老人ホームでの暮らしとは?1日の流れや過ごし方を詳しく解説

老人ホームへの入居を検討する際、気になるのは老人ホームでの過ごし方です。はじめてのことなので、老人ホームでの暮らしについてイメージするのは難しいと思います。今回は、老人ホームでの1日の流れや食事・献立、過ごしやすい工夫やイベント・行事についてご紹介します。この記事を読めば、老人ホームでの暮らしがイメージできるようになるはずです。入居を検討するうえで、ぜひ参考にしてください。


#老人ホーム#介護保険施設#施設サービス#生活#レクリエーション#食事
この記事の監修

すぎもと ゆりこ

杉本 悠里子

有料老人ホームで介護士として約12年勤務した後、社会福祉士を取得。急性期病院の医療ソーシャルワーカーとして、入退院支援に携わる。現在は、スマートシニア入居相談室の主任相談員として、多数のご相談に応じている。

老人ホームでの暮らしは楽しい?

老人ホームでの暮らしを楽しめるのか、どのような生活になるのか、不安に思われている方は多いと思います。感じ方は人それぞれですが、施設ごとに入居者にとって過ごしやすい工夫が多くなされています。

「老人ホームに入ったら、決められたスケジュールで毎日単調な生活をしないといけない」と勘違いされている方は多いです。大まかなタイムスケジュールが決まっているところはありますが、日ごとに変わるイベントやレクリエーション、食事などが豊富に用意されており、毎日違った楽しみを見つけることが出来ます。


タイムスケジュールで知る老人ホームでの1日の流れ

多くの老人ホームでは、入居者に共通のタイムスケジュールがあります。食事やレクリエーション、自由時間などが設定されており、基本はそのスケジュールに沿って生活を送ります。なお、サービス付き高齢者向け住宅のように自立が前提の施設では、スケジュールは用意されておらず、1日を自由に過ごせる場合がほとんどです。

タイムスケジュールは施設によってさまざまですが、以下では一例をご紹介します。


7:00 起床・モーニングケア(朝の身支度の介助)

起床時刻が決まっている施設もあれば、自由な施設もあります。また、入居者それぞれの生活習慣に合わせて、決まった時刻にスタッフが声をかけてくれるところもあります。洗顔や着替えなど、朝の身支度を介助する「モーニングケア」は、スタッフがそれぞれの居室を訪れて行います。介護スタッフが介助する場合もあります。朝に日課としてラジオ体操をしたり、読書をして過ごしたりと、入居者それぞれが自分のスタイルで朝の時間を過ごします。


8:00 朝食

朝食は、ダイニング(食堂、共有スペース等)で食べます。主食をパンとご飯から選べる施設もあります。


9:00 健康チェック

看護師が毎朝健康チェックを行い、体温や血圧・脈拍に異常がないか、体調は悪くないか、睡眠は十分にとれたか、などをしっかり確認します。


10:00 入浴

健康チェックで問題がなかった入居者から入浴します。必要に応じて、スタッフによる入浴介助が行われます。介助が必要ない方でも、入浴時に転倒や脱水症状などが起こらないよう、スタッフが安全確認を行う場合がほとんどです。入浴時間が午後の施設もあります。また、居室に浴室が備え付けられている場合、ある程度好きなタイミングで入浴できるという施設もあります。


11:00 リハビリ・嚥下体操

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といった専門家によるリハビリを受けられるところや、独自のプログラムを用意しているところなどさまざまです。

また、昼食前に嚥下体操を行う施設が多いです。嚥下体操とは、顔や首の筋肉をほぐしたり鍛えたりすることで、食べ始めの誤嚥を防ぐ運動です。


12:00 昼食

朝食と同様に、ダイニングで食べます。老人ホームでは栄養士が食事の管理を行っており、栄養バランスに配慮した食事をとることができます。最近では食事にこだわっている施設が多く、和食・洋食から選べたり、食器や盛り付けが工夫された食事を楽しめたりします。

