遠距離介護、慌てる前に知っておこう。はじめる準備から続けるコツ、費用を解説

「遠距離介護でできることを知りたい」「利用できるサービスってどんなものがあるの?」このような悩みはありませんか?

遠方で暮らしている・仕事が忙しいなどの理由で、親の介護が必要になってもすぐに始められる人ばかりではありません。しかし、介護が必要になった親が心配・不安と感じる人も多いでしょう。

近年、介護サービスでは様々な状況に合せたサービスを提供しています。また、介護保険サービス以外でも利用できるサービスがあるため、うまく活用すると安心した生活を送ることができるでしょう。

今回は、遠距離介護に必要なことや費用などについて紹介しています。また、限界を感じたときの対処法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。

#在宅介護#費用#豆知識
この記事の監修

とぐち まさき

渡口 将生

介護福祉士として10年以上現場経験があり、現在は介護老人保険施設の相談員として従事。介護資格取得スクールの講師やWEBライターとしても活動中。家族の声を元にした介護ブログを通じ、2019年3月、NHKの介護番組に出演経験もある。

遠距離介護とは

親の介護は突然始まる

遠距離介護とは、介護が必要な親や親戚などを離れた場所からサポートすることです。

遠距離介護のサポートには次のものがあります。

  • 定期的な電話連絡
  • サービス事業所との情報共有
  • 適宜帰省して状態確認

遠距離介護では、要介護者や利用している介護サービス事業所やケアマネと、こまめに連絡をとり情報共有を行います。連絡や手続きなどが遅れないように注意が必要です。

また、帰省して要介護者の状態や生活状況を直接確認すると良いでしょう。家族しか気づかない変化が分かるかもしません。

遠距離介護をはじめる理由には、次のようなものがあります。

  • 突然病気になったため同居する環境ではない
  • 施設入所を希望しているがすぐに入所できない
  • 施設入所を本人が拒んでいる
  • 介助者が仕事や家族を理由に引越しが困難

親の介護は突然始まることがほとんどです。そのため、急な転居や対応が難しい傾向にあります。施設入所を進める場合も、緊急性(命に関わることや虐待など)が高くない限り、入所までに1〜4週間ほどかかることがほとんどです。また、自宅で過ごしたいと考える人も多いため、急な入所は難しいでしょう。これらの理由により、遠距離介護が始まります。

次に、介護が必要になる原因について見ていきましょう。

  • 加齢に伴う衰弱
  • 認知症
  • 転倒などによる骨折
  • 脳血管障害(脳梗塞・脳出血など)
  • 関節疾患(変形性膝関節症など)

上記のことが原因となり、介護が必要となるケースがあります。

参照:国民生活基礎調査 令和元年国民生活基礎調査 介護

「親も歳をとってきたから、いずれは親の介護が必要になるだろう」と漠然と考えている方が多いと思いますが、介護は突然始まるものです。

特に親元から離れて暮らしている子どもとしては、不安や心配なことがいくつもあるでしょう。しかし、遠方に住む親を支援する方法はあるため、一つひとつ解消して遠距離介護についての不安や心配を減らしていきましょう。

遠距離介護のメリット、デメリット

遠距離介護にもメリットがある

遠距離介護には、メリットもあります。メリットを知っておくことで、気持ちの余裕も変わるかもしれません。ひとつずつ見ていきましょう。

介護者(子供)の生活スタイルを大きく変えることなく介護を継続できる

主な介護者は、40代以上の方が多い傾向にあります。この辺りの世代は、家庭があり、子どもが育ち盛り・仕事が忙しい・重要な役職についているなど、生活環境を変えることが難しい方も多いでしょう。また、介護離職(親の介護のために仕事をやめること)したとしても、再就職は年齢的に難しくなることもあります。

遠距離介護では、介護者の生活環境の大きな変化が起こりにくいため、今まで通り過ごせる場合がほとんどです。

親の生活環境を変化する必要がない

介護が必要になった場合、介護者の近くに親を呼び寄せる方もいます。住み慣れた土地や人間関係などを切り離し、新たな環境に生活の拠点を移すことは高齢の親にとって大きな不安やストレスにつながるでしょう。また、環境の変化に適応できずに認知症の発症や症状を悪化させてしまう人もいます。

