介護保険サービスの内容や利用方法をわかりやすく解説!自分が利用するサービスを知ろう

「ケアマネジャーが作ってくれたケアプランだけど、どんなサービス内容なんだろう」

「介護保険サービスでは、どんなことをしてもらえるんだろう」

このような疑問はありませんか?

介護保険サービスは、2000年から始まった比較的新しい制度です。介護保険を利用すると、介護サービスを利用料の1〜3割の負担で使うことができます。

今回は、介護保険サービスについて紹介します。詳しいサービス内容や手続き方法まで説明していますので、介護保険サービスについての理解が広まり、適切なサービスの選択ができるようになるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。


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介護保険サービスとは

介護保険サービスを一部の負担額で利用できる制度

介護保険サービスは、要介護や要支援の認定を受けた「65歳以上の高齢者」または「40歳以上65歳未満で特定疾病の方」が利用できるサービスです。介護保険を利用することで、介護サービスにかかる費用の1〜3割の負担で利用ができます。負担割合は、利用者の収入などで変わるため、介護保険負担割合証で確認しておくと良いでしょう。

受けられる介護サービスは、介護度によって変わり、要支援1が一番少なく、要介護度が高くなるにつれて多くなり、要介護5が最大となります。利用できる介護保険サービスは多岐にわたり、大きく以下の3つに分けられます。

  • 居宅サービス

  • 施設サービス

  • 地域密着型サービス

それぞれ見ていきましょう。

居宅サービス

居宅サービスは、利用者が自宅にいながら受けられるサービスで、訪問介護やデイサービスなどを組み合わせることで在宅生活を支援します。

居宅サービスで受けられるものは次の通りです。

ジャンル
サービス名
内容

訪問系


訪問介護

訪問介護事業所のヘルパーが利用者の自宅を訪問して、入浴・排泄・食事などの身体介護や、掃除・調理・買物などの生活支援を提供します。要介護認定を受けた人が利用でき、要支援の方は、介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)で行われます。

訪問入浴

訪問入浴の事業所が、利用者の自宅を訪問し、入浴介助を行います。介護職と看護師の3名体制で訪問します。移動可能な浴槽を持ち込むため、浴室がない家でも利用可能です。要介護や要支援の認定を受けている人が利用できます。

訪問看護

訪問看護ステーションなどから看護師が訪問し、処置やお薬の管理などを行います。必要に応じて入浴や排泄介助も行います。要介護や要支援の認定を受けた人が利用できます。

訪問リハビリ

訪問リハビリや訪問看護ステーションから、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)などの有資格者が利用者の自宅を訪問し、医師の指示のもとリハビリを実施します。要介護や要支援の認定を受けた人が利用できます。

通所サービス


通所介護
(デイサービス)

デイサービスセンターなどに通い、食事や入浴、レクリエーションなどを受けるサービスです。日中に同居者や主介護者が仕事で不在の場合や、自宅で食事が摂れないなど、さまざまな理由で利用されています。介護を受けるだけではなく、気分転換や社会活動への参加を目的にする場合も多いです。要介護の認定を受けた方が利用でき、要支援の方は介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)で行われています。

通所リハビリ
(デイケア)

介護老人保健施設などに通い、リハビリテーションを受けるサービスです。デイケアで行うリハビリテーションは、デイサービスで行われる機能訓練とは違い、医師の指示のもと行われます。個別リハビリや集団リハビリに加え、マシンを使ったリハビリを行える事業所もあります。要介護や要支援の認定を受けている方が対象です。

短期入所系

ショートステイ

特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで、宿泊ができるサービスです。気分転換や同居家族の負担軽減の目的で利用される場合が多いです。介護老人保健施設ではリハビリもできるため、定期的なリハビリを目的として利用される方も多いです。予約制の場合が多く、早めに日程を押さえる必要があり、計画的に利用すると良いでしょう。要介護や要支援の認定を受けた方が利用できます。

福祉用具



福祉用具貸与

車椅子や介護用ベッドなどのレンタルができるサービスです。レンタルのため、不具合が起こった場合や不要になったときは、福祉用具の事業所で対応してもらえます。貸与は要介護や要支援の認定を受けた方が利用できますが、商品の中には、介護度によって貸与できない場合もあります。

福祉用具の購入

入浴や排泄などで、身体が直接触れる福祉用具は貸与がありません。そのため、毎年4月1日〜翌年3月末日までの1年間で10万円(税込)まで、1〜3割の費用負担で購入可能です。要介護の認定を受けた方が利用できます。

住宅改修

住宅に手すりを設置する・浴室の段差解消などを行う際に、20万円(税込)まで1〜3割の費用負担で利用可能です。介護度に制限はなく、20万円に達するまで、数回に分けて使うことができますが、20万円を超えた分は自費となります。

