介護離職とは?原因や離職率・防止策まで解説!

介護に関する仕事はその難しさから、離職率が高いと言われます。しかし、少子高齢化の流れの中では、改善が求められる重要領域の1つとなります。


そこで本記事では、介護離職の理由、また必要な対策について解説します。本記事をお読みいただければ、介護離職に関する理解が深まりますので、是非とも最後までお読みください。

介護離職とは?原因や離職率・防止策まで解説!

介護離職とは?

介護離職とは、家族や親族の介護を理由に仕事を辞めることを指します。特に日本では少子高齢化が進行しており、介護が必要な高齢者の数が増加する一方で、介護を担う人手が不足しています。


介護離職は個人だけでなく、企業や社会全体にも大きな影響を及ぼします。個人にとっては収入の減少やキャリアの中断といった問題が生じ、企業にとっては貴重な人材の喪失や業務の停滞が懸念されます。


また、社会全体としても労働力の減少や経済的な負担が増加することが予想されます。


介護離職の理由・原因

介護離職の背景には、さまざまな理由や原因が存在します。以下に代表的なものを挙げてみましょう。



収入の減少が激しい
介護を理由に離職すると、当然ながら収入が大幅に減少します。特に、介護が長期にわたる場合、家計に与える影響は深刻です。収入が減少することで、生活費や医療費、介護費用などの支出が増える一方で、収入が減るため、経済的な困難に直面することが多いです。



再就職が難しく生活が困窮する

介護離職後に再就職を試みる場合、その難しさも大きな問題です。特に、介護のために長期間職を離れていた場合、職場復帰が難しくなることが多いです。再就職が難しいと、生活が困窮し、精神的なストレスも増加します。これにより、介護者自身の健康状態も悪化する可能性があります。


介護離職のメリット・デメリット

介護離職には、メリットとデメリットの両方が存在します。まずはそれぞれについて詳しく見ていきましょう。



介護離職のメリット
介護離職の最大のメリットは、家族の介護に専念できる点です。仕事と介護の両立は非常に難しく、ストレスや疲労が蓄積しやすいです。


離職することで、介護に必要な時間とエネルギーを確保でき、家族の健康状態をより細かく管理することが可能になります。また、介護者自身の精神的な負担も軽減されることが期待されます。



介護離職のデメリット
一方で、介護離職には多くのデメリットも存在します。


まず、収入が減少することが大きな問題です。特に、家計を支える主要な収入源である場合、その影響は甚大です。


また、再就職が難しくなることもデメリットの一つです。介護が終わった後に再び職を探す際、ブランク期間があることで就職活動が困難になることがあります。さらに、社会的な孤立感や自己評価の低下も懸念されます。仕事を辞めることで社会との接点が減り、孤独感を感じることが増えるかもしれません。


政府が掲げる介護離職防止策

政府は、介護離職を防ぐためにさまざまな対策を講じています。特に「介護離職ゼロ」を目指す政策は、その中心的な取り組みの一つです。以下に、具体的な防止策をいくつか紹介します。


「介護離職ゼロ」を掲げる政府

政府は、少子高齢化が進む日本において、介護離職の問題を深刻に受け止めています。


特に、介護を理由に仕事を辞めざるを得ない状況を改善するため、「介護離職ゼロ」を目指す政策を掲げています。この政策の一環として、介護休業制度や介護休暇の充実、所定外労働や時間外労働、深夜労働の制限など、働きながら介護を行う人々を支援するための具体的な施策が導入されています。


また、介護休業給付金の支給も行われており、介護のために一時的に仕事を休む際の経済的な負担を軽減することが目指されています。


これらの施策は、介護と仕事の両立を支援し、介護離職を防ぐための重要な手段となっています。政府の取り組みは、介護を必要とする家族を持つ人々にとって大きな助けとなり、介護離職の減少に寄与することが期待されています。


介護休業制度

介護休業制度は、家族の介護が必要な場合に、労働者が一定期間仕事を休むことができる制度です。この制度は、介護を必要とする家族がいる労働者にとって非常に重要な支援策となります。


