
ケアハウスとグループホームの違いとは?選ぶ際のポイントやメリット・デメリットを解説

杉本 悠里子
ケアハウスとグループホームの違いを比較
ケアハウスとグループホームは、どちらも比較的自立した方を対象とした介護施設です。しかし、それぞれの施設では入居条件やサービス内容が異なるため、入居を検討している方は特徴や費用について知っておくといいでしょう。
比較項目 | ケアハウス | グループホーム | |
一般型 | 介護型 | ||
入居条件 | 60歳以上の高齢者 | 65歳以上かつ要介護1以上 | 要支援2以上で認知症の診断を受けた方 |
契約方式 | 利用権方式 | ||
入居前費用 | 0~30.0万円 | 0~15.4万円 | |
月額利用料 | 9.3~22.0万円 (入居者の収入に応じて変動) | 12.4~19.7万円 | |
生活支援サービス | 食事の提供 洗濯・掃除などの生活援助サービス | 食事の提供 洗濯・掃除などの生活援助サービス 共同生活の支援 認知症患者に特化した支援 | |
介護保険サービス | なし (居宅サービスの利用は可能) | 施設から提供 | |
居室の広さ | 最低21.6㎡ (2人部屋は最低31.9㎡) | 最低7.43㎡ | |
食事内容 | 入居者の健康状態・身体状況に合わせたメニュー | ||
生活自由度 | 施設の方針に従って生活する |
それぞれの違いについて、さらに詳しく見ていきましょう。
ケアハウスは自宅生活が困難な高齢者支援施設
ケアハウスとは、軽費老人ホームのひとつで、一般型と介護型があり、入居条件やサービスが異なります。地方自治体や社会福祉法人が設置・運営することを原則とし、家庭環境や住宅事情などにより、自宅生活が困難な高齢者に対して必要な支援を行うことを目的とした施設です。
自立型ケアハウスでは、介護サービスの提供はありません。そのため、介護サービスが必要な場合は介護サービス事業者と個別に契約し、介護の支援を受ける必要があります。
一方、介護型のケアハウスの場合は、常駐している介護職員から介護サービスを受けることができます。ただし、施設によっては夜間職員が不在になる施設もあるため注意が必要です。
また、収入に応じた料金設定が設けられていることも大きな特徴です。
グループホームは認知症を対象とした施設
グループホームとは、認知症対応型共同生活介護のことで、5〜9名の入居者をひとつのグループ(ユニット)として介護サービスを提供する施設です。認知症の診断を受けている方を対象とし少人数で共同生活をします。
認知症ケアの専門職による支援を受けながら、住み慣れた地域で自立した生活を送ることが目的の地域密着型サービスを提供する介護施設です。また、グループホームはケアハウスとは違って法人格であれば運営可能なため、民間企業やNPOなどが運営しています。
ケアハウスとグループホームの入居条件の違い

ケアハウスとグループホームは、利用の目的と入居条件が異なります。それぞれの違いと入居条件を確認して、対象の施設を検討しましょう。
ケアハウスは一般型と介護型で入居条件が異なる
ケアハウスは、一般型と介護型で入居条件が異なります。
【一般型ケアハウス】
身寄りがない・家族からの支援を受けることができないなどの理由により、自立した生活が困難または不安を感じる60歳以上の人が対象です。また、夫婦で入居希望の場合には、どちらかが60歳以上であれば2人とも入居対象になります。
要介護度は自立〜要介護度の低い方を対象としていますが、基本的には介護支援が不要で自立した生活を送れる方が対象です。そのため、要介護度が高い方は入居できない場合があります。
一般型では、食事・入浴・排泄介助などの介護サービスは含まれていません。介護支援や医療的ケアが日常的に必要になった場合は、退去となる場合もあるため注意が必要です。また、日常的な医療行為についても同様です。
【介護型ケアハウス】
65歳以上で、要介護度1~5の方が対象の施設です。要介護度以外は、一般型と同様の条件となります。
