シニア向け分譲マンションと有料老人ホームの違いは?サービス内容や費用も紹介

シニア向け分譲マンションと有料老人ホームの違いは?サービス内容や費用も紹介

高齢者向け施設にはさまざまな種類があり、どれを選ぶべきか迷っている方もいるのではないでしょうか。とくに資産や収入に余裕のある方の場合、シニア向け分譲マンションと有料老人ホームのどちらを選ぶべきか悩むケースが多いです。そこでこの記事では、シニア向け分譲マンションと有料老人ホームのサービス内容や費用の違いについて詳しく解説します。

監修
資格介護支援専門員・介護福祉士・認知症実践者研修
介護福祉士として10年以上現場経験があり、現在は介護老人保険施設の相談員として従事。介護資格取得スクールの講師やWEBライターとしても活動中。家族の声を元にした介護ブログを通じ、2019年3月、NHKの介護番組に出演経験もある。
#老人ホーム#選び方#有料老人ホーム

シニア向け分譲マンションと有料老人ホームの違いを比較

まずはシニア向け分譲マンションと有料老人ホームの違いについて、一覧表で比較してみましょう。

比較項目
シニア向け分譲マンション
有料老人ホーム
介護付き
住宅型
入居条件
原則として自立した高齢者
自立~要介護
自立~要介護度が軽度
契約方式
所有権方式
利用権方式
入居前費用
2,300~4,350万円
0~630万円
0~46.0万円
月額利用料
10.0~29.2万円
15.0~35.1万円
13.4~31.5万円
生活支援サービス
物件ごとに独自サービスを提供
食事の提供、家事(洗濯・掃除など)、健康管理など
介護保険サービス
なし (居宅サービスの利用は可)
あり
なし (居宅サービスの利用は可)
居室の広さ
物件によりさまざま (35~100㎡程度が一般的)
最低13㎡
食事内容
オプションとして提供
入居者の身体状況に合わせて提供(介護食など)
生活自由度
高い
施設の方針・スケジュールに従う

シニア向け分譲マンションは高齢者を対象としていますが、法律上は一般的な分譲マンションと変わりありません。一方、有料老人ホームはいくつかの種類に分類され、ほとんどの施設は「介護付き有料老人ホーム」か「住宅型有料老人ホーム」のいずれかに分類されます。

介護付き有料老人ホームは、介護保険制度の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている有料老人ホームで、施設として介護サービスを提供していることが特徴です。一方、住宅型有料老人ホームは生活支援サービスを中心に提供する施設で、介護施設ではありません。


シニア向け分譲マンションの特徴

それではシニア向け分譲マンションの特徴について、さらに詳しく見ていきましょう。とくに知っておくべき特徴としては、次の2点が挙げられます。

●    自立した高齢者が安心して暮らせる場所

●    介護サービスの提供は基本的にない

自立した高齢者が安心して暮らせる場所

シニア向け分譲マンションは高齢者でも暮らしやすいように、バリアフリー設備が充実していることが特徴です。また、介護職員の配置はありませんが、居室やトイレ、浴室に緊急警報装置を設置していることが多く、万が一に備えて24時間駆け付ける管理体制を整えています。コンシェルジュによる安否確認や生活相談なども契約サービスに含まれているため、高齢者だけでの一人暮らしに不安がある方にもおすすめです。

このようにシニア向け分譲マンションは見守りサービスなどが充実していますが、介護施設のような行動制限はありません。そのため、外出や外泊も自由で、家族や友人を招くこともできます。基本的には自由に生活しつつ、万が一の場合に備えられることは、シニア向け分譲マンションならではのメリットといえるでしょう。

