【ショートステイ】利用日数や利用方法、料金まで詳しく解説!
「ショートステイってどんなサービスなの?」「どうやって利用すればいいの?」「利用するメリットやデメリットが知りたい」このような疑問はありませんか?
在宅サービスで利用可能なショートステイは、宿泊型の介護サービスです。利用日数は施設の空き状況によって異なりますが、基本的に利用する方やご家族の意向で決めることができます。
用事で家を空ける必要がある・介護生活に疲れを感じるご家族や、閉じこもりがちで他者交流がない・施設入所を検討しているが生活の様子が気になっている利用者に最適なサービスです。
今回はショートステイの疑問や悩みについて紹介しています。費用や1日の流れについても解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
とぐち まさき
渡口 将生
ショートステイとは
在宅サービスの一つで宿泊を目的に利用する
ショートステイとは、在宅で介護を受けている方が、一時的に介護施設などで短期間入所をすることを指します。ショートステイは特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護保険施設や、有料老人ホームやグループホームなどの民間施設で利用可能です。
ショートステイは、「短期入所」の意味があります。また、利用するサービスにより正式名称が異なります。特別養護老人ホームの場合は「短期入所生活介護」、介護老人保健施設の場合は「短期入所療養介護」と呼び、ショートステイはそれらの総称です。
ショートステイでは、日常生活に必要な食事・入浴・排泄の支援を受けることができるほか、レクリエーションや内服管理などのサービスを提供しています。
介護保険施設で利用するには要支援1以上の認定が必要ですが、民間施設の場合は60歳以上や65歳以上などの年齢制限だけの場合もあるため、利用する際は各施設に確認すると良いでしょう。また、民間施設の場合は介護保険が使えないため、介護保険施設よりも利用料金が高くなる場合が多いです。
それぞれの施設で利用目的が異なるため、状況に合わせて検討すると良いでしょう。
ショートステイの利用目的
主な理由の一つはレスパイト
ショートステイを利用する方によって利用目的はさまざまですが、主な理由にはレスパイトがあります。レスパイトとは一時休憩の意味があり、ショートステイ利用中は同居している家族が安心して出かけたり、リフレッシュができます。
他にも次のような目的で利用されます。
利用する理由 | 詳細 |
介護者が外せないイベントがある | 冠婚葬祭や旅行など |
介護者が体調不良 | 入院や怪我など |
介護者が不在 | 仕事や使用で家にいないなど |
介護者がひと休みしたい | 介護疲れなど |
自宅での介護が難しい | 特別養護老人ホームなどの施設に入りたいが空いていない場合 |
ヘルパーが来ない | お盆や年末年始などヘルパー事業所が休みで必要な介護が受けられない場合 |
家で閉じこもりがち | 他者交流や社会参加 |
定期的に医療的ケアやリハビリを受けたい | 医療的ケアやリハビリができる介護老人保健施設を利用する |
長期入所のための練習 | 長期入所を検討している方が施設に慣れるために利用する |
上記のように様々な理由があります。急な利用の場合には、介護保健施設ではなく民間施設の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、グループホームなどのショートステイも利用可能ですが、費用は割高になることがほとんどです。
定期的に利用する場合は、リハビリや医療的ケアが必要かどうかで施設を選ぶと良いでしょう。短期入所療養介護の名称でショートステイを実施している介護老人保健施設などでは、リハビリや医療的ケアが受けることができます。
判断に迷う場合は、担当のケアマネジャーに相談して、利用を検討すると良いでしょう。
ショートステイの利用条件と注意点
介護保険外サービスなら介護の認定を受けていない場合も利用可能
介護保健施設でショートステイを利用する場合は、要介護または要支援の認定が必要です。介護度が高くなるとその分費用が高くなります。
ショートステイを利用する場合は、担当のケアマネジャーに介護サービス計画書の作成を依頼します。また、利用する施設との面談や契約が必要となるため、早めに利用手続きをしておくと良いでしょう。
また、ショートステイは利用予定日の1〜2ヶ月前から予約を取る方がほとんどで、急に利用を希望する場合は部屋が空いていないこともあります。特に、お盆や年末年始は込み合う傾向にあるため、利用を検討している場合は注意が必要です。
有料老人ホームをはじめとした民間施設の利用条件は、、60歳以上や65歳以上などの年齢制限だけの場合もあるため、施設に直接確認すると良いでしょう。
ショートステイの費用
費用は利用する施設や介護度によって異なる
ショートステイの利用料金は、介護度によって異なります。まず、以下の表で介護度別の区分支給限度額を確認してみましょう。
介護度 | 区分支給限度額 | 単位数 |
要支援1 | 50,320円 | 5,032単位 |
要支援2 | 105,310円 | 10,531単位 |
要介護1 | 167,650円 | 16,765単位 |
要介護2 | 197,050円 | 19,705単位 |
