高級老人ホームの実態は?失敗事例や失敗しないためのポイントを解説

高級老人ホームにありがちな失敗事例とは?
高級老人ホームにありがちな失敗事例としては、次のようなものが挙げられます。
● 食事が口に合わなかった
● 集団生活になじめなかった
● 人間関係がうまくいかなかった
● スタッフの対応に馴染めなかった
● 想定外の費用がかかってしまった
● 必要な介護サービスが受けられなかった
それぞれの失敗事例について、詳しく見ていきましょう。
食事が口に合わなかった
高級老人ホームにおいて、食事は入居者にとって非常に重要な要素の一つです。多くの施設では、栄養バランスを考慮したメニューや、季節ごとの食材を取り入れた料理が提供されることが一般的ですが、実際には入居者の好みや食習慣に合わない場合も少なくありません。特に、食事制限がある方や特定の食材が苦手な方にとっては、毎日の食事がストレスの原因となることがあります。
また、食事の時間帯や提供方法も、入居者の満足度に影響を与える要因です。例えば、食事が早すぎる、または遅すぎると感じる入居者もおり、これが集団生活の中での不満につながることがあります。さらに、食事を共にする他の入居者との相性も重要です。食事の時間はコミュニケーションの場でもあるため、価値観や食の好みが合わないと、孤立感を感じることもあります。
集団生活になじめなかった
高級老人ホームに入居する際、多くの人が期待するのは快適な生活環境や充実したサービスですが、実際には集団生活に馴染むことが難しいと感じる入居者も少なくありません。特に、長年一人暮らしをしていた方や、家庭での生活に慣れている方にとって、他の入居者との共同生活は大きなストレスとなることがあります。
集団生活では、他の入居者とのコミュニケーションが不可欠ですが、価値観や趣味が合わない場合、孤独感を感じることが多いです。また、生活リズムや食事の好みが異なるため、共同の食事や活動に参加することが億劫になることもあります。これにより、入居者は自分の居場所を見つけられず、精神的な負担を抱えることがあるのです。
人間関係がうまくいかなかった
高級老人ホームに入居する際、他の入居者との価値観の違いが大きなストレス要因となることがあります。特に、長い人生を歩んできた高齢者たちが集まるため、個々のバックグラウンドや考え方は多様です。趣味や興味、生活スタイルが異なる入居者同士が同じ空間で生活することは、時に摩擦を生む原因となります。
例えば、ある入居者は静かな環境を好む一方で、別の入居者は社交的で賑やかな雰囲気を求めることがあります。このような価値観の違いが、共同生活においてストレスを引き起こすことがあるのです。また、入居者同士のコミュニケーションがうまくいかない場合、孤立感を感じることも少なくありません。
さらに、価値観の違いは、食事やレクリエーションの選択にも影響を与えます。例えば、健康志向の入居者が多い施設では、食事の内容や運動プログラムがそのニーズに合わせて提供されることが一般的ですが、そうでない場合、他の入居者との意見の相違が生じることもあります。
さらに、集団生活においては、他の入居者とのトラブルや誤解も発生しやすく、これがストレスの原因となることもあります。特に、プライバシーが確保されにくい環境では、個々の生活スタイルが尊重されないと感じることが多く、結果的に居心地の悪さを感じることがあるのです。
スタッフの対応に馴染めなかった
高級老人ホームでは、入居者の安心感や快適さを重視するため、スタッフによる声がけが頻繁に行われます。しかし、この声がけが時に「しつこい」と感じられることがあります。特に、プライバシーを重視する入居者にとっては、過度な関与がストレスの原因となることも少なくありません。
例えば、食事の際に何度も様子を伺われたり、日常生活の些細なことまで確認されると、入居者は自分の生活が監視されているように感じることがあります。このような状況は、特に自立心が強い方にとっては、居心地の悪さを引き起こす要因となります。