介護型では、介護職員などの職員配置が義務化されているため、日中の介護サービスが受けられます。しかし、夜間帯は介護職員などの配置義務がないため、夜間に支援が必要な場合は入居できないケースもあります。
グループホームは認知症の診断を受けている必要がある
グループホームの入居条件は以下の通りです。
● 65歳以上
● 要支援2以上の人
● 医師より認知症の診断を受けた人
● 65歳未満の若年性認知症・初老期認知症と医師より診断を受けた人
● グループホームがある市区町村に住民票がある人
● その他集団生活に支障がない人
グループホームに入居する場合、認知症の診断を受け、要支援2以上の要介護認定を受けている必要があります。また、地域密着型の施設のため、施設と同じ地域に居住していることも入居条件のひとつです。
認知症の症状でも、暴言・暴力が強い場合は入居できない可能性があります。他にも、医療的ケアが必要になった場合やグループホームでは対応が困難な症状がある時は、断られるケースもあるでしょう。
一方で、施設によっては看取りケアを実施している場合もあります。入居条件は施設ごとによって異なるため、入居を検討する際に確認しておくと良いでしょう。
ケアハウスとグループホームの提供サービスの違い
ケアハウスとグループホームでは提供しているサービスが異なります。それぞれのサービス内容は以下の通りです。
ケアハウスは生活支援サービスを提供
ケアハウスでは、食事・生活支援を提供しています。自立した方から介護度の低い方を対象としているため、基本的に介護サービスの提供はありません。介護サービスが必要な場合は、外部の事業所との契約を行い、必要な介護サービスを受ける必要があります。そのため、介護サービスの必要性が高くなると、退去の検討が必要になります。
介護型のケアハウスの場合は、介護職員などの配置があり、介護サービスを受けることができます。ただし、夜間の職員配置がない施設もあるため注意が必要です。夜間の職員配置がない場合でも、緊急通報システムによる対応が行われます。
施設によって違いはありますが、季節ごとの行事やイベントを実施しています。他にも、レクリエーションや体操などのアクティビティを通して、脳の活性化や身体機能の向上を図り、日常生活に刺激を与えることが期待できるでしょう。
また、介護型では上記のサービスに加え機能訓練指導員による機能訓練が提供されます。機能訓練により身体機能の維持や向上が期待できます。
グループホームは認知症ケアを行う
グループホームでは、認知症の高齢者を対象に、日常生活の支援や介護サービスが提供されています。認知症は一人ひとりの症状が異なるため、個々に合わせた対応が必要です。そのため、認知症の専門的知識を有した職員が認知症ケアを行います。
また、グループホームでは、利用者の今できる能力や意欲を大切にし、できることは入居者自身が行いながら共同で生活します。そのため、買い物や食事の準備・片付けなど、職員が付き添いながら支援します。
これらの支援内容は、グループホームに在籍するケアマネジャーが作成するケアプラン(介護サービス計画書)に沿って提供されるため、希望や要望は伝えておくと良いでしょう。
他にも、服薬管理・体調確認・医療機関などの支援も受けることができます。ただし、施設ごとに対応できるサービス内容が異なるため、入居前に確認しておくと良いでしょう。
ケアハウスとグループホームの費用の違い
ケアハウスとグループホームでは、それぞれ費用が異なります。
ケアハウスの費用
ケアハウスでは、入居一時金が必要になる場合があります。入居一時金は施設により金額は異なりますが、数十万円から数百万円が一般的です。大きな費用を用意することが難しい場合は、入居一時金が不要な施設もあるため、探してみると良いでしょう。
さらに、毎月の利用料として、食事費・サービス料・宿泊費などが必要です。
ケアハウスは、利用者の収入に応じて負担金額が設定されています。所得による負担額の詳細は以下の通りです。
収入による階層区分 | 費用徴収額 |
150万円以下 | 1万円 |
150万1円~160万円以下 | 1万3,000円 |
