老人ホームにおける人員配置基準をわかりやすく解説!施設ごとの職員数を紹介

「人員配置基準ってなに?」「施設ごとに職員の人数は違うの?」このような疑問はありませんか?

老人ホームには、施設の種類により厚生労働省の定める「人員配置基準」があります。人員配置基準を下回った場合、適正な施設運営ができないため、提供サービスの低下、あるいは入居者が他の施設へ転居することも考えられます。


今回は、老人ホームにおける人員配置基準について解説します。また、特定の職種についてや、人員に関するメリット・デメリットについても紹介しています。ぜひ参考にしてください。


#老人ホーム#施設サービス#施設入居
この記事の監修

とぐち まさき

渡口 将生

介護福祉士として10年以上現場経験があり、現在は介護老人保険施設の相談員として従事。介護資格取得スクールの講師やWEBライターとしても活動中。家族の声を元にした介護ブログを通じ、2019年3月、NHKの介護番組に出演経験もある。

介護施設ごとの人員配置基準とは

施設ごとに異なる基準がある

介護施設には人員基準が設けられており、ほとんどの施設で利用者3名に対して職員1名の「3:1」の基準があります。人員基準の対象職員は「介護職員」と「看護職員」で、どちらでも問題はありません。


以下に、それぞれの配置基準の特徴を紹介していきます。施設ごとに基準が異なるため、ひとつずつ見ていきましょう。


介護付有料老人ホーム

有料老人ホームは、「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」と分かれており、それぞれで基準が異なります。

介護付き有料老人ホームは、厚生労働省が定めた基準を満たし、「特定施設」として指定されている施設です。特定施設では、要支援2以上の利用者3名に対して職員1名の「3:1」の配置基準が適用されます。他にも、ケアマネジャーや機能訓練指導員の配置も決まっています。また、介護認定を受けている利用者30名以下に対して看護師1名以上、50名以下で2名と看護師の配置も決まっていることが特徴です。詳しくは以下の記事で紹介しています。


住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、施設より賃貸住宅に近いため、介護職員の配置は少なく管理人のような立場で日中1名以上が常駐しています。介護には訪問介護事業所のヘルパーが訪問し対応するため、施設として3:1の基準はありません。介護職員の配置は「必要数」となっており、施設ごとに設定が可能です。夜間帯には職員がいない施設もあるため、施設を検討する際は確認すると良いでしょう。詳しくは以下の記事で紹介しています。


健康型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームと同様に3:1の基準はなく、介護職員の配置は「必要数」となっています。住宅型有料老人ホームと比べて、入居者はより自立度が高い傾向にあり、職員数はさらに少なくなります。看護師の配置は基本的に決まっていません。詳しくは以下の記事で紹介しています。


サービス付高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、名前の通り施設ではなく住宅の扱いで、前述の住宅型有料老人ホーム同様の人員配置基準です。しかし、厚生労働省の定めた基準を満たし、「特定施設」の指定を受けたサービス付き高齢者向け住宅は、3:1の人員配置基準が適用されます。看護師の配置に決まりはありませんが、医療行為やがん、難病の方向けの医療特化型施設の場合は、看護師を手厚く配置しています。詳しくは以下の記事で紹介しています。


グループホーム

グループホームは、認知症高齢者を5人以上9人以下の少人数で、家庭的な雰囲気の中で生活する施設です。3:1の人員基準が適用され、管理者は、認知症に関する研修修了者のみなることができます。詳しくは以下の記事で紹介しています。


特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホームでは、3:1の基準が設けられています。近年では、10人前後の入居者を一つのユニットとしてとらえて個別ケアを行うユニットケアが進められており、ユニットごとにリーダーを配置する決まりになっています。また、看護師・機能訓練指導員・相談員・ケアマネジャーなどの職種の配置が定められているのも特徴のひとつです。詳しくは以下の記事で紹介しています。


介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設にも、3:1の人員配置基準が設けられています。介護老人保健施設では介護職に対して、看護師の割合を7:2以上にする基準があるため、他の施設に比べて看護職員の配置が多い特徴があります。また、看護師が夜勤をする場合も多く、夜間も安心の体制です。詳しくは以下の記事で紹介しています。


介護・看護以外に人員配置基準がある職種とは

介護・看護職員以外にも必要な職種

前項のように、介護・看護師以外にも人員配置基準が定められている職種があります。表にまとめると以下の通りです。


管理者
医師
ケアマネジャー
リハビリ
機能訓練指導員
栄養士
相談員

老人ホーム

(介護付)

常勤1名

なし

1人以上

なし

1人以上

なし

常勤換算で1人以上

老人ホーム

(住宅型・健康型)

常勤1名

なし

なし

なし

なし

なし

必要数

サービス付き高齢者向け住宅

常勤1名

なし

なし

なし

なし

なし

なし

グループホーム

1ユニットに対して1人以上

※代表者も別に1名必要(ホーム全体を管理するもの)

なし

1ユニットに対して1人以上

なし

なし

なし

なし


特別養護老人ホーム(特養)

1名

1人(非常勤可)

