エンディングノートとは?遺言書との違いやおすすめの項目をご紹介

エンディングノートは、人生についてまとめたり、重要な情報を家族に伝えたりするために作成するノートのことです。終活の一環として注目されています。エンディングノートに興味はあっても、具体的に何を書くべきなのか、どのようなノートを選べばよいのかなど、わからないことがある方もいらっしゃるでしょう。

今回は、エンディングノートとは何か、遺言書との違いや作成するメリット、書き方やおすすめのノートの選び方について解説します。終活を進めるにあたって、ぜひ参考にしていただければ幸いです。


#相続関係
この記事の監修

すぎもと ゆりこ

杉本 悠里子

有料老人ホームで介護士として約12年勤務した後、社会福祉士を取得。急性期病院の医療ソーシャルワーカーとして、入退院支援に携わる。現在は、スマートシニア入居相談室の主任相談員として、多数のご相談に応じている。

エンディングノートとは

エンディングノートとは、人生の終末を迎えるにあたって、ご自身の考えや残りの人生について整理し、重要な情報やメッセージをご家族に残すために作成するノートのことです。財産や相続などについて記載するほか、今後の人生の過ごし方や介護・終末医療・葬儀に関する希望などについても記録できます。エンディングノートの書き方に決まりはなく、ご自身が好きなように作成できるのが特徴です。

エンディングノートの作成は、これまでの人生を振り返り、残りの人生の過ごし方について考える大切な機会です。最近では、40〜50代でエンディングノートを書き始める方も増えています。終活を始めるタイミングに決まりはありませんが、将来について考える気力や体力が十分にあるうちに、少しずつ進めていくのがよいでしょう。

エンディングノートと遺言書の違い

エンディングノートには、遺言書のようにご自身が保有する財産や相続割合などを記載できます。エンディングノートと遺言書の違いは、法的効力の有無です。

エンディングノートの記載内容には、法的効力がありません。そのため、記載すべき内容や書き方などに指定はなく、好きなように書くことができます。ご自身の死後のことだけでなく、余生をどう過ごしたいかといった生きている間の事柄や、介護や葬儀などの希望について書くこともできます。

一方、遺言書は財産分与に関する法的効力を持つため、民法で定められている要件を満たしていることが必要です。規定の要件を満たしていない遺言書は、法的に無効となってしまいます。

このように、エンディングノートと遺言書は法的効力の有無が異なります。遺言書と違って、エンディングノートは自由に記載できるのが特徴です。


エンディングノートを作るメリット

エンディングノートを作成するメリットは、以下のとおりです。

  • 家族の負担を軽減できる

  • 現在の経済状況を把握できる

  • 今後の人生についてゆっくり向き合える

家族の負担を軽減できる

エンディングノートには、パスポートや年金手帳などの重要書類の保管場所や、葬儀・お墓に関する希望、保有している不動産や有価証券などの情報を記載します。エンディングノートにこれらの情報を残しておくことにより、ご家族がさまざまな手続きを行う際に役立ちます。

また、介護やターミナルケア・延命治療についての希望について記載しておくことにより、ご本人の判断能力が衰えてしまった後も、ご家族が迷うことなく選択できます。

このように、エンディングノートを作成することにより、ご家族の負担を軽減することにつながります。

現在の経済状況を把握できる

エンディングノートに、自身が保有する資産について整理し記入することにより、現在の経済状況を正確に把握できます。資産を明確にすることは、相続について考える際に非常に重要です。また、葬儀代やお墓にかかる費用をどう捻出するか検討したり、老後をどのように過ごすかについて考え、準備したりすることにもつながります。

今後の人生についてゆっくり向き合える

エンディングノートの作成を通して、今後の人生についてゆっくり向き合うことができます。残りの人生をどう過ごしたいかや、これから挑戦してみたいことなどを整理することにより、充実した余生を過ごせるようになります。


エンディングノートの書き方・項目

前述のとおり、エンディングノートはご自身が自由に書くことができるものです。とはいえ、何を書くべきか迷う方も多いのではないでしょうか。

エンディングノートには、以下のような項目について記載するのが一般的です。

  • ご自身の情報

  • 連絡先

  • 相続

  • 葬儀・お墓

  • 身の回り

  • 介護・医療

  • 家族へのメッセージ

ここでは、エンディングノートに記載する項目について解説します。

ご自身の情報

ご自身に関する基本情報は、亡くなった後住民票の抹消届を提出する際や年金受給停止手続きなどを行う際に必要になります。正確な情報を記載しましょう。

具体的には、以下の項目について記載します。

  • 氏名

  • 生年月日

  • 血液型

  • 住所

  • 本籍地

  • 家族構成

ほかにも、趣味・特技や好きな食べ物、行きつけのお店などをまとめておくことにより、ご自身の人生を振り返ることに役立ちます。

連絡先

親戚や友人の連絡先について残しておくことで、亡くなった連絡をする際に役立ちます。

SNSで連絡を取り合っているという方も増えているため、希望の連絡手段についても記載しておきましょう。

さらに、親戚との間柄がわかるような家系図も、相続人と相続順位を把握しやすくなります。

資産

資産に関する情報を正確にまとめておくことにより、相続の際や、口座の名義変更、解約手続きの際に役立ちます。ただし、エンディングノートを紛失すると、第三者によって不正に利用されてしまうリスクがあります。特に預貯金については、暗証番号を記載しないようにしておきましょう。

<預貯金>

  • 金融機関名・金融機関コード

  • 支店名・支店番号

  • 預貯金の種類(普通預金・当座預金など)

