介護保険サービスで受けられるサービスは?介護サービスを受ける手順も
要介護や要支援の認定を受けるとさまざまなサービスを受けられますが、サービスの種類が多すぎて全貌がつかめずに困っている方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、介護保険でできること・受けられるサービスについて、種類を一覧表で分かりやすく紹介します。介護サービスを利用する条件や、介護保険サービス適用外のサービスについても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

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介護保険サービスとは?

介護保険サービスは、要介護や要支援の認定を受けた「65歳以上の高齢者」または「40歳以上65歳未満で特定疾病の方」が利用できるサービスです。介護保険を利用することで、介護サービスにかかる費用の1〜3割の負担で利用ができます。負担割合は、利用者の収入などで変わるため、介護保険負担割合証で確認しておくと良いでしょう。
受けられる介護サービスは、介護度によって変わり、要支援1が一番少なく、要介護度が高くなるにつれて多くなり、要介護5が最大となります。
介護保険サービスの種類を一覧表で紹介
利用できる介護保険サービスは多岐にわたり、大きく以下の3つに分けられます。
● 居宅サービス
● 施設サービス
● 地域密着型サービス
それぞれ見ていきましょう。
居宅サービス
居宅サービスは、利用者が自宅にいながら受けられるサービスで、訪問介護やデイサービスなどを組み合わせることで在宅生活を支援します。居宅サービスで受けられるものは次の通りです。
訪問サービス | 内容 |
訪問介護 | 訪問介護事業所のヘルパーが利用者の自宅を訪問して、入浴・排泄・食事などの身体介護や、掃除・調理・買物などの生活支援を提供します。要介護認定を受けた人が利用でき、要支援の方は、介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)で行われます。 |
訪問入浴 | 訪問入浴の事業所が、利用者の自宅を訪問し、入浴介助を行います。介護職と看護師の3名体制で訪問します。移動可能な浴槽を持ち込むため、浴室がない家でも利用可能です。要介護や要支援の認定を受けている人が利用できます。 |
訪問看護 | 訪問看護ステーションなどから看護師が訪問し、処置やお薬の管理などを行います。必要に応じて入浴や排泄介助も行います。要介護や要支援の認定を受けた人が利用できます。 |
訪問リハビリ | 訪問リハビリや訪問看護ステーションから、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)などの有資格者が利用者の自宅を訪問し、医師の指示のもとリハビリを実施します。要介護や要支援の認定を受けた人が利用できます。 |
通所サービス | 内容 |
通所介護 (デイサービス) | デイサービスセンターなどに通い、食事や入浴、レクリエーションなどを受けるサービスです。日中に同居者や主介護者が仕事で不在の場合や、自宅で食事が摂れないなど、さまざまな理由で利用されています。介護を受けるだけではなく、気分転換や社会活動への参加を目的にする場合も多いです。要介護の認定を受けた方が利用でき、要支援の方は介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)で行われています。 |
通所リハビリ (デイケア) | 介護老人保健施設などに通い、リハビリテーションを受けるサービスです。デイケアで行うリハビリテーションは、デイサービスで行われる機能訓練とは違い、医師の指示のもと行われます。個別リハビリや集団リハビリに加え、マシンを使ったリハビリを行える事業所もあります。要介護や要支援の認定を受けている方が対象です。 |
短期入所 サービス | 内容 |
ショート ステイ