100人に対して1人以上

なし

1人以上

1人以上

100人に対して1人以上

介護老人保健施設(老健)

医師が担う

1人(常勤)

管理者は医師の定めがある

100人に対して1人以上

理学・作業療法士または言語聴覚士のいずれか1名以上

なし

定員100人以上の場合1人以上

100人に対して1人以上

上記のように各施設でそれぞれの基準があるので確認しておきましょう。


老人ホーム「3:1の人員配置基準」の注意点

24時間3:1の体制ではない

老人ホームを含めた一部の施設では、人員配置基準(最低人員数)が設けられています。基準を下回ると、「人員欠如」として事業の縮小が求められたり、適切なサービスを提供できなくなる可能性がありますが、介護職員の人材不足により、人員の補強は徐々に困難な傾向にあります。


また、「3:1」の基準は24時間継続しているわけではありません。基本的に利用者の活動量が多い日中に人員を手厚くし、多くの入居者が就寝している夜間帯は少ないことがほとんどです。3:1の配置基準の場合、30名の利用者に対して10人の職員が必要です。しかし、就業時間が様々であるパート職員や非常勤の職員もいることから、「常勤換算法」という計算方式で利用者数との対比を行います。


1日の介護・看護師のすべての労働時間を所定の労働時間で割ることで「常勤換算」の値をだし、利用者数に対して3:1になっているかを確認する方法です。

注意点は、時間数だけの計算のため、「いつ何人の職員がいるか?」ではありません。そのため多くの施設では、日中に人員を確保し、夜間帯は20〜25:1くらいの人員となっています。


また、人員基準によりサービス内容に差が生じる場合があります。例えば、「夜勤職員配置加算」と呼ばれる加算を取得するためには、夜間帯勤務の職員を基準より1人以上増やす必要があります。その分、加算取得している施設では、夜間帯に手厚い介護が可能になるでしょう。


老人ホームで人員配置基準違反をしていたらどうなる?

人員配置基準違反は事業縮小の可能性がある

老人ホームで人員配置基準違反が分かった場合は、施設として報酬の減額やサービスの縮小を行わなければいけません。そのため、急な退居を迫られる場合もあるでしょう。施設の介護報酬が下がることで月額利用料の負担も軽減されますが、その分職員が少なくなるため、安心して生活できない可能性があります。


施設により、施設長や管理者、ケアマネジャーが一時的に利用者の介護を行うことがあります。介護・看護職員のサポートや入居者のお話し相手もありますが、不足した人員の穴埋めが理由のこともあり、その間は本来の職務から離れるため、日中のご家族からの問い合わせに対応できないなどのトラブルが考えられます。


ITの導入により人員配置基準の緩和が検討されている

近年の介護人材不足が課題として挙げられる中、介護・看護職員の負担軽減を目的に、ITの導入が推奨されるようになりました。

ITの導入には大きな費用が必要ですが、厚生労働省の支援もあり、補助金の対象となります。


例えば、利用者の「生活リズム」「睡眠状態」「動き出し」までサーモグラフィなどで確認し、異変をアラートで知らせる人感センサーを導入している施設では、職員の巡回で入居者の眠りを妨げないため、ゆっくり休むことができます。記録も自動で行われるため、職員の負担軽減だけでなく、正確な記録から入居者の状態変化を客観的にとらえることができます。


このように、ITの導入が進むことで職員の負担軽減が進むと考えられており、人員配置基準を「3:1」から「4:1」にしていく方針もありますが、人が直接関わる方が安全と考える人もいるため、方針には賛否の声があります。


人員配置基準よりも充実した施設のメリット

介護施設の課題はマンパワーの確保

人員配置基準である3:1基準を上回る職員が勤務している施設では、手厚いサポートを受けられるでしょう。しかし、人員配置に関する加算を取得していることも多いため、利用料が他の施設より高くなる場合が多いです。


人員配置基準の3:1を最低限としている施設は、月額利用料に手厚い人員配置分の料金が追加されませんが、人員配置の多い施設と比べると個別の要望に応えきれない部分があるかもしれません。


それぞれ、メリットデメリットがありますが、人員に関する詳細を知りたい場合は、「重要事項説明書」を参考にするとよいでしょう。前年度のものにはなりますが、配属されている職種や人数、勤続年数が記載されています。


入居を検討している段階のものに関しては、施設に問い合わせることで、希望する生活が送れるか、何をどこまで対応してもらえるか分かります。

まとめ

施設ごとに人員配置基準が定められており、運営している多くの施設が最低人員を確保して運営しています。施設により必要となる職種も様々です。

「利用者3名に対して介護・看護職員1名を配置」することが基本的な人員配置基準になりますが、それ以外にも施設によって看護師と介護職員の7:2の配置基準や、特定の職種を配置する決まりもあるため、施設の特徴を理解して施設選びをする必要があります。

マンパワー不足を感じる施設では、人員配置基準が満たされていない可能性もあるため、気になる場合は施設に問い合わせてみると良いでしょう。

今回の記事が、老人ホームの人員配置基準の参考になれば幸いです。

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