要介護3 | 270,480円 | 27,048単位 |
要介護4 | 309,380円 | 30,938単位 |
要介護5 | 362,170円 | 36,217単位 |
※1単位=10円
区分支給限度額や単位数は、介護保険証に明記されています。区分支給限度額は、1ヶ月間で利用できる介護保険サービスの上限額です。
次に、介護保険におけるショートステイの費用についてみていきましょう。
【短期入所生活介護の費用目安】
| 介護度 | 多床室 | 従来型個室 | ユニット型個室 |
特別養護老人ホーム | 要介護1 | 596円 | 596円 | 696円 |
要介護2 | 665円 | 665円 | 764円 | |
要介護3 | 737円 | 737円 | 838円 | |
要介護4 | 806円 | 806円 | 908円 | |
要介護5 | 874円 | 874円 | 976円 |
【短期入所療養介護の費用目安】
| 介護度 | 多床室 | 従来型個室 | ユニット型個室 |
介護老人保健施設【基本型】 | 要介護1 | 827円 | 752円 | 833円 |
要介護2 | 876円 | 799円 | 879円 | |
要介護3 | 939円 | 861円 | 943円 | |
要介護4 | 991円 | 914円 | 997円 | |
要介護5 | 1,045円 | 966円 | 1,049円 | |
療養病床 | 要介護1 | 814円 | 708円 | 838円 |
要介護2 | 921円 | 813円 | 943円 | |
要介護3 | 1,149円 | 1,042円 | 1,172円 | |
要介護4 | 1,247円 | 1,139円 | 1,269円 | |
要介護5 | 1,334円 | 1,227円 | 1,356円 |
出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
※地域区分などは含まれていません。
例えば要介護1(1割負担)で特別養護老人ホームのショートステイ(ユニット型)を利用した場合、1日696円必要です。
しかし、この金額は1割負担のため、全額で考えると6,960円必要となります。また、施設により加算も含まれるため、7,000円以上の費用がかかることになります。そのため、要介護1の場合は、介護保険を使ったショートステイを1ヶ月で20日程度利用できる計算です。
注意点もあります。1ヶ月で20日間ショートステイを利用した場合、残りの区分支給限度額で10日間を過ごすことになります。自宅でヘルパーやその他の支援を受ける必要がある場合は、全額自己負担で利用することになるため、計画的な利用が必要です。
この辺りはケアマネジャーとよく相談して、ショートステイの利用日数を検討すると良いでしょう。
また、利用するサービスや居室のタイプに応じて費用は異なり、1日ごとに算定される点にも注意が必要です。例えば、ショートステイを10時から利用した場合と15時から利用した場合では、利用時間は異なりますが1日分の費用は変わりません。
施設により、上記費用とは別に加算が算定される場合がほとんどのため、利用料金は変動します。
・食費、居住費
保険外の費用として、食費や居住費があります。
介護保健施設の場合、食費は1日3食で1,445円以上必要です。居住費は多床室で377円以上、従来型個室の場合1,668円以上、ユニット型の場合2,006円以上となります。この金額は最低金額の設定で、施設により費用が高くなる場合があるため、注意が必要です。食費の目安は1日3,500円〜5,000円程度です。
負担限度額認定証を持っている方は、それぞれの費用が減額される制度があります。
・その他費用
オムツや尿取りパットなどは施設負担となるため、費用は必要ありません。送迎費用は施設ごとに対応が異なるため、細かい金額を契約時に確認しておくと良いでしょう。
有料老人ホームのショートステイの場合は、介護保険が使えない分、高額になることもあるため、利用前に施設に確認しましょう。
ショートステイでの過ごし方
ショートステイ利用時のスケジュール
ショートステイ利用した場合の、基本的な過ごし方を見ていきましょう。
時間 | 利用当日 | 利用最終日 |
6:00 | | 起床 |
7:00 | モーニングケア(洗面や着替えなど) | |
8:00 | 朝食 | |
9:00 | 口腔ケアなど | |
10:00 | 送迎(迎え) | 状況に合わせた身体介護 |
11:00 | 状況に合わせた身体介護 | |
12:00 | 昼食 | 昼食 |
13:00 | 入浴・レクリエーション・リハビリ | 入浴やレクリエーション |
14:00 | | |
15:00 | おやつ | 送迎(帰り) |
16:00 | 余暇活動 | |
17:00 | | |
18:00 | 夕食 | |
19:00 | 口腔ケアなど | |
20:00 | 就寝介助 | |
21:00 | 消灯 | |
22:00 | 夜間帯の巡視 | |
送迎時間は施設の運営状況によってさまざまです。また、利用者の希望により利用時間を相談できるため、遅めの利用開始や早めの退所が可能です。
ショートステイのメリット・デメリット
ショートステイを利用すると様々なメリットがある
ショートステイを利用する場合の、メリットとデメリットを確認しておきましょう。
メリット | デメリット |
