認知症で要介護認定は可能なのか?認定基準や方法について解説!

家族が認知症になり介護が必要になったときには、要介護認定を受けることでさまざまな介護サービスを利用できます。


そこで本記事では、認知症の方の要介護認定の可否やポイントについて解説します。本記事をお読みいただければ、要介護認定に関する理解が深まりますので、是非とも最後までお読みください。

認知症で要介護認定は可能なのか?認定基準や方法について解説!

認知症の方は要介護認定を受けられるのか?

認知症の方も要介護認定を受けることが可能です。


要介護認定は、身体的な障害だけでなく、認知機能の低下による日常生活への影響も評価対象となります。認知症の進行度や日常生活への影響度に応じて、要支援1から要介護5までの区分が設定されます。


要介護認定を受けるためには、市区町村の窓口で申請を行い、訪問調査や主治医の意見書を基に審査が行われます。訪問調査では、認知症の症状や日常生活の様子を具体的に伝えることが重要です。これにより、適切な介護サービスを受けるための基準が明確になります。


認知症の方が要介護認定を受けることで、デイサービスや訪問介護、ショートステイなどの介護サービスを利用できるようになります。これにより、家族の負担を軽減し、認知症の方がより安心して生活できる環境を整えることができます。


認知症の方の要介護認定で押さえておきたいポイント

認知症の方が要介護認定を受ける際には、いくつかの重要なポイントを押さえておくことが大切です。以下に、その具体的なポイントを解説します。


ポイント1: 普段の様子を具体的に伝える

要介護認定を受ける際には、認知症の方の日常生活の様子を具体的に伝えることが非常に重要です。


認定調査員が訪問調査を行う際、家族や介護者が普段の様子を詳細に説明することで、より正確な評価が得られます。例えば、食事や入浴、排泄などの基本的な生活動作がどの程度自立して行えるのか、また、記憶力や判断力の低下がどのように日常生活に影響を及ぼしているのかを具体的に伝えることが求められます。


さらに、日常の中で困難を感じる具体的なエピソードを挙げると良いでしょう。例えば、食事の準備中に火を消し忘れることが多い、外出時に道に迷うことがある、夜間に頻繁に起きてしまうなどの具体的な事例を挙げることで、認定調査員が状況をより理解しやすくなります。これにより、適切な介護度が認定され、必要な介護サービスを受けやすくなります。


ポイント2: 日頃からかかりつけ医とコミュニケーションを取る

認知症の方の要介護認定をスムーズに進めるためには、日頃からかかりつけ医と密にコミュニケーションを取ることが重要です。かかりつけ医は、患者の健康状態や日常生活の様子を最もよく理解しているため、要介護認定の際に必要な診断書や意見書を適切に作成してもらうことができます。


また、かかりつけ医との定期的な診察を通じて、認知症の進行状況や新たな症状の発見が可能となります。これにより、早期に適切な介護サービスを受けるための準備が整いやすくなります。さらに、医師との信頼関係を築くことで、緊急時にも迅速かつ的確な対応が期待できるでしょう。


要介護認定の結果に納得できない場合の対処法

要介護認定の結果に納得できない場合、いくつかの対処法があります。ここでは、各対処法について解説します。


その1: 審査請求(不服申し立て)を行なう

要介護認定の結果に納得がいかない場合、審査請求(不服申し立て)を行うことができます。審査請求は、認定結果に対して異議を申し立てる手続きであり、介護保険法に基づいて行われます。具体的には、市区町村の介護保険課に対して、認定結果に不服がある旨を記載した書面を提出します。


審査請求を行う際には、認定結果に対する具体的な異議理由を明確にすることが重要です。例えば、認定調査の際に適切な情報が伝わっていなかった場合や、調査結果が実際の状況と異なると感じた場合などが考えられます。また、かかりつけ医の意見書や日常生活の状況を示す証拠資料を添付することで、審査の際に有利に働くことがあります。



審査請求の結果は、通常、数ヶ月以内に通知されますが、その間も介護サービスを受け続けることが可能です。審査請求が認められた場合、要介護度が変更されることがありますが、認められなかった場合でも、再度の申請や他の対処法を検討することができます。


その2: 区分変更の申請を行なう

要介護認定の結果に納得がいかない場合、区分変更の申請を行うことができます。区分変更とは、現在の要介護度が実際の介護の必要度と合わないと感じた場合に、再評価を求める手続きです。例えば、認知症の症状が進行し、日常生活での支援がさらに必要になった場合などに適用されます。


区分変更の申請は、市区町村の介護保険課に対して行います。申請書を提出し、再度調査員が訪問して状況を確認します。その後、介護認定審査会で再評価が行われ、新たな要介護度が決定されます。



申請の際には、認知症の進行状況や日常生活での困難さを具体的に伝えることが重要です。かかりつけ医の診断書や介護記録など、客観的な証拠を揃えることで、より正確な評価を受けることができます。


