夜間も安心して介護を受けられる!夜間対応訪問介護のサービス内容や料金を紹介
「夜間対応型訪問介護とはどんなサービス?」「他の訪問介護との違いは何?」このような疑問はありませんか?
夜間対応型訪問介護は、地域密着型サービスのひとつで夜間帯を中心に訪問介護を提供するサービスです。夜間、介護が必要な方やその家族にとっては、身体・精神的負担を軽減できるサービスといえるでしょう。
しかし、詳しいサービス内容や料金体系を知らないという方も多いのではないでしょうか。今回は、夜間対応型訪問介護のサービス内容や料金、併用できないサービスについて解説します。利用を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
とぐち まさき
渡口 将生
夜間対応型訪問介護とは
夜10時から朝6時を含む時間帯で柔軟にケアを提供するサービス
夜間対応型訪問介護とは、在宅介護の地域密着型サービスの一つで、夜間に介護が必要な方の自宅を訪問して必要なケアやサポートを提供します。一般的に対応が困難な夜間帯にサービスを提供します。
利用の対象は、在宅で介護を受けている方のため、施設に入居中の方は利用できません。地域によって異なる場合がありますが、夜10時から朝6時が主なサービス提供時間で、利用時間は利用者の要望や状況に応じて柔軟に調整が可能です。
ただし、夜間対応型訪問介護には限られたサービス時間やスタッフ数の関係で、必要なサービスを十分に提供できない場合があるため注意が必要です。そのため、利用者や家族は、事前に必要なケア内容や時間を明確にし、サービス提供事業所やケアマネジャーとサービスの計画を立てておくとよいでしょう。
夜間対応型訪問介護のサービス内容
3つのサービスを提供する
夜間対応型訪問介護は、在宅介護を必要とする方が夜間に突然体調が悪くなった場合や介護が必要になったときでも柔軟に対応できるサービスです。利用は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や通常の訪問介護とは異なり、深夜や早朝などの時間帯に限定されています。一般的な介護事業所がサービス提供していない時間帯にサービスを利用できるため、夜間も安心して在宅で過ごすことができるでしょう。
夜間対応型訪問介護のサービス内容は以下の3つです。
定期巡回サービス
ヘルパーの随時訪問サービス
オペレーションセンター対応サービス
それぞれのサービスについてみていきましょう。
【定期巡回サービス】
定期巡回サービスとは、あらかじめ決められたスケジュールで介護が必要な方を訪問するサービスです。ヘルパーが訪問し、排せつ・寝返り介助などの身体介護や内服の確認、安否確認などを行います。1回のサービス提供時間は、30分程度で行われることが多い傾向です。
【ヘルパーの随時訪問サービス】
ヘルパーの随時訪問サービスとは、利用者が夜間に突然介護が必要になった際に対応するサービスです。利用者や家族がオペレーションセンターに連絡すると、ヘルパーが自宅に駆けつけ、必要な介護を行います。例えば、転倒や急な体調不良が起こった場合です。サービスの提供時間内であれば、何度でも対応可能ですが、対応する度に利用料金がかかるため注意が必要です。
【オペレーションセンター対応サービス】
オペレーションセンター対応サービスとは、利用者からの通報を受けたオペレーターが、状況に応じて、ヘルパーの派遣・主治医への連絡・救急車の手配などの判断を行うサービスです。
オペレーターは、医師・看護師・介護福祉士・保健士・社会福祉士・ケアマネジャーなどの有資格者が対応します。利用者の情報は事前に共有されており、随時訪問サービスの相談窓口として健康状態や状況に合わせて具体的な対応を決めます。
夜間対応型訪問介護の利用者には、サービス事業所から配布される「ケアコール端末」を自宅に設置します。ケアコール端末は、ボタンを押すなどの簡単な操作でオペレーションセンターに連絡できる機器で、電話回線があれば、無償で設置することができます。
夜間の訪問介護サービス利用者が少なく、呼び出しに十分な対応ができる事業所に限っては、オペレーションセンターを設置する必要はありませんが、オペレーションセンターを持たないサービス事業所でも、ケアコール端末の配布や受診するシステムの構築は必要と定められており、利用者は自分の固定電話や携帯電話からオペレーションセンターに電話できないため注意が必要です。
夜間対応型訪問介護の対象者