介護者が介護から離れることができる 他者との交流がもてる 長期入所に備えて、中の様子を知ることができる | 施設の利用が嫌になる場合がある 利用者のストレスが溜まる できていたことが、できなくなる場合がある 長期間の利用はできない |
メリットには、介護疲れの軽減や他者交流、施設での生活を知ることができるなどが挙げられます。在宅介護では、介護者の疲労解消ができないケースもあるため、ショートステイの定期的な利用でリフレッシュを図ると良いでしょう。
利用する側も、他者との交流が減っている場合は、交流を通して刺激のある生活を送ることができます。また、実際に利用することで、職員の様子や雰囲気が分かるため、将来的に施設を検討する時も具体的なイメージができるでしょう。
反対にデメリットとして、ショートステイ先の施設で馴染めなかったり、集団生活があわない方もいます。嫌な気持ちで自宅へ帰った場合、その後のショートステイや施設利用を拒否することが多く、受けられるサービスの幅が狭くなります。
また施設には介護職員が複数勤めているため、様々なサービスを受けることができます。そのため、在宅では自分で行っていたことが、ショートステイ後に出来なくなることもあるため、注意が必要です。
ショートステイの利用日数は、介護度によって異なり、介護度が高いほど、多くの日数を利用できます。しかし、連続して30日を超えた場合は、介護保険適応外となり、全額自己負担となるため、利用日数はケアマネジャーや家族と相談しましょう。全額自費の場合、1日の利用で15,000円前後の費用が必要となります。
ショートステイの利用方法
ショートステイを利用するためには契約や面談が必要
実際に介護サービスを利用する場合は、担当のケアマネジャーに相談することで利用できる介護施設を知ることができます。利用までの流れは以下の通りです。
利用日の確認
申込書や必要書類の提出
本人面談
利用判定
契約
利用
利用を希望する施設が決まったら、利用手続きを行います。まずは、利用希望日に空きがあるかを施設に確認します。基本的に予約制のため、早期の利用は難しい場合も多いため注意が必要です。
利用日の予定が決まると、申込書や必要書類を提出します。必要書類は、診療情報提供書や健康診断書、各種検査データを必要とする施設が多いですが、施設によって違いがあるため確認が必要です。
書類の提出後は、施設から面談が行われます。面談の実施場所は、自宅や施設など施設により異なります。
面談後、施設の利用判定が行われ「利用可能」となれば、契約を行います。契約後は、その都度利用希望日をケアマネジャーと相談し、予約を取ると良いでしょう。月に1回や週に3日など定期的な利用であれば、施設側も予定を確保しやすいです。
利用日数は介護度により変わるため、利用可能な日数をケアマネジャーに確認しておくと良いでしょう。
利用予約をしていても、体調の変化や状態の悪化により、利用できないケースもあるため、変化があった場合はケアマネジャーに相談が必要です。
また、持参物すべてに名前の記入が必要な場合も多いため、事前に書いておくことで利用前に慌てずに済みます。
ショートステイをうまく利用し、在宅介護の負担の軽減を図りましょう。
ショートステイとデイサービスの違い
同じ在宅サービスだが内容は大きく違う
ショートステイとデイサービスの大きな違いは、利用時間の長さです。デイサービスは長くても朝から晩にかけての日帰りのサービスですが、ショートステイは宿泊サービスのため、翌日の朝または夕方まで利用することになります。
また、デイサービスでは、レクリエーションを中心にサービスを提供しますが、ショートステイでは、生活に寄り添った支援が主になります。ただし、食事・入浴・排泄などの支援に大きな差はありません。
介護保険のデイサービスに比べ、ショートステイは介護保険の単位数が大きくなるため、介護度に合わせてどちらのサービスが適切か検討すると良いでしょう。
ショートステイと感染症の影響
介護施設では、様々な感染症対策をおこなっています。インフルエンザやノロウイルスなどがありますが、近年では新型コロナウイルスへの対策にも力を入れています。
在宅生活している方が施設を出入りしたり、集団で過ごすことに対して、感染症のリスクと考える事業所も多く、新型コロナウイルスが蔓延する以前よりもショートステイを利用できる枠を減らしている場合があります。予約が取りにくい、また、利用時には問診表の記入や検温・新型コロナウイルスの簡易検査などを行う施設もあるため、施設側の対応を理解した上で利用を検討してください。
まとめ
ショートステイは、在宅サービスの中で宿泊可能なサービスの一つです。在宅介護を長く続けるためにも、家族にとってリフレッシュの時間となります。
しかし、ショートステイにもメリットとデメリットがあるため、十分に理解した上で、サービスを利用しましょう。現在は感染症などのリスクから利用制限している施設もあるため、利用したい施設がある場合は、事前に確認しておくと良いでしょう。
今回の記事が、ショートステイの理解につながると幸いです。
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介護福祉士として10年以上現場経験があり、現在は介護老人保険施設の相談員として従事。介護資格取得スクールの講師やWEBライターとしても活動中。家族の声を元にした介護ブログを通じ、2019年3月、NHKの介護番組に出演経験もある。