老人ホームのイベントやレクリエーション|役割や工夫・行事食も紹介

老人ホームでは、イベントやレクリエーションが行われることが多いです。イベントやレクリエーションは、入居者の生活の楽しみとなるほか、身体機能の維持・向上や脳機能の活性化・ストレス解消など、様々な良い影響をもたらします。この記事では、老人ホームで行われているイベントやレクリエーションについて、役割や具体例、イベントを盛り上げる行事食をご紹介します。老人ホームでの生活について知りたいという方は、ぜひご覧ください。

#老人ホーム#施設サービス#生活#レクリエーション
この記事の監修

すぎもと ゆりこ

杉本 悠里子

有料老人ホームで介護士として約12年勤務した後、社会福祉士を取得。急性期病院の医療ソーシャルワーカーとして、入退院支援に携わる。現在は、スマートシニア入居相談室の主任相談員として、多数のご相談に応じている。

老人ホームで行われるイベント・レクリエーション

老人ホームでは、イベントやレクリエーションが随時行われることが多く、単調になりがちな生活を、より楽しく充実したものにするために重要な役割を担います。運営母体や事業所ごとに特色もあり、内容を工夫する施設が増えています。

イベントとレクリエーションの違い

老人ホームで行われるイベントとレクリエーションは、実施タイミングや頻度に違いがあります。イベントは季節ごとに行われる一方、レクリエーションは日常的に行われることが多いです。

しかし、どちらも入居者にとっての楽しみや生きがいになることや、身体機能の向上や脳の活性化・ストレス解消などを目的に行われる点では共通しています。イベントやレクリエーションは、どちらも施設での生活を楽しむために重要な役割を果たします。


老人ホームでイベント・レクリエーションを行うメリット

老人ホームでイベントやレクリエーションを行うことには、以下のようなメリットがあります。

  • 季節感を味わえる

  • QOLの向上につながる

  • 身体機能の維持・向上が期待できる

  • 入居者や家族・地域の方との交流の機会となる

  • 達成感を得られる

季節感を味わえる

老人ホームでは、季節ごとに様々なイベントが開催されます。七夕や夏祭りなど、自宅で暮らしているとなかなか楽しめない行事も多いです。

施設で暮らしていると、毎日同じようなスケジュールで過ごすことが多くなり、生活が単調になってしまいがちです。施設内で過ごす時間も多いため、季節行事やイベントに参加することによって、季節の移り変わりを感じることができます。

QOLの向上につながる

イベントやレクリエーションを楽しみにしている入居者は多いです。暮らしの中に楽しみを持つことで、刺激となり、QOL(生活の質)の向上につながります。次のイベントや来年の同じ季節のイベントなどを楽しみにすることによって、入居者にとっての生きがいになることも期待できます。

身体機能の維持・向上が期待できる

イベントやレクリエーションは、体を使ったり頭を使ったりするシチュエーションが多いです。また、イベントの準備として飾り付けを作ったり飾ったりする際は、手先を使う必要があります。このように、イベントやレクリエーションの準備を進めたり参加したりすることにより、身体機能の維持や向上が期待できます。

楽しんで参加できるイベント・レクリエーションは、ストレス発散になる場合も多いため、リフレッシュでき、精神衛生にも良い影響を与える可能性が高いです。

入居者や家族・地域の方との交流の機会となる

イベントやレクリエーションは、他の入居者はもちろん、一緒に参加しているご家族や地域の方との交流の機会にもなります。地域の方にイベントのお手伝いをしてもらったり、レクリエーションの一環でボランティア活動を行ったりすることによって、普段の生活ではなかなか触れ合えない地域の方と交流でき、良い刺激になります。様々な人とのコミュニケーションが促進されることにより、孤独感の解消や脳機能の活性化も期待できます。

達成感を得られる

イベントに向けて準備を進めることにより、達成感を得ることもできます。イベントの企画から実行に向けて、入居者の中でそれぞれ役割を分担して準備に取り組んでもらうことで、イベントを作り上げる楽しさや達成感、自身が役に立ったことへの喜びなどを感じてもらえます。自己肯定感の向上にも効果的です。