夜間帯にサポートが受けられず生活が困難な方におすすめのサービス
夜間対応型訪問介護を利用できる方は以下の通りです。
要介護者1以上と認定されている人
利用する事業所と同一市区町村に住んでいる人
利用条件はこの2点のみです。次に夜間対応型訪問介護の利用が向いている方を見ていきましょう。
【夜間の生活に支援が必要な方】
夜間、トイレに行く・水分補給をする・痛みを抑える薬を飲むなど、定期的または随時の支援が必要な方の利用がおすすめです。夜間対応型訪問介護は、夜間帯に支援が必要な方に対して、トイレの介助や薬の準備、飲み方の指導などを行います。
【緊急時の対応が必要な方】
夜間は、日中と比べて緊急事態が起こる可能性が高い傾向です。例えば、高血圧の発作や脳梗塞などの発症、転倒や急な体調変化などがあります。夜間対応型訪問介護は、これらの緊急事態に迅速に対応し、必要な手当てを行います。
【介護者の負担を軽減したい方】
夜間の介護は、家族や介護者にとって大きな負担となります。眠気や疲れによるミスやアクシデントが起こることもあるでしょう。夜間対応型訪問介護は、介護者の負担を軽減し、安心して眠れるように支援します。
ただし、利用には一定の条件があるため、利用を検討する際には、事前にサービス提供事業所に相談することをおすすめします。
夜間対応型訪問介護の利用料金
オペレーションサービスの有無によって料金が異なる
夜間対応型訪問介護の利用時には、月額の基本料金が必要に加えて定期や随時で利用するごとに費用がかかるため注意が必要です。料金は以下の通りです。
オペレーションサービス あり | オペレーションサービス なし | |
月額基本料金 | 1,025円/月 | 2,800円/月 |
定期巡回 | 386円/回 | |
随時訪問 ヘルパー1人対応の場合 | 588円/回 | |
随時訪問 ヘルパー2人対応の場合 | 792円/回 |
※1単位=10円 介護保険負担割合1割の場合
また、この他にも加算を算定している事業所も多くあります。主な加算は以下の通りです。
オペレーションサービス あり | オペレーションサービス なし | |
加算 | 費用 | |
24時間通報対応加算 | 610円/月 | |
認知症専門ケア加算 | 3~4円/日 | 90~120円/月 |
サービス提供体制強化加算 | 6~22円/回 | 42~154円/月 |
加算に関しても、オペレーションサービスの有無によって料金が異なります。
夜間対応型訪問介護を利用するまでの手順
利用までには時間を要することもある
夜間対応型訪問介護のサービスを利用する流れを見ていきましょう。おおまかな流れは以下の通りです。
ケアマネージャーへ相談
夜間対応型訪問介護に申し込み
ケアプランの作成
契約後にサービス利用開始
1.ケアマネージャーへ相談
まず担当のケアマネジャーに相談しましょう。希望により利用可能な事業所を教えてもらえますが、夜間対応型訪問介護は事業所数が少ないため、選択肢が限られることもあります。
2.夜間対応型訪問介護に申し込む
利用希望する事業所が決まったら、事業所が指定する申込書や診療情報提供書、健康診断書を提出します。事業所によって必要書類は異なるため、事前に確認しましょう。診療情報提供書、健康診断書の作成は、病院やクリニックによっては2週間ほどかかるため、注意が必要です。また、面談や家屋調査が実施されることもあります。
3.ケアプランの作成
ケアプランとは、介護サービスを提供する際に必要な内容をまとめた計画書のことです。ケアマネジャーは、利用者の状況に応じて、夜間対応型訪問介護の必要性を判断し、ケアプランに盛り込みます。また、夜間対応型訪問介護以外にも、必要なサービスを含めて作成します。ケアプランがないと介護保険を利用したサービスは利用できません。
4.契約後にサービス利用開始
ケアプランが作成されたら、サービス事業所と契約を結び、サービスの利用を開始します。契約内容には、利用料金やサービス内容、利用時間などが含まれているため、必ず確認しておきましょう。夜間対応型訪問介護は、一般的に夜間限定のサービスです。具体的には、排泄などの身体介護・服薬の確認・緊急対応・救急要請などのサービスが提供されています。また、事業所によっては、24時間体制で夜間対応型訪問介護を提供している場合もあるため、確認しておくと良いでしょう。
夜間対応型訪問介護の事業所は事業所数が少ないため、利用検討している場合は早めに決断することがおすすめです。
利用時のメリット・デメリット
