快適な在宅介護を実現するための部屋のレイアウト術!安全と広さに考慮したスペース作りが重要

「快適な在宅介護にはどんな部屋のレイアウトが必要?」「注意するポイントが知りたい」このような考えはありませんか?

在宅介護は介護者の負担が大きくなりやすく、介護生活を断念する人も多くいます。在宅介護をスムーズに継続するためには、介護する部屋のレイアウトは重要なポイントです。

今回は、在宅介護する部屋について、ポイントやレイアウトを紹介します。これから在宅介護を始める方は、ぜひ参考にしてみてください。


#在宅介護#生活#豆知識
この記事の監修

とぐち まさき

渡口 将生

介護福祉士として10年以上現場経験があり、現在は介護老人保険施設の相談員として従事。介護資格取得スクールの講師やWEBライターとしても活動中。家族の声を元にした介護ブログを通じ、2019年3月、NHKの介護番組に出演経験もある。

在宅介護で必要な部屋の広さ

在宅介護には必要な物品が多い

在宅介護において必要な部屋の広さは、必要物品によって変わります。一番大きくスペースをとるのはベッドです。他にも、簡易トイレ(ポータブルトイレ)や歩行器などの設置にスペースが必要になります。また、それぞれの家や部屋の広さが異なるため、工夫が必要な場合もあるでしょう。

在宅介護のレイアウトを考えるときは、以下の点に気をつけましょう。

場所

在宅介護を行う場所は、ケアを受ける人や介護者の自宅が一般的です。日常生活や医療・介護サービスへのアクセスが便利な場所を選ぶと良いでしょう。近隣に医療機関や薬局、スーパーマーケットなどがあり、介護に必要なサポートが得やすい環境が望ましいです。

ベッド

在宅介護では、ケアを受ける人が快適に過ごせることが重要です。また、介護者の負担軽減も大切なため、広めのベッドを選ぶと良いでしょう。ベッドは布団(床で寝る)に比べ、介護者がケアをしやすくなります。ベッド周辺には、ケアに必要な物品を収納できるスペースも確保しましょう。介護に必要な物が手の届く範囲にあることで、効率的なケアを行うことができます。

ポータブルトイレ

ポータブルトイレの配置も重要です。在宅介護では、本人がトイレに行けない場合もあります。部屋にポータブルトイレを配置することで、移動の負担や安全面が確保でき、介護者の負担も軽減できます。トイレ周辺には、手洗い場や必要な消耗品を収納できるスペースも確保すると良いでしょう。

これらに注意しながら、居室レイアウトを考えます。利用者のニーズや身体状況に合わせて、必要なスペースを確保することが重要で、レイアウト次第では介護のしやすさも変わり、介護者の負担軽減にもつながるでしょう。安全性や快適性も考慮して、介護者とケアを受ける人が円滑に動ける環境を整えましょう。


在宅介護を行うときのレイアウトの注意点

レイアウトを考えるときの注意点を押さえて快適な空間を作る

在宅介護を行う際のレイアウトには以下の注意点があります。

介護ベッドの導入

介護ベッドの適切な選択は必要不可欠です。ベッドの高さや幅・機能性・安全性に配慮し、ケアを受ける方の快適さと介護者が楽にケアを行えるベッドを選びましょう。

トイレやリビングの導線の確保

在宅介護では移動が自由にできない場合があります。ケアを受ける人が、トイレやリビングなどの共用スペースにスムーズに移動できる導線の確保が必要です。障害物を取り除き、手すりを設置するなど、安全で便利な環境づくりが必要です。

臭い・衛生対策

臭いや衛生面の問題が発生することもあります。臭いには、消臭剤を使用すると良いでしょう。芳香剤を使用する人もいますが、匂いに対してアレルギーを引き起こすリスクがあります。また、定期的な換気や清潔な環境づくりも重要です。

これらの注意点を考慮しながらレイアウトを検討し、ケアを受ける人の快適さと介護者の負担軽減につながる環境を整えていきましょう。安全性と利便性を重視したレイアウトは、介護の質を向上させる重要な要素です。


