要介護5とは?状態やもらえるお金、平均寿命について解説します
要介護5は要介護認定のなかでもっとも重い区分です。そのため手厚い介護サービスが必要な状態であることは、多くの方がイメージできるでしょう。しかし具体的にどのような状態なのか、認定を受けてからどのくらい生きられるのかなど、詳しい情報は知らないという方が多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、要介護5がどのような状態なのかについて詳しく解説します。他人には聞きづらい「もらえるお金」や「寿命」についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

要介護5とは
要介護5は、7段階に分けられている要介護区分の中で、最も重度な状態です。日常生活のすべてのことに介助が必要になり、認知症が進行してコミュニケーションを取ることが困難な状態や寝たきりの人が多くなります。寝たきりの人に対して、褥瘡予防のため定期的な体位交換が必要な場合も多く、夜間帯にも介護が必要です。
要介護5の身体の状態
要介護5の方の身体状況には、以下のような状態が考えられます。
● 身体を起こして座っていられない
● 意思疎通ができない
● 嚥下状態が悪く、飲み物や食べ物を飲み込むことができない
● 自力で寝返りができない
● 排泄・入浴など、日常生活全般に介助を必要とする
要介護5は24時間介助が必要な状態
厚生労働省が2019年に調査した介護時間割合(介護度別)によると、要介護5の介護に要する時間は「ほとんど終日56・7%」「半日程度12.8%」と、約70%の人が終日介護に時間を費やしているということがわかりました。
24時間常に介助が必要になるため、家族や介護者が主に介護する場合、介護保険サービスを最大限に利用しなければ、体力的・精神的にも負担が大きく、在宅介護の継続が難しくなります。
そのため、施設への入居を検討する方も少なくありません。主な入居先には、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護付き有料老人ホーム・介護医療院などがあります。ただし、医療的ケアが必要な場合、入所申し込みできる施設が限られるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
要介護5の寿命
要介護5と認定された場合の寿命がどのくらいなのか、気になる方は多いでしょう。しかし要介護5と認定された方の平均寿命に関する具体的な統計データは、厚生労働省などの公的機関からは公表されていません。ただし、厚生統計協会が発表した研究結果「要介護度の経年変化」によると、要介護5に認定された方の生存率は観察開始2年後に約50%に達するとされています。つまり2年で半数は亡くなっているということです。
生存率はその後、3年後に約40%、5年後に20%、9年後に約10%と推移します。要介護4以下と比べると、要介護5と認定された方のほうが生存率は低下しやすいため寿命は短い傾向にあるといえますが、要介護5と認定されたからといって必ずしも数年で亡くなるわけではありません。そのため現実的には、数年以上寿命が続くことも鑑みて、介護施設へ入居したほうが安心でしょう。
要介護5の認定基準
要介護5は、要介護認定時に要介護基準時間が「110分以上」と判定された方が認定されます。脳血管障害や怪我などが原因で入院した際、一時的に要介護5の認定が出る場合もあります。
要介護認定基準とは
1日に必要な介護の時間のことを「要介護認定等基準時間」といいます。
介護区分別の要介護認定基準時間は次のように定められています。
認定区分 | 要介護認定等基準時間 |
自立 (非該当) | 25分未満 |
要支援1 | 25分以上32分未満 |
要支援2 | 32分以上50分未満 |
要介護1 | |
要介護2 | 50分以上70分未満 |
要介護3 | 70分以上90分未満 |
要介護4 | 90分以上110分未満 |
要介護5 | 110分以上 |
認定調査では、全74項目の基本調査と特記事項・心身の状況の聞き取りや動作確認をして、コンピューターによる一次判定を行い、その後、主治医の意見書・認定調査の特記事項などを加味して要介護判定が決定する仕組みです。
要介護認定基準時間を算出する際は、以下の点から判断されます。
● 直接生活介助:入浴・食事・排泄などの介護
● 間接生活介助:洗濯・掃除などの家事援助など
● 問題行動関連介助:俳諧に対しての探索・不潔行為に対する後始末など
● 機能訓練関連行為:歩行訓練・日常生活訓練などの機能訓練
● 医療関連行為:輸液管理・褥瘡処置などの診療補助など
参照:厚生労働省「用語の説明」
上記表に分類されている介護の時間を換算し算出しています。
要介護5の主な原因
要介護5と認定されるきっかけとなった原因としては、主に次の3つが挙げられます。
- 脳血管疾患(脳卒中)|24.7%
- 認知症|24.0%
