要介護度(介護レベル)とは?8段階の区分と利用できる介護サービスを解説

日常生活でどのくらいの介護・介助が必要になるのか客観的に示す指標として、「要介護度」という認定制度が存在します。どの「要介護度」に認定されるのかによって介護保険の支給限度額も異なるため、自分や親族が介護を必要としている場合には、制度の概要について知っておいたほうがいいでしょう。この記事では要介護度の概要や、区分ごとに利用できる介護サービスの違いについて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

要介護度(介護レベル)とは?8段階の区分と利用できる介護サービスを解説

要介護度とは?

「要介護度(介護レベル)」とは、介護サービスの必要度を判断するための指標(等級)です。「要支援」と「要介護」の2種類の区分に大別され、さらに要支援は1〜2、要介護は1〜5の等級に細分化されます。ここに、介護を必要としない「自立」区分をあわせ、合計8段階のいずれかに分類されることが特徴です。

介護保険制度に基づき「要介護認定」を申請すると、申請者の状態に応じて要介護度が決定されます。もし健康な状態であると判断されると「自立」区分とされ、介護保険サービスは利用できません。一方、要支援・要介護のいずれかに認定されると、認定された区分に応じて介護保険サービスが利用できるようになります。

要介護度の認定区分と状態の目安

それでは要介護度の8つの認定区分について、それぞれどのような状態なら認定されるのか、目安を見てみましょう。

認定区分
要介護認定等基準時間
心身の状態
自立 (非該当)
25分未満
自分で歩行・起き上がりなどの基本動作ができ、支援がなくても薬の内服など日常活動を送れる状態
要支援1
25分以上32分未満
基本動作はほぼ自分で行えるものの、薬の内服などの日常活動に見守りが必要な状態
要支援2
32分以上50分未満
基本動作はほぼ自分で行えるものの、要支援1よりさらに見守りが必要な状態 (筋力が衰えることで、歩行・立ち上がりなどの基本動作が不安定になり、将来的に介護が必要になる可能性が高い)
要介護1
薬の内服などの日常活動に必要な能力が低下し、部分的な介護が必要な状態 (認知機能の低下が見られることもある)
要介護2
50分以上70分未満
要介護1に加え、基本動作についても部分的な介護が必要な状態
要介護3
70分以上90分未満
要介護2と比べ、日常活動に必要な能力・基本動作能力が著しく低下し、ほぼ全面的な介護が必要な状態
要介護4
90分以上110分未満
要介護3に加え、さらに動作能力が低下し、介護がなければ日常生活を送ることが難しい状態 (思考力・理解力にも著しい低下が見られる)
要介護5
110分以上
介護4よりさらに動作能力が低下し、介護がなければ日常生活を送ることがほぼ不可能な状態 (コミュニケーション・意思疎通が難しいケースも多い)

要介護認定基準時間とは?

上記表中の「要介護認定等基準時間」とは、厚生労働省が定めた介護にかかる時間の目安のことです。直接生活介助・間接生活介助・BPSD関連行為・機能訓練関連行為・医療関連行為といった要素に基づき要介護認定等基準時間を算出し、介護サービスの必要度がどのくらいか、コンピュータシステムにより一次判定されます。
ただしシステムでの判定は、最終判定ではありません。システム判定を原案として、保健・医療・福祉の学識経験者が5名程度で二次判定を実施し、最終的な要介護度が決められます。

要介護と要支援の違い

介護レベルは「要介護」と「要支援」に大別されますが、これらは何が違うのでしょうか。主な違いを比較してみましょう。

比較項目

本人の状態

受けられるサービス

分類

要支援

一人での生活が可能

部分的な見守り・介助が必要

支援を適切に受ければ介護は必要ない

介護予防サービス

要支援1~2

要介護

日常生活において全般的に介護が必要

認知機能の低下が見られる

介護サービス

要介護1~5

それぞれの違いについて、さらに詳しく解説します。

要支援とは

一人での生活が可能な方は原則として、「要支援」に認定されます。たとえば日常生活のほとんどの行為は自分でできるものの、浴槽にまたいで入ることが難しかったり、一人での掃除が難しかったりする場合には、要支援1〜2に認定される可能性が高いでしょう。
なお、「要支援」に認定された場合、介護サービスは受けられません。ただし介護予防サービスを受けることは可能です。介護予防サービスの例としては、次のようなものが挙げられます。

