老人ホームにおける看取りとは?流れや費用相場について解説!

看取り介護とは、身近に迫った死を避けられない状態にある人に対して行う介護を指します。


この記事では、老人ホームにおける看取りの意味や流れについて詳しく解説していきます。本記事をお読みいただくことで、看取り介護について理解できるようになりますので、是非とも最後までお読みください。

老人ホームにおける看取りとは?


老人ホームでの看取りとは、施設において終末期にある利用者の心身の苦痛を和らげ、尊厳を保ちながら最期を迎えるための支援を指します。


家族の代わりに、または家族と共に、スタッフが利用者の身の回りの世話や心のケアを行うことで、安らかな最期を迎えることができるよう努めます。


看取りは、ただ単に医療的なケアを提供するだけではなく、利用者一人ひとりの人生の終わりを見守り、その人らしい死を迎えることを大切にしています。


介護施設別の看取りの違い


老人ホームにおける看取り介護は、病院や在宅介護とは異なる特徴を持っています。


それぞれの施設で提供されるサービス内容や環境が異なるため、事前にしっかりと情報を収集し、家族と相談の上で選択することが大切です。


病院での看取り


病院での看取りは、医療機関における終末期の医療サービスの一環です。患者さんが最期を迎える際に、専門的な医療スタッフによる総合的なケアを受けることができます。


病院では、緩和ケアをはじめとする治療が行われ、痛みや苦痛を和らげることに重点を置いています。また、家族の精神的サポートも大切にされており、家族が看取りに立ち会うことができるよう配慮されています。


病院での看取りは、在宅での看取りと比較して、緊急時の対応や医療設備の面で優れていると言えるでしょう。しかし、病院特有のルールや環境により、家庭的な雰囲気での看取りを望む方には不向きな場合もあります。


それぞれの患者さんや家族の希望に合わせた看取りの方法を選択することが重要です。


在宅での看取り


在宅での看取りは、愛する人が最期を迎える場所として、家庭というプライベートな空間を選ぶ方法です。


家族や親しい人たちに囲まれながら、慣れ親しんだ自宅で穏やかに過ごすことができるため、終末期のケアとして選ばれることが多くあります。しかし、在宅での看取りには、24時間体制での医療ケアや介護が必要となる場合があり、家族の負担が大きくなることも考慮する必要があります。


また、緊急時に迅速な対応が求められることもあるため、事前に医療機関との連携を密にしておくことが重要です。看取りの際には、専門の訪問看護スタッフによるサポートを受けることも可能で、終末期の医療や心のケアを家庭で受けることができます。


同意書が必要になる


老人ホームでの看取り介護においては、事前に「同意書」の取り交わしが必要になることがあります。これは、入居者本人または家族が、看取り介護に関する施設の方針や手順を理解し、それに同意することを示す文書です。


同意書には、緊急時の対応や延命治療の有無、緩和ケアの希望など、入居者の意志が反映される内容が含まれます。また、看取りの際には、医療的な処置の限界や倫理的な問題も関わってくるため、同意書は入居者と施設側の信頼関係を築く上で重要な役割を果たします。


老人ホームによっては、看取り介護に関する方針が異なるため、入居時や看取りが近づいた際に、施設としっかりとコミュニケーションを取ることが大切です。


看取りと緩和ケア、ターミナルケアの違い


看取りとは、人がその人らしい尊厳を持って最期を迎えることを支援する介護のことです。


患者とその家族の心に寄り添う重要なケアであり、老人ホームにおいてもその理念は大切にされています。


緩和ケア


緩和ケアとは、治療を目的としないケアのことを指します。がんなどの進行性の疾患によって、治癒が困難な状態にある患者さんに対して、痛みや苦痛を和らげるための医療やケアを提供することを目的としています。


老人ホームにおいても、緩和ケアは重要な役割を果たします。患者さんの身体的な苦痛だけでなく、精神的、社会的、そしてスピリチュアルな面における苦痛の緩和にも注力し、その人らしい生活が送れるよう支援します。


緩和ケアには、症状のコントロールに加えて、患者さんやその家族とのコミュニケーションを大切にし、生活の質(QOL)の向上を図ることが含まれます。


ターミナルケア


ターミナルケアとは、末期がんなどの不治の病に冒された患者が人生の最終段階にあるときに提供されるケアのことです。


このケアの目的は、患者が苦痛を感じることなく、尊厳を持って最期を迎えられるようにすることにあります。症状の緩和、心理的なサポート、家族へのケアなど、患者のQOL(Quality of Life:生活の質)の維持・向上に重点を置いています。


老人ホームにおいても、ターミナルケアは重要な役割を果たし、終末期にある利用者が安心して過ごせる環境を提供するために、専門のスタッフや設備が整えられています。


老人ホームにおける看取りまでの流れ


老人ホームでの看取りまでの流れは、大きく分けて「適応期」「安定期」「不安定期」「看取り期」という4つの段階に分類されます。


それぞれの期間は個人差があり、家族や医療・介護スタッフとの連携が重要です。


適応期


適応期とは、老人ホームにおける看取りまでの流れの中で最初の段階を指します。この期間は、高齢者本人や家族が、終末期に差し掛かる現実を受け入れ、心理的な準備をする時期です。