また、スタッフの声がけがしつこいと感じる背景には、施設側の意図もあります。入居者の健康状態や精神的な安定を保つために、コミュニケーションを大切にしているのですが、そのアプローチが逆効果になることもあるのです。入居者が自分のペースで生活できる環境を整えることが、より良い生活の質を提供するためには重要です。
想定外の費用がかかってしまった
想定外の費用がかかり、予算計画の通りにいかなかったという例もあります。たとえば住宅型有料老人ホームへ入居した場合、月額利用料には居住費・食費・管理費などが含まれているケースが多いです。しかし住宅型有料老人ホームは介護施設ではないため、施設からの請求に「介護サービス費」は含まれません。
住宅型有料老人ホームに暮らしながら介護サービスを受ける場合、入居者と外部の介護事業者が直接契約を結ぶことになるため、施設への月額利用料とは請求元が異なるのです。介護サービス費の請求額は、どのくらいサービスを利用したのかや、利用者の介護レベル・所得によって異なります。たとえば要介護1の方が支給限度基準額の上限までサービスを利用した場合、自己負担割合が1割なら、1か月あたりの自己負担額は16,765円です。もし介護サービス費を毎月定額にしたい場合は、介護付き有料老人ホームへ入居しなければなりません。
また、施設からオプションサービスを受けた場合も、別途費用が発生します。さらに、歯ブラシ・トイレットペーパー・オムツなどの日用品を提供してもらった場合も、実費を請求されるケースが多いです。
必要な介護サービスが受けられなかった
施設に入居してから心身状態が変わり、介護・医療ケアが必要になったものの、必要なサービスを受けられなかったという例もあります。実は高級老人ホームは高齢者向けの施設であるものの、提供している介護サービスは各施設によって異なります。たとえば介護付き有料老人ホームだからといって、あらゆる介護に対応しているとは限りません。たとえば機械入浴設備の数が少なく、介護レベルの高い方の入浴頻度が少ない施設もあります。
また、提供している医療ケアの範囲も施設によって異なるため注意しなければなりません。糖尿病に伴うインスリン注射・胃ろう・ストーマ・人工肛門などへの対応が必要な場合は、看護師の在籍状況なども確認してみてください。また、認知症患者の入居を受け入れているかどうかも施設によって異なります。とくに高級老人ホームの場合はプライバシーを重視する入居者が多いため、徘徊のある認知症患者に退去を求める施設も少なくありません。
高級老人ホーム選びで失敗しないためのポイント
ここまで紹介したような失敗を防ぐためには、高級老人ホームを選ぶときに次のポイントを意識してみてください。
● 入居者本人の意見を聞きながら選ぶ
● 施設見学には必ず行く
● 介護・医療体制を確認する
● 複数施設を比較する
● 体験入居や試食会に参加する
● 不明点があれば積極的に確認する
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
入居者本人の意見を聞きながら選ぶ
高級老人ホームを選ぶ際には、入居者本人の意向を最優先に考えることが重要です。周りの方からすると、立地・設備の充実度・サービス内容なども気になるかもしれません。しかし、実際に暮らし始めてからのミスマッチを防ぐためには、本人がどのような暮らしを望んでいるのかを確認することも大切です。
たとえば本人が「人とのつながりを保ちたい」と考えている場合には、レクリエーションやイベントが盛んな高級老人ホームを選んだほうがいいでしょう。一方、「落ち着いて生活したい」と考えている場合には、居室設備が整っており、図書館やカフェテリアなどが充実した高級老人ホームを選んだほうが希望に合う暮らしができます。
施設見学には必ず行く
入居先を選ぶ際、施設のパンフレット・ホームページなどを見る方は多いでしょう。しかし、パンフレットなどには施設側が伝えたいことしか掲載されていません。そのため見学せずに入居先を決めてしまうと、暮らし始めてから「イメージと違った」と感じる可能性が高いです。
そのためパンフレット・ホームページなどの情報が正しいのか確かめるためにも、入居前に必ず施設見学に行きましょう。施設の昼食時間にあわせて見学に行けば、実際のメニューを試食することも可能です。より厳しく施設の雰囲気・提供サービスなどをチェックしたい場合には、数日〜1週間程度の体験入居を申し込んでみてください。
