし「良い」の定義はさまざまで、費用を重視する方もいれば、立地を重視する方もいるでしょう。そうはいっても、次のポイントを満たした老人ホームは、誰にとっても「良い」といえるのではないでしょうか。
● 施設スタッフが親切
● 施設の雰囲気が明るい
● 個々の生活スタイルが尊重される
● 施設が清潔
● 食事が充実している
これらを満たした「良い」老人ホームを見分けるためには、やはり実際に見学に行ってみることをおすすめします。また、いくつかの施設を比較し、入居者本人が直感的に「良い」と感じた施設を選んでもいいでしょう。
老人ホームを選ぶ際に避けるべきこととは?
さて、ここまでは老人ホームを選ぶときにチェックすべきポイントについて紹介してきましたが、「避けるべきこと」についても知っておきましょう。とくに避けるべきこととしては、次の4つが挙げられます。
● 施設見学をせずに決定する
● 入居者本人の意向を聞かない
● 費用の安さだけで決めてしまう
● 将来の資金計画を立てずに決めてしまう
なぜ避けるべきなのか、それぞれ詳しく解説します。
施設見学をせずに決定する
パンフレット・ホームページの情報だけで入居先を決めようと考えている方もいるかもしれません。しかしパンフレットやホームページの情報だけでは施設・職員・入居者の雰囲気が分からず、入居してから後悔してしまう可能性もあります。
また、施設の清掃状況・設備の劣化状況・食事の味については、実際に施設見学をしてみなければ分かりません。そのため施設見学をせずに入居先を決めることは避けましょう。
入居者本人の意向を聞かない
たとえば父が要介護状態になったため、母と子が老人ホームを探すというケースも少なくありません。このような場合、子どもたちが主導して入居先を決めてしまうこともありますが、本人が入居先選びに納得していないと入居後にストレス・不満を感じる可能性が高いです。慣れない環境に適応できず、さらにストレスを感じると健康にも悪影響を及ぼすため、入居者本人の意向を聞かないで入居先を選ぶことは避けましょう。
費用の安さだけで決めてしまう
相場と比べてあまりにも低価格の老人ホームは、介護スタッフの数が不足していたり、提供サービスが制限されていたりする可能性があります。そのため費用の安さだけで入居先を決めることも避けましょう。
もっとも重要なことは、提供サービスと費用のバランスが取れているかどうかです。相応のサービスを期待する場合には、相場に沿った料金体系の老人ホームを選びましょう。
将来の資金計画を立てずに決めてしまう
将来の資金計画を立てずに入居先を決めてしまうと月額費用を支払えなくなり、退去せざるをえなくなる可能性もあります。不本意な退去を防ぐためにも、必ず資金計画を立てるようにしましょう。記事前半で紹介したとおり、無理なく支払える水準の施設を探すことがもっとも重要です。入居者本人の年金で月額費用が賄える施設がないか探してみてください。
老人ホームを決めるまでのステップ
それでは最後に、老人ホームを決めるまでのステップについて紹介します。
● 希望条件の整理
● 条件の優先順位を決定する
● 情報収集を行う
● 資料請求や見学に行く
● 体験入居をする
それぞれのステップごと、詳しく見ていきましょう。
1.希望条件の整理
まずは老人ホームに求める希望条件を洗い出してみましょう。実現できるかどうかは考えず、たとえば次のような希望を列挙してみてください。
● 月額費用はなるべく安くしたい
● 食事が美味しい施設がいい
● 今は要支援2だが、要介護度が高くなっても同じ施設で暮らしたい
● 家族が面会に来やすい立地
● トイレ・洗面所が個室にある
入居者本人の希望はもちろん、家族の希望も挙げてみてください。
2.条件の優先順位を決定する
つづいて、列挙した希望条件に優先順位をつけます。希望条件の中にはトレードオフの関係になっているものも多く、たとえば「トイレ・洗面所が個室にある」「立地がいい」といった条件を満たす施設は、どうしても月額費用が高くなってしまうでしょう。スムーズに入居先を探すためにも、絶対に譲れない条件と可能なら実現したい条件を分けて考えてみてください。
たとえば立地のいい施設や、個室環境を整えている施設は、月額費用が高い傾向にあります。このようなトレードオフの条件のうち、どちらを優先するか考えておくと、入居先を決めやすいでしょう。
3.情報収集を行う
優先順位を決めたら、どのような施設なら条件を満たせるのか、情報収集を行います。たとえば先述した「今は要支援2だが、要介護度が高くなっても同じ施設で暮らしたい」という条件を重視するなら、「住宅型有料老人ホーム」「介護付き有料老人ホーム」のいずれかを選ぶといいでしょう。
施設の種類を決めたら、スマートシニアで条件を絞って検索してみてください。スマートシニアでは施設の種類・立地・費用はもちろん、「トイレ付き居室」「風呂付き居室」「終身利用可」などの条件を加えて施設を探すことも可能です。インターネットで探した情報をもとに、ケアマネジャーや市区町村の福祉課に相談してみてもいいでしょう。
4.資料請求や見学に行く
候補を絞ったら、それぞれの施設から資料を取り寄せ、各種契約条件について確認します。このとき施設のパンフレットだけではなく、「重要事項説明書」も取り寄せてみてください。「重要事項説明書」とは、老人福祉法第29条により、介護施設が都道府県に提出する義務のある書類で、入居者にも契約前に提示されます。しかし契約直前に渡されても内容をよく確認できない可能性があるため、あらかじめ精査するためにも早いタイミングでもらっておくといいでしょう。「重要事項説明書」には職員の状況・入居率・入居者の人数・事故予防への取り組みなど、老人ホーム選びに欠かせない情報も記載されています。
また、資料請求だけではなく、実際に施設へ見学に行くことも重要です。入居者の雰囲気はもちろん、食事の味・メニューについて確認するためにも、施設の昼食時間にあわせて見学に行ってみてください。事前に伝えておけば、試食できる施設も多いです。
5.体験入居をする
入居者の体調に余裕がある場合は、体験入居もしてみてください。短期間の体験入居を経ることで、見学では知りづらい早朝・夜間の様子や、他の入居者からの口コミ、設備の使い勝手などを確認できます。とくに同じ施設で何年にもわたって暮らし続ける場合には、後悔しないためにも体験入居をしてから契約を結んだほうがいいでしょう。スマートシニアでは、体験入居可能な老人ホームのみを検索することも可能です。
まとめ
老人ホームを選ぶときに考慮すべきポイントは多岐にわたります。まずは「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「特別養護老人ホーム」など老人ホームの種類を知り、どの種類の施設が入居者の心身状態に合っているか考えましょう。
施設の種類を決めたら、費用や入退去条件、提供サービスを比べ、理想的な施設を探してみてください。入居者の要介護度が高い場合には、認知症・看取りへの対応可否や、医療体制についても調べておきましょう。
また、食事内容や周辺環境・設備の充実度・施設の雰囲気を知るためにも、一度は見学に行ってみてください。もし可能なら体験入居をしてから契約したほうが、入居後に「イメージと違った」と後悔することを防げます。
スマートシニアでは各種条件を絞って老人ホームを検索することはもちろん、プロのコンシェルジュに老人ホームの選び方について相談することも可能です。良い老人ホーム(介護施設)を選びたい、老人ホームの探し方を知りたいなど、老人ホーム選びで困っている場合にはぜひスマートシニアにお問い合わせください。
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有料老人ホームで介護士として約12年勤務した後、社会福祉士を取得。急性期病院の医療ソーシャルワーカーとして、入退院支援に携わる。現在は、スマートシニア入居相談室の主任相談員として、多数のご相談に応じている。