サービス付き高齢者向け住宅について

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が安心して生活ができるように、バリアフリー構造で見守りや生活相談を受けられる住宅です。「サ高住」や「サ付き」などと呼ばれる場合もあります。

2011年に「高齢者の居住の安定確保に関する法律(以下、高齢者住まい法)」により創設されてからは、年々住宅数は増えており、2021年12月末の登録件数は、8,017件(272,870戸)となっています。サービス付き高齢者向け住宅は、国から供給促進のため補助金制度が出るようになり、一気に拡大したと考えられるでしょう。

今回は、サービス付き高齢者向け住宅について紹介しています。どのようなサービスが付いているのか入居条件などが理解でき、ご自身にあった住居選びができるでしょう。

#老人ホーム#サ高住#条件#生活#選び方
この記事の監修

とぐち まさき

渡口 将生

介護福祉士として10年以上現場経験があり、現在は介護老人保険施設の相談員として従事。介護資格取得スクールの講師やWEBライターとしても活動中。家族の声を元にした介護ブログを通じ、2019年3月、NHKの介護番組に出演経験もある。

サービス付き高齢者向け住宅とは

サービス付き高齢者向け住宅の人員基準や設置基準を確認

サービス付き高齢者向け住宅は、自立した生活ができる方や、介護度の低い比較的元気な方が入居される賃貸住宅です。

基本的に安否確認や生活相談といったサービスのみで、身体的な介護サービスなどはおこなわれません。そのため、日中に介護スタッフとして1名が常駐し、安否確認などをおこないます。

サービス付き高齢者向け住宅には「一般型」と「介護型」の2つの種類があり、それぞれ、職員の人員基準やサービス内容が異なります。

一般型のサービス付き高齢者向け住宅では、夜間帯の職員配置の義務はありません。しかし、多くのサービス付き高齢者向け住宅では、当直や宿直といった形で職員が常駐している状況があります。

夜間、常駐しない事業所では、緊急通報システムを設置している場合が多いです。緊急通報システムは、サービス付き高齢者向け住宅を設置する際に、行政へ申請を行い設置されています。

介護型のサービス付き高齢者向け住宅は、人員基準などが細かく定められており、24時間、住宅内のスタッフから、身体介護や生活援助を受けられます。看護師や、機能訓練指導員の配置が定められているため、必要な医療や機能訓練を受けられるのが特徴です。

また、入居者3名に対して介護職員1名以上の配置が必要となるので、一般型のサービス付き高齢者向け住宅に比べると安心できるポイントになるでしょう。しかし、手厚い職員配置の場合は、追加で加算が設けられている場合もあるので、事前に確認しておくと安心です。

サービス付き高齢者向け住宅で提供されるサービスについて

一般型と介護型でそれぞれ異なるサービス提供

一般型
介護型
特徴 
介護度が高くなったり、認知症の症状が強くなると退去の可能性がある
介護度が高くなっても入居を継続できる
生活支援 
外部サービスを利用
事業所内の職員によるサービス
身体介護 
外部サービスを利用
事業所内の職員によるサービス
一般型

安否確認と生活相談のサービスが提供されます。その他、食事・排泄・入浴といった身体介護や、掃除・洗濯・調理といった生活支援については、外部の事業所と契約をおこない、訪問介護や訪問看護などのサービスを利用します。ただし、最近では、サービスの拡大やオプションとしてサービス提供をする事業所も増えてきていますので、どんなサービスがあるのか確認しておくとよいでしょう。

安否確認は、1日1回入居者の異変がないか確認します。時間帯などの指定はないため、事業所ごとに時間は異なるでしょう。また、確認方法も「居室へ行く」「電話確認」などさまざまです。

生活相談は、日常の生活の困りごとや、家族との連絡をつなぐなどのサービスをおこないます。他にも、サービス費を設定し、シーツ交換や掃除、ゴミ出しなどのサービスを提供している事業所もありますので、サービス内容は確認しておきましょう。

介護型

職員配置が手厚いため、事業所内の職員により食事・排泄・入浴といったサービスを受けられます。また、看護師による医療提供や提携医療機関との連携、機能訓練指導員による機能訓練なども受けられます。