- 高齢による衰弱|8.9%
脳血管疾患(脳卒中)による後遺症で要介護5と認定される方は、全体の約1/4を占めています。そして認知症に起因する方も約1/4を占めており、これら高齢者に多い疾患のリスクは非常に高いといえるでしょう。ただし、これら疾患に罹らなかったとしても、高齢による衰弱によって要介護5に至るケースも珍しくはありません。
参考:厚生労働省|介護の状況
要介護5と要介護4の違い
要介護4と要介護5はどちらも手厚い介護サービスを必要とする状態ですが、具体的にどのような違いがあるのか比較してみましょう。
介護区分 | 要介護認定の目安 | 具体的な状態 |
要介護4 | 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満 要介護3よりも動作能力が低下している 思考力・理解力も著しく低下している | ほぼすべての日常生活動作(トイレ・入浴・食事など)が自力で行えない 介助がなければ座れない 認知症の症状(徘徊・妄想など)が強い |
要介護5 | 要介護認定等基準時間が110分以上 要介護4よりも動作能力が低下している | 食べ物を飲み込めない 自力での寝返りも難しい コミュニケーション・意思疎通が難しい |
要介護4と認定された方はほぼすべての日常生活動作(トイレ・入浴・食事など)が自力で行えず、介助がなければ座ることもできません。徘徊・妄想など認知症の症状が強く出ていることもあります。ただし心身の状態によっては自分でできることもあり、時間帯によっては意思疎通できるケースもある点が特徴です。
一方、要介護5は要介護4よりも動作能力が低下し、食べ物を飲み込めなかったり、自力での寝返りも難しい状態を指します。自力で身体を動かせないため徘徊などのリスクは下がりますが、24時間体制で介護を受けなければ生活は難しいでしょう。
要介護5で利用できるサービス
要介護5は、区分支給限度額が最大で支給されるため、利用できるサービスは多岐にわたります。ただし、買い物や掃除などの生活援助を中心とした訪問介護の利用には、制限があるため注意が必要です。
利用できるサービスは以下の通りです。
サービスの種類 | 利用できるサービス |
訪問型サービス | 訪問介護(夜間対応型含む) 訪問看護 訪問入浴 訪問リハビリ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 居宅療養管理指導 |
通所型サービス | 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ(デイケア) 地域密着型通所介護(デイサービス) 認知症対応型通所介護(認知症デイサービス) 療養通所介護 |
短期入所型サービス | 短期入所生活介護(ショートステイ) 短期入所療養介護(療養型ショートステイ) |
公的施設サービス | 特別養護老人ホーム 地域密着型特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 軽費老人ホーム 養護老人ホーム 介護療養型医療院 介護療養院 |
民間施設サービス | 有料老人ホーム サービス付き高齢者住宅 認知症対応型共同生活介護 |
複合型サービス | 小規模多機能型居宅介護 看護小規模多機能型居宅介護 |
その他 | 福祉用具貸与 特定福祉用具販売 住宅改修 |
上記一覧のなかでも、利用頻度が多くなると思われるサービスを紹介します。
在宅介護サービス
在宅介護サービスは、その名のとおり居宅で受けるサービスです。居宅には自宅だけではなく、住宅型有料老人ホームなども含みます。主なサービスは次のとおりです。
● 訪問介護(ヘルパー)
● 訪問看護
それぞれどのようなサービスなのか見ていきましょう。
訪問介護(ヘルパー)
訪問介護とは、介護が必要な高齢者や障がい者の自宅にヘルパーが訪れ、日常生活を支援するサービスです。要介護5の方は、排泄介助が必要な場合が多く、身体介護の利用回数が増えるでしょう。他にも、食事・入浴・更衣介助など日常生活の世話にヘルパーが必要です。
また、デイサービスの送り出しや迎え入れなど、多様な利用方法があります。
訪問看護
訪問看護は、自宅を訪問し日常的な体調管理や内服の管理を行います。また、医師からの指示を受けて、医療的ケアを提供します。例えば、在宅酸素・胃ろう・喀痰吸引・褥瘡処置などがあり、体調が急変したときなどの緊急時にも対応可能です。
施設介護サービス
施設介護サービスは、下記の公的施設に入居して介護を受けることを指します。
● 特別養護老人ホーム(特養)
● 介護老人保健施設(老健)
● 介護医療院
それぞれの施設の概要を紹介します。
特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホームとは、要介護3以上の方が利用できる公的な介護施設です。終身にわたり利用できる反面、入居希望の方が多く、入所までに待機期間が発生することもあります。