見学時のチェックポイント
高級老人ホームを見学するときにチェックすべきポイントとしては、次のような例が挙げられます。
● 建物・設備の状況
● スタッフの質・雰囲気
● リハビリテーション体制
● 契約内容
● 運営法人の経営状況
まず、建物・設備がホームページなどで紹介されている状態と同じかどうかチェックしましょう。ホームページなどには綺麗な建物・設備が写っているかもしれませんが、実際には老朽化しているかもしれません。
あわせて、食事やレクリエーションなどをしているとき、スタッフがどのような雰囲気で対応しているかもチェックします。入居者の主体性を重視しており、スタッフも明るい表情をしている施設なら、入居後も楽しく暮らせるでしょう。
また、リハビリテーション体制を実際に確認することも重要です。とくに高級老人ホームでは、クリニックやリハビリテーションセンターが併設されていることも少なくありません。それら併設施設の様子も確認しておくと、入居後のミスマッチを防げるでしょう。
さらに、契約内容・運営法人の経営状況についても確認しておくと、より安心して暮らせます。これらの情報は各老人ホームごとの「重要事項説明書」で確認できるため、見学とあわせて閲覧してみてください。
介護・医療体制を確認する
多くの高級老人ホームは、介護・医療体制にも力を入れています。しかし先述したとおり、提供しているサービスは各施設によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。まず介護サービスについては、「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」と「介護付き有料老人ホーム」のどちらを選ぶのかによって大きく異なります。
住宅型・健康型の有料老人ホームの場合、施設としては介護サービスを提供していません。そのため介護が必要な場合は、外部の事業者から「居宅サービス」を提供してもらう必要があります。そのため老人ホームを選ぶときは、施設のバリアフリー状況を確認してみてください。たとえば浴室・トイレなどが居宅サービスを前提としていれば、介護が必要になっても同じ施設に暮らし続けられます。(自立した方のみを前提とした施設の場合、介護の必要性が高まると退去しなければならない可能性が高いです)
一方、介護付き有料老人ホームの場合、施設として介護サービスを提供しています。しかし具体的に提供してもらえる介護・医療ケアは、在籍している有資格者の種類に応じて異なる点には留意してください。
一般的な介護職員 | 特定の研修を終えた介護福祉士 | 看護師 |
体温測定 目薬・服薬の介助 ガーゼ交換 湿布の貼付 | 口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の喀痰吸引 胃ろうなどによる経管栄養 | 点滴管理 人工呼吸器管理 インスリン注射 |
多くの高級老人ホームは、日中のみ看護師を配置しています。しかし必ずしも全ての施設に看護師がいるわけではないため、医療ケアを必要とする場合は確認すると良いでしょう。
また、医療機関との連携体制も確認しておきましょう。たとえば併設しているクリニックの医師がすぐに診察してくれる体制が整っていれば、いざという時にも安心です。
複数施設を比較する
理想的な高級老人ホームに入居するためには、複数施設を比較することも重要です。料金はもちろん、設備・サービス内容・職員体制などをリストアップし、施設ごとのメリット・デメリットなども比べてみましょう。たとえ料金が同水準でも、施設によって受けられるサービスが異なることもあります。
スマートシニアで高級老人ホームを検索すれば、それぞれの施設の入居費用・月額費用はもちろん、入居条件・特徴などを一目で比較することも可能です。効率よく複数施設を比較したい方は、ぜひスマートシニアを使ってみてください。
体験入居や試食会に参加する
