リハビリ機器も紹介!施設で受けられるリハビリの種類と内容を知り、施設探しのポイントをおさえよう

「施設に入居しても、病院と同じくらいリハビリできるの?」

「寝たきりにならないか心配」

と施設リハビリについて気になることはありませんか?

施設のリハビリ内容がわからないと、入居後の施設生活も不安になるでしょう。

この記事は施設で行うリハビリの種類や内容・頻度・施設探しのポイント・注意点などを解説しています。

読み進めると、施設で行うリハビリの理解が深まり、リハビリを受けるための適切な施設探しができるでしょう。ぜひ参考にしてください。


#老人ホーム#施設サービス#リハビリ#有料老人ホーム
この記事の監修

とぐち まさき

渡口 将生

介護福祉士として10年以上現場経験があり、現在は介護老人保険施設の相談員として従事。介護資格取得スクールの講師やWEBライターとしても活動中。家族の声を元にした介護ブログを通じ、2019年3月、NHKの介護番組に出演経験もある。

施設で行うリハビリの種類と内容

施設で行うリハビリは4種類

施設で行うリハビリの種類は「生活リハビリ」「個別リハビリ」「集団リハビリ」「パワーリハビリ」です。それぞれの内容を説明していきます。

生活リハビリ

食事・着替え・入浴・トイレなど日常生活動作そのものをリハビリと捉え、身体機能の維持・改善を目指します。できる所はご自身で行っていただき、できない所を介助したり、補助具を使用したりするリハビリです。理学療法士や作業療法士だけが行うのではなく、利用者に関わるすべての職員が行います。

ポイントは、利用者の身体能力を把握して、過介助にならないように行うことです。

以下に動作ごとの具体例を紹介します。

動作
具体例

食事動作

手がうまく使用できない人は、持ちやすい箸やスプーンに変えたり、補助具を使用し、利用者自身で食べられるよう工夫します。

着替え動作

衣服の着脱をすべて介助するのではなく、「ボタンをはめる」「裾を通す」など、できない所だけを介助します。

トイレ動作

トイレでの排泄には、「立ち上がり」「立位保持」「ズボンを下げる・上げる」「着座」「座位保持」など多くの動作があります。例えば「立位保持」ができるだけでも、職員が立ち上がり介助やズボンの上げ下げを行うことで、トイレに行くことができます。

個別リハビリ

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のほか、柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師が、利用者一人ひとりの身体機能を把握して目標に沿ったリハビリ計画を立て、実施します。専門性が高く、利用者個人の希望や課題に対応できることが特徴です。

理学療法士は、「脳梗塞や脳出血による片麻痺」「骨折などのケガ」により、起き上がる・座る・立つ・歩行などの基本動作の機能回復を目的にリハビリを実施します。内容は関節の動きの改善・筋力強化・痛みの改善・基本動作練習・歩行練習などです。

作業療法士は、「骨折などのケガ」「リウマチ」「パーキンソン病」などにより、食事・更衣動作・入浴動作をはじめとした日常生活動作に支障がある動作に対してリハビリを実施します。内容は「食事や更衣などの日常生活動作練習や補助具の選定・使用訓練」などです。精神疾患や認知症などの精神面のケアなども行います。

言語聴覚士は脳卒中などで起きた、「言葉の障害(言葉が出ない・言葉を間違えてしまう)」「発音(うまく発音できない)の障害」「食べる機能障害」「高次脳機能障害(記憶・思考・判断など高度な能力障害)」に対してリハビリを実施します。内容は「発声訓練」「嚥下(飲み込み)訓練」「声帯や唇・舌などの運動機能訓練」などです。

柔道整復師は、外科的手術や薬などを使用しないで、対象者の自然治癒力を高め患部の回復を手助けします。内容は主に、打撲・捻挫・骨折・脱臼などに対して、非観血的療法(出血をともなわない治療)を行います。

あん摩マッサージ指圧師は、肩こりや腰痛、頭痛などの身体の不調や痛みに対して、3つの手技「あん摩」「マッサージ」「指圧」とそれぞれの技術をもって行う療法です。内容は「押す・さする・もむ」といった手技で、血の巡りをよくする事で、身体の痛みやコリ、不調を緩和します。

集団リハビリ

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師が、複数の利用者にリハビリを実施します。内容は体操・レクリエーション・ゲームなどです。利用者同士で声を掛け合い、楽しみながら意欲を高められ、利用者同士のコミュニケーションにも繋がるでしょう。