日中は、看護師も配置されていますが、夜間は不在となる特養も多く、医療的ケアが必要な方は利用が難しくなります。
介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設は、要介護1~5の方が利用できる、リハビリを目的とした施設です。在宅復帰を目標に掲げており、長期間の入所はできません。
ケガや骨折により一時的に介護度が高くなっている場合には、機能回復を目的に利用すると良いでしょう。定期的に利用者が入れ替わるため、待機期間は少ない傾向です。
介護医療院
要介護1以上で長期にわたり医療・介護の両方を必要とする高齢者を対象とした施設です。しかし、全国的に施設数が少ないため、入所を希望しても近隣にない場合や、待機期間が長くなることがあります。
福祉用具に関するサービス
要介護5と認定された場合、下記のような福祉用具に関するサービスも受けられます。
● 車いす貸与
● 特殊寝台貸与
● 自動排泄物処理装置
それぞれのサービス内容を紹介します。
車いす貸与
要介護5の方は、下肢の筋力低下や疾患により、歩行困難な場合がほとんどです。そのため、移動には車いすが必要になるでしょう。一般的なタイプからリクライニング・ティルト式、ベッド一体型のものなど、さまざまな種類があります。
特殊寝台貸与
特殊寝台とは、ベッド自体の高さや頭・足元などをモーターを使って昇降可能な介護用ベッドのことを言います。要介護5の方は、寝て過ごすことが多くなるため、ベッドのレンタルは必要になるでしょう。
自動排泄物処理装置
寝たきりや自力で排泄が困難な方が利用する福祉用具です。センサーが感知し、自動で排泄物を吸引します。自動排泄物処理装置は、ポンプとタンクで構成された本体と排泄物を吸収(受ける)するレシーバーで構成されています。
要介護4・5の方は、購入・レンタル共に利用できます。ただし、レシーバーは購入になるため注意が必要です。自動排泄物処理装置を利用すると、介護者の介護負担軽減につながるでしょう。
要介護5でもらえるお金はある?
要介護5はもっとも重い介護区分ですが、介護用具購入・介護予防住宅改修に対する補助以外に、直接給付金をもらうことはできません。公的介護保険はあくまでも介護サービスという現物を給付する制度であるためです。給付限度額は介護区分ごとに定められており、要介護5の限度額は非常に高いため、1〜3割の自己負担で寝たきり状態に対する介護を受けられることは知っておきましょう。
要介護4の区分支給限度額
介護度別の区分支給限度額は以下の通りです。
7段階に分かれている要介護区分の中で、要介護5は最大の支給額となります。
要介護5の区分支給限度額は「36,217単位」で、1ヶ月に36,217単位分の介護保険サービスを受けることができます。
介護区分 | 区分支給限度額 |
要支援1 | 5,032単位 |
要支援2 | 10,531単位 |
要介護1 | 16,765単位 |
要介護2 | 19,705単位 |
要介護3 | 27,048単位 |
要介護4 | 30,938単位 |
要介護5 | 36,217単位 |
要介護5の区分支給限度額を金額に換算すると以下の通りです。
要介護区分 | 介護負担割合 | 自己負担額 |
要介護5 | 1割負担 | 36,217円 |
2割負担 | 72,434円 | |
3割負担 | 108,651円 |
区分支給限度額を超えてサービスを利用した場合は、超過分が全額自己負担となるため注意が必要です。
要介護5の方に必要な介護費用例
要介護5の方が介護サービスを利用した場合、必要な費用例を見ていきましょう。
在宅介護で必要な費用の例
➀平日デイサービスを中心に、入浴・食事などのサービスを利用する場合
介護サービス (1週間の利用内容) | サービス単位×回数 (ひと月の合計) | 合計金額 | 1ヶ月の合計金額 |
デイサービス|通常規模 (週5日:7~8時間) | 1,142単位×20回 | 22,840円 | 32,460円 |
訪問介護|朝・晩 (週2日:身体介護60分) | 396単位×16回 | 6,336円 | |
訪問看護 (週1日:60分) | 821単位×4回 | 3,284円 |
※自己負担額1割の場合
※加算などは含まない
②隔週でショートステイを利用する場合
介護サービス (1週間の利用内容) | サービス単位×回数 | 合計金額 | 1ヶ月の合計金額 |
ショートステイ|老健 (7日間:基本型多床室) | 1,045単位×14回 | 14,630円 | 29,276円 |
デイサービス|通常規模 (週5日:7~8時間) | 1,142単位×10回 | 11,420円 | |
訪問介護|朝・晩 (週2日:身体介護60分) | 396単位×4回 | 1,584円 | |
訪問看護 (週1日:60分) | 821単位×2回 | 1,642円 |
※自己負担額1割の場合
※加算等含まない
※ショートステイ時に必要な居住費・食費は含まない
