老人ホームに入居する時には自宅は売却すべき?考えるべきポイントを解説!
親族が老人ホームに入居する際には、多額の費用がかかるため、自宅売却を検討する方が多くいます。しかしながら、自宅売却の手続きやメリットなどがわからず戸惑いを感じる方は多いはずです。
そこで本記事では、老人ホーム入居時の自宅売却のメリットや流れ、また注意点について説明します。
本記事をお読みいただければ、老人ホーム入居時の自宅売却のポイントについて理解が深まりますので、是非とも最後までお読みください。

親の老人ホーム入居タイミングで自宅売却するメリットとは?
親の老人ホーム入居を検討する際、自宅を売却することで次のようなメリットが得られます。
売却代金を老人ホーム費用に充てられる
家の維持管理費用がなくなる
売りたくなっても認知症になると勝手に売れない
ここでは、各メリットについて解説します。
売却代金を老人ホーム費用に充てられる
老人ホームに入居する際、多くの家族が直面するのが入居費用の問題です。
老人ホームの費用は非常に高額であり、毎月の支払いに加えて、入居時に必要な初期費用も大きな負担となります。このような状況で自宅を売却することは、資金面で大きな助けとなるでしょう。
自宅を売却することで得られる代金は、老人ホームの入居費用に直接充てることが可能です。
特に、自宅が市場で高く評価される場合、その売却代金は入居費用の大部分をカバーすることができるため、老人ホーム選びの幅も広がります。また、売却した資金を使って、より質の高いサービスを提供する施設を選ぶことも可能になります。
家の維持管理費用がなくなる
家の維持管理費用がなくなることは、自宅を売却する大きなメリットの一つです。
老人ホームに入居すると、そこでの生活に必要な費用が発生しますが、自宅を所有していると、固定資産税や保険料、定期的な修繕費など、さまざまな維持管理費用がかかり続けます。
これらの費用は、一見小さなものかもしれませんが、積もり積もると大きな金額になることがあります。自宅を売却すれば、これらの維持費用を節約し、その分を老人ホームでの快適な生活費に充てることが可能になります。
売りたくなっても認知症になると勝手に売れない
認知症になると、自宅を売却することが法的に制限される場合があります。
認知症の進行により、本人が自己の財産を管理する能力が不足していると判断された場合、成年後見人が選任されることが一般的です。
成年後見人が選任されると、本人の代わりに財産管理や日常生活のサポートを行うことになりますが、重要な決定、特に不動産の売却には、家庭裁判所の許可が必要になるため、手続きが複雑かつ時間がかかることがあります。そのため、老人ホーム入居の計画がある場合は、早めに家族と相談し、必要な手続きを進めておくことが重要です。
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自宅売却の流れ
自宅を売却する際のプロセスは、次のような手順で計画的に進めることが重要です。
売却の意思を確認する
不動産会社の査定を受ける
媒介契約を結ぶ
売り出し価格と売却戦略を決める
売買契約・引き渡し
ここでは、自宅売却の流れについて説明します。
売却の意思を確認する
老人ホームに入居する際の自宅売却を考える最初のステップは、売却の意思を確認することです。この段階では、家族全員で話し合い、老人ホーム入居に伴う費用対策として自宅を売却するかどうかを決定します。
特に、入居者本人が自宅売却に同意しているかどうかが重要です。認知症などの症状が進行している場合は、法的な代理人や成年後見人が関与することもあります。家族間で意見が分かれることもあるため、このプロセスには時間と配慮が必要です。
不動産会社の査定を受ける
不動産会社の査定を受けるステップは、自宅売却プロセスの中でも特に重要です。査定は、不動産の市場価値を専門家が評価することで、売却価格の設定に直結します。
まず、信頼できる不動産会社を選び、査定依頼を行います。この際、複数の会社に依頼をして比較検討することが望ましいです。
査定では、物件の立地、築年数、建物の状態などが評価の対象となります。また、近隣の市場データや過去の取引事例も参考にされるため、地域の不動産市況を理解しておくことが重要です。