具体的な内容は、あいさつから始まり、日付の確認・口の運動・腕や足の運動・立ち上がり練習などを実施します。レクリエーションは連想ゲーム・玉入れ・風船バレーなどで、施設や職員ごとに実施内容は異なります。

パワーリハビリ

身体を鍛えている人が使用するようなマシントレーニングではなく、医療用に開発された専用マシンを使用します。使っていない筋肉を動かすことで身体の動きがスムーズになり、体力の維持・向上が期待できます。

理学療法士や作業療法士などが、利用者一人ひとりの身体機能に合わせ低負荷で行うため、高齢者でも安心して行うことができます。


リハビリには、医療保険・介護保険を利用、あるいは自費で受けるものの3種類あり、受けられる内容や頻度が異なります。

  • 介護保険で受けるリハビリ(訪問リハビリ、通所リハビリ)

  • 医療保険で受けるリハビリ(訪問マッサージ)

  • 自費で受けるリハビリ

ひとつずつ解説します。

介護保険で受けられるリハビリ

介護保険では「訪問リハビリ」「通所リハビリ」が受けられます。

訪問リハビリの目的は、機能回復や生活の質(QOL)の改善です。理学療法士や作業療法士・言語聴覚士が自宅(施設であれば、入居者の居室)へ訪問し、家屋環境に合わせた訓練や、住宅改修案・補助具の提案などを行います。

通所リハビリは短時間型・半日型・1日型の3種類です。

種類
滞在時間

短時間型

1〜2時間

半日型

3〜4時間

1日型

6〜8時間程度

短時間型の内容は、個別リハビリ(40〜60分)・パワーリハビリ・自主練習です。個別リハビリよりも、専門職が立案したメニューを行う時間の方が長い場合もあります。

半日型の内容は個別リハビリやレクリエーションです。事業所により、食事や入浴も実施しています。

1日型では、上記リハビリに加え、食事や入浴も可能なため、一人で入浴が難しい方には便利なサービスです。介護者の介護負担軽減にも繋がります。

医療保険で受けられるリハビリ

医療保険は「病院でのリハビリ」「訪問マッサージ」を受けることができます。

訪問マッサージは国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」が行うサービスです。自宅を訪問しマッサージ治療を行います。

訪問マッサージの目的は「通院が困難な方の、関節の動きや痛みを改善すること」です。実施には医師の同意書が必要になるため、医療機関の受診が必要になります。

自費で受けられるリハビリ

特定疾患に対する専門的な治療を提供する施設や、医療機関が行っている場合があります。医療保険で受けるリハビリには期間の制限がありますが、自費で受けるリハビリには制限がなく、希望通りの治療を受けられるでしょう。

医療機関以外では、「医師が常駐していない」「料金が高い」などのデメリットもあります。自費リハビリは医療費控除の対象と認められる場合もあります。


参考:江戸川区のあしすと訪問リハビリ鍼灸マッサージ院

リハビリを受けられる施設の種類

リハビリが行える施設は限られている

リハビリを受けられる施設は以下の3つです。

  • 介護老人保健施設

  • 介護医療院

  • 特別養護老人ホーム・介護付き有料老人ホーム

ひとつずつ紹介していきます。

介護老人保健施設

要介護認定を受けた人が在宅復帰を目指す施設で、専門的なリハビリを受けることができます。

介護医療院

比較的要介護度が高い方を対象に、手厚い医療処置とリハビリを、提供する施設になります。療養や医療提供が主になるため、イベントやレクリエーションなどは行われない場合が多いでしょう。

特別養護老人ホーム・介護付き有料老人ホーム

機能訓練指導員による訓練を受けることができます。機能訓練指導員は、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師の場合もあり、必ず理学療法士や作業療法士などによる、リハビリを受けられるわけではありません。


施設でのリハビリと病院リハビリの違い

病院で行うリハビリは実施時間が長い

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士から受けるリハビリ内容に、違いはありません。利用者それぞれの身体機能を評価し、個別性の高いリハビリを提供します。

一方で、機能訓練指導員によるリハビリは、職種により内容が異なります。施設に在籍している機能訓練指導員の職種を確認すると良いでしょう。

施設の種類にもよりますが、多くは病院ほど長い時間や頻度でリハビリを行うことができません。例えば、回復期病院は毎日2〜3時間実施するのに比べ、介護老人保健施設は1回20分を週2回以上で行います。