遠距離介護では、本人の生活環境の変化がない分、不安やストレスは少ないでしょう。

介護者の肉体・精神的ストレスの軽減

介護者が常に近くにいる(同居)と、親は様々なことで依存的になる場合もあります。介護されること・金銭の管理・介護サービスの調整など、知らずしらず肉体的にも精神的にも疲労が蓄積されていくでしょう。

場合によっては、介護者がうつ病を発症することもあります。介護者が病気になると親の介護どころではなくなってしまうでしょう。

遠距離介護では、介護中心ではなく、生活と切り離して考えられるため、気持ちに余裕が生まれます。関わり方や必要な介護を客観的に判断できるでしょう。

ここからはデメリットについて見ていきます。

費用面で大きな負担になる

親が一人で過ごす環境を整えるためには、住宅改修の費用・帰省するたびにかかる交通費・定期的に状況を確認する為の通信費・日常を安全安心に過ごすための介護サービス費などが必要です。

特に帰省にかかる交通費は、距離が遠いほど大きくなり、経済的な負担にもつながります。

緊急時の対応が難しい

体調が急に悪くなったときは、すぐに駆け付けられないため、第三者に対応をお願いしないといけません。担当のケアマネジャーがついている場合は、緊急時にはどのように対応するのかを相談しておくと良いでしょう。また、安否確認のために、介護サービスなどを利用しておくと安心です。他にも、近隣の方と関係を作り、協力してもらうことも必要かもしれません。

遠距離介護にかかる費用

遠距離介護にはお金がかかるため計画的な行動が必要

遠距離介護では、近くで介護するよりも経済的な負担がかかります。主に必要な費用は次の通りです。

  • 介護サービス費
  • 交通費
  • 通信費

交通費に関しては、サービスやキャンペーンを利用すると負担を軽減できる場合もあります。

介護サービス費

要介護状態の親が在宅で生活を続ける場合、訪問介護や通所介護などのサービスを利用することになります。在宅で受ける介護サービスは、多くの場合、利用頻度によって利用料金が増える制度です。中には小規模多機能型居宅介護のような定額サービスもあります。

他にも、配食サービスや福祉用具のレンタル・購入などさまざまです。費用は所得に応じて1〜3割の自己負担で利用できます。

介護サービス費は地域によって費用に差があり、事業所の運営や体制によっても変わるため、利用する際は必ず確認しておきましょう。

交通費

遠距離介護では、親元に帰省するたびに交通費がかかります。距離が離れていればいるほど費用がかかり、介護者の負担は大きくなるでしょう。移動手段には、新幹線・飛行機・自家用車・長距離バスなどありますが、いずれも費用は必要です。

介護帰省に関して、役立つ割引サービスがあるため、ぜひ参考にしてください。

JAL(日本航空)

<介護帰省割引>

満12歳以上で要介護または要支援認定を受けた「2親等以内の親族」「配偶者の兄弟姉妹の配偶者」「子の配偶者の父母」に限り利用可能です。

ただし、JALマイレージバンク(JMB/JALカード)の入会が必要になります。他に必要なものは以下の通りです。

  • 介護保険証または介護認定結果通知書
  • 戸籍謄本または戸籍抄本
  • 公的書類(免許証など)
ANA(全日空)

<介護割引>

満12歳以上で要介護または要支援認定された「2親等以内の親族」「配偶者の兄弟姉妹の配偶者」「子の配偶者の父母」に限り利用可能です。

ただし、ANAマイレージクラブカードの加入が必要になります。他に必要なものは以下の通りです。

  • 介護保険証または介護認定結果通知書

  • 戸籍謄本または戸籍抄本

  • 公的書類(免許証など)

格安航空

格安航空に関しては介護割引などはありませんが利用時期によって、さらに安く利用できます。格安航空には以下のものがあります。

  • Peach(ピーチ)

  • SKYMARK(スカイマーク)

  • Jetstar(ジェットスター)

飛行機の運賃は、シーズンなどにより変動するため、各航空会社に問い合わせてみると良いでしょう。

電車

JR各社では、早期予約することで安く利用できます。他にも以下のサービスがあります。

<列車ジパング倶楽部>

男性65歳以上・女性60歳以上であれば誰でも入会できます。切符の割引き(年回20回まで最大30%割引・JR西日本の切符をネット購入すると何回でも30%割引)などの特典を受けられます。

