介護老人保健施設にかかる費用は?相場や内訳・負担を抑える方法を解説

介護老人保健施設を選ぶ際は、入居にかかる費用や内訳、費用を抑える方法など、多くの理解すべきポイントがあります。今回は、介護老人保健施設にかかる費用について、費用の相場や内訳、費用負担を抑える制度などを紹介します。


また、介護老人保健施設の入居条件やサービスについても解説します。介護老人保健施設への入居を検討している方は、ぜひご覧ください。


介護老人保健施設にかかる費用は?相場や内訳・負担を抑える方法を解説
#老健#費用#施設入居
この記事の監修

すぎもと ゆりこ

杉本 悠里子

有料老人ホームで介護士として約12年勤務した後、社会福祉士を取得。急性期病院の医療ソーシャルワーカーとして、入退院支援に携わる。現在は、スマートシニア入居相談室の主任相談員として、多数のご相談に応じている。

介護老人保健施設とは

「介護老人保健施設」は、老健とも呼ばれ、病院を退院した後、すぐに在宅で生活できない方を対象とした施設です。リハビリや介護、必要な医療ケアなどのサービスを受けながら3〜6ヶ月ほど滞在し、在宅復帰を目指します。理学療法士や作業療法士・言語聴覚士など、リハビリの専門職が常駐していることが多いため、リハビリサービスを重視する方に適した施設です。


介護老人保健施設は公的な介護保険施設であるため、初期費用がかかりません。そのため、入居時にまとまった費用が必要なく、月額利用料も比較的安いというメリットがあります。ただし、在宅生活への復帰を目指すという位置付けのため、原則3〜6ヶ月と入所期間が定められているに注意が必要です。


介護老人保健施設の入居条件

介護老人保健施設の入居対象者は、原則として要介護1以上の認定を受けている65歳以上の方です。その中でも、リハビリが必要な方を対象としています。ただし、40〜64歳の方でも、特定疾病を患っており要介護3認定を受けている場合は、入居対象となります。また、デイケアで介護老人保健施設を利用する場合は、要支援者も利用対象となります。


介護老人保健施設で提供されるサービス

介護老人保健施設では、以下のようなサービスが提供されます。

  • 施設サービス

  • デイケア

  • ショートステイ

いずれも介護保険が適用されます。以下では、それぞれのサービスについて詳しく説明します。


施設サービス

施設サービスとは、介護老人保健施設に入所して、リハビリや看護・医療サービスなどを受けることです。介護老人保健施設は、退院後、あるいは自宅から3〜6ヶ月程度入所し、日常生活への復帰を目指すための施設です。介護職員や医師・看護師、理学療法士や作業療法士・言語聴覚士などのリハビリ専門職員などのサポートのもと、手厚いリバビリや看護・医療サービスを受けることができます。


デイケア(通所リハビリテーション)

デイケアとは、介護老人保健施設に通い、リハビリやそのほか生活支援サービスを受けられるサービスのことです。通所リハビリテーションとも呼ばれます。自宅で生活している要支援1・2、あるいは要介護認定を受けている高齢者が対象です。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ専門職員がリハビリを行います。また、入浴介助や食事介助などの生活支援サービス、自宅への送迎を行っている施設もあります。


ショートステイ(短期入所生活介護)

ショートステイとは、短期入所生活介護のことで、施設に短期間入所して介護や生活支援を受けられるサービスのことです。介護老人保健施設でもショートステイを利用でき、入所して受ける施設サービスと同じようなサービスを受けることができます。


ご家族が何らかの事情で一時的に介護ができない場合や、介護から一時的に離れて休息を取りたい時の利用がおすすめです。介護保険制度を利用する場合、1回あたり連続30日まで、と定められています。


介護老人保健施設の費用相場

介護老人保健施設の入居にかかる費用相場は、以下のとおりです。

初期費用
月額利用料

0円

8〜14万円

介護老人保健施設は公的な介護保険施設であるため、敷金や入居一時金といった初期費用がかからないのが特徴です。また、月額利用料は要介護度や居室タイプ、介護サービスなどによって変わります。