介護老人保健施設に入所してからの3ヶ月間は、短期集中リハビリとして週3回以上実施します。短期集中リハビリを受ける場合は「前3ヶ月以内に介護老人保険施設に入所していない」という条件があるため注意が必要です。

一方で、回復期病院は疾患により入院日数が決まっています。回復期病棟の、詳しい入院日数は厚生労働省「令和4年度診療報酬改定の概要」20ページを参照してください。

また、リハビリに力を入れている有料老人ホームは、入居後3ヶ月間、毎日リハビリが実施できるキャンペーンを行っていることもあります。病院のリハビリ内容を引き継ぎ、可能な限り施設でも継続できるよう体制を整えたり、リハビリ機器をそろえている施設もあります。


施設でのリハビリと在宅リハビリの違い

施設と在宅ではリハビリの目的が異なる

施設リハビリは、主に「身体機能の維持・向上」「在宅復帰」のために行います。在宅リハビリの目的は「生活の質(QOL)の向上」です。

施設の生活と自宅の生活で必要になる身体機能が変わることがあり、本人は「施設ではできていたけど、自宅に帰ったら思ったようにできない」と悩んだり、家族は「うまく介助ができない」と悩んだりする場合があるでしょう。施設や病院を退院する際に受け取る退院時指導書をもとに、退院後に気を付けることや介助方法の確認が必要です。

在宅では理学療法士や作業療法士が、個別性・専門性の高い治療を提供、家屋環境に合った手すりの設置などの住宅改修・福祉用具の提案、家族への介助方法の指導などを行います。自宅に訪問するため、直接悩みを相談できるでしょう。

訪問リハビリは、1週間で利用可能な頻度が決まっています。1回20分・週6回以内が限度で、40分の利用であれば週3回まで利用が可能です。3ヶ月に1回は医師の診察を受け、指示書が必要になります。

施設には、在宅復帰を目標とする方も多く、生活リズムを整えながら自宅で暮すために必要な動作を練習します。リハビリ職員が常勤の場合、入居者の体調や気分に合わせて柔軟にリハビリを行うこともでき、介護・看護職員とも生活状況を共有しやすいメリットがあります。


充実したリハビリ機器

充実したリハビリには設備も大切

リハビリには、環境を整えることも大切な要素です。リハビリに力を入れている施設は、マシンなどの機器が充実しています。

専用トレーニングマシンを利用した訓練は、理学療法士や作業療法士などの専門職が常にいる必要はありません。専門職が不在であっても、事前に個別の身体状況を評価し、適切な負荷量や実施頻度などを介護職員と共有し、マシントレーニングを行えます。



リハビリを希望する施設探しのポイント

勤務体制や職員の配置を確認

リハビリを希望する場合の施設探しのポイントは、以下の5つです。

  • リハビリ専門職の配置と勤務体制

  • リハビリ頻度と実施時間

  • 具体的なリハビリ内容

  • リハビリの実績

  • 生活リハビリの実施

ひとつずつ解説していきます。

リハビリ専門職の配置と勤務体制

施設の配置基準は以下のようになっています。

施設名
配置基準

介護老人保健施設

100対1

介護医療院

実情に応じた適当数

特別養護老人ホーム・介護付き有料老人ホーム

1以上

表のように、専門職の配置基準は多くありません。配置人数と勤務体制を確認し、週に何回、実施できるか確認しておくと良いでしょう。

※介護老人保健施設は、実際複数人で勤務している場合が多いです。

※特別養護老人ホーム・介護老人保健施設では機能訓練指導員の配置人数です。

身体機能の低下や寝たきりの予防には、どれだけ生活リハビリを理解しているかが大切になります。

  • リハビリ専門職の配置と勤務体制

  • リハビリの頻度と実施時間

  • リハビリの実績

それぞれ見ていきましょう。

リハビリの頻度と実施時間

リハビリは、実施頻度と時間が大切です。実施頻度や時間が短いと、思ったような効果が出ない場合があります。施設の理学療法士や作業療法士などの配置人数と頻度・実施時間を確認しておくと良いでしょう。

具体的なリハビリ内容

リハビリの具体的な内容として「食べる訓練はやっているか」「歩く練習はやっているか」など求めている内容を行っているか、確認すると良いでしょう。集団リハビリやレクリエーションは、機能改善より身体を動かす、あるいは気分転換などが目的となる場合もあります。