160万1円~170万円以下 | 1万6,000円 |
170万1円~180万円以下 | 1万9,000円 |
180万1円~190万円以下 | 2万2,000円 |
190万1円~200万円以下 | 2万5,000円 |
200万1円~210万円以下 | 3万円 |
210万1円~220万円以下 | 3万5,000円 |
220万1円~230万円以下 | 4万円 |
230万1円~240万円以下 | 4万5,000円 |
240万1円~250万円以下 | 5万円 |
250万1円~260万円以下 | 5万7,000円 |
260万1円~270万円以下 | 6万4,000円 |
270万1円~280万円以下 | 7万1,000円 |
280万1円~290万円以下 | 7万8,000円 |
290万1円~300万円以下 | 8万5,000円 |
300万1円~310万円以下 | 9万2,000円 |
310万1円以上 | 全額 |
介護サービスが必要となった場合、一般型ケアハウスでは利用者が外部の事業所と直接契約を結びます。そのため、利用したサービスの費用は、直接その事業所に支払います。一方、介護型ケアハウスでは、施設の利用料金に介護サービスの費用が含まれています。
グループホームの費用
グループホームでも、入居一時金が必要な場合があります。入居一時金は施設によっても異なりますが、数十万から数百万が一般的です。
他にも、月額利用料として家賃・食費・サービス費・光熱費・消耗品費などに費用がかかります。グループホームでは、介護職員などが常駐しており、介護サービスが提供されています。そのため、介護サービス費は施設の利用料に入っているため、特別に支払う必要はありません。
どちらを利用する場合でも、事業所ごとに利用料金が異なるため、利用前に必要な費用をパンフレットや料金表などで確認しておくと良いでしょう。
ケアハウスとグループホームの人員基準の違い
ケアハウスと、グループホームでは人員基準が異なります。
ケアハウスは夜間職員の配置義務がない
ケアハウスでは、夜間職員の配置義務がありません。そのため、24時間の介護や医療が必要な方は受け入れできない場合もあります。
ケアハウスの人員基準は、以下の通りです。
職種 | 人員基準(最低人員) | |
一般型 | 介護型 | |
施設長 | 1名 ※兼務可 | |
介護職員 | 30人までは1名、30人~80人以下の場合2名、80人を超えた場合は2名以上 | 要支援者10人、または要介護者3人につき介護・看護職員どちらか1名 ※看護職員は、要介護者30人までは1名・さらに50人増えるごとに1名以上配置する |
看護職員 | ||
相談員 | 1名 | |
事務員 | 必要数 | 1名 |
調理員など | 必要数 | 1名 |
機能訓練指導員 | なし | 1名 |
計画作成者 | なし | 1名 |
グループホームは24時間体制でスタッフが配置
グループホームの人員基準は、以下の通りです。
職種 | 人員基準(最低人員) |
代表者 | 施設に1名 |
管理者 | 各ユニットに1名 |
介護職員 | 利用者3人に対して1人 夜間・深夜帯に関しては1人以上 |
看護職員 | なし |
相談員 | なし |
事務員 | なし |
調理員など | なし |
機能訓練指導員 | なし |
計画作成者 | 各ユニットに1名 |
各施設ごとに配置される人員を、解説します。
【施設長】
社会福祉士などの資格を有しているか、社会福祉事業に2年以上携わった経験があることが条件となります。また、社会福祉施設施設長資格認定講習会を修了すれば施設長として就くことができます。
【代表者】
施設全体の経営・運営に関しての管理業務を行います。介護施設での認知症介護の経験や、保険福祉サービスの提供を行う事業所の経営経験が必要です。また、厚生労働省が行う認知症対応型サービス事業解説者研修を修了している必要があります。
【管理者】
各ユニットごとに労務などの管理業務を担う職員です。特定の介護施設で3年以上の実務経験に加え、認知症高齢者介護の経験も必要となります。また、厚生労働省が行う管理者研修も受講する必要があります。