普通のご飯が食べられない場合は、食べやすいようペースト状にしたものや、減塩食・糖尿病食など、入居者の体調に合わせて食事を調節してくれるので安心です。


13:00 レクリエーション・イベント

レクリエーションやイベントでは、お散歩や楽しいゲーム・アクティビティなどを通じて脳や体を動かします。リハビリにもなり、他の入居者とコミュニケーションをとることができる大切な機会です。ここで新たな趣味を見つける方もいらっしゃいます。なお、レクリエーションやイベントはあくまでも任意参加である場合がほとんどです。


15:00 おやつ

おやつタイムを楽しみにされる入居者の方は多いです。季節やイベントに応じたおやつを出してくれる施設もあり、入居者にとっては楽しく至福のリラックスタイムとなります。


16:00 自由時間

テレビを見たり読書をしたり、他の入居者とおしゃべりに花を咲かせたりと、思い思いの時間を過ごします。施設によっては自由時間に外出できるところもあります。


18:00 夕食

昼食と同様に、ダイニングで夕食を楽しみます。季節のイベントに合わせた行事食が提供されるところもあります。


20:00  就寝・ナイトケア

就寝時刻は自由ですが、消灯時刻が定められている施設もあります。就寝時は、入居者に代わった様子がないかスタッフが見守り巡回をするので安心です。就寝後も、必要に応じてスタッフが排泄介助や2時間に1回程度体位交換(寝返り)を行います。


老人ホームでの過ごし方1.食事・献立

食事は、1日の中でも大きな楽しみになります。老人ホームによって食事の内容は異なりますが、ここでは一般的にどのような食事が提供されるのか解説します。

老人ホームでは、栄養士が食事を管理しています。そのため、栄養バランスを考えられた食事が提供されるのです。また、利用者の体調に応じて大きく以下の3つの食事が提供されます。

  • 普通食

  • 介護食

  • 治療食

普通食

普通食とは、一般に提供される定食やプレートなどの食事のことです。最近では、和食や洋食、中華などのバラエティ豊かなメニューの中から好きなものを選べる施設が増えています。季節のものを取り入れたり、食器や盛り付けにこだわったりと、利用者が食事を楽しめるよう工夫を施している場合が多いです。


介護食

介護食とは、入居者の噛む力や嚥下能力に合わせて食感や食べやすさを調整した食事のことです。

以下、代表的な介護食の種類です。

  • ミキサー食:ミキサーですりつぶすことで、食べやすい液状にしたもの

  • きざみ食:ペースト状にすることで、あまり噛まなくても食べられるようにしたもの

  • とろみ食:片栗粉や葛粉などでとろみをつけ、飲み込みやすくしたもの

  • ソフト食:やわらかく調理することで、あまり噛まなくても食べやすいようにしたもの

  • ゼリー食:ペースト状にしたものにゼラチンや寒天などを加えてゼリー化することで、滑らかに喉を通り、なるべく美味しく食べられるよう工夫されたもの

治療食

治療食とは、持病や体調に合わせて工夫された食事のことです。塩分を控えめにした「減塩食」、食物繊維を豊富に含み脂質を減らした「糖尿病食」、アレルギーに対応した「アレルギー食」などが該当します。

治療食でも他の入居者と同じように食事を楽しめるよう、工夫している施設が多いです。


食事を楽しむための口腔ケア

多くの老人ホームでは、入居者が安全に食事を楽しめるよう口腔ケアを実施しています。

口腔ケアには、機能的口腔ケアと器質的口腔ケアの2つがあります。

機能的口腔ケアとは、食べる・話す・表情を作るといった口腔機能の維持・向上を目的に行われるケアです。口周りの筋肉や舌を動かすトレーニングやマッサージ、飲み込む力を鍛えるリハビリなどを行います。