介護ベッドを使用するメリット・デメリット

介護ベッドの導入はメリットとデメリットの理解が必要

介護に欠かせない介護用ベッドですが、メリットとデメリットがあります。それぞれみていきましょう。

【メリット】

安全性と快適性の向上

介護ベッドは高さの調節ができ、ベッドからの立ち上がりをサポートします。また、サイドレールの設置で転落予防ができるでしょう。快適性を追及したマットレスや姿勢を調整する機能が備わっているモデルもあり、ケアを受ける人の安心感が増し、ゆっくりと休むことができるでしょう。リモコンで、介護者に合わせた高さ調整も行えるため、介護時の腰や膝の負担軽減が図れます。

介護の効率化

介護ベッドには昇降機能・背上げ・足上げ機能などがあります。他にも、自動で身体の向きを変えられるものや、ベッドから車椅子に変形させられるものがあります。介護者の身体に負担がかかりやすい介助を減らせるため、負担軽減と効率化を図ることができます。

褥瘡(じょくそう)予防

長時間の寝たきり生活では、褥瘡(床ずれ)が発生するリスクが高くなります。適切な介護ベッドとマットレスを使用することで身体にかかる圧を分散でき、褥瘡リスクの軽減に繋がります。また、自動で身体の向きが変えられる機能と併用することで、介護者の負担を軽減することもできます。

続いてデメリットを見ていきましょう。

【デメリット】

コスト

介護ベッドは、通常のベッドよりも高価な場合が多い傾向です。購入費用やメンテナンス費用がかかるため、費用面で負担と感じる方もいるでしょう。介護保険制度を活用することで費用負担を抑えられますが、介護度が低いなどの条件によっては、利用できない場合もあります。介護保険が利用できない場合は、全額自己負担になるため注意が必要です。

設置スペース

介護ベッドは通常のベッドよりも大きいため、設置スペースにゆとりが必要です。在宅介護の場合、ベッドの配置や部屋の広さなどを考慮する必要があります。介護する部屋のレイアウトやスペースによっては、介護ベッドの設置が難しい場合もあるでしょう。介護ベッドには、サイズの小さいものもあるため、環境に合わせて使用するベッドの検討が必要です。

操作への慣れ

介護ベッドには操作パネルやリモコンが備わっており、ケアを受ける方や介護者が操作に慣れる必要があります。初めて使用する場合は、使い方や機能の理解に時間がかかるかもしれません。取扱説明書の確認や業者の説明を聞き、人を乗せずに操作の練習をしましょう。

また、高齢者の中には、床に布団を敷くことで落ち着いて寝られるという習慣の人もいるため、ベッドの使用について理解を得る必要もあるでしょう。

介護ベッドの選択は、利用者の状態や介護環境、予算などから、最適な判断をする必要があります。


在宅介護の部屋を作るためには準備が必要

在宅介護を行う部屋のレイアウトはケアを受ける人と一緒に考える

在宅介護を行う部屋は、介護者がケアしやすい環境を整える必要がありますが、介護を受ける人の意向を確認することも重要です。また、ケアに関わる各専門職の意見も参考にレイアウトを考えましょう。

部屋のレイアウトを考える際は、介護しやすいスペースの確保が重要です。そのため、極力不用品を減らすことで、介護しやすい環境が整います。しかし、介護者だけで不要品の整理をするとトラブルに発展する可能性もあるため、ケアを受ける方と一緒に行いましょう。特に思い出の品や大切なものに対しては、一緒に整理することで、安心感や信頼につながります。

また、思い出の品を居室に飾ることで、居心地の良い空間ができるため、写真や好きな絵画などは飾っておくと良いでしょう。心の安定やリラックス効果を期待できます。


参考:金・貴金属・宝石・ブランド買取なら相場限界査定の【買取本舗七福神】

在宅介護の部屋を作る7つのポイント

レイアウトは生活の質と介護のしやすさを向上させる

在宅介護を行う部屋のレイアウトを考えるうえで重要なポイントは以下の7つです。

  • 安全性
  • ベッド
  • 部屋の床面
  • スペースの確保
  • 収納に配慮
  • 部屋の色調
  • 日当たりや換気

それぞれ見ていきましょう。

安全性

在宅介護を行う部屋では、安全性を最優先に考える必要があります。床には滑りにくい素材を使用し、つまづく可能性があるカーペットは転倒事故を防ぐためにも敷かないほうが良いでしょう。また、手すりの設置など、介護を受ける人の安全を確保する対策が必要です。