●     介護予防訪問入浴介護

●     介護予防訪問看護

●     介護予防訪問リハビリテーション・介護予防通所リハビリテーション

●     介護予防短期入所生活介護・介護予防短期入所療養介護

●     介護予防福祉用具貸与

●    介護予防居宅療養管理指導

●    介護予防特定施設入居者生活介護

このような予防サービスを通じて、できる限り自立した生活を送り続けられることを目指すのが「要支援」状態です。

要介護とは

一人だけで生活することが難しく、日常生活において全般的に介護が必要な場合には「要介護」に認定されます。たとえば認知能力・身体能力が低下し、食事や排泄を一人で行えないような場合には要介護2、寝たきりで意思疎通も難しい場合には要介護5として認定される可能性が高いでしょう。
そして要介護に認定されると、在宅介護・施設入居などのサービスを受けられるようになります。1か月あたりの支給限度額は要介護1の場合は50,320円、要介護5なら362,170円と高額なため、自己負担を低減できることも大きなメリットだといえるでしょう。

要介護度の8段階の区分

それでは要支援1〜2、要介護1〜5、それから自立(非該当)について、それぞれどのような基準で判断されるのか見ていきましょう。

認定区分

具体な状態

要支援1

食事・排泄・入浴などは一人でできる

家事・掃除にサポートが必要

要支援2

食事・排泄・入浴などは一人でできる

家事・掃除だけではなく、歩行などにもサポートが必要

要介護1

基本的な日常生活動作には問題がない

一人で歩行できるものの杖や歩行器が必要

包丁を使うのが難しく料理ができない

要介護2

立ち上がったり歩いたりするとふらつく

自分では背中などを洗えない

身だしなみを一人で整えられない

判断能力が低下してお金の管理が難しい

要介護3

手すりなどを使用しても自分では立ち上がれない

杖を使っても自力歩行が難しい

スプーンなどを使っても自分で口元まで食事を運べない

認知症が進んで徘徊することがある

要介護4

ほとんどの日常生活動作(トイレ・入浴・食事など)を自分で行えない

介助がなければ座れない

認知症の症状が強く出ている

要介護5

食べ物を飲み込めない

自力での寝返りが難しい

24時間の介護を要する

自立

(非該当)

支援がなくても日常生活を送れる

それぞれの区分ごと、さらに詳しく解説します。

要支援1

「要支援1」は、介護(介助)の必要度がもっとも軽い状態です。食事・排泄・入浴などは一人ででき、立ち上がったり歩いたりするときにも介助は不要であるものの、家事・掃除にサポートが必要な場合には「要支援1」と認定されます。また、着替えなど少し複雑な動作が自分一人では難しい場合にも、「要支援1」と認定されることがあります。
「要支援1」と認定された方は、介護・介助の必要度がそれほど高くありません。しかし心身状態を維持・改善するためにも、適切に介護予防サービスを利用することをおすすめします。

要支援2

食事・排泄・入浴などは一人でできるものの、家事・掃除、さらには歩行などにもサポートが必要な場合は「要支援2」と認定されます。その時点では要介護とされる程の不自由はないかもしれませんが、何も対策しなければ、介護を必要とする程度まで身体機能・認知機能が低下してしまうこともあるでしょう。要介護の状態にならないよう、やはり適切に介護予防サービスを利用していくことが重要です。

なお、受けられるサービスについては、「要支援1」と「要支援2」で差はありません。ただし1か月の支給限度額は、「要支援2」のほうが2倍以上高く設定されています。(要支援1は50,320円、要支援2は105,310円)