食事について

食事の提供方法は、2通りあります。

1つ目は、事業所内に厨房があり、施設内で調理したものを食堂で提供していく方法です。施設内で調理するため、できたての温かい食事を楽しめるというメリットがあります。しかし、費用が高くなるデメリットも考えられるでしょう。

2つ目は、セントラルキッチンから調理済みの食事が届き、事業所で加熱して提供する方法です。事業所によっては厨房を設置していないところもあるので、その場合は、このような方法がとられます。職員によって味付けなどバラつきが出ないのがメリットです。しかし、個別の対応などがしにくいというデメリットもあります。

サービス付き高齢者向け住宅では、比較的元気な方も多いため、居室内や共用部にあるキッチンで、入居者が調理する場合もあります。しかし、事故などのリスクもあるため、ガスは使用せずIHクッキングヒーターなどで対応している事業所が多いです。

サービス付き高齢者向け住宅の特徴と入居条件

一般型は介護度が高くなると入居し続けられない可能性がある

基本的に、60歳以上の方が入居できる高齢者向けの賃貸住宅です。60歳未満でも、特定疾病などで介護の認定を受けていれば入居の対象となります。

  • 配偶者、または事実上夫婦と同様の関係にあるもの
  • 要介護や要支援の認定を受けている親族
  • 60歳以上の親族
  • 特別な理由により同居させる必要があると知事が認める者

一般型のサービス付き高齢者向け住宅では、サービスの特性上、介護度が高くなると、サービスが行き届かない場合があり、転居を検討する場合があります。

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お2人部屋に同居していて、片方の介護度が高い場合でも、もう一方が介護をすることで生活に支障がなければ、入居を継続できるケースもあります。状況に応じて事業所と相談してみましょう。
入居相談員山本

介護型のサービス付き高齢者向け住宅では、手厚い介護が受けられるため、介護度が高くなっても入居を継続できます。

サービス付き高齢者向け住宅では、強制的に退居させることはできませんが、お金が払えない・重度の認知症・長期の入院の場合は、退居の相談があるかもしれません。また、入退去に関しては、事業所独自の基準が設けられている場合があるので、確認しておくとよいでしょう。

サービス付き高齢者向け住宅の設備について

事業所によってさまざまな設備の差がある

居住スペースの床面積は、原則25㎡以上と定められていますが、食堂などの共有部分に十分な広さが確保されている場合は、18㎡以上となります。各居室には、キッチン・トイレ・浴室・収納スペースなどが設置されています。しかし、共有部分に同等の機能が備わっていれば、各居室に設置されていない場合もあるので、見学などの際に確認しておくとよいでしょう。また、バリアフリー構造で「段差がない」「手すりの設置」「廊下幅の確保」が定められています。

サービス付き高齢者向け住宅では、比較的元気な方が入居している傾向にあるため、設備を整え、シニアライフを楽しめる工夫が施されている事業所もあります。たとえば、カラオケルームやレストラン、温泉といった設備が備わっている事業所もあるので、ご希望に合わせて検討してみてもよいでしょう。

サービス付き高齢者向け住宅にかかる入居時の費用について

入居一時金ではなく敷金が必要

サービス付き高齢者向け住宅では、入居時に敷金が必要になる場合が多いです。敷金の費用としては、家賃の2〜3ヶ月程度が相場となります。敷金は、退去時に修繕費などを差し引きして返ってくる費用です。

施設によっては、敷金ではなく保証金として徴収する施設もあるので、入居前に確認するとよいでしょう。

また、サービス付き高齢者向け住宅は賃貸住宅なので、火災保険への加入が必要になる場合もあります。

月々の費用は、主に家賃とサービス費、管理費などがかかります。また、光熱費や水道代なども使用量に合わせて必要になるでしょう。

一般型のサービス付き高齢者向け住宅では、介護サービス費や医療費が別途必要になります。サービス付き高齢者向け住宅の費用には、外部サービスの料金は含まれていないので注意が必要です。

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老人ホームの費用

サービス付き高齢者向け住宅と特定施設

介護型のサービス付き高齢者向け住宅は「特定施設」

介護型のサービス高齢者向け住宅は、厚生労働省から「特定施設入居者生活介護」の事業所指定を受けた住宅です。そのため、介護付き有料老人ホームと同等のサービスが受けられます。