器質的口腔ケアとは、口腔環境を清潔に保つためのケアです。口腔環境の悪化は、歯周病や誤嚥性肺炎といった病気の原因になります。口の中を清潔に保てるよう、うがいや歯磨き、舌磨きなどを行います。

いずれのケアも、入居者ご自身の口で食事を楽しむために重要です。


老人ホームでの過ごし方2.イベント・レクリエーション

最近では、レクリエーションに力を入れている施設が増えています。レクリエーションやイベントを楽しみにされている方も多いです。単調になりがちな老人ホームでの生活にアクセントを加え、生活を楽しくする工夫と言えます。


老人ホームで行われる季節のイベント

普段のレクリエーションにプラスして、季節ごとにイベントを開催している施設が多いです。イベントによって、四季の移り変わりを楽しむことができます。施設全体を飾り付け、雰囲気から盛り上げてくれるところも多いです。

ここでは、代表的なイベントについて説明します。


1月:お正月、初詣、鏡開き、七草粥

年の初めは、日本らしさを楽しめるイベントが豊富です。近くの神社やお寺を参拝したり、カルタや福笑いなどお正月らしい遊びを楽しみます。また、1月7日の人日の節句には七草粥を提供する施設も多いです。


2月:節分、バレンタイン

節分では、スタッフが鬼の格好をし、入居者に豆を投げて楽しんでもらうところが多いです。みんなで恵方巻きを作って楽しむ施設もあります。また、バレンタインに合わせてみんなでお菓子作りをするところもあります。


3月:ひな祭り

ひな祭りでは、スタッフと入居者で飾り付けをするところが多いです。折り紙や画用紙、紙コップなどを使って雛人形を手作りします。手先を動かすのでリハビリにもなり、飾り付けで施設の雰囲気も華やぎます。


4月:お花見

桜が綺麗な時期に、みんなでお花見に出かけます。美しい桜を見ながらご飯を食べ、おしゃべりを楽しむお花見は、普段あまり外に出る機会がない入居者の方から非常に喜ばれるイベントです。


5月:運動会

初夏の過ごしやすい気候に、運動会を実施する施設が多いです。運動会では、ストレス発散や身体機能の維持・向上、他の入居者との活発なコミュニケーションが見込まれます。


<老人ホームの運動会で人気の種目>

運動会といっても、本格的に競技を行うことはなく、あくまでも安全と楽しさ第一で行われます。以下では、老人ホームにおける運動会で人気の種目をご紹介します。

玉入れ

バケツのような背の低い容器を床に置き、その周りから柔らかい玉を投げ入れます。多くの玉を入れられたチームが勝ちです。座りながらできるので、車椅子の方でも関係なく楽しめます。

綱引き

紙を綱に見立てて、安全に楽しめる競技です。1対1で行い、紙がちぎれないよう引っ張り合います。

借り物競走

お題にあった物を探し、1番早く持ってくることができた人が勝ちになります。活発なコミュニケーションが生まれやすく、一丸となって盛り上がれる人気の種目です。

ボウリング

ペットボトルなど軽くて倒れても危なくないものをピンに見立て、ボールを転がして倒した数で競います。団体戦で行うことで、一体感が生まれみんなで楽しむことができます。

ダンス

勝ち負けがなく、全員で楽しめるプログラムも大切です。曲に合わせて全員で軽く踊ることで、楽しみながら体を動かすことができます。


7月:七夕

雛祭りと同様に、飾り付けを楽しむところが多いです。笹を用意して、願い事を書いた短冊を飾ります。


8月:夏祭り

ヨーヨーや的当てなど、縁日気分が味わえるレクリエーションを企画するところは多いです。中には、食事で屋台メニューを提供し、お祭り気分を盛り上げてくれるところもあります。


9月:敬老の日

敬老の日に合わせて、近隣の小学生が施設に遊びに来たり、お手紙を書いてプレゼントしてくれる場合もあります。入居者にとっては、小さい子と触れ合える貴重な機会になります。