先ほども少し触れましたが、より入居後に近い状態で施設をチェックするためには、見学だけではなく体験入居や試食会へ参加することも重要です。とくに夕方や夜間、朝の様子を知るためにも、一度は体験入居をしておいたほうが安心でしょう。なお、体験入居で受けられるサービス例は次のとおりです。
● 食事
● 入浴
● 生活支援
● 身体介護
● リハビリテーション
● レクリエーション
また、体験入居の期間は1泊から1週間程度が主流ですが、最長1か月まで受け入れている施設もあります。一般的な有料老人ホームの体験入居費用は1泊5,000〜15,000円程度が相場ですが、高級老人ホームの場合は1泊2万円程度を見込んでおきましょう。
不明点があれば積極的に確認する
入居してから後悔しないようにするためにも、不明点がある場合は積極的に確認するようにしましょう。ホームページやパンフレットに書いてある内容も、念のため直接確認しておくと安心です。また、少し聞きづらい内容、たとえば「どのような入居者が多いのか」「実際にあった退去理由」「これまでにあったクレーム」なども聞いておくと、施設の本質が見えてきます。
高級老人ホームの見学から入居までの流れ
施設検索から見学・契約・入居に至るまでの流れは、おおむね次のとおりです。
- 高級老人ホームに求める条件をピックアップする
- 条件に優先順位をつける
- 優先順位をもとに施設を探す
- 気になる施設へ見学の予約をする
- 見学へ行く
- 体験入居をする
- 入居を申し込む
- 契約に必要な書類を準備する
- 施設スタッフとの面談する
- 入居審査を受ける
- 契約・入居
まずは高級老人ホームに求める条件をピックアップしましょう。「食事が美味しい施設」「フィットネスジムが併設されている施設」といった娯楽要素の強い条件はもちろん、「介護レベルが高くなっても住み続けられる施設」「認知症になっても住み続けられる施設」といった将来を見据えた条件をピックアップすることが重要です。
しかし、ピックアップした条件をすべて満たす高級老人ホームがあるとは限りません。スムーズに入居先を決めるためにも、条件に優先順位をつけることも重要です。優先順位をつけたら、スマートシニアなどを使って施設を探してみてください。
候補となる高級老人ホームを見つけたら、まずは見学を申し込みます。料理の味・レクリエーションの状況・施設の雰囲気など、現地でしか確認できない情報を確かめるためです。より入念に入居先を選びたい場合は、先述したとおり体験入居もしてみてください。1週間程度暮らしてみると、入居後の生活がイメージできるでしょう。
入居先を決めたら、契約を申し込みます。「診療情報提供書」や「健康診断書」など契約に必要な書類を伝えられるため、漏れなく集めていきましょう。書類を集めたら、施設の担当者・ケアマネジャーなどと面談し、希望条件・健康状態・介護の必要性などの認識を擦り合わせます。
あとは入居審査を受け、問題がなければ契約を結び、入居手続きは完了です。(高級老人ホームは費用が高額なため、入居審査が厳しいこともあります)入居一時金は最低でも1,000万円程度、通常は数千万円かかるため、スムーズに支払いできるよう用意しておきましょう。
まとめ
この記事で紹介したように、高級老人ホームに入居してから「失敗した」と後悔してしまう方も珍しくはありません。たしかに『集団生活になじめなかった』『人間関係がうまくいかなかった』などを防ぐことは難しいかもしれません。しかし『食事が口に合わなかった』『スタッフの対応に馴染めなかった』『想定外の費用がかかってしまった』『必要な介護サービスが受けられなかった』といった後悔は、契約前にしっかりと調査し、見学・体験入居などをすれば防げる可能性もあるでしょう。
理想の高級老人ホームで楽しく過ごすためにも、施設選びの際にはぜひこの記事で紹介したポイントを意識してみてください。また、スマートシニアでは老人ホーム選びに困っている方のために、コンシェルジュによる相談サービスも提供しています。電話・LINE・オンラインで相談できるため、高級老人ホームを探している方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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