介護サービスの提供は基本的にない

シニア向け分譲マンションでは見守りなどのサービスは提供されますが、介護施設ではないため、食事・家事・排泄などの身体介護を受けることはできません。もし身体介護を受けたい場合、入居者が個別に居宅サービス事業者と契約する必要があります。この場合、シニア向け分譲マンションの月額費用とは別に、居宅サービス利用料が発生することは知っておきましょう。
また、シニア向け分譲マンションはバリアフリー設備が整っていますが、必ずしも介護を前提に設計されているわけではありません。そのため、介護の必要性が高まると、居宅サービスを利用したとしてもシニア向け分譲マンションでの暮らしが難しくなることがあります。そのような場合は、介護付き有料老人ホームなどの介護施設への転居を検討しましょう。(介護付き有料老人ホームに転居したタイミングで、シニア向け分譲マンションを他の人に貸し出すことも可能です)


有料老人ホームの特徴


つづいて有料老人ホームの特徴について紹介します。主な特徴は次のとおりです。

●    高齢者が安心して暮らせるサポート体制が整っている

●    施設の種類が3つに分かれている

高齢者が安心して暮らせるサポート体制が整っている

有料老人ホームはいくつかの種類に分けられますが、そのいずれにおいても食事提供や生活支援を受けられます。とくに通常の契約プラン内で食事まで提供してもらえる点は、シニア向け分譲マンションにはない有料老人ホームならではの特徴です。
また、家事や掃除も施設スタッフがサポートしてくれるため、自宅で暮らすよりも身体的な負担を減らせます。施設スタッフの見守りも受けられるため、万が一の転倒・急病などの場合にも安心です。


施設の種類が3つに分かれている

有料老人ホームは法律上、次の3種類に分類されます。

●    介護付き有料老人ホーム

●    住宅型有料老人ホーム

●    健康型有料老人ホーム

それぞれ食事・生活支援を提供している点は共通していますが、いくつか違いがあることも知っておきましょう。

介護付き有料老人ホーム 

介護付き有料老人ホームは、都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた有料老人ホームのことです。介護保険給付の対象となる介護サービスを施設として提供しており、介護の必要性が高い方を受け入れています。
看取り対応も行っているため、最後まで暮らせる場所として利用できる点も特徴です。また、介護付き有料老人ホームは医療機関ではありませんが、看護師の配置が義務付けられています。そのため、胃ろう・点滴など一定の医療ケアを受けられることもポイントです。

住宅型有料老人ホーム 

住宅型有料老人ホームは、主に生活支援サービスを提供する高齢者施設です。あくまでも介護施設ではなく、高齢者が安心して暮らせる住まいとしての役割を担っています。そのため、入居対象者は、自立〜要介護度の低い方に限られる点が特徴です。
なお、住宅型有料老人ホームは施設としては介護サービスを提供していませんが、入居者が個別に外部の介護事業者と契約すれば、訪問介護などの居宅サービスを受けられます。ただし、要介護度があまりにも高くなった場合には介護施設への転居を促される可能性が高いです。

健康型有料老人ホーム 

健康型有料老人ホームは、生活全般に必要なことはすべて自分でできるという高齢者を対象とした施設です。ただし、食事や掃除などの生活支援サービス全般は、施設から提供されます。

そのため、自立して生活できるものの万が一のことを考えて施設に入居したい方や、加齢に伴い家事を負担に感じるようになった方におすすめの施設です。ただし、健康型有料老人ホームの数は非常に限られるため、必ずしも入居希望エリアに施設があるとは限りません。

シニア向け分譲マンションと有料老人ホームの入居条件の違い

まずはそれぞれの入居条件をみていきましょう。入居条件は施設によって、さまざまですが一般的な基準は以下の通りです。

シニア向け分譲マンションの入居条件は定められていない

シニア向け分譲マンションは、基本的に入居条件は定められていません。購入すれば入居が可能です。しかし、マンションごとに入居条件を定めている場合があります。

たとえば「50歳以上」や「60歳以上」などです。また、介護度の高い方や認知症の方は入居できない場合があるので注意が必要です。

入居後に、介護度が高くなる場合や認知症の進行などにより、退去になるマンションもあります。

シニア向け分譲マンションは、基本的に自立した生活ができる方を対象としたマンションなので、入居を考えている方の状態に合わせて検討しましょう。

有料老人ホームの入居条件は種類によって異なる

有料老人ホームは、前述した通り、「介護付き」「住宅型」「健康型」と3つのタイプに分けられます。

【介護付き有料老人ホーム】

介護付き有料老人ホームは、65歳以上で、要介護1から要介護5の方を対象とした施設です。介護職員が24時間常駐しているので、安心して介護を受けられます。認知症の方でも入居可能です。

