在宅介護、毎月いくらかかるの?施設の月額利用料とも比較して、無理なく介護を続けよう

「在宅介護でかかる費用は?」「在宅介護を続ける方法は?」と疑問はありませんか?

施設の利用に比べて費用が少ないため、経済的理由から在宅介護を選択するケースは少なくありません。

今回は、在宅介護で必要な費用を紹介します。また、各サービスの内容や介護を続けるポイントを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。


#施設サービス#在宅サービス#在宅介護#費用
この記事の監修

とぐち まさき

渡口 将生

介護福祉士として10年以上現場経験があり、現在は介護老人保険施設の相談員として従事。介護資格取得スクールの講師やWEBライターとしても活動中。家族の声を元にした介護ブログを通じ、2019年3月、NHKの介護番組に出演経験もある。

在宅介護の平均的な費用と介護期間

在宅介護では費用のバランスが大切

在宅介護にかかる費用は、介護度の高さと介護サービスの利用回数によって変わります。多くの介護サービスは、1回あたりの金額が決まっているため、利用回数が多いほど、費用は高くなります。他にも、一ヶ月定額の費用を支払うことで、何回介護サービスを使っても費用が上がらないサービスもあるため、状況により使い分けると良いでしょう。

在宅介護の平均的な費用は、4〜6万円です。費用を考えるときは、介護サービス費に焦点を当ててしまうことが多いですが、他にも生活にかかる家賃・光熱費・おむつなどの費用が必要になります。また、医療費も計算しておかなくてはいけません。

在宅介護にかかる費用の一例を、以下の表で確認していきましょう。(東京都の事業所を利用して、要介護3・1割負担の場合)

介護サービス
項目

費用(1割負担の場合)

※7日×4週、1ヶ月28日計算


訪問介護

255円/日 週2回

※1時間程度の掃除や洗濯

2,040円

デイサービス

977円/回 週2回

※7~8時間利用 


7,816円

福祉用具貸与


介護用ベッドのレンタル

1,200円

車椅子をレンタル

300円

合計


11,356円

上記の例では、介護保険費用は「1ヶ月11,356円」です。また、介護保険負担割合が2割や3割の方は、必然的に費用も高くなります。在宅介護では、介護サービス費の他にも、必要な費用がその他の自費サービスです。

項目
費用

家賃

20,000円

光熱費・水道代

10,000円

食費

45,000円

おむつ代

10,000円

医療費

10,000円

合計

95,000円

参考URL:https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2019.pdf

介護保険の費用と合わせると約10~12万円になります。在宅介護では、日常生活にかかる費用も大きいため、介護サービスのみで考えないようにすると良いでしょう。

次に、在宅介護の平均期間は、介護が始まったきっかけや、介護力などによって大きく変わります。生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」によると、在宅介護の平均期間は5年1ヶ月とデータが出ています。期間は個々に変わるため、10年以上在宅介護を継続している方もいるため、あくまでも平均値としてみておきましょう。


在宅介護の準備からサービスの利用開始までにかかる費用

在宅介護では自宅の改修も必要な場合がある

在宅介護には準備が必要です。準備における重要なポイントは、生活環境を整えることです。次の3つについて見ていきましょう。

  • 住宅改修 

  • リフォーム

  • 福祉用具の準備

それぞれ費用がかかるため、相場を知っておくと良いでしょう。また、これらの費用は一時的なものが多く、継続してかかる費用は少ない傾向です。

住宅改修

住宅改修では、自宅内に手すりを付けたい場合や段差を解消したいときに使えるサービスです。一つの建物に対して1回まで、20万円まで介護保険が適応されます。ただし、介護度が3段階以上高くなった場合は、再度住宅改修が可能です。また、夫婦共に要介護認定を受けている場合はそれぞれ1回ずつ利用できます。

リフォーム

在宅介護のために一階のガレージを生活の場とするため、出入りのしやすい介護用の部屋にする人もいます。この場合、規模にもよりますが、数10〜数100万円の費用が必要となることが考えられます。また、トイレの増設や自宅の段差を解消するケースもあります。リフォームをする場合、大きな費用が必要になることも覚えておくと良いでしょう。

福祉用具の準備

車椅子やベッドをはじめ、様々な福祉用具がありますが、中にはレンタルできない商品もあります。基本的に身体が直接当たる商品として、補高便座やシャワーチェアーなど、入浴や排泄で使用する商品です。これらは購入になりますが、1年間で10万円までであれば、介護保険が利用でき、1~3割の負担で購入が可能です。