| 特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで、宿泊ができるサービスです。気分転換や同居家族の負担軽減の目的で利用される場合が多いです。介護老人保健施設ではリハビリもできるため、定期的なリハビリを目的として利用される方も多いです。予約制の場合が多く、早めに日程を押さえる必要があり、計画的に利用すると良いでしょう。要介護や要支援の認定を受けた方が利用できます。 |
居宅介護支援 | 内容 |
ケアマネジャー | 居宅介護支援サービスとして、利用者一人ひとりに担当ケアマネジャーがつき、介護保険サービスを利用するためのサービス計画を作成します。また、利用者・家族を介護サービス事業所とつなぎ調整してくれます。ケアマネジャーは毎月自宅を訪問し、サービス提供後の状況や新たな困りごとなどがないか確認します。要介護の認定を受けた方が対象で、要支援の方は地域包括支援センターが担当します。 |
その他 サービス | 内容 |
福祉用具貸与 | 車椅子や介護用ベッドなどのレンタルができるサービスです。レンタルのため、不具合が起こった場合や不要になったときは、福祉用具の事業所で対応してもらえます。貸与は要介護や要支援の認定を受けた方が利用できますが、商品の中には、介護度によって貸与できない場合もあります。 |
福祉用具の購入 | 入浴や排泄などで、身体が直接触れる福祉用具は貸与がありません。そのため、毎年4月1日〜翌年3月末日までの1年間で10万円(税込)まで、1〜3割の費用負担で購入可能です。要介護の認定を受けた方が利用できます。 |
住宅改修 | 住宅に手すりを設置する・浴室の段差解消などを行う際に、20万円(税込)まで1〜3割の費用負担で利用可能です。介護度に制限はなく、20万円に達するまで、数回に分けて使うことができますが、20万円を超えた分は自費となります。 ※介護度が3段階以上あがった場合や引っ越した場合などは、再度利用可能です。 |
施設サービス
施設サービスは、介護保険施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院・介護療養型医療施設)に入所した方に提供するサービスです。それぞれの施設で目的や特徴が異なるため、利用者の必要に合わせて利用を検討すると良いでしょう。
| 目的 | 特徴 |
特別養護老人ホーム (特養) | 自宅での介護が難しく、長期にわたって入所したい方が利用します。施設により看取りケアに取り組んでいる場合もあり、終身利用が可能です。終身まで利用できることから「終の棲家」と呼ばれます。 | 原則、要介護3以上の方が入居対象です。 ユニット型(少人数性のケア方法)個室の施設が多い傾向にあります。 |
介護老人保健施設 (老健) | 病院から退院後、リハビリテーションを目的に入所する方が多いです。また、特別養護老人ホームは待機待ちになることが多いため、空きが出るまでの間、入所する人もいます。長期間の利用には向かず、在宅復帰を目的としている施設も多いです。 | リハビリ職員によるリハビリテーションを受けることができます。看護師が24時間配置されている場合も多いです。 |
介護医療院・介護療養型医療施設 | 病院と介護施設の中間施設で、介護と医療を一体的に提供する施設です。介護施設では受けられない、治療が必要な方が入所します。介護療養型医療施設は令和5年3月でサービスの終了が決まっており、今後は介護医療院に転換が必要です。 | 上記施設では対応が困難な方でも、利用可能です。 |
特定施設入居者生活介護 | 利用者が可能な限り自立した日常生活を送ることができるように、指定を受けた有料老人ホームなどが、食事や入浴などの日常生活支援・機能訓練などを提供します。 | 特定施設入居者生活介護の指定を受けた有料老人ホームの中には、外部の指定介護サービス事業者と連携してサービス提供している施設もあります。 |
地域密着型サービス
地域で暮らす高齢者が、住み慣れた環境で生活を続けられるよう、2006年に開始したサービスです。地域密着型サービス事業所と同じ市町村区で、要介護や要支援の認定を受けた方のみ利用可能になります。主なサービスは以下の通りです。
| サービス名 | 内容 |
