家財整理でやるべきこととは?注意点や業者の選び方を解説

老人ホームをはじめとする高齢者施設に入居する時には、入居申し込みや契約以外にも家財整理や自宅売却・引越しなど、今まで住んでいた家に関してやるべきことが多くあります。今回は、家財整理についてご説明します。家財整理は、施設への入居を機にご自宅を売却する場合はもちろん、そうでない場合にも重要です。時間がかかるため、余裕を持って計画的に進めましょう。

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この記事の監修

すぎもと ゆりこ

杉本 悠里子

有料老人ホームで介護士として約12年勤務した後、社会福祉士を取得。急性期病院の医療ソーシャルワーカーとして、入退院支援に携わる。現在は、スマートシニア入居相談室の主任相談員として、多数のご相談に応じている。

家財整理とは

家財整理は、自宅の整理全般に関する作業を総称して指す場合と、家具家電や資産など、持っている財産を整理する作業を指す場合があります。前者の場合、家財整理には以下の3つの作業が含まれます。

  • 遺品整理

  • 生前整理

  • 空家整理

遺品整理

遺品整理とは、自宅に住んでいた方が亡くなった際、その方の身の回りのものを遺族が整理する作業のことです。遺品整理では、遺品として保持するものの選定や不用品の処分・家財の搬出・自宅の清掃・相続手続きなどが必要になります。物が多い場合や家が広い場合は特に負担が大きく、相続手続きには専門知識が必要になるため、業者に依頼することが多いです。

生前整理

生前整理とは、ご本人が元気なうちに身の回りのものを整理する作業のことです。生前整理によって施設への引越し準備が楽になり、遺品整理の負担も減ります。主に不用品の処分や自宅の清掃・財産目録の作成や遺言書・エンディングノートの作成などを行います。

空家整理

空家整理とは、施設への入居などを機にご自宅に住む人がいなくなる場合に、自宅を整理して売却・解体などを行うことです。空き家のままでは防犯上のリスクがあり、固定資産税もかかります。自宅を売却することで、得たお金を医療費や生活費に充てることもできます。

しかし、自宅の売却や解体には時間と手間がかかります。そのため、健康面・体力面の問題から、ご本人が空家整理を行うことが難しいケースもあります。その場合は、ご家族が代わりに手続きを行うことも可能です。以下の記事では、親御さん名義のご自宅をご家族が売却する方法について解説しています。あわせてご覧ください。

財産を整理する家財整理とは

家財整理を「家具家電や資産など、持っている財産を整理する作業」として呼ぶ場合、主に以下の3つの作業が必要になります。

  • 不用品の処分

  • 不用品買取

  • 財産整理

生前整理と似ていますが、この場合の家財整理では「不要なものを断捨離する」という意味合いが強いです。

不用品の処分

引越しで持っていかない荷物や家具の中から、粗大ごみも含めて、不要な物を選んで処分します。整理する際は、荷物や家具を「必要」「保留」「不要」の3つに分け、まずは不要と判断されるものから捨てていきます。また、施設に引越した後も自宅に帰る可能性がある場合は、その際に必要になる最低限の家具や荷物は捨てないようにしましょう。

処分するのにためらいがある場合は、処分せず誰かに譲る方法もあります。大切な写真や思い出深いものなど、引き取り相手がいる場合はその方に受け継ぐこともおすすめです。ただし、高価なものが含まれている場合は、贈与相手に贈与税がかかることもあります。個人間の財産贈与では、年間110万円を超えると贈与税が発生し、引き取り相手に負担がかかってしまうので注意が必要です。

参考:不用品回収・粗大ゴミ回収戦隊エコレンジャー

不用品買取

不用品の中には、家具家電や美術品・コレクションなど、リサイクルショップで売ることができるものもあります。整理を業者に頼む場合は、見積もりを依頼し、その場で買い取ってもらうこともできます。

財産整理

自動車や建物・土地などの資産は、ご本人に売却する意思があり、親族内で引き取り手がいない場合は、売却することがおすすめです。売却手続きには時間がかかります。預貯金以外の財産についても、引越しのタイミングで整理し、必要に応じて換金するとスムーズです。

家財整理を行う際の注意点

家財整理を行う際は、以下の点に注意が必要です。

  • 持ち物は「モノ」だけではなく「情報」もある

  • 不要なものと、そうでないものを適切に見分ける

持ち物は「モノ」だけではなく「情報」もある

家財整理では、持ち物は「モノ」以外に「情報」もある、という点に注意が必要です。例えば、パソコンやスマートフォンに入っているデータ、サービスのマイページやSNSなどのログイン情報といったデジタルデータも含まれます。使用していないアカウントや、ご本人が見られたくないデータは、事前に削除しましょう。また、保険や月額制のサービス・クレジットカードなど、毎月継続してお金を支払うサービスに契約している場合は、不要なものを解約するなどサービスの整理が必要です。