【生活相談員】
入居者の生活相談や支援に対応する窓口となります。生活相談員は、社会福祉士・社会福祉主事任用資格・精神保健福祉士などの資格が必要です。また、各市町村によっては介護福祉士などのルールがあります。
【介護職員】
入居者の身の回りのことや生活支援・介護サービスの提供などを行います。入居者の見守りや困りごとにも対応することができます。
【看護職員】
健康状態の把握や療養上の必要なケアを中心に、日常生活支援も行います。看護師は国家資格、准看護師は都道府県知事が発行する資格です。
【計画作成担当者】
各入居者の希望や要望に合わせた個別のケアプランを作成します。ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格が必要となりますが、自治体によっては他の資格でも認可されています。
【機能訓練指導員】
看護師(准看護師)・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師・鍼灸師のうち、いずれかの国家資格を有するものが該当します。利用者の身体状況や希望に合わせて機能訓練を実施します。
ケアハウスとの違いとしては、グループホームでは24時間体制でスタッフが配置されていることが挙げられます。夜間・深夜帯でも1人以上の介護職員が施設にいるため、万が一困ったことがあっても安心でしょう。
ケアハウスとグループホームの設備の違い
ケアハウスとグループホームは、設備基準にもいくつか違いがあります。
比較項目 | ケアハウス | グループホーム |
居室の広さ | 最低21.6㎡ (2人部屋は最低31.9㎡) | 最低7.43㎡(ユニット型) |
その他の設備の特徴 | 談話室・娯楽室・集会室、食堂、浴室、洗面所、便所、調理室、面談室、洗濯室、宿直室などの設置が必要 | 入居者が共同で生活するための食堂・台所・トイレ・洗面所・浴室など |
それぞれの設備基準について見ていきましょう。
ケアハウスの設備基準
ケアハウスの居室は原則として個室とされており、入居者がプライバシーを守りやすいことが特徴です。居室の広さも最低21.6㎡(約13畳)と、広く確保されています。また、入居者へのサービス提供上の必要性がある場合には2人部屋でも問題ないとされており、夫婦で入居することも可能です。この場合の最低面積は31.9㎡(約19畳)とされています。1人部屋・2人部屋を問わず、基本的には各居室にトイレ・洗面所・ミニキッチンなどが完備されていることも特徴です。
個室も充実していますが、入居者同士がコミュニケーションを取りやすいように食堂・談話室・娯楽室なども整備されています。ケアハウスには似た境遇の方が入居するケースが多いため、仲間を作りやすいことも魅力の一つといえるでしょう。
グループホームの設備基準
グループホームは先述したとおり、認知症患者が共同生活を送る施設です。食堂・台所・トイレ・洗面所・浴室などは各ユニットに備わっており、他の入居者と一緒に利用します。これら設備を各居室に備えつける必要がないため、居室の最低面積は7.43㎡(約4.5畳)と比較的コンパクトなサイズです。
なお、上記のようなユニットでの完全な共同生活が難しい場合は、本体住居とサテライト型住居で構成されたサテライト型グループホームを選択肢に入れてみてください。サテライト型グループホームも、本体住居ではユニット型グループホームと同じケアが提供されますが、それとは別に1人暮らし用のサテライト型住居(少し離れた場所にある民間アパートなど)も設置される点が特徴です。サテライト型住居で過ごしている間も、スタッフに連絡すればサポートを受けられます。なお、サテライト型であっても、居室の最低面積はユニット型と同じく7.43㎡です。
ケアハウスとグループホームの共通点
ここまではケアハウスとグループホームの違いについて紹介してきましたが、共通点についても見てみましょう。
● 他の入居者と交流しやすい
● レクリエーションやイベントが催される