老人ホームで行われるレクリエーション

ここでは、老人ホームで行われる代表的なレクリエーションについて解説します。レクリエーションには、以下のようなタイプがあります。

  • 体を動かすレクリエーション

  • 手先を使うレクリエーション

  • 頭を使うレクリエーション

  • 地域交流・社会貢献につながるレクリエーション

体を動かすレクリエーション

レクリエーションを通して積極的に体を動かすことによって、身体機能の維持・向上に役立つリハビリにつながることはもちろん、ストレス解消効果も期待されます。

体を動かすレクリエーションとしては、ラジオ体操や風船バレー・ボーリングやパターゴルフなどが挙げられます。風船バレーは、2チームで向かい合い、1つの風船をうちわで打ち合う遊びです。相手チームの床に風船を落としたら勝ちとなります。ボールではなく風船を使用するため、怪我の恐れが少なく、安全に楽しく遊べるレクリエーションです。

手先を使うレクリエーション

手先を動かすレクリエーションを通して、脳を刺激し、活性化させる効果があるとされています。

手先を使うレクリエーションには、折り紙やお菓子作りなどがあります。折り紙は、多くの方にとって馴染みのある遊びで、楽しみながら手先を動かすことができます。また、お菓子作りでは、自分で作る楽しさと味わう楽しさを感じられ、達成感も得やすいです。

頭を使うレクリエーション

頭を使うレクリエーションを通して、言葉を思い出せたり、空間認識能力を刺激できたりと、脳に良い刺激を与えられます。脳が活性化することにより、認知症の予防や進行の緩和にもつながることが期待できます。

頭を使うレクリエーションとしては、しりとりやクイズ、逆文字ゲームなどが挙げられます。逆文字ゲームとは、上下左右が逆さまになったひらがなを見て、正しい単語を言い当てるゲームです。考えることで、脳も活性化します。

地域交流・社会貢献につながるレクリエーション

多くの老人ホームでは、地域交流や社会貢献につながるレクリエーションが積極的に行われています。地域の方との交流を持てるレクリエーションを通して、自分が社会の一員であることを自覚できたり、良い刺激をもらえたりします。また、社会貢献につながるレクリエーションで人に感謝されることにより、社会に役立っているという実感を得られたり、生きがいを感じられたりします。

地域交流につながるレクリエーションとしては、バザーや異世代交流が挙げられます。バザーで自身が作った作品を販売することによって、新たな生きがいや趣味を見つけられる可能性も高いです。さらに、買い物にきた地域の方とのコミュニケーションを楽しめます。

異世代交流では、施設を訪問した地域の幼稚園児や小学生などと交流できます。昔の遊びを教えたり、一緒に絵を描いたりして楽しい時間を過ごせるだけでなく、自身の存在意義を再確認できる良い機会となります。

社会貢献につながるレクリエーションとしては、ボランティア活動が挙げられます。近隣のゴミ拾いや手縫いの雑巾の作成など、比較的簡単にできるボランティアに参加することによって、社会の役に立っているという実感や生きがいを得られるでしょう。

老人ホームで行われる季節のイベント

老人ホームでは、普段のレクリエーションに加えて、季節ごとにイベントを開催していることが多いです。施設全体を飾り付けて盛り上げてくれるところや、イベントごとに行事食を提供し、食事からもイベントを楽しめるよう工夫を凝らしている施設もあります。以下では、老人ホームでよく行われる季節のイベントをご紹介します。

1月

お正月、初詣、鏡開き、七草粥

2月

節分、バレンタイン

3月

ひな祭り

4月

お花見

5月

運動会、母の日

6月

父の日

7月

七夕

8月

夏祭り

9月

敬老の日

10月

紅葉狩り・ハロウィン

11月

文化祭、紅葉狩り

12月

クリスマス

1月:お正月、初詣、鏡開き、七草粥

1年の始まりは、日本らしさを楽しめるイベントが多く行われています。初詣で近くの神社やお寺へ出かけたり、カルタや福笑いなどお正月らしい遊びを楽しみます。行事食として、七草粥を提供する施設も多いです。また、ご家族を招待して新年会を開催するところもあります。

2月:節分、バレンタイン

節分では、鬼の格好をしたスタッフに豆を投げて楽しんでもらったり、恵方巻きを作ったりする施設が多いです。バレンタインでは、みんなでお菓子作りを楽しみます。

3月:ひな祭り

ひな祭りでは、スタッフと入居者が協力して雛人形を手作りしたり、ひな祭りらしいかわいらしい飾り付けを作って飾ったりする施設が多いです。幼稚園児が施設を訪れて歌やダンスを披露してくれたり、一緒にひなあられやちらし寿司を食べたりするところもあります。