要介護1

基本的な日常生活動作には問題ないものの、運動機能・認知機能が低下したことで一部動作に介護の必要性が生じた方は「要介護1」に認定されます。たとえば一人で歩行できるものの杖や歩行器が必要だったり、包丁を使うのが難しく料理ができなかったりする場合には「要介護1」と認定されるでしょう。また、一人で入浴できるものの浴槽をまたぐために補助が必要な場合や、身体的にはそれほど衰えがないものの、認知症の症状が日常生活に支障をきたし始めている場合も「要介護1」と判定される可能性が高いです。
そして要介護1以上に判定されると、訪問介護や通所介護(デイサービス)などの介護サービスを利用できるようになります。ただし要介護1の方は自分でできることも多いため、介護サービスの選択肢はあまり多くありません。


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要介護2

「要介護2」は軽〜中度の要介護状態の方が指定される介護レベルです。たとえば立ち上がったり歩いたりするとふらついたり、自分では背中を洗えなかったりする場合が該当します。これらの状態とあわせて、判断力・理解力が低下した結果、身だしなみを自分だけでは整えられない場合も「要介護2」と認定される可能性が高いでしょう。

「要介護2」に認定された方は、まだある程度のことは自分でもできます。しかし、だんだんと介護を必要とする場面が増え、判断能力が低下してお金の管理も難しくなるため、自宅で生活し続けることを難しく感じる方も多いでしょう。状況によっては、介護付き有料老人ホームなどへの入居を検討してみてください。(ただし「要介護2」に認定されても自宅で生活している方は少なくありません)


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要介護3

介護の必要性が中重度と判断されると「要介護3」に認定されます。たとえば手すりなどを使用しても自分では立ち上がれない場合や、杖を使っても自力歩行が難しい場合、スプーンなどを使っても自分で口元まで食事を運べない場合、認知症が進んで徘徊することがある場合などは、「要介護3」に認定される可能性が高いでしょう。

このように「要介護3」に認定されるのは、一人で生活できないレベルの状態の方々です。認知症の方や車いすを利用している方も多く、自宅での生活は現実的ではありません。そのため「要介護3」に認定されると、特別養護老人ホーム(特養)の利用申し込みができるようになります。


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要介護4

病気・加齢などで身体機能・判断能力が大きく低下し、ほとんどの日常生活動作(トイレ・入浴・食事など)を自分で行えない場合、「要介護4」に認定されます。たとえば歩行だけではなく座るにも介助が必要だったり、認知症の症状が強く出ていたり、理解力・判断力が低下していてコミュニケーションが難しい場合には「要介護4」と認定される可能性が高いでしょう。
また、特別養護老人ホームの中には要介護4〜5の方を優先して入所させている施設もあるため、要介護3の方より有利な扱いを受ける場面も出てくるかもしれません。


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要介護5

介護区分の中で、もっとも重度と判断された場合に認定されるのが「要介護5」です。24時間の介護を要し、一人で生活することが困難な場合に認定されます。たとえば食べ物を飲み込めない場合や、自力での寝返りが難しい場合には、「要介護5」に認定される可能性が高いでしょう。
同居家族の負担も非常に大きく、基本的には特別養護老人ホームや介護老人保健施設への入居を検討することになります。


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要介護5とは?

自立

ここまで紹介した要支援・要介護の状態に該当しない方は、「自立」していると判断されます。多少の不自由があるものの、一人でも支障なく日常生活を送れる場合には「自立」と判断される可能性が高いです。もし要支援・要介護と認定されなかったとしても、一人での生活に不安がある場合には、自立した高齢者の入居を前提とした住宅型有料老人ホームなどへの入居を検討してみてください。

 

介護レベル別の区分支給限度基準額とサービスの目安


介護レベルごと、1か月あたりの区分支給限度基準額が次のように定められています。区分支給限度基準額とは、要介護度のレベル別に定められている、介護保険サービスが利用できる上限のことです。この基準額の範囲内なら、1〜3割の自己負担で介護保険サービスを利用できます。