介護サービスの利用料

介護度別で各介護サービスを紹介

ここからは介護サービスの利用料を見ていきましょう。在宅介護で受けられる介護サービスは次の通りです。

訪問介護

訪問介護は、訪問介護事業所からホームヘルパーが自宅に訪問し、入浴・排泄・食事介助などの身体介護から、掃除・洗濯・買い物などの生活援助を提供するサービスです。

サービス内容
時間
1割負担
2割負担
3割負担

身体介護

20分未満

189円

377円

565円

20~29分

283円

566円

849円

849円

30~59分

450円

899円

1,348円

1,348円

60分以上

656円

1,311円

1,967円

1,967円

生活援助


20~44分

207円

413円

619円

45分以上

255円

509円

763円

通院等乗降介助


112円

224円

336円

※東京都の地域区分「1単位=11.4円」で計算

訪問入浴

訪問入浴は、訪問入浴の事業所が、浴槽を自宅に運び入浴介助するサービスです。浴槽がない自宅でも入浴が可能です。

サービス内容
1割負担
2割負担
3割負担

全身浴

1,437円

2,873円

4,310円

清拭・部分浴

1,293円

2,586円

3,879円

※東京都の地域区分「1単位=11.4円」で計算

訪問看護

訪問看護事業所から、看護師が自宅を訪問し、必要な処置や薬の仕分けなどのサービスを提供します。また、必要な場合は排泄や入浴などの介助を行います。

事業所
時間
1割負担
2割負担
3割負担

訪問看護

ステーション


20分未満

357円

714円

1,071円

20~29分

536円

1,072円

1,608円

30~59分

936円

1,872円

2,808円

60~89分

1,283円

2,565円

3,848円

病院・診療所

20分未満

303円

605円

907円

20~29分

454円

908円

1,362円

30~59分

654円

1,307円

1,960円

60~89分

960円

1,920円

2,880円

※東京都の地域区分「1単位=11.4円」で計算

訪問リハビリテーション

理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が自宅に訪問し、医師の指示のもと必要なリハビリテーションを提供します。

サービス内容
時間
1割負担
2割負担
3割負担

訪問リハビリ

20分以上

341円

682円

1,023円

※東京都の地域区分「1単位=11.1円」で計算

通所介護(デイサービス)

デイサービス事業所に通い、日中の入浴・排泄・食事などの支援を行います。他にも、レクリエーションや機能訓練などを提供する日帰りのサービスです。

時間
介護度
1割負担
2割負担
3割負担

3時間以上

4時間未満


要介護1

402円

803円

1,204円

要介護2

459円

918円

1,377円

要介護3

520円

1,040円

1,560円

要介護4

578円

1,156円

1,734円

要介護5

638円

1,276円

1,913円

4時間以上

5時間未満

要介護1

421円

842円

1,263円

要介護2

482円

964円

1,446円

要介護3

545円

1,090円

1,635円

要介護4

608円

1,215円

1,822円

要介護5

638円

1,276円

1,913円

5時間以上

6時間未満



要介護1

618円

1,236円

1,854円

要介護2

731円

1,461円

2,191円

要介護3

843円

1,685円

2,528円

要介護4

955円

1,910円

2,865円

要介護5

1,068円

2,135円

3,202円

6時間以上

7時間未満


要介護1

634円

1,267円

1,900円

要介護2

748円

1,496円

2,244円

要介護3

864円

1,727円

2,590円

要介護4

978円

1,956円

2,934円

要介護5

1,094円

2,187円

3,280円

7時間以上

8時間未満

要介護1

714円

1,428円

2,142円

要介護2

843円

1,685円

2,528円

要介護3

977円

1,954円

2,930円

要介護4

1,110円

2,220円

3,329円

要介護5

1,245円

2,490円

3,735円

8時間以上

9時間未満

要介護1

726円

1,452円

2,178円

要介護2

858円

1,716円

2,574円

要介護3

993円

1,986円

2,979円

要介護4

1,130円

2,259円

3,388円

要介護5

1,267円

2,533円

3,800円

※東京都の地域区分「1単位=10.9円」で計算

通所リハビリテーション(デイケア)