10月:紅葉狩り・ハロウィン

秋は絶好の行楽シーズンです。お花見と同様、紅葉狩りは人気のイベントです。また、ハロウィンではみんなで仮装を楽しんだり、かぼちゃを使った料理やお菓子を楽しめます。


12月:クリスマス

季節のイベントの中でもメインとなるのがクリスマスです。クリスマスに向けてツリーの飾り付けをしたり、スタッフがサンタのコスプレをしたり、みんなでクリスマスソングを歌ったりと、施設全体でクリスマスを楽しみます。スタッフが入居者に簡単なプレゼントを渡すところや、夕食やおやつに少し豪華なご飯やケーキが出るところもあります。


<クリスマス会で人気の出し物>

クリスマス会では、みんなでクリスマスの雰囲気を楽しめる出し物が人気です。

ハンドベル

スタッフがハンドベルでクリスマスソングを披露するところもあれば、入居者も参加して一緒に演奏するところもあります。音の鳴らし方がシンプルで誰にでも演奏でき、一体感が生まれます。

合唱

「ジングルベル」や「赤鼻のトナカイ」のような、誰もが知っている定番のクリスマスソングをみんなで歌うのも人気です。合唱でクリスマス気分を盛り上げることができます。また、合唱には、ストレス緩和や発声による筋肉の運動、脳の活性化などの効果があります。

ビンゴ大会

老若男女楽しめるビンゴ大会は、クリスマス会で定番の出し物です。マス目を減らし、気軽に楽しめるよう工夫しているところが多いです。優勝者への景品をクリスマスプレゼントにすることで、プレゼントを狙って盛り上がります。


イベントを盛り上げる老人ホームの行事食

老人ホームでは、季節感を味わいイベントへの楽しみを増幅させる「行事食」を提供していることが多いです。例えば、1月7日の七草粥、節分の恵方巻き、夏の屋台料理、クリスマスのケーキなどです。イベントとともに食事を楽しむことで、QOL(生活の質)の向上にもつながります。


ボランティア活動への参加に積極的な施設も

老人ホームの中には、イベントの一環としてボランティア活動を積極的に行っている施設もあります。森林や海辺でゴミ拾いをしたり、手縫いの雑巾を作ったりと、比較的簡単にできるボランティアに参加することは、入居者にもメリットが多いです。

まず、手や体を動かすことで身体機能の維持・向上や脳の活性化につながります。そして、ボランティア活動を通じて人に感謝されることで、自身が社会に貢献しているという実感得られたり、生きがいを感じることができたりするのです。


老人ホームでの過ごし方3.リハビリ

老人ホームで行われるイベントやレクリエーションなどは、身体機能の維持・向上のためのリハビリも兼ねています。しかし、多くの老人ホームでは、冒頭でご紹介したスケジュールのようにリハビリの時間を設定しています。

老人ホームで受けられるリハビリには大きく2種類あります。

  • 専門家が行うリハビリ

  • 生活リハビリ

専門家が行うリハビリ

老人ホームの中には、理学療法士や作業療法士・言語聴覚士を常駐させ、リハビリ体制を強化しているところも多いです。


理学療法士によるリハビリ

理学療法士によるリハビリは、運動機能の回復目的に行われます。歩行訓練や筋力トレーニングといった運動療法と、マッサージや温熱治療で痛みを和らげる物理療法があります。運動機能を回復させることで、日常動作が自分でできるよう導きます。


作業療法士によるリハビリ

作業療法士によるリハビリは、日常動作を自分で行えるようにしたり、今の運動機能でできることを広げたりするために行われます。日常動作を通じた訓練や、レクリエーションなどを通じて心理面・身体面をケアします。


言語聴覚士によるリハビリ

言語聴覚士によるリハビリは、言語機能や嚥下機能など、口唇や舌に関わる機能の回復を目的に行われます。具体的には、コミュニケーション訓練や嚥下反射を促す「アイスマッサージ」などの嚥下訓練を行います。