 

支給限度額

(1か月あたり)

自己負担額

(1割)

自己負担額

(2割)

利用できるサービス回数の目安

要支援1

50,320円

5,032円

10,064円

週2~3回程度

要支援2

105,310円

10,531円

21,062円

週3~4回程度

要介護1

167,650円

16,765円

33,530円

1日1回程度

要介護2

197,050円

19,705円

39,410円

1日1~2回程度

要介護3

270,480円

27,048円

54,096円

1日2回程度

要介護4

309,380円

30,938円

61,876円

1日2~3回程度

要介護5

362,170円

36,217円

72,434円

1日3~4回程度

なお、利用できるサービスは、要支援の場合は「介護予防サービス」、要介護の場合は「介護サービス」です。また、区分支給限度基準額は「円」ではなく「単位」で定められていますが、この表では便宜的に単位をすべて「円」で統一しています。(1単位=10円)

要介護度が高いほど支給限度額が増え多くのサービスが利用できる

上記の表のとおり、介護度が上がるにつれてサービス限度額も増額され、多くのサービスが利用できるようになります。しかし、限度額内でどのくらいのサービスを受けられるのか、介護制度に詳しくない方はよく分からないかもしれません。
もし自分で限度額内に収まる最適な介護プランを立てられない場合は、ケアマネジャー(介護支援専門員)に相談してみてください。ケアマネジャーに相談すれば、各介護度の限度額(上限単位)の範囲内で、各人に適切なサービスプランを計画してくれます。

要支援で受けられる介護サービス

さて、もし「要支援」と認定された場合、どのような介護サービスを受けられるのか、気にしている方もいるでしょう。厳密にいうと、「要支援」の方は「介護サービス」ではなく、次の2つのサービスを受けることができます。

●     介護予防サービス

●     地域密着型介護予防サービス

それぞれ詳しく見ていきましょう。

介護予防サービス

介護予防サービスは純粋な「介護」ではなく、身体機能などが低下して介護が必要な状態になることを防ぐために提供されるサービスです。保険給付の対象とされている介護予防サービスとしては、次の12種類が挙げられます。

●     介護予防訪問入浴介護

●     介護予防訪問看護

●     介護予防訪問リハビリテーション

●     介護予防居宅療養管理指導

●     介護予防通所リハビリテーション

●     介護予防短期入所生活介護

●     介護予防短期入所療養介護

●     介護予防特定施設入居者生活介護

●     介護予防福祉用具貸与

●     特定介護予防福祉用具販売

たとえば「ヘルパーさんに訪問してもらい、料理や掃除を手伝ってもらう」「週に何回かデイサービスに通い、リハビリをする」といったサービスが代表的です。

地域密着型介護予防サービス

先述した「介護予防サービス」は、全国一律で提供されているものです。一方、できる限り住み慣れた地域で暮らし続けられるように、市町村単位でもサービスが提供されています。それが「地域密着型介護予防サービス」です。保険給付の対象とされている地域密着型介護予防サービスとしては、次の3種類が挙げられます。

●     介護予防認知症対応型通所介護

●     介護予防小規模多機能型居宅介護

●     介護予防認知症対応型共同生活介護

なお、地域密着型介護予防サービスは原則として、サービス提供事業者の所在する市町村に住む人を対象としています。つまり、隣の市町村にある事業所のサービスは利用できません。たとえば認知症対応型共同生活介護(グループホーム)への入居を検討している場合などは、お住まいの市町村内で施設を探すようにしましょう。

要介護で受けられる介護サービス

「要介護」に認定されると、非常にさまざまな介護サービスを受けられるようになります。

●     居宅サービス

●     施設サービス

●     地域密着型介護サービス

それぞれどのような介護サービスなのか、詳しく見ていきましょう。

居宅サービス

居宅サービスはその名のとおり、自宅で暮らしながら受けられる介護サービスです。利用できる方は「要介護と認定された居宅で生活を送る人」とされています。なお、ここでいう「居宅」には、自宅だけではなく軽費老人ホーム・有料老人ホームなどの居室も含まれます。