訪問系 | 定期巡回・随時対応型訪問看護介護 | 1日複数回の訪問と適宜サービスが必要な方が利用します。定期的に介護職や看護師が訪問し、安否確認を行います。急な体調不良にも、24時間体制で随時対応できるため、安心して生活できるでしょう。要支援の方は利用できません。 |
通所系 | 地域密着型通所介護 | 18名以下で運営する小規模型のデイサービスです。利用人数が少ないため、職員の目が行き届きやすく、細かなサービスの提供が可能です。要支援の方は利用できません。 |
療養通所介護 (療養型デイサービス) | 医療的ケアが必要な難病・認知症・脳血管疾患後遺症などの方やがん末期患者を対象としています。要支援の方は利用できません。 | |
複合系 | (看護)小規模多機能型居宅介護 | (看護)小規模多機能型居宅介護は、通いを中心に泊まりや訪問を組み合わせたサービスです。1ヶ月定額のサービスで、状況に合わせて利用頻度やサービスの組み替えが可能です。例えば、体調不良などで、通いができない場合は訪問サービスを利用できます。また、自宅で一人になる場合などは、泊まりサービスを利用可能です。小規模多機能型居宅介護を利用すると、類似サービスのショートステイやデイサービス、訪問介護の利用ができなくなるため、注意が必要です。 また、看護小規模多機能型居宅介護では、看護師が常駐しているため、医療的ケアが必要な方でも利用可能です。要介護の方であれば利用できます。 |
認知症対応型 | 認知症対応型通所介護 (認知症対応型デイサービス) | 認知症と診断された方のみを対象にしたデイサービスです。一般的なデイサービスに比べて定員が少なく、より利用者の症状や希望に合わせた関わりが期待できます。医師による認知症の診断が必要ですが、要介護・要支援の認定を受けている方が利用できます。 |
認知症対応型共同生活介護 (グループホーム) | 認知症の診断を受けた方が利用できる施設です。共同生活を通して症状の安定をはかり、役割や生きがいをもった生活を送ることで認知症の進行を緩やかにします。1つのユニットが9名以下と定めがあり、最大2ユニット18名が上限となっています。要支援2以上の方から利用できます。 |
介護保険サービスの利用条件

介護サービスの利用条件には様々な決まりがありますが、基本的に要介護や要支援の認定を受けていることが前提になります。そのため、要介護認定の申請は必須です。また、サービスによって、要介護3以上・要支援2以上で利用可能などの条件が設けられている場合もあるため、注意しておくと良いでしょう。
また、介護保険の制度には、類似するサービスの提供ができない決まりがあります。例えば、小規模多機能居宅介護支援では、「通い」「泊まり」「訪問」と3つのサービスを一体的に受けることができます。通いは通所介護、泊まりはショートステイ、訪問は訪問介護の類似サービスとして判断され、併用できません。
通所リハビリと訪問リハビリの併用も、基本的にはできません。訪問リハビリは本来、通所できない方向けのサービスと考えられています。しかし、いくつかのデイサービスや、ショートステイ先をもつことは可能です。
一部条件の違いや、自治体によって異なる場合もあるため、ケアマネジャーに相談すると良いでしょう。
介護保険サービス適用外のサービス例

ここまで紹介したとおり、介護保険サービスの種類は多岐にわたります。しかし介護保険は、高齢者向けサービスの全てが対象となるわけではありません。介護保険が適用されるサービスは、「日常生活のための支援」「自立を助けるための支援」に限られます。そのため日常生活を送るうえで必須とはいえないサービス(日常的な家事を超える行為)は、介護保険の適用外です。
たとえば要介護者の部屋を日常的に掃除することは、訪問介護サービスとして介護保険が適用されます。しかし「生活に必須ではない模様替え」「年末の大掃除」などは、必要以上のサービスであるため、保険適用外となる可能性が高いです。
また、介護保険サービスは、あくまでも要支援・要介護認定を受けている方のための制度です。そのため本人のための調理・洗濯・買い物は保険適用内のサービスですが、同居親族のために行うと保険対象外となるため注意してください。
介護保険サービスの利用限度額と自己負担割合は?