※介護度が3段階以上あがった場合や引っ越した場合などは、再度利用可能です。

居宅介護支援

ケアマネジャー

居宅介護支援サービスとして、利用者一人ひとりに担当ケアマネジャーがつき、介護保険サービスを利用するためのサービス計画を作成します。また、利用者・家族を介護サービス事業所とつなぎ調整してくれます。ケアマネジャーは毎月自宅を訪問し、サービス提供後の状況や新たな困りごとなどがないか確認します。要介護の認定を受けた方が対象で、要支援の方は地域包括支援センターが担当します。

施設サービス

施設サービスは、介護保険施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院・介護療養型医療施設)に入所した方に提供するサービスです。それぞれの施設で目的や特徴が異なるため、利用者の必要に合わせて利用を検討すると良いでしょう。


目的
特徴

特別養護老人ホーム

(特養)

自宅での介護が難しく、長期にわたって入所したい方が利用します。施設により看取りケアに取り組んでいる場合もあり、終身利用が可能です。終身まで利用できることから「終の棲家」と呼ばれます。

原則、要介護3以上の方が入居対象です。

ユニット型(少人数性のケア方法)個室の施設が多い傾向にあります。

介護老人保健施設

(老健)

病院から退院後、リハビリテーションを目的に入所する方が多いです。また、特別養護老人ホームは待機待ちになることが多いため、空きが出るまでの間、入所する人もいます。長期間の利用には向かず、在宅復帰を目的としている施設も多いです。

リハビリ職員によるリハビリテーションを受けることができます。看護師が24時間配置されている場合も多いです。

介護医療院・介護療養型医療施設

病院と介護施設の中間施設で、介護と医療を一体的に提供する施設です。介護施設では受けられない、治療が必要な方が入所します。介護療養型医療施設は令和5年3月でサービスの終了が決まっており、今後は介護医療院に転換が必要です。

上記施設では対応が困難な方でも、利用可能です。

どの施設でも、日常生活に必要な三大介護(入浴・排泄・食事)は行われます。そのため、違いが出やすいレクリエーションの頻度や内容、リハビリテーション、医療的ケアに関して、利用する目的に合わせて実施状況の確認が必要です。

地域密着型サービス

地域で暮らす高齢者が、住み慣れた環境で生活を続けられるよう、2006年に開始したサービスです。地域密着型サービス事業所と同じ市町村区で、要介護や要支援の認定を受けた方のみ利用可能になります。主なサービスは以下の通りです。


サービス名
内容

訪問系

定期巡回・随時対応型訪問看護介護

1日複数回の訪問と適宜サービスが必要な方が利用します。定期的に介護職や看護師が訪問し、安否確認を行います。急な体調不良にも、24時間体制で随時対応できるため、安心して生活できるでしょう。要支援の方は利用できません。

通所系


地域密着型通所介護

18名以下で運営する小規模型のデイサービスです。利用人数が少ないため、職員の目が行き届きやすく、細かなサービスの提供が可能です。要支援の方は利用できません。

療養通所介護

(療養型デイサービス)

医療的ケアが必要な難病・認知症・脳血管疾患後遺症などの方やがん末期患者を対象としています。要支援の方は利用できません。

複合系

(看護)小規模多機能型居宅介護

(看護)小規模多機能型居宅介護は、通いを中心に泊まりや訪問を組み合わせたサービスです。1ヶ月定額のサービスで、状況に合わせて利用頻度やサービスの組み替えが可能です。例えば、体調不良などで、通いができない場合は訪問サービスを利用できます。また、自宅で一人になる場合などは、泊まりサービスを利用可能です。小規模多機能型居宅介護を利用すると、類似サービスのショートステイやデイサービス、訪問介護の利用ができなくなるため、注意が必要です。

 

また、看護小規模多機能型居宅介護では、看護師が常駐しているため、医療的ケアが必要な方でも利用可能です。要介護の方であれば利用できます。

認知症対応型


認知症対応型通所介護

(認知症対応型デイサービス)

認知症と診断された方のみを対象にしたデイサービスです。一般的なデイサービスに比べて定員が少なく、より利用者の症状や希望に合わせた関わりが期待できます。医師による認知症の診断が必要ですが、要介護・要支援の認定を受けている方が利用できます。

認知症対応型共同生活介護

(グループホーム)

認知症の診断を受けた方が利用できる施設です。共同生活を通して症状の安定をはかり、役割や生きがいをもった生活を送ることで認知症の進行を緩やかにします。1つのユニットが9名以下と定めがあり、最大2ユニット18名が上限となっています。要支援2以上の方から利用できます。