リハビリ実績

実績は「施設から在宅へ復帰できた割合」「実際に利用者に提供された頻度と時間」を確認しておくと良いでしょう。

在宅復帰できた割合が大きい場合は「効果的なリハビリの提供」「在宅復帰への支援」の充実を表しています。

優秀な理学療法士や作業療法士などの専門職が在籍していても、十分な量を提供できなければ、思ったような効果を出せません。1人の利用者に提供された頻度・実施時間を確認しておくと良いでしょう。

生活リハビリ・パワーリハビリの実施

介護職員などが「生活リハビリ」「パワーリハビリ」を実施しているか、確認しておくと良いでしょう。個別リハビリは実施頻度に制限があるため、その他にどの程度関わってもらえるか、どのような内容を行っているか事前に分かると安心です。


施設でリハビリを受けたいと考えるときの注意点

利用料金や実施頻度に注意

施設でリハビリを考えるときの注意点は以下の3つです。

  • 希望の予算とエリアにないケースもある

  • 入居金や月額利用料が高い傾向にある

  • 入居後、一定期間を過ぎると頻度と時間が減る場合がある

それぞれ解説していきます。

希望の予算とエリアにないケースもある

施設により月額料金が異なります。予算とリハビリ内容など「施設に求める内容」を考えて決めると良いでしょう。施設の月額料金に加えて、日用品費やレクリエーション費などが、別途必要になる場合もあります。支払いできる目安を、施設に確認しておくと良いでしょう。

住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は施設内に、理学療法士や作業療法士などが在籍していません。介護保険で「通所リハビリ」「訪問リハビリ」など、外部事業所を利用できるか、確認しておくと良いでしょう。

通所リハビリは利用者の送迎を行い、訪問リハビリは自宅や施設まで職員が訪問します。事業所ごとに送迎可能エリア、訪問可能エリアが設定されているため、利用する際は確認が必要です。

入居金や月額料金が高い傾向にある

一部の民間施設は高額な入居一時金が発生する場合があります。年金収入のみで入居可能な施設を探す場合は、公的施設を選ぶと良いでしょう。入院中の場合、相談員、介護認定を受けている場合はケアマネジャーに相談すると良いでしょう。

施設ごとの入居金や月額料金は以下の通りです。

施設
入居金
月額料金

介護老人保健施設

0円

8~15万円

特別養護老人ホーム

0円

8~12万円

介護付き有料老人ホーム

0~数千万円

15~30万円

住宅型有料老人ホーム

0~数百万円

15~30万円

サービス付き高齢者向け住宅

0~数十万円

10~30万円

グループホーム

0~数十万円

15~20万円

月額料金や日用品費など、別途費用は施設ごとに異なります。詳しくは施設へ問い合わせてみると良いでしょう。

入所後、一定期間を過ぎると頻度と時間が減る場合がある

介護老人保健施設は、短期集中リハビリを受けることができます。入所日から3ヶ月以内は、週3回以上、4ヶ月以降は週2回以上に変わるので注意が必要です。施設によっては、個別リハビリが週2回ではなく、そのうち1回は集団リハビリの場合があります。

介護老人保健施設は「基本型」「強化型」に分けられます。強化型施設のリハビリ頻度は週3回以上と定められています。

医師により認知症と診断され、生活機能の改善が見込まれると判断された利用者は、認知症短期集中リハビリの対象です。認知症短期集中リハビリは、入所日から3ヶ月以内に限り、1回20分を週3回まで受けることができます。

認知症短期集中リハビリの対象者は、入所日から3ヶ月以内は「短期集中リハビリの20分」+「認知症短期集中リハビリの20分」で40分受けられます。3ヶ月が経過すると、1回20分を週2回または1回になるため注意が必要です。

介護付き有料老人ホーム・特別養護老人ホームなどは、施設ごとに頻度や内容が異なるため、施設に確認しておくと良いでしょう。

まとめ

施設で行うリハビリの種類は「生活リハビリ」「個別リハビリ」「集団リハビリ」「パワーリハビリ」です。

リハビリを受けられる施設は、介護老人保健施設・介護医療院・特別養護老人ホーム・介護付き有料老人ホームがあります。施設ごとに月額料金が変わるため、施設を選ぶ際に注意が必要です。施設リハビリは、頻度や時間に制限があります。入所日から3ヶ月以上経過すると、頻度が少なくなる場合があります。リハビリを希望する際の施設選びでは、理学療法士や作業療法士などの配置や実績・具体的な内容などを確認しておくと良いでしょう。

この記事が病院と施設の違い、施設リハビリの内容理解につながれば幸いです。

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