【住宅型有料老人ホーム】

住宅型有料老人ホームは、60歳以上で自立した生活ができる方から介護度が低い方が対象の施設です。介護度が高くなると入居継続ができない場合もあります。施設ごとに入居条件が異なる場合も多いので、気になる施設があれば、条件を確認しておくとよいでしょう。

【健康型有料老人ホーム】

健康型有料老人ホームは、60歳以上で自立した生活ができる人を対象にした施設です。介護度が高くなると退去しないといけない場合もあるので、注意しましょう。


シニア向け分譲マンションと有料老人ホームの費用の違い

シニア向け分譲マンションと有料老人ホームの費用の違いについても紹介します。

比較項目

シニア向け分譲マンション

有料老人ホーム
介護付き
住宅型

健康型

入居前費用

2,300~4,350万円

0~630万円
0~46.0万円

0~1億円

月額利用料

10.0~29.2万円

15.0~35.1万円
13.4~31.5万円

10.0~40.0万円

シニア向け分譲マンションに入居する際は、物件の購入費用がかかります。一方、有料老人ホームに入居する際にかかる費用は、居住費の前払いに相当する入居一時金です。シニア向け分譲マンションと有料老人ホームの費用の違いについて、さらに詳しく見ていきましょう。

シニア向け分譲マンションの費用

シニア向け分譲マンションは名前の通り購入型の住宅です。他の介護施設よりも高額で、富裕層を対象に考えられています。入居費用は、シニア向け分譲マンション購入費用となり、一般的なマンションよりも高額で、数千円から数億円となることもあります。数は少ないですが、中古物件もあるので、予算に合わせて検討するとよいでしょう。

入居後は、家で生活する場合と同じように日々の生活費や修繕積立費が必要です。外部の介護サービスを利用する場合は、介護サービス費が別途必要になります。

有料老人ホームの費用

有料老人ホームでは、入居時に入居一時金や敷金が必要な場合があります。入居一時金は、居住費の前払い制度で、施設の想定居住期間から算出されます。入居一時金が高額な場合は、毎月の費用負担が減るというシステムになります。

また、想定居住期間より早く退去した場合は、支払った入居一時金から償却された分を差し引いた金額が返金されるので安心です。入居一時金は数百万から数千万と施設によって設定金額は様々です。希望の施設がある場合は確認しておくとよいでしょう。最近では、入居一時金が不要の施設もあります。

有料老人ホームの中でも、「健康型有料老人ホーム」は入居一時金が高額に設定されている傾向です。

また、介護付き有料老人ホームの介護サービス費は、介護度に合わせて定額の費用が必要です。住宅型有料老人ホームと健康型有料老人ホームでは、外部サービスを利用するため、利用した分だけ介護サービス費が必要になります。施設によってはオプション設定があり、介護保険外サービスを自費で利用できる場合があります。

どのタイプの施設でも、入居中に必要な消耗品は各自で準備する必要があるため、家賃・電気代・水道代・光熱費など、何にいくら必要か確認をしましょう。


シニア向け分譲マンションと有料老人ホームのサービス内容の違い

シニア向け分譲マンションと有料老人ホームは、提供されるサービスにも違いがあります。とくに有料老人ホームは種類によってサービス内容が異なるため、比較しながら見ていきましょう。

シニア向け分譲マンションは生活支援・見守りがメイン

シニア向け分譲マンションで提供されるサービスは、主に、生活支援・見守り・コンシェルジュによる相談サービス・緊急時の救急車の手配などです。

シニア向け分譲マンションでは、自立した生活ができる方を対象としているため、介護や医療のサービス提供はありません。介護が必要となった場合は、外部のサービス事業所と契約しサービスを受けます。自宅で介護サービスを受けるときと同じシステムです。