介護サービス利用の条件

サービスの組み合わせによって利用できないものもある

利用の条件には様々な決まりがありますが、基本的に要介護や要支援の認定を受けていることが前提になります。そのため、要介護認定の申請は必須です。また、サービスによって、要介護3以上・要支援2以上で利用可能などの条件が設けられている場合もあるため、注意しておくと良いでしょう。

また、介護保険の制度には、類似するサービスの提供ができない決まりがあります。例えば、小規模多機能居宅介護支援では、「通い」「泊まり」「訪問」と3つのサービスを一体的に受けることができます。通いは通所介護、泊まりはショートステイ、訪問は訪問介護の類似サービスとして判断され、併用できません。

通所リハビリと訪問リハビリの併用も、基本的にはできません。訪問リハビリは本来、通所できない方向けのサービスと考えられています。しかし、いくつかのデイサービスや、ショートステイ先をもつことは可能です。

一部条件の違いや、自治体によって異なる場合もあるため、ケアマネジャーに相談すると良いでしょう。


ケアマネジャーの役割

利用者とサービス事業所の架け橋

ケアマネジャーの役割は、利用者と各サービスの調整役です。主な仕事内容は次の通りです。

  • 利用者とサービスをつなぐ

  • 給付管理

  • 介護サービス計画書の作成

  • 要介護認定の申請・更新代行

利用者とサービスをつなぐ

利用者の状態やニーズに合わせてサービスを提案し、各サービスとの連絡調整を行います。サービス調整後も、利用状況や目標の達成度、利用者の心身状態などを定期的に確認し評価していきます。また、状況に応じて、サービスの追加や変更を行い、要介護度に応じた区分支給限度額内におさまるように調整することも役割のひとつです。

給付管理

各サービスから利用実績を集め、国民健康保険団体連合会(国保連)へ請求し、給付管理を行います。給付管理を行うことで介護保険が適用され、利用者はサービス費用の一部負担で利用できるため、重要な役割の一つです。介護保険サービスは、1ヶ月で使用できる区分支給限度額が介護度ごとに定められており、超えた分は、全額自己負担となるため利用者に大きな費用負担となります。

介護サービス計画書の作成

介護保険サービスを利用するためには、介護サービス計画書が必要です。介護サービス計画書には、利用者の長期・短期の目標が設定されており、それに沿って介護サービスを調整し、目標の達成度を定期的に評価していきます。

要介護認定の申請・更新代行

ケアマネジャーは、利用者や家族から依頼があると、要介護認定の申請代行も行うことができます。介護保険サービスを受けるためには、要介護認定を受ける必要があります。他にも、介護保険の変更や更新にかかる作業や、各サービスへの申請代行も役割の一つです。

自宅で介護を受ける方は、居宅介護支援事業所のケアマネジャー、施設に入居されている方には、施設にいるケアマネジャーが担当します。施設ケアマネジャーは施設入居者に対して、介護サービス計画書を作成し、サービスの実施状況を確認・調整します。


介護保険サービスの利用の流れ

介護サービスを利用するまでには約30日必要

介護保険サービスを利用するには、要介護認定を受ける必要があります。流れは次の通りです。

  1. 要介護認定の申請

  2. 認定調査・認定審査

  3. 要介護度の決定

  4. ケアマネジャーとの契約

  5. 介護サービス計画書の作成

  6. 各事業所と契約・サービスの開始

ひとつずつ確認していきましょう。

要介護認定の申請

要介護の認定を受けるためには、市区町村の窓口に要介護認定の申請書を提出します。要介護認定の申請書には、かかりつけ医や認定調査のおおまかな予定を記載します。また、40〜65歳未満の第2号被保険者が申請する場合は「医療保険証」が必要になるため、忘れずに準備しましょう。

認定調査・認定審査

要介護認定の申請書に書いた連絡先に連絡があるため、認定調査日を調整していきましょう。調査は、市区町村の職員が、自宅に訪問しご本人の身体の動きや精神状態について聞き取りと確認を行います。入院中の場合は、病院で行います。また、要介護認定の申請書に記載した、かかりつけ医に対して、主治医の意見書を作成してもらいますが、市区町村から依頼するため、利用者や家族で対応する必要はありません。

認定調査の結果と、主治医の意見書をもって、コンピューターによる一次判定と、介護認定審査会による二次判定が行われます。原則30日以内に認定結果が出るため、認定調査の後は結果が届くまで待ちましょう。