介護保険サービスの自己負担割合は、被保険者の所得に応じて1〜3割に設定されています。介護保険はあくまでも「保険」であるためサービス利用時の自己負担は「応益負担」を原則としていますが、公的制度である特性上、所得による「応能負担」の一面もあるのです。また、利用限度額は利用者の介護レベルに応じて決められています。
| 支給限度額 (1か月あたり) | 自己負担額 (1割) | 自己負担額 (2割) | 自己負担額 (3割) |
要支援1 | 50,320円 | 5,032円 | 10,064円 | 15,096円 |
要支援2 | 105,310円 | 10,531円 | 21,062円 | 31,593円 |
要介護1 | 167,650円 | 16,765円 | 33,530円 | 50,295円 |
要介護2 | 197,050円 | 19,705円 | 39,410円 | 59,115円 |
要介護3 | 270,480円 | 27,048円 | 54,096円 | 81,144円 |
要介護4 | 309,380円 | 30,938円 | 61,876円 | 92,814円 |
要介護5 | 362,170円 | 36,217円 | 72,434円 | 108,651円 |
介護保険サービスの利用限度額と自己負担割合については、下記記事でも詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
介護保険サービスの負担を軽減させる方法
そもそも介護保険とはわかりやすくいうと、高齢になって介護が必要になった場合、国民が広くお金を出し合って助け合う仕組みのことです。つまり、要介護者・親族の金銭的な負担を減らすことが主たる目的であるといえるでしょう。しかし介護保険の仕組み上、利用者は1〜3割負担でサービスを受けられるとはいえ、相応の負担が求められます。
たとえば費用がもっとも安いといわれる特別養護老人ホームに入居したとしても、介護保険の対象となる費用以外に食費・居住費などもかかるため、毎月4.9〜15万円程度の予算が必要です。自己負担割合は抑えられているとはいえ、これは少なくない出費でしょう。
そのため国は、負担が大きくかかってしまった方のために、介護保険サービスの負担を軽減させる制度も用意しています。必ずしもすべての制度を使えるとは限りませんが、いくつか例を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
医療費控除
医療費の支払いが暦年で10万円を超えた場合、医療費控除によって課税所得を下げることができます。課税所得が下がれば、支払う税金も安くなることがポイントです。介護は医療ではないから医療費控除を使えないと思っている方もいるかもしれません。しかし、介護保険制度においては「介護保険サービスは医療との連携に十分配慮して行わなければならない」とされているため、看護・医学的管理下にある療養上の世話(介護)については、医療費控除の対象となるのです。いくつか例を挙げるため、これらサービスを受けている場合は医療費控除を検討してみてください。
医療費控除の対象となる居宅サービス | 訪問看護 介護予防訪問看護 訪問リハビリテーション など |
上記のサービスと併せて利用する場合にのみ医療費控除の対象となる居宅サービス | 訪問介護(生活援助中心型を除く) 夜間対応型訪問介護 訪問入浴介護 通所介護(デイサービス) など |
施設サービス | 指定介護老人福祉施設の施設サービス対価(介護費・食費・居住費)に係る自己負担額として支払った金額の2分の1 介護老人保健施設の施設サービスの対価(介護費・食費・居住費)に係る自己負担額として支払った金額 など |
参考:国税庁|医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価、医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価
特定入所者介護サービス費(負担限度額認定制度)
介護保険施設を利用する場合、介護にかかる費用は介護保険の対象となりますが、食費・居住費は利用者の全額自己負担です。しかし「負担限度額認定制度」を活用すれば、このような施設利用時にかかる負担も軽減できます。負担限度額認定制度が適用される条件は次のとおりです。
● 世帯全員が住民税非課税である
● 預貯金等が基準額以下である
審査対象となる預貯金額の基準は、次の4つに分類されています。
負担段階 | 補足給付の主な対象者 | 預貯金額 (括弧内は夫婦の場合 ) |
第1段階 | 生活保護受給者 | 要件なし |