<エクスプレス予約>

1年中いつでもお得に東海道・山陽・九州新幹線の指定席を利用できます。早期割引を利用する際には条件があるため注意が必要です。

<e5489(イイゴヨヤク)>

JR西日本が提供するインターネット予約サービスで、乗車1ヶ月前の10時から乗車当日の6分前まで予約でき、J-westカード会員であればJR(西日本・四国・九州および北陸新幹線)を「eきっぷ」や「e早得」などの割引を受けられます。

通信費

離れた土地で暮らす親の状況をこまめに確認するために、電話(テレビ電話)やチャットなどを利用します。ケアマネジャーやサービス事業所との連絡にも、通信費が必要です。

住宅改修

高齢になると、自宅内で転倒して骨折するリスクが増えます。骨折すると、その後の生活に大きな支障をきたすこともあるでしょう。

住宅改修では、親が自宅内で安全に過ごすために、玄関の上がりかまちの段差を解消・手すりの設置(通路・風呂場・トイレなど)・扉の取り替え・洋式便器への取り替え・移動を円滑にするための床材の変更など、自宅内の問題を解消できます。

要介護・支援の認定を受けている方が対象です。一人20万円が上限で介護保険が利用でき、改修費用の1〜3割を自己負担します。ただし、施設入居されている方や過去に同一建物で利用した方は対象外です。(介護度が大きく変わった際は利用可能)

遠距離介護では、介護サービス費用以外にも、さまざまな費用が必要となるため、計画的な工面が必要になります。

遠距離介護の準備

様々な状況を把握しておくことが準備になる

遠距離介護では、普段直接的な介護ができない分、第三者の協力が必要になる場面が多くなります。そのため、第三者が介入しやすくなるような準備やサービスの利用が必要です。

必要な準備は次の通りです。

親の生活状況や生活歴を知る

食事や家事の方法・通院状況・病歴や服薬管理状況・外出頻度など、日常どのように過ごしているのかを把握しておくことが大切です。

要介護者は「いつもと違うけど、迷惑をかけられない」と我慢や遠慮をして、重篤な病気や症状の発見が遅れる場合があります。

そのため、普段の状況を把握しておき、第三者に共有することで、未然に防げる可能性があるでしょう。また、近隣住民との交流なども把握しておくと急な安否確認をお願いできたり客観的な情報を得られる場合もあります。

親の経済状況を知る

自分の親でも、経済状況を確認することは気が引けるでしょう。しかし、経済状況を確認しておかなければ、この先何年も続く介護生活の計画も立てられません。

介護に関する費用は、親のお金で賄う方が多いです。年金額・預金(口座・印鑑など)・保険関係・借金の有無なども、確認できていると現状の支出で問題ないのかや、急に意思疎通がとれなくなった際でも安心です。口座の確認ができていれば介護者が費用を負担することなく支払いができます。

親の希望を把握する

体が不自由になったとしても「ヘルパーを利用してできる限り自宅で生活したい」「一人では不安なので老人ホームに入りたい」など様々な希望があります。

希望をすべて叶えることは難しいですが、できる部分とできない部分を明確にして、お互いが納得できるポイントを決めておくと良いでしょう。事前に家族で話し合っておくことで急な状況になったときでもスムーズに対応できます。

地域の介護情報を収集

親の住む居住区にある地域包括支援センターでは、介護がすぐに必要な状態ではなくても質問や相談ができます。介護の情報誌や介護保険申請の流れなど、様々な情報を提供してもらえるため、一度相談してみると良いでしょう。

遠距離介護を続けるために

遠距離介護を継続するためには様々なサービスを活用する

遠距離介護を継続するためには、様々な支援サービスの活用がポイントです。介護保険サービスが有名ですが、その他にも多くの民間サービスがあります。

介護サービスを利用する

介護保険サービスには、訪問系サービスや通所系サービスなど様々なサービスがあります。

サービスの種類
サービス内容

訪問系サービス

訪問介護

訪問看護

訪問入浴 など

通所系サービス

通所介護(デイサービス)

通所リハビリ(デイケア)