介護老人保健施設や病院などに通い、日帰りでリハビリテーションを行います。食事や入浴なども提供している事業所もあります。

前年度の一ヶ月当たりの平均利用延人員数が750人以内)の場合

時間
介護度
1割負担
2割負担
3割負担

1時間以上

2時間未満

要介護1

399円

798円

1,197円

要介護2

431円

861円

1,292円

要介護3

465円

929円

1,393円

要介護4

496円

992円

1,488円

要介護5

531円

1,062円

1,593円

2時間以上

3時間未満


要介護1

415円

829円

1,243円

要介護2

476円

951円

1,426円

要介護3

539円

1,077円

1,616円

要介護4

601円

1,201円

1,802円

要介護5

663円

1,326円

1,989円

3時間以上

4時間未満

要介護1

527円

1,053円

1,580円

要介護2

612円

1,223円

1,835円

要介護3

696円

1,391円

2,087円

要介護4

805円

1,609円

2,414円

要介護5

912円

1,823円

2,734円

4時間以上

5時間未満

要介護1

599円

1,197円

1,796円

要介護2

695円

1,389円

2,083円

要介護3

791円

1,581円

2,371円

要介護4

914円

1,827円

2,741円

要介護5

1,036円

2,071円

3,107円

5時間以上

6時間未満

要介護1

674円

1,348円

2,021円

要介護2

799円

1,598円

2,397円

要介護3

923円

1,845円

2,767円

要介護4

1,069円

2,137円

3,205円

要介護5

1,212円

2,424円

3,636円

6時間以上

7時間未満


要介護1

774円

1,548円

2,322円

要介護2

920円

1,840円

2,760円

要介護3

1,062円

2,124円

3,185円

要介護4

1,231円

2,462円

3,692円

要介護5

1,397円

2,793円

4,189円

7時間以上

8時間未満

要介護1

826円

1,651円

2,476円

要介護2

978円

1,956円

2,934円

要介護3

1,133円

2,265円

3,398円

要介護4

1,315円

2,629円

3,944円

要介護5

1,493円

2,985円

4,477円

※東京都の地域区分「1単位=10.9円」で計算

短期入所生活介護(ショートステイ)

特別養護老人ホームなどで提供される短期入所サービスです。家族の負担軽減や体調不良などを目的に、一時的に宿泊サービスが利用できます。

※介護施設併設の場合

居室タイプ
介護度
1割負担
2割負担
3割負担

居室定員1名



要介護1

662円

1,323円

1,985円

要介護2

739円

1,477円

2,215円

要介護3

818円

1,636円

2,454円

要介護4

895円

1,790円

2,684円

要介護5

971円

1,941円

2,911円

居室定員

2名以上

要介護1

662円

1,323円

1,985円

要介護2

739円

1,477円

2,215円

要介護3

818円

1,636円

2,454円

要介護4

895円

1,790円

2,684円

要介護5

971円

1,941円

2,911円

ユニット型


要介護1

773円

1,545円

2,318円

要介護2

848円

1,696円

2,544円

要介護3

931円

1,861円

2,791円

要介護4

1,008円

2,016円

3,024円

要介護5

1,084円

2,167円

3,250円

※東京都の地域区分「1単位=11.1円」で計算

短期入所療養介護(医療型ショートステイ)

介護老人保健施設で提供されるショートステイです。医療的ケアやリハビリができます。

※介護老人保健施設の場合

居室タイプ

介護度

1割負担

2割負担

3割負担

居室定員1名

要介護1

820円

1,640円

2,459円

要介護2

871円

1,742円

2,613円

要介護3

939円

1,877円

2,816円

要介護4

997円

1,993円

2,989円

要介護5

1,053円

2,106円

3,159円

居室定員

2名以上



要介護1

902円

1,803円

2,705円

要介護2

955円

1,910円

2,865円

要介護3

1,024円

2,047円

3,071円

要介護4

1,081円

2,161円

3,241円

要介護5

1,139円

2,278円

3,417円

ユニット型



要介護1

908円

1,816円

2,724円

要介護2

959円

1,917円

2,875円

要介護3

1,028円

2,056円

3,084円

要介護4

1,087円

2,174円

3,261円

要介護5

1,144円

2,287円

3,431円

※東京都の地域区分「1単位=11.1円」で計算

福祉用具貸与

福祉用具貸与には、地域区分がないため、「1単位=10円」で計算されます。

在宅介護は利用者・家族の負担と、費用のバランスを見ることがとても重要です。


在宅で医療が必要になった時の費用

通院できない場合は往診可能

在宅介護で必要となる医療費は、病院でかかる受診費・通院時にかかる移動費・薬代など様々あります。また、入院になるとさらに高額な費用が必要になるでしょう。

病院への通院が困難な場合は、往診医を自宅に呼ぶことも可能です。往診医は利用する回数によって費用が異なります。費用目安は月2回の往診の場合、5,000~7,000円(1割負担)が必要です。