他にも、オプションとして介護保険を利用せずに、介護や生活支援などのサービスを提供するシニア向け分譲マンションもあります。

有料老人ホームは種類によってサービス内容が異なる

有料老人ホームで提供されるサービスは、施設の種類によってさまざまです。

介護付き

住宅型

健康型

食事提供

レクリエーション

日常生活介護(食事・入浴・排泄など)

一定の医療ケア

食事提供

生活支援

レクリエーション

それぞれ詳しく紹介します。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームでは食事提供・レクリエーションだけではなく、日常生活介護(食事・入浴・排泄など)や一定の医療ケアを受けられます。介護スタッフが常駐しているため、24時間体制で身体介護を受けられる点は、介護付き有料老人ホームならではの特徴です。また、看護師も在籍しているため、一定の医療ケアも受けられます。

そのため、介護の必要性が高い要介護3以上の方、とくに寝たきり状態に近い方は、介護付き有料老人ホームを選ぶといいでしょう。また、インスリン注射など医療ケアが必要な持病を抱えた方も、介護付き有料老人ホームに入居することをおすすめします。

住宅型有料老人ホーム 

住宅型有料老人ホームで提供されるサービスは、食事・掃除・洗濯などの生活支援が中心です。また、入居者が参加するレクリエーションが活発で、孤独感を抱きにくいことも特徴といえるでしょう。シニア向け分譲マンションと比べると、入居者同士のコミュニケーションが取りやすい点もメリットの一つです。
なお、繰り返しとなりますが、住宅型有料老人ホームでは介護サービスは提供されません。介護が必要になった場合は、入居者が個別に外部の介護事業者と契約することになります。要介護1〜2程度までなら、居宅サービスを受けながら住宅型有料老人ホームで生活できるでしょう。

健康型有料老人ホーム 

健康型有料老人ホームで提供されるサービスも食事・掃除・洗濯などの生活支援が中心で、住宅型有料老人ホームと大きな違いはありません。ただし、健康型有料老人ホームは元気な高齢者を対象としているため、スタッフから細かなサービスを受けるケースは少ないでしょう。

また、介護サービスは提供されていないため、支援が必要な場合は入居者が個別に外部の介護事業者と契約します。ただし、健康型有料老人ホームは元気な高齢者のみを対象としているため、要支援1〜2以上と認定された場合は退去を促されることもあるでしょう。住宅型有料老人ホームよりも退去判断が厳しい点は留意してください。


シニア向け分譲マンションと有料老人ホームの居室・設備の違い

シニア向け分譲マンションと有料老人ホームでは、居室や設備にも違いがあります。

比較項目

シニア向け分譲マンション

有料老人ホーム

介護付き

住宅型
健康型

食堂

(レストランなどが併設の場合もある)



居室内浴室



理美容室

×

×
×

機能訓練室



相談窓口



なお、有料老人ホームに設けるべき施設は法令により定められていますが、シニア向け分譲マンションは法令による定めがないため施設によって差が大きいことが特徴です。各施設の居室・設備状況について、さらに詳しく紹介します。

シニア向け分譲マンションの居室・設備

シニア向け分譲マンションは高齢者向けに設計されたマンションです。そのため、バリアフリー設計で足腰が不安な方でも安心して生活できます。

居住空間は35㎡から100㎡と幅広く、2LDKの間取りのマンションが多くあります。夫婦で過ごすことも想定されているので、ゆったりとした生活空間が保たれているのが特徴です。

また、温泉・プール・カラオケルーム・シアタールーム・フィットネスジムなどの娯楽施設を併設しているマンションもあります。

入居後に、高齢者が楽しめるような設備が充実しており、シニアライフを楽しみたいという方には最適な住宅といえます。

コンシェルジュサービスや緊急時の通報装置などがあり、体調や気持ちに不安があっても安心して生活できる環境です。

有料老人ホームの居室・設備

有料老人ホームでは、個室の床面積が13㎡以上と定められています。また、基本設計として、バリアフリー構造でトイレ・浴室・食堂の設置が必須です。緊急時の避難経路の確保、介護専用居室は地上に設置といった基準も設けられています。

