訪問リハビリを利用するには?申し込み方法や費用について紹介

「訪問リハビリを利用する方法が知りたい」「費用はどれくらいかかるの?」このような疑問はありませんか?

訪問リハビリは、居宅介護サービスのひとつで、自宅にいながらリハビリテーションを受けられるサービスです。自宅で受けるリハビリは、実践的で日常生活にもすぐ活用できます。しかし、利用方法や費用についてわからない人も多いでしょう。

今回は、訪問リハビリの利用方法や費用、通所リハビリとの違いについて紹介します。訪問リハビリを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

#在宅サービス#在宅介護#費用
この記事の監修

とぐち まさき

渡口 将生

介護福祉士として10年以上現場経験があり、現在は介護老人保険施設の相談員として従事。介護資格取得スクールの講師やWEBライターとしても活動中。家族の声を元にした介護ブログを通じ、2019年3月、NHKの介護番組に出演経験もある。

訪問リハビリとは

自宅で受けられるリハビリテーションサービス

訪問リハビリは、介護サービス事業所や医療機関などに通院することが困難な方に対して、自宅でリハビリを受けることができるサービスです。主に、高齢者や身体障がい者、在宅医療を必要とする方を対象としています。

訪問リハビリは、身体機能や日常生活動作の向上が目的です。具体的には、運動機能や神経系の疾患に対する運動療法や言語療法、食事や排泄などの日常生活動作などの訓練を行います。

また、要支援の認定を受けている方は、予防訪問リハビリを利用できます。

訪問リハビリの費用と実施頻度

1回20分の個別リハビリ

訪問リハビリの実施は、利用者の状態やニーズに合わせて、頻度や所要時間が設定されます。基本的に1回20分のサービスで、連続して利用することも可能です。利用者により頻度は変わりますが、週に1~2回程度、20~40分程度の時間で提供されることが多い傾向です。必要に応じて頻度や所要時間を調整することができるため、担当のケアマネジャーや担当医に相談して決めると良いでしょう。

しかし、訪問リハビリを実施する事業所のスケジュールもあるため、希望する時間帯で利用できない可能性もあります。そのため、訪問スケジュールの調整が必要になるため、希望の日時をいくつか準備しておくとスムーズに決められるでしょう。

訪問リハビリの費用は、一般的に介護または医療保険が適用されます。介護保険による訪問リハビリの費用は、利用者の所得に応じて1~3割の自己負担額が決定されます。

1割負担の訪問リハビリ費用は以下の通りです。


時間

費用

訪問リハビリ

1回20分

307円

※加算は含まない(1単位10円で計算)

参照:厚生労働省「訪問リハビリテーションサービスコード

1回の訪問で40〜60分(2〜3回分)の利用が可能で、最大1週間に6回(120分)まで行うことができます。また、利用者の状況によって、医療保険で算定する場合もあります。

訪問リハビリを利用するには

要介護認定の他に医師による指示書が必要

訪問リハビリテーションを利用するための流れは、以下の通りです。

  1. 要介護認定を受ける

  2. 医師からリハビリテーションが必要と診断を受ける

  3. ケアマネジャーに訪問リハビリの計画書を作ってもらう

  4. 訪問リハビリ事業所と契約する

  5. 日時を調整して利用開始

それぞれの流れを確認していきましょう。

要介護認定を受けるためには、市区町村の窓口や地域包括支援センターなどで申請を行います。申請後は、認定調査が実施されるため、調査員に現在の状況や困りごとなどを伝えましょう。

認定調査の結果と、主治医の意見書の内容から要介護度が決定します。介護認定の申請から結果が出るまで、30日程度必要です。

その後は、受診をして主治医よりリハビリテーションの必要性を判断してもらいます。医師からリハビリテーションの必要性を診断されるケースは以下のような症状がある方です。