費用以外でみる在宅介護の負担

在宅介護は家族にとって大きな負担になる

在宅介護は無理をすると、家族の生活に影響が出てしまいます。家族の影響としては次のものが考えられます。

  • 介護うつ

  • 介護離職

介護うつ

在宅で介護する方に比較的多く見られるうつ状態です。介護うつになると、疲労感や倦怠感から疲れがとれない状況が続きます。また、やる気の低下が起こり、自身の生活もままならない場合もあるでしょう。

他にも、睡眠障害や食欲不振、不安・焦燥感といった症状があり、このような症状が2週間以上続く場合は、できるだけ早く病院などの医療機関に相談することをお勧めします。

介護うつを発症しやすい特徴の方は、次の通りです。

  • 責任感が強い

  • 完璧主義

  • まじめで几帳面な性格

  • 身近に頼れる人がいない

  • 経済的に不安がある

  • 孤独で抱え込む

一つでも当てはまるものがある方は、可能な限り自分の時間を作ったり、介護サービスや周囲の人を頼り、一人で抱え込まないよう注意が必要です。

介護離職

在宅で介護する場合、家族の支援は大きなポイントです。在宅介護では、夜間帯の介護サービスが少ないことから、睡眠時間を削って介護するケースも多くなります。そのため、疲労が溜まり仕事ができない、あるいは仕事に行けないなどの支障も考えられます。仕事に支障が出ると、給料や人間関係にも影響することから、退職を選択する方も少なくありません。

在宅介護のために離職を検討する場合は、経済的な問題が生じる場合もあるため、限界を迎える前に対策を立てておくと良いでしょう。

また、問題が起こりやすいケースとして、高齢者夫婦などで介護をしている老々介護や認認介護があります。老々介護は、高齢者の方同士で介護をしているケースを指します。また、認認介護は、認知症の方同士で介護をしているケースです。

高齢者同士や認知症同士で介護をしている状況は、様々なリスクを伴います。一方が倒れてしまう場合もあり、双方のケアも必要になるでしょう。


無理なく在宅介護を続けるために

計画的介護を続けるためにも決まりを作る

長期で在宅介護を考えていくためには、計画的な支援が必要です。経済的な問題や、家族の支援状況、身体的な負担など、明確にすると良いでしょう。

無理なく在宅介護を続けるために、決めておくとよいことを3点まとめました。

  • 施設利用のタイミング

  • 主で介護する人

  • 金銭管理する人

施設利用のタイミング

在宅介護を継続するためには、様々なトラブルが起こるでしょう。在宅介護にこだわりすぎると、介護者側が体調や精神状態を崩すことも考えられます。どのような状態になったら施設を検討するか、またはショートステイの利用についてなど、できるだけ明確に決めておくと良いでしょう。

主で介護する人

家族の中で、キーパーソンとなる人を決めておきましょう。介護サービスの決定や利用契約など、家族で意見が分かれたときに、主導権を持って決めたり、動ける人が良いでしょう。

金銭管理する人

揉め事の一つに、金銭トラブルがあります。本人が金銭管理をできない場合は、代理で行う人を決めておきましょう。在宅介護は、様々なタイミングでお金が動くため、収支を把握できる方がおすすめです。

他にも、在宅介護を続けるポイントとして、介護サービスを最大限利用する・地域の見守りサービスを利用する・Webカメラを導入して様子を見るなど、様々な方法があります。負担が大きくなり限界を感じてしまう前に、担当のケアマネジャーに相談しておくと良いでしょう。

まとめ

在宅介護は、様々なサービスを組み合わせて利用することで、利用者・家族の負担が軽減できます。しかし、利用するサービス量が増えると費用は高くなるため、必要なサービスと費用は計画的に選ぶと良いでしょう。

在宅介護では、介護する側のケアも大切です。疲労の蓄積や生活状況が一変してしまう場合も多いため、限界を感じる前に担当のケアマネジャーと相談し、介護する側の負担軽減も図りましょう。

今回の内容が、在宅介護の理解につながれば幸いです。


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