● 施設の方針にある程度従って生活する必要がある
ケアハウスもグループホームも1人用の居室が用意されていますが、食事などは入居者が集まって摂るため、他の入居者と交流しやすいことが特徴です。(体調などに応じて居室での食事も可能)また、どちらもレクリエーションやイベントが催されるため、孤独感を抱くことなく生活できる点も共通しています
なお、いずれの施設に入居するとしても、施設の方針にある程度従って生活する必要があります。自宅やサービス付き高齢者向け住宅(高齢者向け賃貸住宅)のように、完全に自由に過ごせるわけではないことは知っておきましょう。
ケアハウスとグループホームをメリット・デメリットで比較
ここまで紹介した各種ポイントをふまえ、 ケアハウスとグループホームをメリット・デメリットで比較してみましょう。
ケアハウスのメリット・デメリット
【メリット】
● 手頃な月額料金
● プライバシーが守られた自由度の高い個室
● 介護が必要になっても継続利用可能な介護型
ケアハウスのメリットは、収入に合わせて月額料金の上限額が設けられているため、他の介護施設と比べても費用を抑えて利用できます。そのため、経済的に不安がある方でも安心して利用することができます。
また、基本的に個室のため、プライバシーが確保されます。自分が生活しやすいように、家具や使い慣れたものを配置することができます。
さらに、介護型は要介護1〜5の方が対象であるため、介護サービスも提供されます。施設で提供可能なサービスの範囲内であれば介護度が高くなっても継続して利用できます。
【デメリット】
● 一般型は介護度が増した場合に退去が必要
● 入居までの待ち時間がある
● 認知症の対応は施設により異なる
ケアハウスのデメリットとしては、一般型は元々自立している方や軽度の要介護者が対象のため、介護サービスの提供はありません。そのため、病気や怪我で介護度が増した場合、退去を検討する必要があります。
また、他の介護施設に比べて手頃な料金設定のため、入居希望者が増えやすい特徴があります。特に介護型では待機期間が必要となることが多い傾向です。施設数が少ないため、必然的に競争率が高くなります。
認知症に関しては、施設によって受け入れ基準が異なります。入居中に認知症になった場合の対応も施設ごとに異なり、症状によっては入居が継続できないこともあります。入居前に対応できる認知症の状態などを確認しておくことが大切です。
グループホームのメリット・デメリット
【メリット】
● 認知症の緩和と自立した生活のサポート
● 小規模なコミュニティで安定した生活
● 地域での長期的な生活の継続
グループホームのメリットは、認知症ケアに慣れたスタッフの支援を受けながら日々の家事をこなすことで、残存能力を活用し、自分らしさを保つことができます。また、このような自立した生活は、認知症の進行を予防することが期待できます。
また、認知症の高齢者は、環境や人間関係の変化に慣れることが難しく、混乱や認知症状の悪化を招くことがあります。しかし、グループホームでは少人数制で同じ顔ぶれの職員や入居者と共に生活することで、安定した環境が提供されており、安心して過ごせます。
【デメリット】
● 入居に待機期間がある
● 費用が公的施設と比べて高い
● 入居条件が厳格
● 共同生活が難しくなった場合は退去
● 医療対応ができない
グループホームのデメリットは、グループホームは入居できる定員が少ないため、他の介護施設と比べて入居までの待機期間が長くなりやすい傾向です。また、公的施設と比べて、グループホームの初期費用や維持費は高く、低所得者向けの費用軽減措置も一部の自治体や社会福祉法人に限られています。介護は長期間必要になることも多いため、費用を継続的に支払っていけるかどうかを考えることが必要です。
さらに、入居するには要支援2以上で認知症の診断が必要です。また、居住地の制限もあります。これらの条件を満たさないと、入居申し込みができません。
認知症の症状が悪化し、共同生活が難しくなった場合、退去を検討しなければいけません。退去の要件は契約時に交付される書面に記載されていますので、契約前に確認しておきましょう。