ベッドの設置

ベッドはケアを受ける人が長時間過ごす場所で、快適性が求められます。ベッドを窓の近くや日当たりの良い場所に配置することで、自然光を取り入れた明るい空間にすることができます。また、ケアを行いやすい位置にベッドを配置することも重要です。場所をとるからといって、壁につけて配置すると、オムツ交換やシーツ交換時に、ベッドの奥側に入れず、介護者の負担になりやすいです。介護者がケアを行う際に無理なく動けるように、ベッドの周囲にはスペースを確保すると良いでしょう。

部屋の床面

部屋の床面は移動に影響があるため、バリアフリーで滑りにくい床材が望ましいです。段差が多い場合は、移動にリスクが伴うため、住宅改修の検討も必要でしょう。また、カーペットや敷物の使用は控え、清潔な環境を保つことが大切です。

スペースの確保

在宅介護を行う部屋には介護に必要なスペースを確保し、ケアのしやすさを考慮しましょう。介護者がスムーズに動けるよう、ベッド周辺やトイレなどよく使用するエリアには余裕を持たせることが大切です。狭い空間で介助すると、不自然な身体の動かし方をして腰痛などを起こすリスクが高くなります。

収納に配慮

介護に必要な用具や物品を整理するための収納スペースを設けましょう。使いやすい場所に収納を配置し、整理整頓を心掛けます。必要なものが手の届く範囲にあると、介護の効率化につながります。

部屋の色調

落ち着いた色や明るい色を選ぶことで、ケアを受ける人はリラックスできたり安心感に繋がります。壁紙やカーテン、家具などの色調も合わせると良いでしょう。柔らかな色合いや自然な光の取り入れ方に注意し、部屋の雰囲気を整えましょう。

日当たりや換気

部屋の日当たりや換気は、在宅介護の部屋づくりで重要な要素です。日当たりが良いと昼と夜の区別を感じやすくなり、ケアを受ける人の健康や気分の向上につながります。窓やカーテンの配置に注意し、室内の明るさや風通しを確保すると良いでしょう。

また、閉鎖的空間では空気が滞り、気分の落ち込みや感染症のリスクが上がります。定期的な換気や空気清浄機を使用し、新鮮な空気を取り入れて室内を清潔に保つように心掛けましょう。

参考:空気清浄機のレンタル

介護保険でリフォームの補助が受けられる

住宅改修の必要性も検討する

介護保険制度を活用することで、改修費の補助を受けることができます。しかし、対象となる内容が決まっているため、事前に改修が必要か相談しましょう。また、上限額は20万円までと定められているため注意が必要です。住宅改修の主な内容を見ていきましょう。

バリアフリー化

住宅改修では、居室・浴室・トイレ・風呂などの、バリアフリー化が可能です。自宅内で車椅子や歩行器を使用する場合は、必要な改修のひとつになるでしょう。また、解消の難しい段差には、スロープの設置や昇降機の導入が可能な場合もあります。

開き戸を引き戸に変更

高齢者や介護が必要な方にとって、開き戸は使用しにくい場合があります。特に車椅子を使用している場合、ドアを開けるために前かがみになったり、開きながら後方に移動する必要があったりするため、転倒リスクが高まります。引き戸の場合は、前かがみや前後の移動がなく軽い力で開閉できるため、車椅子の方にとっても利便性が上がります。

手すりの設置

在宅介護では、ケアを受ける人が安全に移動するための手すりが必要です。介護保険では、手すりの設置費用の補助が受けられます。手すりは階段や廊下、浴室などに設置することで、手摺を支えに歩行したり、起き上がったりできるため、転倒などのリスクを軽減できます。

参考:住宅プランナーによる建築記録|イツキのブログ

まとめ

まとめ

今回は在宅介護をするときのレイアウトについて、対策や注意点を紹介しました。在宅介護はケアを受ける方の安全性や利便性はもちろんのこと、長く継続した介護ができるよう、介助者の負担軽減も課題となります。

介助しやすいスペースの確保や利便性の良いレイアウトを検討するためにも、ある程度物を片付ける必要が出てくるかもしれません。整理する際は、本人とよく話し合い、一緒に片付けることをおすすめします。

準備のポイントや注意点を確認して、介護者と本人の双方が快適に過ごせる部屋のレイアウトを考えてみましょう。今回の記事が、在宅で介護をするときの参考になれば幸いです。

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