介護老人保健施設にかかる費用の内訳

介護老人保健施設の入居にかかる費用は、月額利用料のみです。月額利用料とは、介護サービス費や居住費・食費などを合算して月々支払うものです。納得して費用を支払うためには、月額利用料の内訳を理解する必要があります。介護老人保健施設にかかる月額利用料は、大きく以下の3つに分けられます。

  • 介護サービス費

  • 居住費・特別室料

  • 食費

  • そのほか日常生活費

  • 医療費


介護サービス費

介護サービス費は、介護サービスを提供する施設で発生するものです。介護サービスに対して発生する基本料である「施設介護サービス費」と、サービス内容や人員配置に応じて追加で発生する「サービス加算」があり、どちらも介護保険が適用されます。自己負担額は基本的には1割ですが、所得に応じて2割、3割と変わってきます。必ずご自身の自己負担割合を確認しましょう。


施設介護サービス費は、要介護度や居室のタイプによって異なります。また、基準を超えた人員配置や手厚いサービスを提供している場合、「サービス加算」が発生します。介護老人保健施設におけるサービス加算には、以下のような種類があります。


  • 初期加算:施設に慣れるための支援として、入居した日から30日以内の手厚いケアに対して算定

  • 短期集中リハビリテーション実施加算:医師または医師の指示を受けた理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が、20分以上の個別リハビリテーションを1週間に3日以上行った場合に算定(入所日から3ヶ月以内)

  • 認知症短期集中リハビリテーション実施加算:認知症入所者に対して、医師または医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士・言語聴覚士が、認知症を患っている入所者に対し、20分以上の個別リハビリテーションを1週間に3回3日以上行った場合に算定(入所日から3ヶ月以内)

  • 夜勤職員配置加算:夜間・深夜に、痰の吸引といった認定特定行為が行える介護職員を配置した場合に算定

  • ターミナルケア加算:看取り体制の整備や看取りに向けた手厚い介護サービスを実施している場合に算定

上記のほかにもさまざまな種類があります。サービス加算については契約書や重要事項説明書などに記載されているため、入所前に必ず確認しましょう。

介護度別の介護サービス費用の目安は以下のとおりです。


ユニット型個室
ユニット型準個室
従来型個室
多床室

要介護1

25,230円

25,230円

22,680円

25,080円

要介護2

27,450円

27,450円

24,840円

27,330円

要介護3

29,340円

29,340円

26,700円

29,220円

要介護4

31,050円

31,050円

28,380円

30,900円

要介護5

32,700円

32,700円

30,090円

32,550円

居住費・特別室料

居住費は、通常の賃貸契約における家賃に該当する費用です。施設の立地や居室の広さ・タイプ、キッチン・浴室といった設備の有無などによって異なります。介護老人保健施設の居室には、主に以下の4つのタイプがあります。

  • ユニット型個室:10人程度のユニットを形成し、ユニットごとに共用スペース(リビング)が設置されているタイプ。共用スペースを囲うように個室が設置されている。

  • ユニット型準個室:ユニット型個室と異なり、部屋同士が壁ではなくパーテーションで仕切られており、完全な個室になっていないタイプ。

  • 従来型個室:一般的な個室

  • 多床室:一般的な相部屋

夫婦で入居できる2人部屋タイプを用意している施設もあります。個室や夫婦で使用する2人部屋タイプの場合、特別室料が加算されることもあります。居住費は介護保険の対象外であるため、原則全額利用者の自己負担です。


居室タイプ別の居住費の目安は以下のとおりです。

ユニット型個室

60,180円

ユニット型準個室

50,040円

従来型個室

50,040円

多床室

11,310円

食費

介護老人保健施設における食費には、1日3食で1,445円、月額43,350円という基準が設けられています。中には、基準を上回る施設もあります。また、欠食した場合でも1日3食分の費用が請求されます。ただし、入院や長期の外泊などで数日間施設を離れる場合は、食事をストップすることで請求されないことがほとんどです。居住費と同様に、食費も介護保険の対象外です。