居宅サービスはその提供方法によって、次の3種類に分けられることも特徴です。

●     訪問系サービス

●     通所系サービス

●     宿泊系サービス

それぞれ具体例とあわせて見ていきましょう。

訪問系サービス

サービス利用者の自宅に専門職が訪れるサービスは「訪問系サービス」と呼ばれます。代表例は次のとおりです。

●     訪問介護

●     訪問入浴介護

●     訪問看護

●     訪問リハビリテーション

たとえば訪問介護を利用すれば、介護福祉士・訪問介護員が訪問して入浴・排泄・食事の介護をしてくれます。訪問看護を利用すれば、看護師・准看護師・保健師・理学療法士・作業療法士などに訪問してもらうことも可能です。(ただし訪問看護を利用するためには、主治医から必要性を認めてもらう必要があります)

通所系サービス

要介護と認定された方が何らかの施設に通うサービスは、「通所系サービス」と呼ばれます。代表例は次のとおりです。

●     通所介護

●     通所リハビリテーション

通所介護とは、老人デイサービスセンターなどで提供される入浴・排泄・食事などの介護や、日常生活を送るために必要なサービス・機能訓練などのことを指します。普段は自宅で暮らしつつ、外部の施設へ通ってこれらのサービスを受けることも可能なのです。
一方、通所リハビリテーションとは、介護老人保健施設・病院・診療所などで提供されるリハビリテーションで、利用者の心身機能の維持回復・日常生活の自立サポートを目的としています。普段は有料老人ホームで暮らしており、リハビリテーションは病院に通うという人も、通所リハビリテーションの対象です。

宿泊系サービス

施設に泊まって受けるサービスは「宿泊系サービス」と呼ばれます。代表例は次のとおりです。

●     短期入所生活介護

●     短期入所療養介護

特別養護老人ホームなどの施設で短期間生活し、入浴・排泄・食事などの介護はもちろん、日常生活を送るうえで必要なサービス・機能訓練を受けるのが「短期入所生活介護」です。一方「短期入所療養介護」では、介護老人保健施設などの施設で医学的管理が必要な介護・機能訓練・医療サービスなどを受けます。どちらも居宅で生活している方が対象です。

施設サービス

介護保険法に基づいて介護保険サービスを利用することのできる公的な入居施設が「介護保険施設」です。介護保険施設には、指定介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院の3種類があり、これら施設で受けられる保険給付対象のサービスが「施設サービス」と呼ばれています。

●     介護福祉施設サービス

●     介護保健施設サービス

●     介護医療院サービス

たとえば、都道府県知事が指定した介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で受けられるのが介護福祉施設サービスです。

地域密着型介護サービス

市町村単位で提供されている介護サービスが「地域密着型介護サービス」です。要支援の方が受けられる「地域密着型介護予防サービス」と比べると、そのサービス内容は多岐にわたります。

●     定期巡回・随時対応型訪問介護看護

●     夜間対応型訪問介護

●     地域密着型通所介護

●     療養通所介護

●     認知症対応型通所介護

●     小規模多機能型居宅介護

●     認知症対応型共同生活介護

●     地域密着型特定施設入居者生活介護

●     地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

●     看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

介護を必要としているものの、できる限り住み慣れた地域で暮らし続けたいという場合には、ぜひ地域密着型介護サービスを活用してみてください。

介護レベル別に使える福祉用具の例

介護保険制度では、居宅サービスの一種として「福祉用具貸与」「特定福祉用具販売」という制度も定められています。介護レベルに応じて、補助を受けながら福祉用具をレンタル・購入できるということです。介護レベル別にどのような規定があるのか、詳しく見ていきましょう。