その他サービス

(看護)小規模多機能型居宅介護

ショートステイ

住宅改修

介護保険サービスを受けるためには、要介護認定を受ける必要があります。

在宅生活で生活するには、住宅の改修が必要な場合もあるでしょう。手すりの設置・段差の解消・洋式便所への取り替えなど、様々な改修が可能です。上限額20万円の改修であれば、1割(または2〜3割)の自己負担で行えます。

介護保険サービス以外のサービスは次の通りです。

民間のサービスを利用する

民間のサービスには、次のものがあります。

  • 食事の買い出し

  • 弁当の配達などの配食サービス

  • 通院や外出時の移送・送迎サービス

  • 訪問美容(理容)

  • 自費サービス

民間のサービスでは、料理・掃除・洗濯・買い物など多岐にわたる家事を代わりに行う家事代行サービスや通院などを支援する介護タクシー、自宅に訪問して整容する訪問理美容サービスなど様々です。

他にも、介護保険サービスでは補えない部分を、介護保険を使わずに自費で行っている事業支援サービスなどもあります。費用は全額自己負担となりますが、状況に応じて利用することで介護負担の軽減が可能です。

参考:訪問美容の実施経験がある美容師の割合は?スタイリストアンケート「訪問美容編」|digmar(ディグマル) |市場調査・マーケティングリサーチ業界の情報メディア 

参考:高齢者向け宅配弁当おすすめランキング【やわらかく食べやすい!口コミで人気の食事宅配比較】

地域の民生委員やボランティア

民生委員は、厚生労働省から委託を受け、地域住民の立場から相談や援助をして、社会福祉の増進に努める人たちです。生活の困りごとや安否確認などをお願いできるケースもあるため、一度相談してみると良いでしょう。

また、自治体に登録してボランティア活動している方も多くいるため、小さな困りごとなどは、無料や少額で解決できることもあります。自治体で行われている活動などを把握しておくことは困った時の助けになるでしょう。

ゴミ収集

自治体がふれあい事業として行っているサービスです。満65歳以上・要介護・要支援認定を受けているなどの条件に該当し、自ら所定のゴミ回収場まで持っていくことが困難なひとり暮らしの高齢者が対象になります。条件はありますが、天候不良時の転倒やゴミが出せす自宅内がゴミだらけになることを予防できるでしょう。

緊急通報サービスの利用

65歳以上で高齢者のみの世帯などを対象に利用できる通報システムを利用すると緊急時でも安心です。利用申し込みすれば通報装置を自宅に設置して使用できます。

固定型機器やペンダント型機器などがあり、利用者からの通報から状況に応じて、家族連絡や救急車の要請をしてもらえるため安心です。また、家族が対応できない場合(連絡が取れないなど)には委託業者が駆け付け安否確認などの支援につなげる場合もあります。

ICT機器の利用

近年では、ICTの導入が進み様々な機器が開発されています。遠距離介護には、見守りシステムなどを導入すれば、遠方から親の状況確認が可能です。スマホからのアクセスや通話なども可能な機種があるため、状況に合せた機能がついたモデルを導入すると良いでしょう。他にも、GPSで居場所を管理するなどの方法があります。

参考:格安simを比較

限界を迎える前に、準備できること

状況に合わせて施設使用も検討する

在宅介護を続けるうちに、限界を感じることもあるでしょう。在宅生活が限界を迎える前に、次の支援方法を準備しておくことが必要です。

準備には、これまで紹介したようなサービスを探しておくと良いでしょう。まったく知らなかったサービスを知る機会につながることもあります。

また、身体状況などから判断して、在宅生活の継続ができないケースもあるため、利用できる施設を探しておくことも大切です。施設は、使いたいときに必ず利用できるものではないため、早めに申し込みをしておくと良いでしょう。

まとめ

遠距離介護では、直接支援ができないことが多いため、不安や心配が付きものです。しかし、遠距離にいることで、自身の生活状況を大きく変更しなくても良いというメリットがあります。

近年、社会問題になっている介護離職しなくても支援する方法は様々あるため、利用できるサービスを把握しておくことが重要です。また、遠距離介護では、第三者に親を任せることになるため、こまかい情報を共有しておくことで、サービスに関わる人も安心して支援ができるでしょう。

見守りシステムなどのICTを活用することで、親の状況も把握しやすくなるため、ぜひ検討してみてください。

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