世帯全員が市町村民税非課税である老齢福祉年金受給者 | 1,000万円以下 (2,000万円以下) | |
第2段階 | 年金収入金額+合計所得金額80万円以下 | 650万円以下 (1,650万円以下) |
第3段階 ① | 年金収入金額+合計所得金額が80万~120万円以下 | 550万円以下 (1,550万円以下) |
第3段階 ② | 年金収入金額+合計所得金額が120万円超 | 500万円以下 (1,500万円以下) |
参考:厚生労働省
なお、負担限度額認定制度の対象となるのは特養(特別養護老人ホーム)や老健(介護老人保健施設)などに限られ、グループホームや有料老人ホームなどは対象外です。
高額介護サービス費
1か月間の介護保険サービス費が高額になってしまった場合に活用したいのが「高額介護サービス費」制度です。1か月間の介護保険サービス費が、下記の所得区分ごとに設けられた上限を超えた場合、超過分が返還されます。
区分 | 毎月の負担上限額 |
課税所得690万円以上 (年収約1,160万円以上) | 140,100円(世帯) |
課税所得380万円以上690万円未満 (年収約770万円以上1,160万円未満) | 93,000円(世帯) |
市町村民税課税~課税所得380万円未満 (年収約770万円未満) | 44,400円(世帯) |
世帯全員が市町村民税非課税 | 24,600円(世帯) |
世帯全員が市町村民税非課税 前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下 | 24,600円(世帯) 15,000円(個人) |
生活保護受給者等 | 15,000円(世帯) |
参考:厚生労働省
なお、高額介護サービス費制度における上限額は世帯ごとに決まります。たとえば両親が介護サービスを利用している場合などは適用対象となりやすいため、一度確認してみてください。
高額医療・高額介護合算制度
介護費用だけでなく医療費も高額になったときに使えるのが高額医療・高額介護合算制度です。8月1日〜翌年7月31日の1年間の医療保険・介護保険の自己負担合算額の合計が、下記の上限額を超えた場合、自己負担額が軽減されます。
所得区分 | 75歳以上 | 70~74歳 | 70歳未満 |
介護保険+後期高齢者医療 | 介護保険+被用者保険または国民健康保険 | ||
年収約1,160万円~ | 212万円 | 212万円 | 212万円 |
年収約770万円~約1,160万円 | 141万円 | 141万円 | 141万円 |
年収約370万円~約770万円 | 67万円 | 67万円 | 67万円 |
~年収約370万円 | 56万円 | 56万円 | 60万円 |
市町村民税世帯非課税等 | 31万円 | 31万円 | 34万円 |
市町村民税世帯非課税 (年金収入80万円以下等) | 19万円(※) | 19万円(※) |
※介護サービス利用者が世帯内に複数いる場合は31万円
参考:内閣府
なお、こちらも医療保険上の世帯単位で判断される制度です。たとえば夫は介護サービスを受けており、並行して妻は通院しているとしたら対象となる可能性が高いため、ぜひ一度確認してみてください。
介護保険サービスを利用するまでのステップ
それでは、介護保険サービスを利用するまでの流れを見ていきましょう。
- 要介護認定の申請
- 認定調査・主治医意見書の依頼
- 審査判定
- 要介護・要支援認定
- 介護(介護予防)サービス計画書の作成
- 介護サービスの利用開始
それぞれのステップごとに、詳しく解説します。
ステップ1:要介護認定の申請
介護サービスの必要性を感じたら、まずは自治体の「介護保険」を担当する窓口で、自身(または家族)の状況を相談します。相談先はお近くの地域包括支援センターでも構いません。相談内容から介護サービスが必要だと考えられる場合、要支援・要介護認定の申請手続きを案内してもらえるため、手続きを進めます。申請時に必要な書類は次のとおりです。(自治体によって差があるため、窓口で確認してみてください)
● 要介護・要支援認定の申請書
● 介護保険の被保険者証|第1号被保険者の場合
● 医療保険の被保険者証|第2号被保険者の場合
● 診察券など「かかりつけ医」が分かるもの
● 主治医意見書
● 申請者の身分証明書
● マイナンバーを確認できる書類
なお、本人が直接申請することが難しい場合は、家族や地域包括支援センター・居宅介護支援事業者が代理することも可能です。
ステップ2:認定調査・主治医意見書の依頼
申請後、市区町村の調査員が自宅や施設を訪問して、申請者の心身の状態を確認します。また、市区町村から申請者のかかりつけ医に対して「主治医意見書」の作成を依頼しますが、申請者の費用負担はありません。