生活リハビリ

食事や入浴、トイレなどの日常生活が自立して行えるよう訓練することで、寝たきりの予防や生活能力の維持を図るのが生活リハビリです。生活リハビリでは、スタッフが介助をしすぎず、利用者ができる部分を自分で行うことで自立を促します。


老人ホームでの過ごし方4.入浴

入浴を楽しみにしている方も多いでしょう。職員から介助を受けながら、安心して入浴できます。入浴には、体を清潔に保つことはもちろん、体を温め心身をリラックスさせるという効果もあります。心身を健康に保つために重要な活動であるため、入浴設備の充実度や入浴頻度を参考に老人ホームを選ぶというのも1つの方法です。

老人ホームの入浴回数は、国の基準で週に2回と決められています。週に2回、決まった曜日に入浴できる、というスタイルの施設が多いです。人員体制に余裕がある施設では、週3回以上入浴できる場合もあります。毎日入浴したい場合は、由に大浴場を利用できる施設や、居室に浴槽がついている施設を選ぶのがおすすめです。

さまざまな身体状況の方が安全に入浴できるよう、機械浴やリフト浴を備えている施設も多いです。機械浴は寝たまま、リフト浴は座ったまま入浴できる設備です。将来身体状況が変化することを考慮して、機械浴やリフト浴を備えている施設を選ぶとよいでしょう。

入浴週3回以上の施設を探す

機械浴・特殊浴対応の施設を探す


老人ホームでの過ごし方5.睡眠

老人ホームでは、十分な睡眠時間を確保できるよう配慮がなされています。


起床時間・就寝時間

多くの老人ホームでは、起床時間や就寝時間が決められています。

起床時間は7時前後、就寝時間は21時前後と設定されているケースが多いです。

起床時間や就寝時間が決められているのは、十分な睡眠時間を確保し、生活リズムを整えるためです。睡眠は、心身の健康を保つために欠かせない非常に重要な営みです。施設のスケジュールに合わせて睡眠をとることで、日中も元気に活動できます。


夜間の人員体制や見守り

就寝後も、職員が各居室を見回ってくれるため安心です。何かあった場合は、コールボタンを押すことで職員が対応してくれます。

体位交換や排泄介助が必要な方についても、職員が定期的に巡回し、必要に応じて介助してくれます。

なお、夜間の人員体制は施設によって異なるため、事前に確認しておきましょう。


老人ホームの施設・設備

老人ホームでの生活を知るためには、施設や設備についても理解しておくことが大切です。


居室

介護付き有料老人ホームや住宅型有料老人ホームでは、居室の最低面積は13平方メートル(約8.5畳)と定められています。1人であれば、問題なく過ごせるスペースが確保されています。

居室の設備は施設によって異なります。トイレや浴室が居室ごとに備わっているところもあれば、共用施設として独立した場所に存在しているところもあります。

老人ホームによっては、夫婦で同じ居室に入居することも可能です。

夫婦入居可の施設を探す

共用設備

共用設備としては、リビングや食堂、大浴場、機能訓練室(リハビリルーム)などがあります。

中には、図書館や映画館、プール、温泉など、充実した共用設備を備えている施設もあります。


生活を楽しめるサービスも

老人ホームでは、介護サービスや生活支援サービスのような生活に欠かせないサービスだけではなく、生活を楽しむためのプラスアルファのサービスも提供されます。

具体的には、以下のようなサービスが挙げられます。

  • 訪問理美容:美容師が出張し、髪を切ったり染めたりしてくれる

  • 移動販売:お菓子や生活雑貨、洋服などを購入できる

  • 出張コンサート:歌手やピアニストなどが出張し、生演奏を楽しめる

  • お笑い芸人による介護レク:レクリエーション介護士の資格を取得したお笑い芸人が出張し、レクリエーションを楽しめる

  • オンラインアクティビティ:オンラインで参加できるコンサートや、旅行気分を味わえるオンラインツアーなど

老人ホームで受けられる医療ケア・サービス

多くの老人ホームには医師や看護師が配置されており、身体状況に応じて医療ケアを受けられます。また、医療機関と連携し、訪問診療や入院の手配などを行ってくれる施設も多いです。