老人ホームのスタッフは、入居者とその家族に対して、これから訪れる変化についての情報提供と心の支えを提供します。また、医療的なケアの計画も始まり、必要に応じて専門家との連携を図りながら、入居者一人ひとりに合わせたケアプランを作成します。


適応期は、看取りに向けた準備の期間であり、入居者と家族が安心して過ごせるよう、サポート体制を整える重要な時期です。


安定期


老人ホームにおける看取りまでの流れにおいて、「安定期」とは、病状が比較的落ち着いている時期を指します。この期間は、本人のQOL(Quality of Life:生活の質)を維持しつつ、可能な限り快適な日々を過ごせるよう支援することが重要です。


介護スタッフや医療従事者は、痛みや不快感を最小限に抑えるためのケアを行い、心のケアも欠かせません。家族との時間を大切にし、思い出話に花を咲かせることも、この期間の大切な役割となります。


また、安定期には、今後のケアプランや緊急時の対応計画を見直し、本人や家族と十分なコミュニケーションを取りながら、最終段階に向けた準備を進めることが求められます。


不安定期


不安定期とは、老人ホームにおける看取りまでの流れの中で、特に患者さんの身体的、精神的な変化が顕著になる時期を指します。この期間は、患者さんの症状が急変しやすく、緊急の対応が必要になることも少なくありません。


看護スタッフや介護スタッフは、24時間体制で患者さんの状態を見守り、必要に応じて医師の指示を仰ぎながら、痛みや苦しみを和らげるケアを提供します。家族とのコミュニケーションも重要であり、患者さんの意思や家族の希望に沿ったケアプランの見直しを行うことが求められます。


不安定期を迎えた際には、患者さんと家族に寄り添い、精神的なサポートも大切になってきます。


看取り期


看取り期は、老人ホームにおける看取り介護の最終段階です。この時期には、利用者の身体的な変化が顕著になり、意識が朦朧とすることもあります。


スタッフは、痛みや苦しみを最小限に抑えるためのケアに集中し、利用者が穏やかに最期を迎えられるよう支援します。家族との最後の時間を大切にするため、プライバシーが尊重された環境を提供することも重要です。


また、精神的なサポートも欠かせず、利用者や家族が不安を感じないよう、心のケアにも力を入れる必要があります。老人ホームでの看取り期には、利用者一人ひとりの尊厳を守りながら、温かく見守ることが求められます。


看取り介護加算とは?


看取り介護加算とは、老人ホームなどの介護施設で看取り介護を提供する際に、その特別なケアに対して支払われる追加の報酬のことを指します。


この加算は、終末期にある利用者に対して、より質の高い看護や介護を提供するための人員配置や環境整備など、特別なサービスを行うことによって発生します。


看取り介護加算を受けるためには、介護サービス事業者が一定の基準を満たす必要があり、それには適切な研修を受けたスタッフの配置や、適切なケアプランの作成などが含まれます。


この加算により、施設は利用者にとって最期の時間をより穏やかに過ごせるような環境を整えることが可能となります。


看取り介護加算が認められている事業者


看取り介護加算が認められている事業者とは、厚生労働省が定める基準を満たした介護サービス提供者のことを指します。


具体的には、特定の研修を受けた資格を持つスタッフを配置し、終末期の利用者に対して適切なケアを行うことができる施設がこれに該当します。


これには、老人ホームや介護付き有料老人ホーム、特別養護老人ホームなどが含まれますが、すべての施設が看取り介護加算を受けられるわけではありません。


加算を受けるためには、施設が定められた条件をクリアし、申請を行い、認定を受ける必要があります。認定を受けた事業者は、看取り介護に必要な体制を整えることで、利用者にとって心安らぐ最期の時間を提供することが期待されます。

看取り介護加算の条件


看取り介護加算とは、終末期にある利用者に対して特別な介護を提供する施設に対して支払われる加算料金のことです。この加算を受けるためには、いくつかの条件があります。


まず、施設は終末期の医療と看護を提供する体制を整えている必要があります。これには、痛みや苦痛を和らげるための緩和ケアの提供や、心のケアを含む全人的な支援が求められます。


また、利用者や家族との十分なコミュニケーションを通じて、看取りに関する意思疎通を図り、個々のニーズに応じたケアプランを作成することも重要です。


さらに、看取り介護加算を受けるためには、施設が定める基準を満たす必要があり、これには専門的な研修を受けたスタッフの配置や、適切な環境の整備などが含まれます。


これらの条件を満たすことで、老人ホームは看取り介護加算を受けることができ、利用者にとってより質の高い看取りが可能となります。


まとめ


老人ホームでの看取り介護について、その意味や流れ、さらには費用相場についても触れてきました。看取りは、終末期にある人が尊厳を持って最期を迎えるために重要な役割を果たします。


老人ホームにおける看取りは、施設の種類や方針によって異なるため、事前に情報を集め、理解を深めることが大切です。また、看取り介護加算についても知識を持つことで、経済的な負担を軽減する手助けになるでしょう。


最後に、看取りは家族や関わる全ての人にとって心の準備が必要な時期です。この記事が、その準備をする一助となれば幸いです。

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