どっちを選ぶ?ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の特徴と違いを徹底比較

「ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅のサービスの違いは?」「どのように選べばいいの?」このような疑問はありませんか?

日本は急速に高齢化が進んでおり、2040年頃のピークを迎えるまでは、年々増加していくことが予想されています。そのため、ケアハウスやサービス付き高齢者向け住宅のような施設や住居が増えています。

この記事では、ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅の特徴と違いを比較し、それぞれのメリットとデメリットを紹介します。ケアハウスやサービス付き高齢者向け住宅を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

#老人ホーム#サ高住#ケアハウス#施設サービス#費用#生活
この記事の監修

とぐち まさき

渡口 将生

介護福祉士として10年以上現場経験があり、現在は介護老人保険施設の相談員として従事。介護資格取得スクールの講師やWEBライターとしても活動中。家族の声を元にした介護ブログを通じ、2019年3月、NHKの介護番組に出演経験もある。

ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の特徴  

それぞれの住居で特徴が異なる

ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅は、ともに高齢者が生活する住居です。まずは、それぞれの特徴を理解していきましょう。

【ケアハウスの特徴】 

ケアハウスとは、軽費老人ホームの一種で、C型の軽費老人ホームをケアハウスと呼びます。また、ケアハウスは一般型と介護型の2種類に分かれます。一般型ケアハウスは、自立した生活が可能な高齢者を対象に、食事・掃除・洗濯などの生活支援サービスを提供している施設です。社会福祉法人や地方自治体、民間事業者などによって運営されています。

一方、介護型は要介護1以上の高齢者を対象に、食事や入浴、排泄などの介護サービスを提供している施設です。主に自宅で生活が困難な60歳以上の高齢者が、低料金で食事や洗濯などの介護サービスを受けることができます。

ケアハウスは、自宅での生活が難しくなった高齢者でも、安心して生活でき、社会参加や交流を促進する役割も果たしています。  

【サービス付き高齢者向け住宅の特徴】

サービス付き高齢者向け住宅とは、介護・医療と連携し、高齢者の生活を支えるサービスを提供する高齢者向けの賃貸住宅です。 高齢者が必要な支援を受けながら、本人らしい暮らしを実現できる住居を目的としています。 

「サ高住」「サ付き」の略称で呼ばれることもあり、ケアハウス同様に一般形と介護型の2種類があります。 サービス内容は施設によっても異なりますが、入居者のニーズに合わせて必要な外部のサービスを選ぶことができます。

サービス付き高齢者向け住宅を探す

ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の入居条件   

年齢や介護度で入居条件が異なる

ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅は、自立から介護度の低い方を対象にしているところが多い傾向です。それぞれの入居条件を見ていきましょう。

【ケアハウスの入居条件】


一般型

介護型

対象者

生活に不安がある自立~介護度の低い高齢者

低所得で生活に支障のある高齢者

※一部、夫婦部屋もあります

入居の条件

60歳以上の自立~介護度の低い方

身寄りのない方

65歳以上の要介護1以上の方

退去の可能性
介護度が高くなった場合
入居負荷の条件
暴力や虐待を繰り返すなどの問題がある

ケアハウスでは、介護度が高くなった場合、施設で十分な対応ができないことから、転居を検討する必要があるため注意が必要です。

【サービス高齢者向け住宅】


一般型

介護型

対象者

生活に不安がある自立~介護度の低い高齢者

※一部、夫婦部屋もあります

入居の条件

60歳以上

自立~介護度の低い方

65歳以上

要介護1以上の方

退去の可能性
介護度が高くなった場合
入居負荷の条件
暴力や虐待を繰り返すなどの行動がある

サービス付き高齢者住宅は、60歳以上の高齢者を対象にサービスを提供しています。住宅によっては介護度が高くなった場合、退去する必要があるため、利用前に退去条件などを確認しておくと良いでしょう。

ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で提供されるサービス 

それぞれで提供するサービスは異なる

次に、ケアハウスとサービス付き高齢者住宅のサービス内容を比較しましょう。

【ケアハウス】

ケアハウスは、基本的に自立した生活ができる高齢者を入居対象としています。そのため、介護サービスは提供されません。一方、介護型では、介護が必要な高齢者も対象としています。そのため、介護サービスも提供されています。

ケアハウスで提供されているサービス内容は、以下の通りです。


一般型

介護型

介護サービス

なし

ケアプランに基づいて提供される

夜間対応
配置の義務なし
スタッフを配置しているところも多い
食事
1日3階の食事提供

生活
洗濯・掃除などの生活援助サービス
施設サービス
レクリエーションやイベントを開催
社会参加
他の入居者との交流が多い

【サービス付き高齢者向け住宅】

サービス付き高齢者向け住宅は、基本的に介護度が低い高齢者を入居対象としています。一般型の住宅では、介護サービスは提供されません。一方、介護型では介護が必要な高齢者も対象としています。そのため、介護サービスが提供されています。

サービス付き高齢者向け住宅で提供されているサービス内容は、以下の通りです。


一般型

介護型

介護サービス

なし

ケアプランに基づいて提供される

夜間対応
人員配置の義務なし

スタッフを配置しているところも多い

食事

提供義務なし

1日3回の食事提供

生活
生活相談・安否確認
施設サービス
イベントを開催
社会参加
他の入居者との交流が少ない

ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅のどちらを選択するのが良いか迷ったときは、介護事業者や担当のケアマネジャーなどに相談すると良いでしょう。

ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用

ケアハウスでは入居一時金・サービス付き高齢者向け住宅では敷金が必要な場合がある

ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅では、それぞれ費用が異なります。

【ケアハウスの費用】

ケアハウスにより、入居一時金が必要な施設があります。入居一時金は数十万から数百万円程度が一般的です。まとまった費用を準備できない場合は、入居一時金がない施設を探すと良いでしょう。

また、月額利用料として、食費やサービス費、居住費などが必要です。

ケアハウスは、所得が低く生活に支障がある高齢者を対象にしています。そのため、収入に応じて利用者が負担する金額が設定されています。所得段階別の負担額は以下の通りです。

収入による階層区分

費用徴収額

150万円以下

1万円

150万1円~160万円以下

1万3,000円

160万1円~170万円以下

1万6,000円

170万1円~180万円以下

1万9,000円

180万1円~190万円以下

2万2,000円

190万1円~200万円以下

2万5,000円

200万1円~210万円以下

3万円

210万1円~220万円以下

3万5,000円

220万1円~230万円以下

4万円

230万1円~240万円以下

4万5,000円

240万1円~250万円以下

5万円

250万1円~260万円以下

5万7,000円

260万1円~270万円以下

6万4,000円

270万1円~280万円以下

7万1,000円

280万1円~290万円以下

7万8,000円

290万1円~300万円以下

8万5,000円

300万1円~310万円以下

9万2,000円

310万1円以上

全額

参照:東京都福祉局「東京都軽費老人ホーム利用料等取扱要綱」

介護サービスが必要な場合、一般型では外部の事業所と契約をします。そのため、利用した分の費用は直接契約した事業所に支払います。介護型では、施設費用に介護サービス費が含まれています。

【サービス付き高齢者向け住宅】

サービス付き高齢者向け住宅では、入居一時金は不要ですが、敷金が必要な場合があります。敷金は、退去時に修繕費などを差し引いて返却されます。敷金の相場は、家賃の2~3ヶ月程度です。

サービス付き高齢者向け住宅では、月額利用料として家賃・食費・サービス費・光熱費・消耗品費などが必要です。一般型のサービス付き高齢者向け住宅の場合、介護サービスの提供が行われていないため、外部の事業所と契約が必要になります。そこで利用した介護サービスの分、別途費用が必要です。介護型では、施設費用に介護サービス費が含まれています。

どちらを利用する場合でも、事業所ごとに利用料金が異なるため、利用前に必要な費用をパンフレットや料金表などで確認しておくと良いでしょう。

ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の人員体制の違い 

夜間帯に職員の配置義務がない場合がある

ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅では、夜間職員の配置義務がありません。そのため、24時間の介護や医療が必要な方は受け入れできない場合があります。