以下では、老人ホームで受けられる医療ケアやサービスについて解説します。

  • 職員による医療行為

  • 通院への付き添い・送迎

  • 訪問診療

  • 薬の管理・服薬支援

  • 訪問マッサージ

  • 入院


職員による医療行為

職員によって、行える医療ケアは異なります。

看護師の資格を持った看護職員は、以下のような医療ケアを行えます。

  • 点滴

  • 内服薬の仕分け

  • カテーテルを用いた導尿

  • 摘便

  • インスリン注射

  • ストーマ(人工肛門)交換

  • 褥瘡(床ずれ)処置

  • 人工呼吸器の管理

  • 在宅酸素療法

  • 中心静脈栄養(IVH)

看護師が24時間常駐している施設であれば、夜間も上記の医療ケアを受けられるため安心です。

一方、介護職員は原則医療行為を行うことができません。しかし、以下のような医療ケアについては、例外的に介護職員も行えるとされています。

  • 体温測定

  • 血圧測定(ただし、水銀血圧計を使った血圧測定は不可)

  • パルスオキシメーターの装置

  • 絆創膏を貼る程度の軽度なケガの処置

  • 医薬品使用の介助(軟膏の塗布、湿布の貼り付け、点眼薬の投与など)

  • 爪切り

  • 耳掃除

  • 口腔ケア

  • カテーテルの準備と、カテーテル挿入時の体位保持

また、医療的ケアの研修を受けた介護職員については、さらに以下の医療ケアも行えます。

  • 喀痰(かくたん)吸引

  • 経管栄養

通院への付き添い・送迎

老人ホームによっては、職員が通院に付き添ってくれたり、車で送迎してくれたりする場合があります。自力での通院が難しい場合は、付き添いや送迎サービスを提供している施設を選びましょう。


訪問診療

医療機関と提携している老人ホームでは、提携先の医師が訪問診療を行ってくれます。施設にいながら診察を受けられるため、体が不自由な方や体力に不安がある方も安心です。

また、提携先の医師が施設の看護職員や介護職員に指導を行い、施設全体の医療レベル向上を図っているケースもあります。


薬の管理・服薬支援

薬の管理や服薬支援も行われます。施設看護師が、薬の種類や服用するタイミングなどを管理するため、薬の飲み忘れや飲み過ぎを防止できます。自力で薬を飲むのが難しい方に対しては、誤嚥を防ぐために服用をサポートしてくれます。


訪問マッサージ

老人ホームによっては、あん摩マッサージ指圧師などが施設を訪問し、マッサージを受けられるサービスを提供している場合があります。マッサージによって血行がよくなり、筋肉の緊張がほぐれる効果が期待できます。

すでに訪問マッサージを利用しており、入居後も同じサービスを受けたい場合は、施設に相談してみましょう。

また、施設に在籍している機能訓練指導員が、拘縮(関節が硬くなり、動かしにくくなってしまう状態)の予防や緩和のためにもみほぐしを行ってくれる場合もあります。


入院

老人ホーム入居中に入院が必要になった場合は、提携先の病院に入院できる場合が多いです。退院後は、再び施設に戻ることができます。

入院が必要になった場合も、退去を言い渡されることは基本的にありません(施設種別により異なります)。ただし、院中も家賃・管理費等の支払いが必要になる点には注意が必要です。また、退院後に身体状況が変わり、施設で対応することが難しくなった場合は、退去を検討しなければならない可能性もあります。