夜間のケアを安心して受けられる
ここからは、夜間対応型訪問介護のメリットデメリットについて見ていきましょう。まずは、夜間対応型訪問介護のメリットからです。
【在宅介護を継続できる】
夜間の介護が必要になっても、自宅で生活を続けられるため、施設に入居する必要がなくなります。特に在宅介護では、夜間帯のサービスが少なく、不安を感じているケースは少なくありません。夜間対応型訪問介護を利用することで、夜間帯の不安が解消され、自宅で暮らし続けられます。在宅生活を継続できることは、利用者・家族にとっても大きなメリットといえるでしょう。
【介護の質が向上する】
夜間対応型訪問介護は、ヘルパーが定期的に訪問することで、利用者の健康状態や生活環境を把握できます。また、ヘルパーがいつでも訪問可能で、利用者が精神的に不安定になったり、体調が急変した場合にも迅速に対応するため、安心です。介護方法についても相談できるため、日中の家族介護の質が高くなる事も期待されます。
【介護の負担が軽減される】
夜間の訪問サービスのため、家族や介護者は夜の対応が減ります。疲れを取ることができるので、仕事や日中の活動への影響も減り、生活リズムを整えやすくなります。
【地域密着型のサービス】
夜間対応型訪問介護は、地域密着のサービスであるため、利用者が生活する地域で生活環境に合わせたサービス提供が可能です。また、地域の情報やネットワークを活用して、利用者の生活環境の改善や介護サービスの充実につなげることもできます。事業所が近いため、何かあった時にすぐ駆けつけてもらえるため、安心です。
類似サービスの定期巡回・随時対応型訪問介護看護との違い
類似サービスとはサービス提供時間と料金が異なる
夜間対応型訪問介護と定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、サービスの内容に大きな違いはありません。ただし、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は24時間サービスを提供しています。夜間対応型訪問介護では、主に夜間帯のサービスのため、必要性に合わせて使い分けると良いでしょう。また、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の場合、月額利用料が定額です。
訪問介護との違いも確認しておきましょう。訪問介護では、ケアプランに定められたサービス内容やスケジュールに応じて身体介護や生活支援を行います。料金は訪問回数やサービス内容によって異なります。
夜間対応型訪問介護 | 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 訪問介護 | |
料金 | 基本料金+ サービス1回ごと | 月額定額制 | 訪問1回ごと |
サービス提供時間 | 夜間帯 | 24時間 | 主に日中 |
サービス内容 | 定期巡回・随時・緊急時に対応 | 定期巡回・随時・緊急時に対応 | 日常生活上の支援 |
サービスを希望する時間帯や内容に合わせて利用しましょう。また、夜間対応型訪問介護と定期巡回・随時対応型訪問介護看護は併用できない点に注意が必要です。夜間対応型訪問介護のサービス提供時間外であれば、訪問介護の利用は可能です。
まとめ
今回は、夜間対応型訪問介護のサービス内容や料金、併用できないサービスについて紹介しました。夜間対応型訪問介護は主に夜間帯の定期巡回や随時訪問を行うため、夜間に介護が必要な方やその家族にとって、安心のサービスと言えるでしょう。
夜間対応型訪問介護は、定期巡回サービス・ヘルパーの随時対応サービス・オペレーションサービスの3つを提供し、利用者の状況に合わせた柔軟な対応が可能です。利用料は基本料金と訪問ごとにかかるため、利用回数が多い方にとっては高額になる場合があります。
在宅生活を続けたいけれど、夜間帯が不安という方にとっておすすめのサービスです。ただし、併用できないサービスもあるため、注意しましょう。
今回の内容が、夜間対応型訪問介護の理解に繋がれば幸いです。
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介護福祉士として10年以上現場経験があり、現在は介護老人保険施設の相談員として従事。介護資格取得スクールの講師やWEBライターとしても活動中。家族の声を元にした介護ブログを通じ、2019年3月、NHKの介護番組に出演経験もある。