ケアハウスとグループホームの入居しやすさの違い
ケアハウスとグループホーム、どちらの施設も入居までに時間がかかる場合があります。
全国のケアハウスとグループホームの数は、以下の通りです。
| ケアハウス(軽費老人ホーム含む) | グループホーム |
設置数 | 2,306施設 | 13,721施設 |
利用者数 | 94,493人 | 207,220人 |
※ケアハウスは、軽費老人ホームのひとつで「軽費老人ホームC型」にあたります。表内では、軽費老人ホームA型やB型も含まれているため、ケアハウスの数はさらに少ない状況です。
ケアハウスは、全国的にも設置件数が少ないため入居希望者が複数人いる場合は待機期間が長くなります。また、低所得者には利用料金の上限を定める制度があるため、所得に制限がある方からの申し込みが多い傾向です。
対してグループホームは1ユニット5~9名と定められており、一施設に最大3ユニットまでしか作れないため、入居者定員が最大27名に限られます。入居定員が少ないため、待機期間が長くなる可能性があります。
どちらの施設を選ぶ場合でも、待機期間があることを想定して入居までのスケジュールを考えると良いでしょう。
参照:厚生労働省「高齢者向け住宅の今後の方向性と紹介事業者の役割」
ケアハウスとグループホームどちらがおすすめ?
それでは最後に、ケアハウスとグループホームのどちらがおすすめなのか、例を挙げて紹介します。
ケアハウスがおすすめの人
自宅での生活に不安を抱える高齢者のうち、次のいずれかに該当する場合にはケアハウスがおすすめです。
● 所得が低い方(年金収入が少ない方)
● なるべく支出を抑えて高齢者向けの施設に入りたい方
ケアハウスは公的施設であるため、入居者の所得によって毎月の利用料が変わります。そのため所得が低く、民間の有料老人ホームなどへの入居が難しい方であっても、ケアハウスなら入居できるケースが多いです。たとえばもっとも低い所得階層(年収〜150万円)の方なら、月額7万円程度で入居できます。(生活費4.5万円程度、居住費1.5万円程度は所得に関わらず定額。年収〜150万円のサービス費は1万円)
また、低収入とはいえないまでも、なるべく支出を抑えて高齢者向けの施設に入りたいという場合もケアハウスがおすすめです。たとえば年収が250万円の場合でも、ケアハウスなら月額12万円程度と、民間の有料老人ホームより安価に入居できます。
グループホームがおすすめの人
一方、次のような方は、グループホームへの入居を検討してみてください。
● 認知症により家事全般が難しくなった方
● 認知症の進行を緩やかにしたい方
● 入居者やスタッフとの関係性を重視したい方
グループホームは認知症に特化した施設です。そのため認知症により家事全般が難しくなった方でも、安心して生活を送ることができます。また、すべての家事を代行してもらうわけではなく、自分でできることは自分で行い、他の入居者やスタッフと協力して共同生活を送ることで、認知症の進行を緩やかにする効果も期待できます。
さらに、グループホームは少人数のユニットで生活するため、入居者やスタッフとの関係性が深まりやすいことも特徴です。孤独感を抱かずに楽しく暮らしたいという場合にも、グループホームを選んでみてください。
まとめ
今回はケアハウスとグループホームの違いを紹介しました。この2つの施設では、入居対象者や入居条件が大きく異なります。
基本的な生活は自立しているが、家庭状況や経済的な理由で一人暮らしに不安がある人はケアハウス、認知症を患っていても、介護支援があれば日常生活を送ることができる人は、グループホームの利用が望ましいでしょう。
その他、介護施設には様々な種類があります。入居を検討する際には、利用者の身体状況や生活の希望、家族の困りごとによって選択する施設も異なるため、必ず入居条件を確認しましょう。
今回の内容が施設選びの参考になれば幸いです。
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