老人ホームでの生活を寂しいと思わせない工夫

老人ホームでの生活を楽しむためには、入居者や家族の工夫も必要です。ここでは、老人ホームでの生活を寂しいと思わせない工夫を紹介します。

  • 定期的に面会の機会を設ける

  • イベントやレクリエーションに積極的に参加する

  • サークル活動に参加する

  • 訪問理美容サービスを利用する

定期的に面会の機会を設ける

親しみのあるご家族と離れて入居している方にとって、ご家族との面会は何よりも嬉しい時間になります。施設が家から遠い場合は難しいかもしれませんが、積極的に面会の機会を持つようにするのがおすすめです。

最近は新型コロナウイルス感染防止のため、なかなか対面で会うことができない場合が多いです。しかし、代わりにオンライン面会に対応しているところも多いので、遠くに離れている場合でも定期的にコミュニケーションが取れます。


イベントやレクリエーションに積極的に参加する

イベントやレクリエーションは任意参加の場合がほとんどですが、積極的に参加するのがおすすめです。変わり映えのある生活は良い刺激になりますし、他の入居者と仲良くなることができれば老人ホームでの生活が一気に楽しくなります。

しかし、中には知らない人とコミュニケーションをとるのが苦手という方もいらっしゃいます。その場合は、イベントへの参加がかえってストレスになってしまいますので、無理に参加を促さないようにしましょう。


サークル活動に参加する

多くの老人ホームで採用されているのがサークル活動です。サークル活動では、趣味の合う入居者同士で集まり、大学のサークルのようにその趣味を楽しむことができます。サークル活動に参加することで、趣味を通じて交友関係が広がり、ご自身の趣味を続けて生き生きとした生活を送ることができます。


訪問理美容サービスを利用する

多くの老人ホームでは、要介護認定を受けており外出が難しい方を対象に、理容師や美容師が訪問して髪の毛をカットしてくれる「訪問理美容サービス」を実施しています。

髪の毛を切ったりヘアスタイルを変えたりすることで、リフレッシュできます。特に女性の方にとっては「いつまでも綺麗でいたい」という心を持つことは心身の健康のためにも大切です。


老人ホームでの生活についてご家族が知っておきたいポイント

ここでは、老人ホームでの生活についてご家族が知っておきたいポイントを紹介します。

  • 面会の際は予約が必要

  • 食事の差し入れは控える

面会の際は予約が必要

ご家族が面会する際は、基本的には事前予約が必要です。面会したい時間が入浴やレクリエーションなどの時間とかぶっている場合は、面会に対応できない可能性があります。

また、不審者の侵入に備え、セキュリティ面を強化する施設が増えています。

施設に迷惑をかけないためにも、面会の際は事前に予約するようにしましょう。


食事の差し入れは控える

面会の際、食事の差し入れはなるべく控えましょう。

面会の際に、親御さんが好きな食べ物を差し入れたい、という方もいるでしょう。しかし、親御さんの体調によっては、食べられるものに制限がある場合があります。

また、差し入れによって食中毒が発生するリスクもゼロではありません。そのため、食事の差し入れを禁止している施設も存在します。

持っていきたいものがある場合は、事前に差し入れの可否を施設に確認しましょう。


老人ホームでの暮らしを体験できる体験入居

多くの老人ホームでは、見学だけでなく、実際にその施設での暮らしを短期間体験できる「体験入居」を実施しています。老人ホームでの生活は、選ぶ施設の雰囲気や設備などによってさまざまです。体験入居は、初期費用なしで実際の老人ホームでの生活を体験でき、重要な判断材料になります。入居希望の老人ホームが絞れたら、体験入居を利用してみてください。


老人ホームでの生活に関するよくある質問

最後に、老人ホームでの生活に関するよくある質問を5つ紹介します。

  • Q.老人ホームでは好きな時間に外出できる?

  • Q.老人ホームでペットを飼うことはできる?

  • Q.体調不良の際の過ごし方は?

  • Q.老人ホームでの生活を楽しむために持っていくとよいものは?

  • Q.老人ホームで飲酒や喫煙は可能?

Q.老人ホームでは好きな時間に外出できる?

老人ホームでは自由に外出できるのでしょうか?