具体的には、労働者は最大93日間の介護休業を取得することができます。この期間中、労働者は介護に専念することができ、仕事と介護の両立が難しい状況を一時的に回避することが可能です。


介護休業制度の利用には、いくつかの条件があります。例えば、介護が必要な家族が一定の要介護状態であることや、労働者がその家族の介護を実際に行うことが求められます。また、介護休業を取得する際には、事前に会社に申請し、許可を得る必要があります。


介護休暇

介護休暇は、家族の介護を必要とする従業員が一定期間仕事を休むことができる制度です。この制度は、介護が必要な家族を持つ従業員が仕事と介護の両立を図るために設けられています。


具体的には、要介護状態にある家族1人につき、年間で最大5日間の休暇を取得することができます。複数の家族が要介護状態にある場合は、年間で最大10日間の休暇が認められます。


介護休暇は、従業員が安心して介護に専念できるようにするための重要な制度です。これにより、介護が必要な家族を持つ従業員が無理なく仕事を続けることができ、介護離職を防ぐ一助となります。また、介護休暇の取得は、従業員の心身の負担を軽減し、仕事のパフォーマンスを維持するためにも重要です。


所定外労働や時間外労働、深夜労働の制限

介護離職を防ぐためには、働き方の見直しが重要です。


特に、所定外労働や時間外労働、深夜労働の制限は、介護を必要とする家族を持つ従業員にとって大きな支えとなります。これらの労働時間の制限は、従業員が家庭での介護に十分な時間を割くことができるようにするための重要な施策です。


まず、所定外労働の制限についてですが、これは従業員が定められた労働時間を超えて働くことを防ぐための措置です。これにより、従業員は毎日一定の時間に帰宅し、家族の介護に専念することができます。


次に、時間外労働の制限です。時間外労働は、通常の勤務時間を超えて働くことを指しますが、これを制限することで、従業員が過労にならず、介護に必要な体力と精神力を維持することが可能となります。


最後に、深夜労働の制限です。深夜労働は、特に体力的にも精神的にも負担が大きく、介護を必要とする家族を持つ従業員にとっては大きな障害となります。深夜労働を制限することで、従業員は夜間に家族の介護を行うことができ、安心して働くことができます。


介護休業給付

介護休業給付は、介護を必要とする家族のために休業を取る労働者を支援するための制度です。この給付金は、介護休業を取得した際に一定の収入を確保することを目的としています。


具体的には、介護休業を取得した労働者に対して、休業前の賃金の一定割合が支給されます。


この制度は、介護離職を防ぐための重要な手段の一つです。介護が必要な家族を抱える労働者が、経済的な理由で離職を選ばざるを得ない状況を減少させることが期待されています。


介護休業給付を利用することで、労働者は安心して介護に専念でき、再び職場に復帰することが可能となります。


参考:厚生労働省「介護休業制度」


介護離職の予防、防止策

介護離職を防ぐためには、企業や社会全体での取り組みが不可欠です。以下に、具体的な予防策と防止策を紹介します。


保険や支援など介護制度を周知する

介護離職を防ぐためには、まず介護に関する保険や支援制度を広く周知することが重要です。


多くの人々が、介護に直面した際にどのような支援が受けられるのかを知らないために、必要以上に負担を感じてしまうことがあります。


例えば、介護保険制度は、介護が必要な高齢者やその家族に対して、介護サービスを提供するための重要な仕組みです。この制度を利用することで、介護の負担を軽減し、離職を避けることが可能になります。


また、自治体や地域の支援サービスも活用することができます。地域包括支援センターや介護相談窓口では、介護に関する情報提供や相談を受け付けており、適切な支援を受けるためのアドバイスを行っています。これらのサービスを利用することで、介護に関する不安や疑問を解消し、適切な支援を受けることができます。