ステップ3:審査判定
調査内容や主治医意見書をもとに、要支援・要介護に認定するかどうかの判定が行われます。審査は一次判定(コンピューターによる判定)と二次判定(介護認定審査会による判定)があり、公正に介護レベルが決められることが特徴です。
ステップ4:要介護・要支援認定
介護認定審査会の判定結果が出たら、それに基づいて市区町村が「要介護(要支援)」を認定します。申請から認定通知までにかかる期間は1か月程度です。ここで決められた介護レベルによって、1か月あたりの負担上限額が決まります。
ステップ5:介護(介護予防)サービス計画書の作成
介護保険制度を最大限に活用するためには、1か月あたりの負担上限額の中で適切に介護サービスを受ける必要があります。そのための計画が「介護(介護予防)サービス計画書」です。これはケアプランとも呼ばれているもので、ケアマネジャーが配置されている事業所に相談すれば、相談者の心身の状態にあわせたプランを作成してもらえます。(要支援の方のための「介護予防サービス計画書」は、地域包括支援センターに相談して作成してもらうことも可能です)
ステップ6:介護サービスの利用開始
介護(介護予防)サービス計画書が完成したら、その内容に沿って介護サービスの利用を開始します。なお、ケアプランは一度制作したら終わりのものではなく、定期的に見直すべきものであることも覚えておきましょう。
介護保険サービスを受けながら老人ホームの入居を考えている人におすすめの施設

それでは最後に、介護保険サービスを受けながら老人ホームへ入居したいという方におすすめの施設種別を紹介します。
● サービス付き高齢者向け住宅
● 住宅型有料老人ホーム
● 介護付き有料老人ホーム
● グループホーム
それぞれの施設の特徴を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅(通称:サ高住)は、自立した高齢者を対象とした施設です。高齢者が暮らしやすいようにバリアフリーの構造となっており、見守り・生活相談といったサービスが提供されていますが、あくまでも賃貸住宅であるため介護サービスは提供されていません。
そのため、もし自立した状態でサ高住に入居したあとに軽微な介護が必要になった場合には、介護保険サービスの一種である「居宅サービス」を受けることになります。介護の必要性が高い方は入居できませんが、要支援1〜2、もしくは要介護1程度の方はサ高住も選択肢に入れてみてください。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームも高齢者向けに生活支援サービスを提供する施設ですが、賃貸住宅ではなく、住居・サービスが一体的に提供される「利用権方式」という契約形態であることが特徴です。
こちらも原則として自立した高齢者を対象としており、施設としては介護サービスを提供していないため、もし介護が必要な場合は居宅サービスを利用することになります。サ高住と異なり、イベントやレクリエーション活動が盛んなことが住宅型有料老人ホームならではの特徴です。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、自立状態〜要介護の方を幅広く受け入れている介護施設です。身体介護サービスも提供されており、月額費用に含まれる「介護サービス費」は介護保険の対象とされています。看取りなどに対応してくれる施設も多いため、介護の必要性が高く長期にわたる入居が予想される場合には、介護付き有料老人ホームを選ぶといいでしょう。
グループホーム
グループホーム(認知症対応型共同生活介護施設)は、要支援2以上かつ65歳以上の認知症と診断を受けている方を対象とした施設です。5〜9人で構成されるユニットで共同生活を送ることで、認知症の進行を抑えることを目的としています。認知症患者はサ高住などへの入居を断られるケースもあるため、グループホームを優先的に探すといいでしょう。
まとめ
介護保険サービスで受けられるサービスは、居宅サービス・施設サービス・地域密着型サービスの3種類に分けられます。いずれのサービスを受けるとしても、まずは要介護認定を取得する必要があるため、介護の必要性を感じたらすぐに自治体の担当窓口や地域包括支援センターに相談してみてください。
また、介護保険サービスを受けながら老人ホームへ入居することも可能ですが、それぞれの方の心身の状態によって適した施設は異なります。老人ホームを探すときはこの記事で紹介したポイントを参考にしつつ、ぜひ「スマートシニア」を活用してみてください。
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