老人ホームでは、外出できる時間が決められていることが多いです。安全上の理由や職員の勤務時間の都合から、施設の外に出られる時間が決められているケースが多く見られます。入居者の安全を確保するためのルールであるため、外出時間は必ず守るようにしましょう。なお、時間は限られているものの、外出が禁止されているわけではありません。事前に申請することにより、基本的には外泊も認められます。施設によって外出や外泊に関するルールは異なるため、入居前に確認しておきましょう。


Q.老人ホームでペットを飼うことはできる?

両親がペットを飼っているのですが、一緒に老人ホームに入居することはできますか?

ペットの飼育を許可している老人ホームであれば、ペットと一緒に入居が可能です。近年では、ペットと一緒に入居できる老人ホームが少しずつ増えています。家族であるペットと一緒に生活したい場合や、ペットの引き取り手がいないという場合は、ペット可の施設を探しましょう。しかし、ペットと入居できる施設は、全国的にはまだまだ少ないのが現状です。入居者の中には、動物が苦手であったり、アレルギーを持っていたりする方もいます。また、入居者ご本人がペットをお世話できなくなった場合、誰が責任を持つのかという問題もあります。入居したい施設がペット可ではない可能性も十分にあるため、万が一に備えて引き取り手を探しておくことも大切です。


ペット可の施設を探す​

Q.体調不良の際の過ごし方は?

体調不良の時もスケジュールどおりに過ごさなければいけないのでしょうか?

老人ホームでは1日のスケジュールが決まっていますが、体調不良の際はスケジュールどおりに過ごす必要はありません。食欲がない場合は食事の時間をずらしたり、レクリエーションをお休みしたりなど、体調に合わせて無理なく過ごせるよう配慮されています。

Q.老人ホームでの生活を楽しむために持っていくとよいものは?

老人ホームでの生活を楽しむために持っていくべきものを教えてください。

老人ホームでの生活では、居室で過ごす時間がかなり多いです。そのため、1人でも充実した時間を過ごせるよう、本やマンガ、手芸グッズ、ジグソーパズル、そのほか趣味に関するグッズを持っていくことをおすすめします。居室にテレビが備え付けられていない場合は、小型のテレビを持ち込むこともできます。しかし、ほかの入居者に配慮するため、自由に使うことが難しい可能性が高いです。お一人の時間を楽しむグッズは、大きな音が出ないものを選ぶことが望ましいでしょう。


Q.老人ホームで飲酒や喫煙は可能?

老人ホームで飲酒や喫煙はできますか?

老人ホームによっては、職員の目が届く範囲内で飲酒や喫煙が認められる場合があります。特にアルコールについては、行事食として提供されることもあるようです。ただし、自由に飲酒や喫煙ができるわけではありません。飲酒や喫煙が可能な場所が指定されているケースがほとんどです。入居者の身体状況によっては、医師の判断で認められない可能性もあります。飲酒や喫煙に関するルールは施設によって異なるため、確認しておきましょう。

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まとめ

老人ホームの暮らしについて理解しておきたいポイントは以下のとおりです。

  • 老人ホームでは1日のスケジュールに沿って生活する

  • 充実した毎日を送れるよう、季節のイベントやレクリエーションなど工夫がなされている

  • 医療ケアを受けられる老人ホームも多い

  • ご家族が面会する際は事前予約が必要

  • 老人ホームごとにルールが異なるため、ルールを守って生活することが大切

今回は、老人ホームでの暮らしにイメージを持っていただけるよう、タイムスケジュールや食事・イベント・リハビリの内容を説明いたしました。ご家族と離れたところに住むというのは不安が大きいことですが、老人ホームには楽しく過ごせるような、たくさんの工夫が詰まっています。スケジュールやイベントは施設によってさまざまなので、気になるところや重視したいポイントはぜひ見学の際に質問してみてください。この記事が、入居を検討されている方の不安を和らげることとなれば幸いです。

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