レンタルできる福祉用具

「福祉用具貸与」制度を利用すれば、利用者の心身の状況・希望・環境などをふまえ、次の13種類の物品をレンタルできます。

貸与される物品
対象
機能・構造の条件
要支援
要介護
1
2
3
4
5
車いす


次のいずれかに限る   自走用標準型車いす 介助用標準型車いす 普通型電動車いす
車いす付属品


車いすと一体的に使用するものに限る クッション・電動補助装置など
特殊寝台


サイドレール(柵)がついている(または後付けができる) 背上げ・脚上げ・高さ調整のいずれかの機能を備えている
特殊寝台付属品


特殊寝台と一体的に使用されるものに限る マットレス・サイドレール・テーブル・介助用ベルトなど
床ずれ予防用具


次のいずれかに限る   送風装置・空気圧調整装置を備えた空気マット(エアマットレス) 水などの減圧による体圧分散効果がある全身用マットレス
体位変換器


空気パッドなどを身体の下に挿入することで、容易に要介護者の体位を変換できる機能があるもの (起き上がり補助装置・寝返り介助パッドなど)   体位保持のみを目的とするものを除く
手すり
工事せずに設置できるものに限る
スロープ
段差解消を目的とし、工事せずに設置できるものに限る
歩行器
歩行機能を補う機能を有しており、なおかつ移動時に体重を支える構造の製品のうち、次のいずれかに該当するものに限る   車輪を有する場合:体の前・左右を囲む把手などがあるもの 四脚を有する場合:上肢で保持して移動させられるもの
歩行補助つえ
次のいずれかに限る   松葉づえ カナディアン・クラッチ ロフストランド・クラッチ プラットホーム・クラッチ 多点杖
認知症老人徘徊感知機器


認知症外出通報システムや離床センサーなど、認知症患者が屋外へ出ようとした場合などに家族・隣人などへ通報するもの
移動用リフト (つり具の部分を除く)


自力移動が難しい人を補助する機能をもつ製品で、次の条件を満たすもの   取付け時に住宅の改修工事が不要 床走行式・固定式・据置式のいずれか 身体をつり上げるか、体重を支える構造を有するもの   (貸与対象は本体のみで、つり具部分は特定福祉用具販売の対象です)
自動排泄処理装置
排便機能あり
尿・便が自動的に吸引される機能があり、なおかつ尿・便の経路となる部分を分割することが可能な構造のもの   居宅要介護者・介護者が容易に使用できるもの   交換可能部品を除く(交換可能部品は特定福祉用具販売の対象です)




それ以外


レンタルにかかる費用の1割(所得によっては2割または3割)が利用者の自己負担額です。先述したとおり、要介護度別に1か月あたりの支給限度額が決まっているため、他の介護サービスとどのように組み合わせるかケアマネジャーなどと相談してみてください。

購入できる福祉用具

「特定福祉用具販売」制度を活用すれば、入浴・排泄などに用いるレンタルに適さない福祉用具を自己負担を抑えて購入することもできます。利用者が購入費用の全額を支払った後、費用の9割(所得によっては8割または7割)が介護保険から払い戻される「償還払い」であることは覚えておきましょう(同一年度に購入できるのは10万円まで)対象は下記の9品目です。

購入できる物品

機能・構造の条件

腰掛便座

次のいずれかに限る

 

和式便器の上に設置して腰掛式に変換するもの(高さを補うものを含む)

洋式便器の上に設置して高さを補うもの

電動式またはスプリング式で、便座から立ち上がる動作を補助するもの

便座・バケツなどで構成されている、移動可能な便器(水洗機能を有する便器を含む)(居室で利用可能なものに限る)

 

※設置費用については保険給付の対象となりません

自動排泄処理装置の交換可能部品

尿・便が自動的に吸引されるもので、居宅要介護者・介護者が容易に使用できるもの

排泄予測支援機器

利用者が常時装着することで膀胱内の状態を感知し、尿量を推定するもので、一定量に達したと推定された場合には排尿機会を居宅要介護者・介護者に自動通知するもの

 