  • 口座番号

  • 口座名義

  • 通帳や印鑑の保管場所

<不動産>

  • 不動産の種類

  • 不動産の所在地

  • 不動産の用途

  • 不動産の名義

  • 想定時価

<生命保険>

  • 生命保険の名称

  • 保険会社

  • 契約者名

  • 証券番号

  • 書類の保管場所

<株式・投資信託>

  • 金融商品の種類

  • 金融機関

  • 数量

  • 確定申告の有無

<そのほかの資産>

  • 自動車

  • ゴルフ会員権・リゾート会員権

  • 宝石やブランド品

  • 絵画や骨董品

  • 資産価値のあるものについては、購入額や想定時価

<人と貸し借りしているお金>

  • 貸し借りしている相手の氏名

  • 連絡先

  • 貸し借りしている金額

相続

財産分与に関する法的効力を持つのは遺言書ですが、エンディングノートにも相続に関する以下のような情報をまとめておくと良いでしょう。

  • 相続財産

  • 相続人

  • 相続割合

  • 遺言書の保管場所

葬儀・お墓

葬儀やお墓に関する希望をまとめておくことにより、ご家族の負担を軽減できます。また、ご自身の希望に沿って終わりを迎えることもできます。

具体的には、以下のような希望をまとめておきましょう。

  • 葬儀の形式

  • お墓の場所

  • 葬儀に参列してほしい人

  • 喪主を任せたい人

  • 遺影に使ってほしい写真と保管場所

最近では、生前にご自身で契約できるプランもあります。生前契約を利用している場合は、そのことを知らずにご家族が葬儀を行わないよう、生前契約をしている旨と詳細を記しておきましょう。

身の回り

亡くなった後、ご家族が行う手続きや家財整理の負担が軽減できるよう、身の回りに関する以下のような事項について整理しましょう。

  • パスポート・年金手帳・健康保険証といった重要な書類の保管場所

  • パソコンや携帯電話のID・パスワード

  • WebサイトやSNSに登録しているID・パスワード

  • 残してほしい荷物・データ

  • 処分して欲しい荷物・データ

ペットを飼っている場合は、以下のようなペットの基本情報や、亡くなった後ペットをどうするかについても記しておきます。

  • ペットの名前

  • 生年月日

  • 年齢

  • 好きな食べ物

  • かかりつけの動物病院

  • 持病・アレルギーの有無

  • 保険加入の有無

介護・医療

介護や医療についての希望を記すことによって、ご自身の判断能力が低下した際、ご家族がさまざまな判断をしやすくなります。特に延命治療を受けるか否かについては、ご自身の意思を尊重するべき重要な意思決定です。エンディングノートに希望を記載し、ご自身の意向に沿った選択ができるようにしましょう。

  • 介護に関する希望

  • ターミナルケア・延命治療に関する希望

  • 持病・アレルギー

  • 常用薬

  • かかりつけの病院

家族へのメッセージ

ご家族に伝えたいメッセージを残せるのは、エンディングノートならではの魅力です。感謝の気持ちやご家族を想う気持ちを書き残しておくことがおすすめです。思い出を振り返ることができるよう、写真を貼るのもよいでしょう。


おすすめのエンディングノートの選び方

エンディングノートは、好きなノートで作成することができます。最近では、パソコンや携帯のメモを使って作成する方も増えています。

エンディングノートを作成する際に便利なのが、市販のエンディングノート専用の商品です。さまざまなメーカーから販売されており、フォーマットどおりに記載することにより、エンディングノートが完成します。

ここでは、おすすめのエンディングノートの選び方を3つご紹介します。

  • 人生を振り返りたいなら、自分史が書けるものを選ぶ

  • 解説やコラムがついたエンディングノートもおすすめ

  • 紙質・記入欄が書きやすいものを選ぶ

人生を振り返りたいなら、自分史が書けるものを選ぶ

エンディングノートの中には、これまでの人生を振り返る、自分史について記載するページが用意されているものがあります。自分史をまとめることにより、今までの楽しかったことや辛かったことなどを振り返り、人生について整理できます。ご自身の人生について、ご家族に伝えることも可能です。また、今後の人生のあり方について考える際にも役立ちます。

人生を振り返りたい場合は、自分史が書けるエンディングノートを選ぶのがおすすめです。

紙質・記入欄が書きやすいものを選ぶ

エンディングノートの書きやすさを左右するポイントが、紙質と記入欄です。上質な紙を使用したエンディングノートなら、滑らかに書くことができます。特に、万年筆で書きたい場合は、ペンのひっかかりが少ない紙を選ぶことが大切です。

また、記入欄が小さすぎるものは、書き込むのが難しいため、思うように進まない場合があります。記入すべき項目が多すぎるものも、面倒に感じて続かなくなってしまいます。エンディングノートを気軽に作成したい方は、項目が少なくシンプルなものを選びましょう。

解説やコラムがついたエンディングノートもおすすめ

エンディングノートの中には、終活のやり方について解説したページや、名言をまとめたコラムがついているものもあります。役立つ知識が記載されたエンディングノートであれば、書きながらさまざまな情報を得ることができ、終活を進める際にも活かせるでしょう。


まとめ

今回は、エンディングノートとは何か、書き方やおすすめのノートの選び方などを解説しました。エンディングノートは、ご自身のこれまでの人生と今後の過ごし方について整理し、大事な情報や伝えたいメッセージをご家族に残すことができるツールです。ご自身とご家族双方にメリットがあるため、終活の一環としてぜひ作成してみていただければ幸いです。エンディングノートを書き始める年齢に決まりはありません。しかし、人生について考える余裕と体力があるうちに始めることにより、より充実したエンディングノートを作成できます。終活について考え始めたタイミングで、ぜひエンディングノートを手にとってみてはいかがでしょうか。


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