高齢者の引越しについて〜手続きや専用プランのサービスをご紹介〜

施設への入居が決まったら、使い慣れた家具や生活用品などを居室へ運ぶ引越し作業が必要です。また、住所変更以外にも介護保険や年金に関する手続きも必要となります。引越しには意外と時間がかかるため、事前に手続きや業者のサービス内容などを理解し、計画的に準備を進めることが大切です。

この記事では、高齢者の方が引っ越しをする際に必要な手続きや、引越し業者が用意している高齢者専用プランの内容、さらに引越し業者に依頼する際の注意点について解説します。


#老人ホーム#施設入居#手続き関係
この記事の監修

すぎもと ゆりこ

杉本 悠里子

有料老人ホームで介護士として約12年勤務した後、社会福祉士を取得。急性期病院の医療ソーシャルワーカーとして、入退院支援に携わる。現在は、スマートシニア入居相談室の主任相談員として、多数のご相談に応じている。

引越しで必要な手続き

引越し前と別の市区町村に引越す場合、以前住んでいた市区町村の役所で転出届を受け取り、引越し先の役所で転入届を提出して住民登録を行います。また、同じ市区町村内に引越す場合は、住民異動届を提出して住所変更を行います。

介護保険に加入していて、要介護認定や要支援認定を受けている方の場合は、さらに介護保険や年金に関する手続きを行う必要があります。

介護保険に関する手続き

介護保険に関する手続きは、別の市区町村に引越すか、あるいは同じ市区町村内に引越すかで必要な手続きが変わります。

<同じ市区町村内に引越す場合>

 1.役所に介護保険被保険証を持参し、住民異動届と一緒に提出する

 2.住所を変更してもらい、継続して介護サービスを利用できる

<別の市区町村に引越す場合>

 1.前住所の役所に介護保険被保険証を持参し、介護保険窓口で資格喪失の届出を行う

 2.介護保険受給資格証明書を受け取る

 3.転入日から14日以内に、転入先の役所で介護保険受給資格証明書を提出する

 4.新たに介護保険被保険証と認定通知書を受け取る

「介護保険受給資格者証明書」は、前の居住地で要介護・要支援認定を受けていることを証明する書類です。転入先で新たに被保険証を受け取るために、転出手続き時に交付を受ける必要があります。

転入日から14日以内に提出しないと、新たに認定申請の手続きが必要になったり、介護サービスが自己負担になったりする可能性があるので注意が必要です。ご本人が市役所に行くのが難しい場合、委任状によって第三者が代理で行うこともできます。

年金に関する手続き

引越しの際には、介護保険に加えて、国民年金に関する手続きも必要です。転入先の役所の年金担当課に「被保険者住所変更届」を提出するだけで完了し、介護保険と同様、委任状があると第三者が代理で行うことができます。住民変更や介護保険の手続きと同時に手続きすることがおすすめです。


引越し作業を業者に依頼するメリット

施設に引越す場合は、家具や生活用品などを居室に運ぶ必要があります。もちろん、ご本人・ご家族だけで運搬することもできますが、荷物が多い場合は引越し業者に依頼することもおすすめです。引越し作業を業者に依頼することには、以下のようなメリットがあります。

  •  安心して荷物を運ぶことができる
  •  専用プランを利用することで、さまざまな作業を依頼できる
安心して荷物を運ぶことができる

荷物の搬入は重労働で、高齢の方は体力的に運搬が難しいことも多く、ご家族に負担がかかります。引越し業者に依頼することで、引越しに伴う体力的な負担を軽減できます。

また、施設への搬入時に施設の壁や床に傷をつけてしまうと、賠償問題につながる可能性もあります。引越しのプロである業者を利用することで、安心して荷物を運ぶことができます。

専用プランを利用することで、さまざまな作業を依頼できる

最近では、高齢者の引越し専用のプランを用意している業者が増えています。専用アドバイザーが引越しに関わるあらゆる作業をサポート・代行してくれるプランです。専用プランでは、荷造りや荷解き・入居後の荷物整理・不用品の処分代行などを依頼することができます。中には、各種サービスの住所変更手続きを代行してくれるところもあり、引越しの負担を減らすことができます。

専用プランのサービス例

専用プランでは、以下のようなサービスを受けることができます。

  • 荷造り・荷解き:引越し前の時間がかかる荷造りや、引越し後の荷解きを依頼することができます。
  • 不用品の処分代行:引越し時に不要になった家財の処分を依頼できます。
  • 入居後の荷物整理・レイアウト相談:運搬後、荷解きした荷物を整理したり、家具・家電のレイアウトに関するアドバイスをもらえます。
  • その他引越しに関する手続き:住所変更やガス・水道・電気の開通などの手続きを代行してくれます。

引越し業者を利用する際の注意点

引越し業者を利用することで、負担を軽減しスムーズに引越しが行えます。一方、業者の利用にあたっては、以下のような点に注意が必要です。

  • 不必要なオプションをつけないようにする
  • 引越しの依頼は早めに行う
  • 3社以上見積もりをとる
不必要なオプションをつけないようにする

高齢者引越し専用プランの多くが、オプションでサービスを追加できる仕組みになっています。サービスを増やした分、料金も高額になるため、ご自身や家族で対応できると判断したものは依頼せず、必要なオプションのみをつけるようにしましょう。

引越しの依頼は早めに行う

荷物の整理や荷造り・不用品の処分など、高齢者の引越しには時間がかかります。特に、春先のような繁忙期は利用者が多いため、希望のスケジュールで引越しが行えない場合もあります。早めに依頼し、余裕のあるスケジュールで進めましょう。

3社以上見積もりをとる

業者によって、引越し料金やプランは様々です。特に料金は業者によって大きく変わるため、必ず3社以上見積もりをとって判断しましょう。訪問見積もりには通常30分〜1時間ほどかかるため、3〜5社の見積もりをとることが一般的です。複数社の見積もりをとることで、料金やプラン内容を比較検討できるだけでなく、競争によって料金を抑えられる可能性もあります。複数社に見積もり依頼することを考えて、余裕のあるスケジュールで準備を進めることが大切です。


まとめ

今回は、高齢者施設に引越す際に必要な手続きや、引越し業者の専用プランについて解説しました。特に介護保険に関する手続きは、転入から14日以内に行う必要があります。引越し前後はやることが多く忘れてしまいがちなので、事前にやるべきことを整理することがおすすめです。また、引越し業者を利用することで引越しの負担を軽減できます。最近では便利な専用プランを用意しているところもあります。必要なサービスを選択し、スムーズで安心な引越しを行ってください。

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