不要なものと、そうでないものを適切に見分ける

家財整理を行う際は、本当に必要なものだけを残すことが大切です。「後で使うかもしれない」と捨てられずにいると、家財整理が進みません。

一方で、重要なものを捨ててしまわないよう注意も必要です。重要な書類を間違えて捨ててしまったり、ご本人にとって思い出深いものをご家族が誤って捨ててしまうこともあります。家財整理は、ご本人の意志を尊重しながら進めましょう。

家財整理は業者に依頼するのもおすすめ

家財整理は、ご本人とご家族で行うこともできますが、身体的な負担が大きく時間もかかります。費用は発生しますが、家財整理専門業者に依頼することで、不用品の処分から買取までをスムーズに行うことができます。信頼できる業者に依頼し、家財整理の負担を減らすことも1つの方法です。

家財整理業者のサービス内容

家財整理業者に依頼することで、以下のようなサービスを受けることができます。

  • アドバイザーによる相談対応:家財整理をする際のポイントや必要なものを見極める方法など、家財整理専門のアドバイザーに相談することができます。

  • 不用品の処分・買取:不用品の処分や買取を行います。整理した不用品をご自身で不用品回収業者やリサイクルショップに持っていくのは、時間も労力もかかる大変な作業です。業者に依頼することで、処分の代行や不用品の査定・買取をしてくれるため、スムーズに不用品整理が進みます。

  • デジタルデータの整理:デジタルデータの整理・削除には、ログインが必要な場合が多く、パスワードが分からないと進めることができません。業者に依頼することで、ご本人のプライバシーを尊重しながら、デジタルデータを確実に整理することができます。

家財整理業者を利用する際の注意点

家財整理業者を利用することで、負担を軽減しスムーズに家財整理が行うことができます。一方、業者の利用にあたっては、以下のような点に注意が必要です。

  • 不必要なオプションをつけないようにする

  • 3社以上見積もりをとる

  • 誠意を持って作業してくれる業者を選ぶ

  • 必要な許可・資格を持っていることを確認する

不必要なオプションをつけないようにする

家財整理業者の多くが、オプションでサービスを追加できる仕組みになっています。サービスを増やした分、料金も高額になるため、ご自身や家族で対応できると判断したものは依頼せず、必要なオプションのみをつけるようにしましょう。

見積書は丁寧に確認する

業者に依頼する際は、見積もりをとり、見積書を丁寧に確認しましょう。中には、安く見積もりを出し、当日料金を上乗せして請求する業者も存在します。見積書を確認する際は、作業内容や料金の内訳、追加料金が発生する可能性について記載されているかを確認しましょう。

また、複数社に見積もりを依頼することも大切です。料金やサービスは業者によって大きく変わるため、必ず3〜5社見積もりをとって判断しましょう。複数社の見積もりをとることで、料金やプラン内容を比較検討できるだけでなく、競争によって料金を抑えられる可能性もあります。複数社に見積もり依頼することを考えて、余裕のあるスケジュールで準備を進めることが大切です。

誠意を持って作業してくれる業者を選ぶ

家財整理では、ご本人の思い出が詰まった大切な品物も扱います。家財整理で後悔しないために、業者の説明は丁寧か、ホームページに実績や口コミが掲載されているかなどを確認し、信頼できる業者を見極めることが大切です。

必要な許可・資格を持っていることを確認する

業者を探す際には、業者が以下のような許可を得ているか、資格を持っているスタッフが在籍しているかを確認しましょう。特に、一般廃棄物収集運搬業許可や古物商許可は、処理や買取の際に必ず必要な許可です。業者によっては、処理や買取の工程を、許可を得ている業者に委託している場合もあります。

また、生前整理技能Pro1級や遺品整理士といった資格は、必ずしも必要ではありません。しかし、有資格者が在籍していれば安心して任せることができ、業者選びの良い判断基準となります。

許可・資格

関係するサービス

一般廃棄物収集運搬業許可

廃棄物の処理

古物商許可

遺品などの家財の買取

生前整理技能Pro1級

生前整理

遺品整理士

遺品整理

遺品査定士

不用品の買取

まとめ

この記事では、高齢者施設に引越す際に行うべき家財整理について、やるべきことや注意点、業者の選び方などをご説明しました。家財整理を計画的に進めることは、ご家族の負担を減らすことにもつながります。また、高齢者施設への入居が決まっていない場合でも、ご本人が元気なうちに家財整理を進めることが大切です。

家財整理は、業者を利用することで安心してスムーズに進めることができます。業者を利用する場合は、信頼できる業者を見極め、本当に必要なサービスだけを選択することが大切です。

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