ケアハウスの人員基準は、以下の通りです。

職種

人員基準(最低人員)

施設長

1名
※兼務可

介護職員

30人までは1名、30人~80人以下の場合2名、80人を超えた場合は2名以上

看護職員

相談員

1名

事務員

必要数

調理員など

必要数

サービス付き高齢者向け住宅の人員基準は、以下の通りです。

職種

人員基準(最低人員)

管理者

1名
※兼務可

介護職員

日中相談対応する職員1名

☆要支援者10人、または要介護者3人につき介護・看護職員どちらか1名

※看護職員は、要介護者30人までは1名・さらに50人増えることに1名以上配置する

看護職員

相談員

なし

事務員

なし

調理員など

なし

【介護型のケアハウス・サービス付き高齢者向け住宅】

職種

人員基準(最低人員)

施設長・管理者

1名
※兼務可

介護職員

要支援者10人、または要介護者3人につき介護・看護職員どちらか1名

※看護職員は、要介護者30人までは1名・さらに50人増えるごとに1名以上配置する

看護職員

相談員

1名

事務員

1名

調理員など

1名

機能訓練指導員

1名

※兼務可

計画作成者

1名

※兼務可

夜間の職員が不在の場合は、緊急通報システムの設置やシステムの構築が義務化されています。

ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の入居しやすさ 

サービス付き高齢者向け住宅は入居しやすい傾向

ケアハウスは、自立〜介護度の低い方に加えて、低所得の方を対象にしています。そのため、所得に制限がある人からの需要が高いため、入居のハードルが高くなります。一方

サービス付き高齢者向け住宅は、入居条件が少なくハードルが低いため、比較的入居しやすい傾向です。

また、入居後の身体的な状態により、退去になるケースもあります。入居対象が、比較的元気な高齢者であることから、介護や常に職員の見守りが必要になると、施設で対応しきれなくなるためです。

ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)のメリット・デメリット   

それぞれのメリットデメリットを把握して最適な住まいを見つける

ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅のメリットとデメリットは、以下の通りです。


ケアハウス

サービス付き高齢者向け住宅

メリット

  • 個室や食事提供など、高齢者の生活に必要な機能がそろっている。

  • 年収に合わせて費用が決まる。

  • サービスや介護のニーズに合わせて、選択できるオプションが多い。

  • 自立した生活を送ることができる。

  • 個々のプライバシーが確保される。

  • サービスや介護のニーズに合わせて、選択できるオプションが多い。

  • 入居難易度が比較的低い。

デメリット

  • 基本的に介護サービスは提供されない

  • 介護サービスが必要な場合は別途手配が必要。

  • 一部のサービスは自己負担が必要で、費用が高くなることがある。

  • 入居一時金が必要な場合がある。

  • 施設数が少ない。

  • 入居一時金が必要な場合がある。

  • 基本的に介護サービスは提供されない

  • 介護サービスが必要な場合は別途手配が必要。

  • 一部のサービスは自己負担が必要で、費用が高くなることがある。

  • 施設によっては、入居者同士の交流の場が少ないことがある。

  • 施設数が多い。

  • 敷金が必要な場合がある。

これらのメリット・デメリットは一般的なもので、すべての施設や住宅が当てはまるわけではありません。そのため、具体的なサービス内容や費用は各施設に問い合わせて確認すると良いでしょう。

まとめ  

まとめ

今回は、ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅を比較して紹介しました。

サービス付き高齢者向け住宅は、自立から介護度の低い方を対象としています。そのため、基本的に介護サービスは提供されません。もし、介護が必要な場合は外部の事業所と契約して必要なサービスを受け、利用した分は費用が別途必要となるため注意が必要です。

これから、ケアハウスやサービス付き高齢者向け住宅を選ぶ方は、それぞれの特徴を理解して適切に施設を選んでみてください。今回の記事を参考にケアハウスとサービス付き高齢者住宅の理解につながれば幸いです。

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