※ショートステイを1週間おきで利用のため、その他サービスは2週間分で計算
施設介護で必要な費用の例
➀特別養護老人ホームを利用した場合
介護サービス費 (自己負担割合1割) | 食費 | 居住費 ユニット型(個室) | 1ヶ月の合計金額 |
27,870円 (929円/日) | 43,350円 (1,445円/日) | 60,180円 (2,006円/日) | 131,400円 |
※加算等含まない
※その他消耗品などの費用あり
参照:厚生労働省「介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」
②介護老人保健施設(基本型)を利用した場合
介護サービス費 (自己負担割合1割) | 食費 | 居住費 | 1ヶ月の合計金額 |
30,090円 (1,003円/日) | 43,350円 (1,445円/日) | 従来型個室 50,040円 (1,668円/日) | 123,480円 |
多床室 11,310円 (377円/日) | 84,750円 |
※加算等含まない
※その他消耗品などの費用あり
②介護付き有料老人ホームを利用した場合
民間の介護施設は、料金設定が地域性や事業所によって大きく異なるため、おおまかな費用を載せています。
入居一時金 | 介護サービス費 (自己負担割合1割) | 家賃 | 管理費 | 食費 | その他 |
0~数千万円 | 24,210円 | 施設により異なる | 数千~数万円 | 数万円程度 | 上乗せサービス費 横出しサービス費 など |
※加算等含まない
※その他消耗品などの費用あり
参照:厚生労働省「介護報酬の算定の構造」 介護保険サービスコード表
要介護5で受けられる助成制度
要介護5と認定されても原則として給付金はもらえないと紹介しましたが、いくつかの助成制度を受けることは可能です。
● 住宅改修にかかる介護保険給付
● 障害者控除
● 紙おむつ代の助成
● 高額介護サービス費
それぞれの制度について詳しく見ていきましょう。
住宅改修にかかる介護保険給付
在宅生活を継続するために、介護保険を利用して不便な箇所の住宅改修を行うことができます。住宅改修の内容は以下の通りです。
● 手すりの取り付け
● 段差の解消
● 滑り防止や移動を円滑にするため床や通路面の材料変更
● 扉を引戸へ取替
● 洋式便器へ取替や位置・向きの変更
● 上記の各工事に付帯して必要と認められる工事
住宅改修費の支給上限は20万円です。利用は一人1回が基本ですが、20万円までであれば、複数回に分けて利用できます。また、介護度が3段階以上上がった場合や、引っ越しをした際は、再度20万円まで利用可能です。
介護保険を利用した住宅改修の場合、支払いは負担割合によって1〜3割で利用できます。また、償還払いと受領委任払のどちらかを選べます。
障害者控除
納税者自身や同一生計配偶者、または扶養親族が、所得税法上の障害者に当てはまる場合、一定の所得控除を受けることができます。
紙おむつ代の助成
各自治体で実施されており、利用方法は様々です。例えば以下の通りです。
● 介護用品と引きかることができる給付券を発行している(大阪市)
● 紙おむつを現物支給している(世田谷区)
居住している自治体ホームページや役所に確認し、助成内容や利用方法を確認してみてください。
その他に、医療費控除として紙おむつ代を申請できる場合があります。
条件は以下の通りです。
● 傷病によりおおむね6ヶ月以上寝たきり状態である ● 医師の治療を受けている ● 治療上おむつが必要である |
上記にすべて該当している場合、治療を受けている医師より「おむつ使用証明書」を発行してもらいます。おむつ使用証明書を確定申告時に添付、または提出することで1年間購入した紙おむつ費用を医療費控除として申請可能です。
高額介護サービス費
公的介護サービスを利用し、1ヶ月に支払った利用者負担の合計が負担限度額を超えた場合、超えた分が払い戻されるサービスです。
負担上限額は所得状況によって区分が定められており、利用者によって負担額が異なります。以下の表を参考にしてみてください。
設定区分 | 対象者 | 負担の上限(月額) |
第1段階 | 生活保護を受給しているなど | 15,000円(個人) |
第2段階 | 市町村民税世帯非課税 公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下 | 24,600円(世帯) 15,000円(個人) |
第3段階 | 市町村民税世帯非課税で第1段階及び第2段階に該当しない | 24,600円(世帯) |
第4段階 | ①市区町村民税課税世帯~課税所得380万円(年収770万円)未満 ②課税所得380万円(年収約770万円)~690万円(年収約1,160万円)未満 ③課税所得690万円(年収1,160万円)以上 | ①44,400円(世帯) ②93,000円(世帯) ③140,100円(世帯) |
要介護5で在宅介護は可能?