そのほか日常生活費

入居者ご本人が、個人で使用する洗面用具やティッシュペーパーなどの日用品や理美容代など、日常生活にかかるその他の費用も必要になります。


医療費

介護老人保健施設では、医療ケアや薬代などの医療費を施設側が負担します。施設が認めた医療機関を受診した場合、治療費は施設が負担しますが、そうでない医療機関を許可なく受診した場合は、自己負担になります。また、高額な薬を服用しなければならない場合、施設の負担の問題から、入居が難しい場合があります。


介護老人保健施設の費用負担を軽減する制度

介護老人保健施設の費用負担を抑える方法として、減額制度の利用があげられます。ここでは、以下2つの減額制度について解説します。

  • 特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)

  • 高額介護サービス費制度


特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)

負担限度額認定とは、介護保険施設に入所している方やショートステイを利用している方のうち、一定の要件を満たした所得の低い方を対象に、費用負担を軽減する制度です。所得水準によって利用者負担段階が定められており、居住費と食費にそれぞれ自己負担上限額が設けられています。上限額を超えた分が介護保険から支給されます。介護老人保健施設における負担限度額(1日につき)は、以下のとおりです。

利用者負担段階
居住費
食費

従来型個室

多床室

ユニット型個室

ユニット型準個室


第1段階

490円

0円

820円

490円

300円

第2段階

490円

370円

820円

490円

390円

第3段階①

1,310円

370円

1,310円

1,310円

650円

第3段階②

1,310円

370円

1,310円

1,310円

1,360円

第4段階

限度額なし(対象外)

出典:厚生労働省「サービスにかかる利用料(介護老人保健施設、介護療養型医療施設、短期入所療養介護の場合)」


また、各段階に該当する対象者は以下のとおりです。

利用者負担段階

対象者

第1段階

生活保護受給者の方・老齢福祉年金受給者で世帯全員が住民税非課税の方で、かつ本人の預貯金等が1,000万円以下

(配偶者がいる場合は夫婦あわせて2,000万円以下)の方

第2段階

世帯員全員及び配偶者が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が80万円以下の方で、かつ本人の預貯金等が650万円以下(配偶者がいる場合は夫婦あわせて1,650万円以下)の方

第3段階①

世帯員全員及び配偶者が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が80万円超120万円以下の方で、かつ本人の預貯金等が550万円以下

(配偶者がいる場合は夫婦あわせて1,550万円以下)の方

第3段階②

世帯員全員及び配偶者が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が120万円を超える方で、かつ本人の預貯金等が500万円以下(配偶者がいる場合は夫婦あわせて1,500万円以下)の方

第4段階(対象外)

本人が住民税課税となっている方

または配偶者が住民税課税となっている方

または本人が属する世帯の中に住民税課税者がいる方

または本人の預貯金等が一定額を超える方

出典:厚生労働省「サービスにかかる利用料(介護老人保健施設、介護療養型医療施設、短期入所療養介護の場合)」

段階ごとに細かな対象要件が定められており、さらに居室のタイプによって居住費の限度額も異なります。利用の際は、条件に該当しているか、市区町村の窓口で確認してください。


高額介護サービス費制度

高額介護サービス費制度とは、介護保険の自己負担額が上限限度額を超えた際、市区町村に申請し、超過分が「高額介護サービス費」として返還される制度のことです。対象区分と上限限度額は以下のとおりです。

区分

負担の上限額(月額)

課税所得690万円(年収約1,160万円)以上

140,100円(世帯)

課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1,160万円)未満

93,000(世帯)

市町村民税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満

44,400円(世帯)

世帯の全員が市町村民税非課税

24,600円(世帯)

世帯の全員が市町村民税非課税の世帯のうち、前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方等

24,600円(世帯)

15,000円(個人)

生活保護を受給している方等

15,000円(世帯)

出典:厚生労働省「令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」


まとめ

今回は、介護老人保健施設の概要や入所条件・提供サービスを紹介し、費用相場や内訳、費用負担を抑えるための減額制度など、費用について解説しました。介護老人保健施設は、3〜6ヶ月と決められた期間入所でき、日常生活に復帰することを目的にリハビリや医療・介護サービスが受けられる施設です。利用するにあたって、費用について理解することが大切です。また、費用負担を抑える減額制度もあります。制度について理解し、利用要件に該当する場合はぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

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