媒介契約を結ぶ
媒介契約を結ぶ際には、不動産会社との信頼関係が非常に重要です。
媒介契約とは、不動産会社が売主の代理として自宅の売却活動を行うための契約です。媒介契約を結ぶことで、不動産会社は売却に向けての広告掲載や買い手との交渉などを代行します。
媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。
専属専任媒介契約は、一定期間内に他の不動産会社には依頼できない代わりに、不動産会社が積極的に売却活動を行う契約です。専任媒介契約は、他の不動産会社には依頼できませんが、自分で買い手を見つけることは可能です。
一般媒介契約は、複数の不動産会社に依頼することができるため、広範囲から買い手を見つけやすくなりますが、各不動産会社の尽力度は異なる可能性があります。
どの媒介契約を選択するかは、売却の期間や手間、安心感を重視するかによって異なります。不動産会社とよく相談し、自分の状況に最適な契約形態を選びましょう。
売り出し価格と売却戦略を決める
売り出し価格を決める際には、市場の動向を把握し、不動産会社と相談して適切な価格設定を行うことが重要です。
価格が高すぎると売れ残り、低すぎると損をしてしまう可能性があります。また、売却戦略としては、ターゲットとなる購入者層を明確にし、そのニーズに合わせた広告やオープンハウスの開催が効果的です。
季節や市場の状況に応じて柔軟に戦略を変えることも売却成功の鍵となります。
売買契約・引き渡し
売買契約を結んだ後、実際に自宅の引き渡しを行う段階になります。
この時、売主と買主はそれぞれの役割を果たす必要があります。売主は、契約内容に基づいて物件を適切な状態で引き渡す責任があります。
具体的には、不動産が清掃され、修繕が必要な箇所が修理されていることが求められます。また、全ての鍵の引き渡しや、必要な書類の提供も忘れてはなりません。
買主は、物件の受け取り時には細かくチェックを行い、契約書に記載された内容と異なる点がないかを確認することが重要です。何か問題があれば、すぐに対応を求めるべきです。
自宅売却する際の注意点
自宅を売却する際には、次のようなポイントに注意する必要があります。
家を売却すると所得税と住民税がかかる
「3000万円特別控除」を利用できない可能性がある
ここでは、各注意点について解説します。
家を売却すると所得税と住民税がかかる
家を売却する際には、所得税と住民税が発生する点を忘れてはなりません。
売却益が出た場合、その利益は「譲渡所得」として課税対象となります。具体的には、売却価格から取得費や売却にかかった費用を差し引いた金額が課税されます。
また、住民税も同様に計算されるため、税金の負担が増えることを考慮に入れる必要があります。これらの税金は、売却年の翌年に確定申告を行うことで納税します。売却する前には、税理士などの専門家に相談し、税金の詳細を把握しておくことが重要です。
「3000万円特別控除」を利用できない可能性がある
自宅を売却する際、多くの人が期待するのが「3000万円特別控除」の利用です。
これは、自宅を売却した際に得られる利益(譲渡所得)から3000万円まで所得税が非課税になる制度です。しかし、この控除を利用できるかどうかは、いくつかの条件によって左右されます。
まず、売却する自宅が「5年以上の居住要件」を満たしている必要があります。つまり、売却予定の自宅に5年以上住んでいなければ、この特別控除を利用することはできません。また、売却後に新たに住む住宅を購入する計画がない場合も、控除を受けることができない可能性があります。
まとめ
老人ホームへの入居を考えた際、自宅売却は大きな選択肢の一つです。売却によって得られる資金は、高額な入居費用の賄いに役立ちますし、家の維持管理にかかるコストも削減できます。
ただし、売却には所得税や住民税が発生すること、特定の条件下での税控除が適用されない可能性があることなど、注意すべき点も多いです。
自宅を売却するかどうかは、個々の状況により異なりますが、この記事で解説したポイントを参考に、慎重に判断を行うことが重要です。
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