認知症の方が在宅で利用できる介護サービス

認知症の方が在宅で生活を続けるためには、適切な介護サービスを利用することが重要です。以下に、在宅で利用できる主な介護サービスをご紹介します。


自宅で利用できる介護サービス

認知症の方が自宅で生活を続けるためには、さまざまな介護サービスを利用することが重要です。まず、訪問介護サービスがあります。これは、介護職員が自宅を訪問し、日常生活のサポートを行うサービスです。具体的には、食事の準備や掃除、洗濯、入浴介助などが含まれます。


次に、訪問看護サービスも利用できます。これは、看護師が自宅を訪問し、健康状態のチェックや医療的なケアを提供するサービスです。例えば、薬の管理や傷の手当て、リハビリテーションの指導などが行われます。


さらに、デイサービスも自宅での生活を支える重要なサービスです。デイサービスでは、日中に施設に通い、食事や入浴、リハビリテーションなどのサービスを受けることができます。これにより、家族の介護負担を軽減し、認知症の方にとっても社会的な交流の機会が増えます。


施設への通所で利用できる介護サービス

認知症の方が施設へ通所することで利用できる介護サービスには、デイサービスやデイケアがあります。デイサービスは、日中の時間帯に施設で食事や入浴、リハビリテーションなどの支援を受けることができるサービスです。これにより、家族の介護負担を軽減し、利用者本人も社会的な交流を持つ機会が増えます。


デイケアは、医療機関が提供するリハビリテーションを中心としたサービスです。専門のスタッフが個々の状態に合わせたリハビリプログラムを提供し、身体機能の維持や改善を図ります。また、認知症の進行を遅らせるための認知訓練も行われることがあります。


認知症の方が入所して利用できる介護サービス

認知症の方が入所して利用できる介護サービスには、公的な介護施設と民間の介護施設があります。それぞれの施設には特徴があり、利用者のニーズに応じた選択が求められます。


まず、公的な介護施設としては、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)が挙げられます。特養は、常に介護が必要な方が長期的に入所できる施設で、24時間体制で介護サービスが提供されます。一方、老健はリハビリテーションを重視しており、骨折などにより入院をした後に在宅復帰を目指す方に適しています。


次に、民間の介護施設としては、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)があります。有料老人ホームは、比較的高額な費用がかかるものの、充実したサービスや設備が整っていることが特徴です。サ高住は、バリアフリー設計の住宅で、必要に応じて介護サービスを受けられるため、比較的自立した生活を送りたい方に適しています。


公的な介護施設

認知症の方が入所して利用できる公的な介護施設には、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、介護医療院などがあります。これらの施設は、国や自治体が運営しているため、比較的低料金で利用できるのが特徴です。


特別養護老人ホームは、常時介護が必要な高齢者が長期間入所できる施設で、24時間体制で介護サービスが提供されます。特に認知症の方にとっては、専門的なケアが受けられるため安心です。


介護老人保健施設は、リハビリテーションを中心とした介護サービスを提供する施設で、在宅復帰を目指す方に適しています。認知症の方も、専門スタッフによるリハビリを受けることで、生活の質を向上させることができます。


介護医療院は、医療と介護が一体となったサービスを提供する施設で、医療的ケアが必要な認知症の方にも対応しています。医師や看護師が常駐しているため、安心して生活を送ることができます。


民間の介護施設

認知症の方が利用できる民間の介護施設には、さまざまな種類があります。


代表的なものとしては、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)があります。これらの施設は、入居者のニーズに応じた多様なサービスを提供しており、認知症の方にとっても安心して生活できる環境が整っています。


有料老人ホームは、介護付き、住宅型、健康型の3つに分類されます。介護付き有料老人ホームは、24時間体制で介護スタッフが常駐しており、認知症の方に対する専門的なケアが受けられます。


住宅型有料老人ホームは、基本的には自立した生活を送ることが前提ですが、必要に応じて外部の介護サービスを利用することができます。健康型有料老人ホームは、比較的健康な高齢者向けで、介護サービスは提供されませんが、健康管理や生活支援が充実しています。


サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、バリアフリー設計の住居に加え、生活支援サービスが提供される施設です。認知症の方にとっては、安全な環境で生活できるだけでなく、必要に応じて介護サービスを受けることができます。サ高住は、比較的自由度が高く、自立した生活を送りたい方に適しています。


まとめ

認知症の方が要介護認定を受けることで、必要な介護サービスを利用することが可能になります。本記事では、認知症の方が要介護認定を受ける際のポイントや、認定結果に納得できない場合の対処法、在宅や施設で利用できる介護サービスについて詳しく解説しました。


要介護認定を受けるためには、普段の様子を具体的に伝えることや、日頃からかかりつけ医とコミュニケーションを取ることが重要です。また、認定結果に不満がある場合には、審査請求や区分変更の申請を行うことができます。

認知症の方が安心して生活を送るためには、適切な介護サービスの利用が不可欠です。家族や介護者がしっかりとサポートし、必要な情報を収集して、最適な介護サービスを選択することが大切です。本記事がその一助となれば幸いです。

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