要介護5になっても在宅介護は可能です。しかし、要介護5の方は、24時間介護が必要な場合が多いため、在宅で介護を担う家族の負担は大きいものとなります。担当のケアマネジャーに家族のできない部分を伝え、必要なサービスを利用することで、在宅介護を継続しやすくなるでしょう。しかし、介護する側もされる側も無理は厳禁です。精神的・肉体的に限界が来る前に、施設入所などの検討をしておくと良いでしょう。
要介護5の方でも、一人で暮らしている方はいますが、さまざまなリスクが考えられます。多くのサービスを利用できますが、サービスとサービスの合間には、一人で過ごす時間が発生します。要介護5の方は、一人では行動できない場合も多いため、体調の急変や災害などの際に、対応が対応が遅れることもあるでしょう。これらのことを踏まえると、「要介護5で独り暮らしを継続していくことは困難」に感じるかもしれません。ケアマネジャーと相談しながら、多様な介護保険サービスを組み合わせ、安全に過ごせる方法を検討すると良いでしょう。
要介護5の方におすすめの施設
厚生労働省の介護保険事業状況報告(令和5年7月分)で見ると、要介護5の方が最も利用している施設は、特別養護老人ホームということがわかります。
要介護5 | 特別養護老人ホーム | 介護老人保健施設 | 介護療養型医療施設 | 介護型医療院 |
施設利用総数 約25万人 | 約17万人 | 約6万人 | 約0.26万人 | 約2万人 |
公的施設は、民間施設に比べて安価に利用できる特徴があります。その反面、利用希望者が多く待機期間が発生する場合も多い傾向です。入所可能になるまで、一時的に民間施設に入居したり、ショートステイを利用しながら在宅介護を継続したりして、入所待ちする方もいます。要介護5の方は、常時介護が必要なため、24時間介護サービスを提供し長期利用できる施設を選ぶと良いでしょう。
今回は、公的施設で入所希望が一番多い特別養護老人ホームと、民間施設で要介護5の方が比較的入居しやすい介護付き有料老人ホームの特徴などを紹介します。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは、要介護3から入所申し込みが可能な公的施設です。常時、介護が必要な状態で在宅生活の継続が困難な高齢者に対して、日常生活に必要な入浴・食事・排泄などの世話や、機能訓練などのサービスを受けられます。また、終の棲家として終身にわたり生活できる施設です。
しかし、看護師や医師が常駐しているわけではないため、医療的ケアが必要になった場合や長期間の入院の際には退所する場合があります。
メリット | ● 比較的安価に利用できる ● 終身にわたり利用できる ● 介護職員が常駐している |
デメリット | ● 入所するまで待機期間がある ● 24時間医療体制が整っていない |
介護付き有料老人ホーム
原則として、65歳以上の要介護認定1以上の方を対象にした民間の介護施設です。24時間の介護サービス・食事・日常の家事代行などのサービスを提供しています。入居一時金として施設が設定する金額を支払う必要があることや、月額利用料が20万以上かかる施設が多いため、費用面は高くなる傾向です。
メリット | ● 施設が多く入居しやすい ● 要介護度が高くても対応できる ● 認知症でも入所可能な施設が多い ● 介護保険費用が定額 |
デメリット | ● 費用が高額になる場合が多い ● 施設の種類が多いため、施設選びに時間がかかる |
それぞれ、メリットとデメリットがあるため、希望に合わせて検討すると良いでしょう。
まとめ
要介護5は要介護認定のなかでもっとも重度の区分であり、認定された方は24時間体制のサポートがなければ生活できません。寝たきりの方が多いため徘徊などのリスクは少ないですが、在宅介護の負担は非常に大きいため、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなどの施設へ入居したほうがいいでしょう。
スマートシニアでは費用やエリアはもちろん、要介護5の方を受け入れているかや、終身利用が可能かどうかなど、さまざまな条件を絞って介護施設を探せます。スムーズに入居先施設を探したい方は、ぜひスマートシニアを活用してみてください。
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介護福祉士として10年以上現場経験があり、現在は介護老人保険施設の相談員として従事。介護資格取得スクールの講師やWEBライターとしても活動中。家族の声を元にした介護ブログを通じ、2019年3月、NHKの介護番組に出演経験もある。