  • 筋力が低下して歩くことが難しくなった。

  • 食べ物を飲み込むことが難しくなりむせやすくなった。

  • 言葉をはっきりと発せられなくなりコミュニケーションに支障をきたしている。

  • 体の一部に麻痺や拘縮の症状があり日常生活に支障をきたしている。

  • リハビリのやり方が理解できず効果的に取り組めていない。

  • 体の動きが制限され思い通りに動けない状況にある。

  • 福祉用具の使い方がわからず日常生活に不便が生じている。

  • 日常生活に不安を感じており自立した生活を送ることが難しい。

次に、リハビリを受ける訪問リハビリの事業所を選びます。訪問リハビリを受けるためには、ケアマネジャーが作成するケアプラン(居宅介護サービス計画書)にリハビリテーションの必要性を記載してもらう必要があります。ケアマネジャーに依頼して、訪問リハビリの内容を追加してもらいましょう。

最後に、訪問リハビリの事業所と契約し、初回の訪問日時が決定すると利用が開始となります。

上記、1~5の流れで説明しましたが、状況によっては順番が前後する場合があります。

通所リハビリ(デイケア)との違い

目的が異なる2つのサービス

通所リハビリは、リハビリ施設や病院に通い、個別またはグループでリハビリテーションを行うサービスです。施設内にはリハビリテーションに必要な設備が揃っており、専門のスタッフが利用者のリハビリをサポートします。他の利用者との交流もできるため、社会復帰に向けての訓練や心のケアにもつながるでしょう。

また、リハビリだけではなく、入浴や食事、レクリエーション活動などのサービスも受けられます。送迎は事業所の車両で行われるため、車椅子の方でも利用可能です。

一方、訪問リハビリは、医療機関やリハビリ施設などから、専門のリハビリテーションスタッフが利用者の自宅を訪問し、個別にリハビリテーションを実施するサービスです。

訪問リハビリは、個人の生活環境に合わせたリハビリテーションができるため、利用者や家族の負担を軽減できるでしょう。

それぞれのメリットデメリットは以下の通りです。


メリット

デメリット

訪問リハビリ

自宅でリハビリが受けられる。

日常生活に沿った実践的なリハビリができる。

リハビリ機器がない。

閉鎖的で交流が少ない。

リハビリスペースが確保しにくい。

自宅に上がってもらう必要がある。

通所リハビリ(デイケア)

他者との交流が図れる。

気分転換につながる。

リハビリ機器が豊富。

入浴や食事サービスを利用できる。

事業所までの移動がある。

リハビリ以外の時間をもてあます。

実施する場所や目的が異なるため、どちらが適しているかは病状や生活環境によって異なります。それぞれのメリットや特徴を理解して選択するとよいでしょう。

訪問リハビリのメリット・デメリット

自宅でリハビリができるため日常生活に直結するリハビリが可能

訪問リハビリには、以下のようなメリット・デメリットがあります。

【メリット】

一番のメリットは、自宅で日常生活に沿った実践的なリハビリが可能なことです。例えば、自宅の階段を使った昇降訓練や、キッチンでの調理訓練を行うことができます。そのため、日常生活で必要な動作の訓練が可能となり、リハビリの効果を高めることができるでしょう。

次に、リハビリスタッフが自宅を訪問するため、利用者が外出する必要はなく、時間を節約できます。特に、身体障がいなど、外出が困難な方にとって、訪問リハビリは大きなメリットとなります。

さらに、家族や介護者が同席できるため、リハビリの進捗状況を共有しやすいこともメリットのひとつです。他の利用者がいないため、身体状況やリハビリ方法について、気軽に相談しやすくなるでしょう。また、家族や介護者がリハビリの方法を学び、自宅で支援することにつながります。

訪問リハビリでは、患者が自宅でリハビリを行うため、自立心を高めることが可能です。また、自宅でリハビリを行うことで、自己決定権が尊重され、QOLが向上することもあります。

以上のように、訪問リハビリには、利用者や家族にとって多くのメリットがあります。次はデメリットを見ていきましょう。

【デメリット】

自宅でリハビリを行うため、施設に比べて設備や器具が限られます。特に、重度の障がいを持つ患者に対して、必要なリハビリ設備や器具を自宅に持ち込むことは難しい場合がほとんどでしょう。そのため、リハビリの効果を最大限に発揮することができない場合があります。

また、自宅の広さによっては、十分なリハビリスペースを確保できない可能性もあるでしょう

次に、家族や介護者が同席することで、プライバシーやコミュニケーションの問題が生じる場合があります。例えば、利用者が家族や介護者に依存して自立心が低下することも考えられます。反対に、家族や介護者が利用者のリハビリに介入しすぎることで、リハビリの効果が低下する場合もあるため注意が必要です。