4月:お花見

桜が綺麗な時期に、みんなで近くの公園までお花見に出かけます。桜を見て春の訪れを感じながら美味しいご飯を食べ、入居者同士でおしゃべりを楽しめる良い機会です。

5月:運動会、母の日

運動会では、楽しみながら体を動かすことによって、ストレス発散や身体機能の維持・向上、他の入居者との活発なコミュニケーションなどが期待されます。運動会といっても、本格的に競技を行うことはほとんどありません。安全な道具を使い、座りながらできるものや軽く体を動かして楽しめるものなど、どなたでも安心して楽しめるよう工夫されています。

母の日には、入居者の皆さんにカーネーションを送ることが多いです。日頃の感謝を込めて、職員あるいはご家族からメッセージもお送りしています。

6月:父の日

父の日では、母の日と同様に、職員あるいはご家族からメッセージをお送りしたり、プレゼントをお渡ししたりしています。近所の幼稚園生が遊びにきて交流を楽しめるところも多いです。また、カラオケ大会で好きな歌を楽しく歌ったり、ノンアルコール飲料を提供して居酒屋気分を味わえるよう工夫している施設もあります。

7月:七夕

七夕では、短冊に願い事を書き、笹の葉に飾って楽しむところが多いです。

8月:夏祭り

夏祭りでは、ヨーヨーや金魚すくい、花火や盆踊りなど、縁日気分を味わえる出し物が用意されます。地域の方やご家族も参加でき、みんなで盛り上がれる施設も多いです。焼きそばやりんごあめなど、行事食として屋台メニューを提供するところもあります。

9月:敬老の日

敬老の日には、近隣の幼稚園児や小学生が施設を訪れ、交流を楽しんだりお手紙をプレゼントしてもらえたりする機会を設けている施設が多いです。

10月:紅葉狩り・ハロウィン

紅葉狩りでは、絶好の行楽シーズンである秋を存分に味わえます。お花見と同様に、外で自然を楽しめるため、普段あまり外出する機会がない方から非常に喜ばれるイベントです。ハロウィンでは、みんなで仮装を楽しんだり、かぼちゃを使った料理やお菓子を食べたりしてハロウィン気分を味わいます。

11月:文化祭

書道や絵画、手芸や工作など、入居者や職員が作った作品を展示する文化祭を開催します。それぞれの得意なことや好きなことを知るきっかけになり、作品鑑賞を通して入居者同士の交流も深まるイベントです。

12月:クリスマス

クリスマスは、1年の中でもメインとなるイベントです。ツリーやリースを飾ったり、スタッフがサンタクロースやトナカイのコスプレをしたりと、雰囲気からクリスマス気分を盛り上げてくれる施設も多いです。当日は、みんなでクリスマスソングを歌ったり、豪華な夕食やクリスマスケーキを食べたりと、クリスマスを満喫します。入居者にプレゼントを用意する施設もあります。


イベントを盛り上げる老人ホームの行事食とは

老人ホームでは、イベントをさらに盛り上げる「行事食(イベント食)」を提供していることが多いです。行事食とは、その季節やイベントならではの食事のことで、以下のようなメニューが挙げられます。

  • お正月のおせち

  • 節分の恵方巻き

  • ひな祭りのちらし寿司・ひなあられ

  • 夏祭りの屋台料理

  • クリスマスディナー・クリスマスケーキ

季節のフルーツを使ったデザートも、行事食の1つです。

食事は、単なる栄養摂取の手段ではありません。生活の楽しみになるという重要な役割も果たします。季節感を楽しめる行事食は、見た目も華やかなものが多く、食事の楽しみを増幅させます。普段の食事とは異なる特別感があり、入居者にとって良い刺激につながります。普段食が細い方に対しては、食欲を増進させる効果も期待できます。次の行事食を待ち遠しく感じる方は多く、入居者のQOLの向上につながることも多いです。

このように、行事食は入居者の生活を彩るために重要な役割を果たします。


まとめ

この記事では、老人ホームで行われるイベントやレクリエーションについて、メリットや具体例、イベントを盛り上げる行事食などをご紹介しました。イベントやレクリエーションは、生活の楽しみとなりQOLの向上につながるほか、身体機能の維持・向上や脳機能の活性化・ストレス解消が期待できるなど、様々なメリットがあります。多くの老人ホームが、入居者がより楽しく充実した生活を送れるよう、工夫を凝らしています。老人ホームへの入居を検討している方は、施設で行われるイベントやレクリエーションにも注目し、老人ホーム選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。

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