※専用ジェルなど装着時に消費するものや、専用シートなどの関連製品は対象外

入浴補助用具

入浴時に座位の保持・浴槽への出入りなどを補助する用具で、次のいずれかに該当するもの

 

入浴用椅子(座面の高さが概ね35cm以上またはリクライニング機能があるもの)

入浴台(浴槽の縁にかけることで、浴槽への出入りを容易にするもの)

浴槽用手すり(浴槽の縁を挟み込んで固定できるもの)

浴室内すのこ(浴室内に設置することで、浴室の床の段差を解消できるもの)

浴槽内椅子(浴槽内に置いて利用できるもの)

浴槽内すのこ(浴槽内に置いて浴槽の底面の高さを補うもの)

入浴用介助ベルト(居宅要介護者の身体に巻き付けて使用し、浴槽への出入りを容易に介助できるもの)

簡易浴槽

容易に移動できる空気式・折りたたみ式などのもので、取水・排水工事が不要なもの

 

※必要があれば居室での入浴が可能なもの

※硬質の材質であっても、使用しないときには立て掛けて収納できるものなども対象

移動用リフトのつり具部分

移動用リフトに連結可能で、身体に適合するもの

固定用スロープ

主に敷居などの小さな段差の解消に使用し、頻繁な持ち運びが不要なもの

 

※設置・撤去・持ち運びできる可搬型のものは除く

歩行器

脚部が杖先ゴムなどの形状となる固定式または交互式歩行器

 

※車輪・キャスターがついた歩行車は除く

歩行補助つえ

次のいずれかに限る

 

カナディアン・クラッチ

ロフストランド・クラッチ

プラットホームクラッチ

多点杖

 

※松葉杖は除く


 要介護認定からの介護サービス利用までの流れ

要介護認定を受けてから介護サービスを利用するまでの流れは、おおむね次のとおりです。

●     地域包括支援センターや自治体の窓口に相談する

●     自治体の介護保険窓口へ要介護認定の申請を行う

●     ケアプランの作成をしてサービス利用開始

それぞれのステップごと、詳しく見ていきましょう。

STEP1.地域包括支援センターや自治体の窓口に相談

介護サービスを受けたい場合、まずは地域包括支援センターや自治体の「介護保険担当窓口」に行き、介護が必要な旨を相談します。相談内容の結果、介護サービスが必要であると判断されれば、要介護認定の申請に必要な手続きを案内してもらえるでしょう。
なお地域包括支援センターとは、介護関連の専門家(ケアマネジャー・社会福祉士・保健師など)が高齢者の健康・生活全般に関する相談を受け付けている、市町村が設置主体の機関です。各市区町村に設置されているため、自宅の近くにないか探してみてください。

STEP2.自治体の介護保険窓口へ要介護認定の申請を行う

つづいて、自治体の介護保険窓口へ要介護認定の申請を行います。自分での申請が難しい場合は、居宅介護支援事業所に代行してもらってもいいでしょう。申請に必要な書類は次のとおりです。

●     要介護・要支援認定申請書

●     介護保険被保険者証(40歳以上65歳未満の方は、加入している公的医療保険の保険証)

●      マイナンバーカード(マイナンバー通知カード+本人確認書類)

申請後は記事前半で触れたとおり、まずはコンピューターによって一次判定が実施されます。機械的な判定に不安を感じる方もいるかもしれませんが、コンピューターの判定だけで結果が決まることはなく、介護認定審査会による二次判定で介護レベルが決まるため安心してください。

STEP3.ケアプランの作成をしてサービス利用開始

要介護認定を受けたら、その介護レベルをもとに、介護目標・必要なサービスをまとめた「ケアプラン」を作成します。要介護に認定された場合は居宅介護支援事業所に、要支援に認定された場合は地域包括支援センターのケアマネジャーに依頼して、プランを作成してもらいましょう。
このケアプランをもとに介護サービスを利用することになるため、なるべく家で暮らし続けたいのか、それとも施設に入りたいのか、本人・家族それぞれがケアマネジャーに希望を伝えることをおすすめします。