要介護度の決定

要介護度が決まったら、要介護度や認定日が記載された介護保険証が自宅に郵送されます。介護保険証には有効期限も記載されているため、確認しておくと良いでしょう。新規申請の場合は、原則6カ月間の有効期間があり、有効期間が切れる前に、更新申請と認定調査を行います。要介護度は、要支援1〜2、要介護1〜5の7段階から決まります。認定結果が納得いかない場合は、不服申し立ても可能です。

ケアマネジャーとの契約

要介護度が決まったら、次はケアマネジャーとの契約を行います。近くの居宅介護支援事業所や市区町村の窓口で相談すると、担当のケアマネジャーを探してもらえます。要支援の場合は、お近くの地域包括支援センターに相談すると良いでしょう。担当のケアマネジャーが決まったら必要な支援を相談して、サービス内容を決めていきます。

介護サービス計画書の作成

各サービス内容が決まったら、サービス計画書を作成してもらいます。サービス計画書の作成は介護保険を利用できるため、費用負担は必要ありません。

各事業所と契約・サービスの開始

利用するサービスと事業所がきまったら、それぞれのサービスとの契約が必要です。契約後、サービスの実施日時を調整し、サービスが開始されます。


サービスの利用料と限度額

利用料は1~3割で収入によって変わる

介護サービスの利用料は、収入によって自己負担額が1〜3割と異なり、介護保険証と一緒に介護保険負担割合証が郵送で届きます。介護保険負担割合証に負担割合が記載されているため、確認しておきましょう。

また、介護保険証には介護度に合わせて、区分支給限度額が記載されています。1ヶ月に利用できる限度額内でサービス調整をする必要があり、限度額を超えた分は自費となります。サービスの種類により利用料は様々で、利用者にあった事業所を選ぶためにも、サービスの調整はケアマネジャーに依頼すると良いでしょう。


介護保険外サービスとは

介護保険を使わない自費サービス

介護保険を使わないサービスは、様々なものがあります。2017年4月から実施されている、各市区町村の介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)もその一つです。

以前は、要支援者が利用していた介護予防訪問介護と介護予防通所介護(デイサービス)は、介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)として提供されることになりました。他にも、訪問介護事業所では、自費サービスとして、介護保険では提供できない散歩や外出の付き添いなどを提供している事業所もあります。

介護保険を使って利用できない訪問介護サービスは次の通りです。

  • 利用者の生活範囲を超えた掃除

  • 利用者以外の食事の準備

  • 同居家族の洗濯

  • ペットの世話

  • 庭の手入れ

  • 日常の範囲を超える掃除

  • 趣味嗜好に関しての買い物

  • 散歩や趣味目的の付き添い

  • 引っ越しの手伝い

  • 家具の移動

  • 病院内の付き添い

  • 医療処置

  • 薬の仕分け など

介護保険サービスには、提供できる内容と範囲が決められています。しかし、利用者の立場から見たときに「同じ家族のことなのに、なぜやってもらえないのか」「ついでにお願いしたい」と感じる場面でしょう。そのようなときは、介護保険を使用せずに自費サービスとして提供します。

その他、配食サービス・シルバー人材派遣サービス・ボランティア団体などが介護保険外のサービスを提供しています。

また、NPO法人やボランティア団体、民間企業が介護保険ではカバーできない生活支援や配食サービスなどを行っています。必要に応じてサービスの利用を検討すると良いでしょう。


介護保険サービスと感染症対策

災害対策の一環として感染症対策も注目される

2021年の介護保険法改正に伴って、介護事業所のBCP策定が注目されています。BCPとは、「不測の事態があっても継続的に事業を運営するための施策」のことです。

地震・火災・水害に加え、近年では感染症についても対策しています。介護保険サービスでは、身近に生活する高齢者に感染を広げないための施策が必要です。高齢者は特に抵抗力が低下しやすいことから、感染症による重症化が心配されるでしょう。

介護保険サービス事業所は、手指消毒・マスクの着用・検温などを行い、感染症対策を行っています。また、感染症に対しての研修も定期的に行います。

施設においては、市町村の指示のもと、面会の自粛などの制限を設けて感染症の拡大予防に努めています。


まとめ

介護保険サービスには、居宅介護サービス・施設サービス・地域密着サービスと分けられ、提供されるサービスは多岐にわたります。それぞれのサービス内容を理解したうえで、必要なサービスを選択し、限度額の範囲内で利用すると良いでしょう。

介護保険サービスの利用にあたって、要介護認定や介護サービス計画書の作成、給付管理などが必要になるため、担当のケアマネジャーと相談してください。

介護保険サービスには、提供内容に様々な制限が設けられているため、介護保険でまかなえない範囲のサービスは、必要に応じて介護保険外のサービスを利用すると良いでしょう。

今回の内容が介護保険サービスの理解につながれば幸いです。

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