介護付き有料老人ホームは、厚生労働省から特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設です。特定施設入居者生活介護の指定を受けるためには、厚生労働省の定める人員や設備基準をクリアする必要があります。そのため、介護付き有料老人ホームは厚生労働省の基準をクリアしている安全対策を施された施設です。

住宅型有料老人ホームや健康型有料老人ホームの居室は、最低床面積が13㎡以上と定められています。基本的にバリアフリー構造で高齢者でも安心して生活できる環境です。

夫婦部屋・フィットネスジム・プール・温泉などの設備が整っている施設もあります。中には、ペットと同居できる施設もあるので、入居対象者の生活スタイルに合わせて選択するとよいでしょう。


シニア向け分譲マンションと有料老人ホームの人員基準の違い

シニア向け分譲マンションと有料老人ホームでは、配置されている人員にも違いがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

シニア向け分譲マンションは職員基準は設けられていない

シニア向け分譲マンションは、法令上は一般的な分譲マンションであるため、高齢者向けの職員基準は定められていません。ただし、一般的には窓口にコンシェルジュが常駐しているため、何か困ったことがある場合はすぐに相談できます。施設によっては介護などの知識を持った職員が配置されていることもあるため、入居前に確認してみてください。
また、夜間の職員配置状況についても、施設によって差があります。夜間もコンシェルジュが常駐している施設もあれば、緊急時のみ警備会社からスタッフが派遣される施設もあるため、やはり入居前に確認したほうが安心でしょう。

有料老人ホームは職員基準が設けられている

有料老人ホームは、法令で次のように職員配置基準が定められています。

介護付き

住宅型

健康型

特定施設入居者生活介護の人員配置基準

●    管理者:1人(兼務可)

●    生活相談員:要介護者等100名あたり1人以上

●    介護・看護職員:要介護者3名あたり1人以上

●    看護師:入居者30名に対して1人

●    機能訓練指導員:1人以上(兼務可)

●    ケアマネジャー(計画作成担当者):要介護者等100名あたり介護支援専門員1人以上

以下の職員を施設の提供サービスに応じた人数配置

●    管理者

●    生活相談員

●    栄養士

●    調理員

(具体的な人員配置基準なし)

介護付き有料老人ホームは介護施設であるため、非常に手厚い人員が配置されています。一方、住宅型有料老人ホームと健康型有料老人ホームは自立した高齢者を対象としているため、配置すべき職種は定められていますが、具体的な人数は施設の判断に任せられていることが特徴です。


シニア向け分譲マンションと有料老人ホームの契約方式

シニア向け分譲マンションと有料老人ホームは、入居に伴って必要な契約方式も異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

シニア向け分譲マンションの場合

シニア向け分譲マンションは、通常のマンションと同じく区分所有物件の所有権を購入する必要があるため、入居時には売買契約を締結します。金融機関の審査を通れば、住宅ローンを利用することも可能です。
物件を購入した後は、その部屋を賃貸に出すこともできます。たとえば購入直後は自分で居住し、将来的に介護施設へ転居した後は他人に貸し出してもいいでしょう。また、通常のマンションと同じく、第三者に売却して現金化したり、所有権を持った方が亡くなった場合には相続したりすることも可能です。

有料老人ホームの場合

有料老人ホームに入居する際は、居住費(家賃)とサービス費をパッケージ化した「利用権」を契約します。利用権を契約後は、毎月の費用を支払い、なおかつ施設の入居条件を満たしている限りは終身利用が可能です。たとえば介護付き有料老人ホームに入居した場合は、亡くなるまで同じ施設で暮らせます。住宅型有料老人ホームや健康型有料老人ホームの場合は、亡くなるまでか、介護の必要性が生じるまで施設を利用可能です。
ただし、利用権は契約者(入居者)のみに認められる権利であるため、シニア向け分譲マンションのように、親族に権利を相続することはできません。 