介護型のサービス付き高齢者向け住宅は、一般型と比べ、介護を行う施設として環境が整っていると考えてもよいでしょう。しかし、特定施設になると、自由度が減ってしまうというデメリットがあります。

たとえば、介護付き有料老人ホームに入居しながら、介護保険を使ってデイサービスやデイケアなどを利用できません。また、一般型のサービス付き高齢者向け住宅は「住居」として考えられているため、外出や外泊は自由におこなえますが、介護型になると届出や許可などが必要となる場合も多いです。

介護費用は、毎月介護度に合わせた定額の利用料金となり、長期利用の場合でも介護サービス費の計算がしやすく、将来的に計画を立てやすいといったメリットがあります。

入居までの流れ

比較的早めに入居できる傾向

サービス付き高齢者向け住宅に入居するためには、まず一般型か介護型を考えないといけません。検討段階で、介護の必要性が高い場合は、介護型のサービス付き高齢者向け住宅を選ぶとよいでしょう。

希望のサービス内容に合った事業所を選ぶためには、できる限りパンフレットの取り寄せや直接相談をしていきましょう。

入居を希望する事業所が決まったら、申込書や健康診断書(診療情報提供書)を作成します。健康診断書は、本人の身体状況を確認するため、他の事業所に行く場合でも必要になるので、早めに準備しておくとよいでしょう。その後、事業所との面談があります。

サービス付き高齢者向け住宅は、事業所の数が多く、入居者が分散する傾向です。そのため、入居待機者が少ない傾向で、条件が一致して事業所に空きがあれば、比較的早く入居できるでしょう。入居前には契約をおこない、敷金などの支払い後、入居となります。

契約は、介護事業所との契約ではなく「普通建物賃貸借契約」や「終身建物賃貸借契約」を締結します。事業所により、契約方式が違うので、契約時に確認しておきましょう。

また、一般型のサービス付き高齢者向け住宅の場合は、入居契約に合わせて福祉用具事業所や訪問介護といった事業所との契約を結ぶ場合が多いです。

面談時のポイント

面談は家族も含めておこなわれている

面談は、本人の状態を確認するためにおこなわれますが、家族の状況も合わせて確認している場合が多いです。入居後は、何が起こるかわからないため、「なにかあったときに協力してもらえるのか?」「理解がある方なのか?」などを判断しています。

長い付き合いになるので、お互いの理解を深めて、できるだけトラブルのないようにしたいという想いで実施されます。今後、継続して支払いができるのか確認される場合もあるでしょう。

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家族が施設に希望することと、施設の対応可能な範囲を確認しましょう。また、施設から家族の対応を求められるのがどのような場面か、聞いておくと良いでしょう。
入居相談員山本

さまざまな設備や自由度から選ぶ

サービス付き高齢者向け住宅にも、さまざまな設備の違いや人員体制があります。設備は見学時や相談時に確認するとよいでしょう。

一般型のサービス付き高齢者向け住宅の場合は、職員の配置や食事の提供方法などから選ぶのもよいでしょう。基本的に、介護などのサービスは外部の事業所を利用するため、入居後でも選択ができます。

住宅という観点から自由に過ごせるといったイメージがありますが、事業所により自由にできない場合もあります。入居してからでは、変更できない部分なので、どのような場合に制限があるのかについて、事前に確認しておくとよいでしょう。

介護型のサービス付き高齢者向け住宅では、長期の利用が想定されるため、生活していくのに不便はないかなど、じっくりと検討することをおすすめします。

事業所によっては、空き部屋などを利用して「体験入居」を実施している場合もあるので、一度利用して、食事や事業所内の雰囲気などを確認してみるとよいでしょう。

まとめ

サービス付き高齢者向け住宅は、多くの事業所があり、比較的入居しやすい高齢者の賃貸住宅です。入居条件は、60歳以上の方となっており、入居の敷居が低い特徴があります。

外部サービスを自由に組み合わせ、自宅と同じように過ごせる一般型と、介護度が高くなっても、手厚い介護サービスを受けられる介護型があり、大きくサービス内容が異なります。

費用面は比較的リーズナブルな事業所もあるため、入居される方の身体状態や金銭面から選択するとよいでしょう。

身体は元気でも、一人の生活が不安な方や、夫婦で入居先を探している方にはおすすめの施設です。条件に合うか確認し、検討してみてはいかがでしょうか?

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