さらに、訪問リハビリを提供する事業所のスタッフは限られているため、希望する日程に対応できない場合があります。利用者の状態やスタッフのスケジュールによって、訪問リハビリを提供できない場合もあるため、ケアマネジャーや利用する事業所に、利用する頻度や状況について相談しておくと良いでしょう。

訪問リハビリ事業所の職員体制

各リハビリテーションの専門職が常駐

訪問リハビリには以下のような職員が配置されています。


人員と条件

備考

医師

常勤医師1名以上 

病院、診療所と併設している事業所・介護老人保健施設・介護医療院 では、常勤医師との兼務で差し支えない。

訪問スタッフ

専任の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士

適当数配置

リハビリの専門職である、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の配置人数に決まりはありません。事業所により所属している専門職の人数も異なるため、希望するリハビリ内容を伝え、どのようなリハビリが可能か確認すると良いでしょう。

それぞれのリハビリ専門分野は以下の通りです。

【理学療法士】

理学療法士は、運動機能や日常生活動作の向上を目的としたリハビリテーションを行います。具体的には、筋力や関節可動域、バランスなどの機能評価を行い、それに基づいてリハビリ計画を立て、運動指導やトレーニングを行います。また、リハビリに必要な器具や道具の選定や、補装具の作成なども行います。

【作業療法士】

作業療法士は、日常生活動作(ADL)の向上や、仕事・学校などの社会生活の再開を目的としたリハビリテーションを行います。具体的には、手の機能や認知機能、感覚機能などの機能評価を行い、それに基づいてリハビリ計画を立て、日常生活動作の練習や、職業や学校に必要なスキルの練習などを行います。

【言語聴覚士】

言語聴覚士は、言語やコミュニケーションの障害を持つ患者に対して、リハビリテーションを行います。具体的には、発話や聴覚、言語理解などの機能評価を行い、それに基づいてリハビリ計画を立て、言語やコミュニケーションの練習や、補助具の使用訓練などを行います。

どのリハビリにおいても、医師が作成するリハビリテーションの指示書が必要です。

訪問リハビリの事業所の選び方

事業所を選ぶ際は十分に情報を集めてから判断する

訪問リハビリの事業所を選ぶ際には、複数の事業所を比較し、特徴や評判などを確認することが重要です。また、スタッフの対応や経験なども確認しておくと良いでしょう。

また、訪問リハビリは入院後や手術後など、病気やケガの治療が終了した後に行われることが多い傾向です。リハビリは早めに開始することで、回復スピードを上げることができるため、すぐに利用できるかも重要なポイントといえます。相談や契約など迅速に対応してもらえる事業所であれば、今後何かあったときでも、すぐに対応してもらえる可能性が高いため、安心して利用できるでしょう。

訪問リハビリは、訪問看護事業所でもサービスを提供しています。訪問看護からリハビリテーションを受けるメリットとして、将来的に寝たきりになったりや要介護度が高くなることが想定される場合であっても、看護師が常駐しているため、これまでの訪問記録を引き継いで訪問看護を利用できる点があげられます。同じ事業所で訪問リハビリや訪問看護が実施されていれば、病状の共有もしやすく、サービスの意向もスムーズです。

まとめ

今回は、訪問リハビリの利用方法と費用、メリットデメリットについて紹介しました。訪問リハビリは、自宅でリハビリが受けられるサービスですが、利用するためには、要介護認定と主治医の指示書が必要です。また、ケアマネジャーの計画書も必要となります。

自宅で受けるリハビリは、日常生活に沿った実践的な訓練が可能で、移動などの手間がなく準備も最小限で済むでしょう。

しかし、訪問するリハビリスタッフの数が限られているため、希望する日時の訪問ができないこともあります。ケアマネジャーや訪問リハビリ事業所と相談し、スケジュールを調整しましょう。

事業所を選ぶ際は、職員体制や口コミなどを参考にし、場合によって通所リハビリ(デイケア)も選択肢に入れると良いでしょう。

今回の記事が、訪問リハビリの理解につながれば幸いです。

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