要介護度別おすすめの老人ホーム

さて、要支援・要介護認定を受けたら、高齢者向けの施設へ入居しようと考えている方もいるかもしれません。しかし高齢者向けの施設といっても、認定された介護レベルや入居者の状態によって、それぞれ適した施設は異なります。

●     要支援~要介護2の方は「住宅型有料老人ホーム」

●     要介護3~5の方は「介護付き有料老人ホーム」

●     認知症の方は「グループホーム」

●     自立の方は「サービス付き高齢者向け住宅」

それぞれの施設の特徴を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

要支援~要介護2の方は「住宅型有料老人ホーム」

要支援〜要介護2の方は、自立した方〜軽中度の要介護状態の方を受け入れている「住宅型有料老人ホーム」への入居がおすすめです。介護サービスそのものは施設ではなく近隣の介護事業所へ委託することになるため、入居者の状態にあわせて利用したいサービスを自由に選択できます。

イベント・レクリエーションが充実しているため、心身の状態を保ちやすいこともメリットといえるでしょう。なお、住宅型有料老人ホームに入居したとしても「居宅」扱いとなるため、各種居宅サービスを受けられます。

要介護3~5の方は「介護付き有料老人ホーム」

要介護3〜5の方は、特養などへの入居を検討しているかもしれません。しかし特養は人気が高く、なかなか入居できないこともあるでしょう。もしすぐに高齢者向け施設へ入りたい場合は、介護の必要性が高い方を受け入れている「介護付き有料老人ホーム」を選んでみてください。

住宅型と異なり、介護付き有料老人ホームは施設として介護サービスを提供しています。介護保険サービスは定額であるため、予算を気にせずに介護を受けられることは大きなメリットだといえるでしょう。


認知症の方は「グループホーム」

認知症の方は、5人〜9人程度の認知症患者やユニットをつくり、専門職員からサポートを受けて共同生活する「グループホーム」を利用するといいでしょう。認知症患者は、必ずしも日常生活のすべての場面で介護が必要となるわけではありません。そのためグループホームでは、各入居者の症状・心身状態に応じて、料理や選択などを役割分担しながら暮らしています。自分ができることは自分ですることで、認知症の進行を緩やかにしつつ、必要に応じて専門職員のサポートを受けられることがグループホームならではのメリットです。

なお、グループホームは記事前半で紹介した「地域密着型」のサービスであるため、施設の所在する市町村に住民票がある認知症患者が利用対象とされています。そのため入居先を探すときは、市町村単位で条件を絞ってみてください。


自立の方は「サービス付き高齢者向け住宅」

介護認定等級を受けるほどではない、つまり自立していると判断されたものの、自宅での生活に不安を感じる方もいるでしょう。そのような方には「サービス付き高齢者向け住宅(通称:サ高住)」がおすすめです。
サ高住はあくまでも介護施設ではなく「高齢者向けの賃貸住宅」ですが、安否確認サービス・生活相談サービスを受けられるため、高齢者だけでの暮らしに不安を抱えている場合に最適な施設だといえるでしょう。配偶者と二人で入居することも可能であるため、老後の住まいとしてもおすすめです。
なお、将来的に要介護度が高くなった場合には、退去・転居を求められることもあります。長期にわたって住み続けるためには、そのまま要介護認定を受けずに済むよう、心身の健康に気を使っておきましょう。



まとめ

要介護度は要支援1〜2、要介護1〜5まで分かれており、認定されたレベルに応じて、受けられるサービス・補助に差があります。また、どの介護等級に認定されるのかによって、入居すべき高齢者向け施設が異なることも覚えておきましょう。スマートシニアでは住宅型有料老人ホーム・介護付き有料老人ホーム・グループホーム・サービス付き高齢者向け住宅をそれぞれ検索することも可能なので、ご自身・ご家族の介護レベルに応じて条件を絞り、最適な施設を探してみてください。

 


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