シニア向け分譲マンションと有料老人ホームのメリット・デメリット

それではここまで紹介してきたポイントをふまえ、シニア向け分譲マンションと有料老人ホームのメリット・デメリットについて見ていきましょう。

シニア向け分譲マンションのメリット・デメリット

まずはシニア向け分譲マンションのメリット・デメリットを紹介します。

【メリット】

●    居室設備・共用設備が豪華で、老後を充実させられる

●    物件を購入することになるため、室内のリフォームも可能

●    施設によっては、サークル活動などが活発

●    購入物件そのものが資産となる

【デメリット】

●    購入費用・ランニングコストが高額であるため、資産や収入に余裕がある方しか購入できない

●    物件購入後は固定資産税を払い続ける必要がある

●    介護の必要性が高まった場合は介護施設へ転居しなければならない

シニア向け分譲マンションは富裕層向けの施設であるため、設備やサービスが非常に充実していることがメリットです。ただし、その反面費用が高額な点はデメリットといえるでしょう。

有料老人ホームのメリット・デメリット

つづいて有料老人ホームのメリット・デメリットについて紹介します。

【メリット】

●    シニア向け分譲マンションと比べると費用が安い

●    食事の提供があるため自炊の必要がない

●    洗濯や掃除など家事全般もサポートしてもらえる

●    介護付き有料老人ホームなら要介護の方も終身利用できる

【デメリット】

●    生活の自由度はやや低い

●    契約者しかサービスを受けられない(相続できない)

有料老人ホームでは食事・洗濯・掃除などの家事全般もサポートしてもらえるため、心身の機能に不安のある方でも安心して利用できます。ただし、施設や入居者の状態によって外出・外泊・来客の制限を設けることがあるため、シニア向け分譲マンションと比べると生活の自由度がやや低い点はデメリットといえるでしょう。


シニア向け分譲マンションと有料老人ホームに入居する際のポイント

シニア向け分譲マンションと有料老人ホームのいずれを選ぶとしても、入居する際には次のポイントを意識することが重要です。

●    施設・物件ごとに内容が異なるため、複数を比較検討する

●    早めの検討や見学が大事

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

施設・物件ごとに内容が異なるため、複数を比較検討する 

シニア向け分譲マンションも有料老人ホームも民間施設であるため、運営事業者の方針によって設備・サービス・費用・立地・入居条件などは大きく異なります。たとえば医療ケアが必要な場合、看護師の配置義務がある介護付き有料老人ホームを選んだほうがいいと思うかもしれません。

しかし、例えばクリニックを併設しているシニア向け分譲マンションを選べば、ある程度の医療ケアを受けることも可能です。施設ごとの特徴を見定めるためにも、一つの施設だけを見て即決するのではなく、複数の施設を比較検討することを意識してみてください。

早めの検討や見学が大事 

複数の施設を比較検討するとなると、入居先を決めるまでにある程度の時間がかかるでしょう。しかし、人気施設はすぐに部屋が埋まり、希望したからといってすぐに入居できないこともあります。元気なうちから施設を探す必要はないと思うかもしれませんが、余裕を持って早めに検討・見学を済ませておくことが重要です。


まとめ

シニア向け分譲マンションも有料老人ホームも高齢者を対象とした施設であるため、バリアフリー機能が行き届いている点は共通しています。ただし、シニア向け分譲マンションは住戸を購入するのに対し、有料老人ホームは入居してサービスを受ける利用契約を結ぶことになるため、契約の仕組みは大きく異なります。さらに、有料老人ホームは介護付き・住宅型・健康型と細かく分類されることが特徴です。
それぞれの種別ごとはもちろん、施設・物件ごとに設備・サービス・費用なども異なるため、理想的な入居先を見つけたい場合はいくつかの施設を比較検討するといいでしょう。スマートシニアではさまざまな条件をつけて高齢者向け施設を検索できるため、ぜひ活用してみてください。

 


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