短時間勤務など制度の見直し

介護離職を防ぐためには、企業が提供する勤務制度の見直しが不可欠です。特に、短時間勤務制度の導入や拡充は、介護を必要とする家族を持つ従業員にとって大きな助けとなります。


短時間勤務制度は、従業員がフルタイムで働くことが難しい場合に、柔軟な働き方を提供するものです。これにより、介護と仕事の両立がしやすくなり、離職を防ぐ効果が期待できます。


また、フレックスタイム制度やテレワークの導入も有効です。これらの制度は、従業員が自分のライフスタイルに合わせて働く時間を調整できるため、介護の負担を軽減することができます。特にテレワークは、通勤時間を削減し、介護に充てる時間を増やすことができるため、非常に有効な手段です。


さらに、企業は従業員が利用しやすい制度を整備するだけでなく、その利用を促進するための環境作りも重要です。例えば、上司や同僚が理解を示し、サポートする文化を醸成することが求められます。これにより、従業員は安心して制度を利用でき、介護と仕事の両立が実現しやすくなります。


短時間勤務などの制度の見直しは、介護離職を防ぐための重要なステップです。企業は積極的にこれらの制度を導入し、従業員が安心して働ける環境を提供することが求められます。


情報共有と声掛け

介護離職を防ぐためには、職場内での情報共有と声掛けが非常に重要です。従業員が介護の問題を抱えている場合、周囲の理解とサポートが欠かせません。まず、企業は従業員が介護に関する情報を共有しやすい環境を整えることが求められます。


例えば、定期的なミーティングや社内掲示板を活用して、介護に関する情報や支援制度についての情報を提供することが有効です。


また、上司や同僚が積極的に声を掛けることも重要です。介護の問題は個人のプライバシーに関わるため、従業員が自ら相談しにくい場合があります。そこで、上司や同僚が日常的に声を掛け、状況を把握しようとする姿勢が求められます。これにより、従業員は安心して問題を共有でき、適切なサポートを受けることができます。


公的機関についての周知

介護離職を防ぐためには、公的機関が提供する支援制度やサービスについての情報を広く周知することが重要です。多くの人が、介護に関する公的支援を知らないまま離職を選んでしまうケースが少なくありません。


例えば、介護保険制度や地域包括支援センターの利用方法、介護休業給付金の申請手続きなど、具体的な支援内容を理解していることで、離職を避ける選択肢が広がります。


公的機関の情報を周知するためには、企業内での情報共有が不可欠です。定期的な研修やセミナーを開催し、従業員に対して最新の情報を提供することが求められます。また、社内の掲示板やイントラネットを活用して、必要な情報をいつでも確認できる環境を整えることも効果的です。


社内に相談窓口を設ける

介護離職を防ぐためには、社内に相談窓口を設けることが非常に有効です。従業員が介護に関する悩みや問題を気軽に相談できる環境を整えることで、離職を未然に防ぐことができます。


相談窓口では、専門のスタッフが対応し、従業員の状況に応じたアドバイスや支援策を提供することが求められます。


相談窓口の設置により、従業員は介護に関する情報や支援制度についての理解を深めることができます。


また、心理的なサポートも重要です。介護は肉体的にも精神的にも大きな負担がかかるため、専門のカウンセラーやメンタルヘルスの専門家が相談に応じることで、従業員のストレスを軽減することができます。


まとめ

介護離職は、個人や家庭にとって大きな影響を及ぼす問題です。収入の減少や再就職の困難さなど、離職後の生活に多くの課題が待ち受けています。


しかし、政府や企業が提供する介護休業制度や介護休暇、短時間勤務制度などを活用することで、介護と仕事の両立が可能となる場合もあります。


また、介護制度や支援策の周知、社内の相談窓口の設置など、情報共有とサポート体制の強化が重要です。これらの対策を通じて、介護離職を防止し、働き続けながら介護を行う環境を整えることが求められます。


本記事を通じて、介護離職に関する理解が深まり、適切な対策を講じる一助となれば幸いです。介護と仕事の両立を目指し、より良い未来を築いていきましょう。

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