介護福祉士について

 

#資格#豆知識
この記事の監修

とぐち まさき

渡口 将生

介護福祉士として10年以上現場経験があり、現在は介護老人保険施設の相談員として従事。介護資格取得スクールの講師やWEBライターとしても活動中。家族の声を元にした介護ブログを通じ、2019年3月、NHKの介護番組に出演経験もある。

介護福祉士とは

介護福祉士とは、「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく介護分野における唯一の国家資格です。

同法第2条第2項において『介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者をいう。』と位置づけられています。

「2025年問題」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、「団塊の世代」と呼ばれる方たちが後期高齢者(75歳)になることで起こる様々な問題のことを差し、75歳以上の人口が全人口に占める割合が2025年に18.1%、2055年には25%を超える見込みとなっています。

日本人の4人に1人が高齢者となるため、介護福祉士はより欠かせない職種として注目されています。

介護福祉士の仕事内容と活躍の場

介護福祉士の主な仕事内容は、介護が必要な高齢者や障がい者に対する日常生活のサポート(身体介護、生活援助)と、介護技術や知識の指導とアドバイスです。

身体介護

主に、直接体に触れて行う介護サービス。食事、移動(歩行や立ち上がり、車椅子)、排泄、着替えなど。

生活援助

主に、家事全般のサービス。掃除、洗濯、買い物、食事の準備、身のまわりの整理整頓など。

技術と知識の指導とアドバイス、その他

高齢者の社会参加のサポート、話し相手、レクリエーションの実施。利用者やご家族、また介護職員へ介護に関する相談や指導・助言、チームマネジメント。

活躍の場としては、在宅生活を送る高齢者に向けたサービス(訪問介護や)、入所系施設(特養、などの社会福祉施設の介護職員)、医療機関が中心になります。

在宅サービス

訪問介護、訪問看護、通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)、訪問入浴介護、小規模多機能型居宅介護など。

入所系施設

特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、軽費老人ホーム。

医療機関

クリニック、病院。医師や看護師の業務サポートを中心に勤務。


このように、介護福祉士を必要としている場所は数多くあります。

ご自分がどのような場所で、対象者とどのような関わり方を希望するか合わせて、働く場を探すと良いでしょう。

参考:20代・30代の転職は、20代・30代向けスカウト型転職サイト|タレントスクエア

参考:介護福祉士におすすめの転職エージェント一覧比較 | 正直キャリアコンサルタント・パオ助のブログ

介護福祉士を取得するメリット

唯一の国家資格

介護福祉士の資格試験に合格し、資格登録を行うことで初めて「介護福祉士」と名乗ることが出来ます。

福祉施設・事業所側から見ても、職員の国家資格者数と加算が比例するため、採用には積極的です。就職・転職時にも有利なため、安定した雇用につながることが考えられます。

仕事の幅

サービス利用者や施設入居者へ直接介護を行う立場から、職員やフロアをまとめるリーダー、施設長へのステップアップも視野にいれることが出来ます。

運営側になった時、介護福祉士の資格を持っていることで、利用者や入居者、そのご家族からは、専門知識とスキルを持った人として見られ、安心感が増します。

待遇面

持っている資格により、給与や待遇が変わる場合があります。

多くの福祉施設・事業所では「資格手当」として支給しており、資格を持っていることで給与がアップします。また、リーダーや責任者を任されることもあるため、「役職手当」が加算される場合もあるでしょう。

また、2019年に追加された「特定処遇改善加算」では、「介護福祉士として10年以上勤続している人を基本として、月8万円か年収440万円を超える人を設定する」としています。

職場内の経験やスキルからバランスを考慮し、事業所裁量で加算対象者を決めてよいとされていますが、労働条件改善の一手として期待が高まります。

介護福祉士の取得方法

介護福祉士になるには、国家試験に合格して国に登録することが必須となっています。

資格取得のルート

資格を取得する方法(ルート)として、「養成施設ルート」「実務経験ルート」「福祉系高校ルート」「EPA(経済連携協定)ルート」の4つがあります。

現在の保有資格、実務経験、卒業学校の種類によって目指すルートが異なるため、「公益財団法人社会福祉振興・試験センター」で確認しましょう。

(1)養成施設ルート

厚生労働省指定の介護福祉士養成施設に通い、受験資格を得ます。

養成施設によって通う期間が異なること、卒業年度によって資格の取得方法が異なるため注意が必要です。

(2)実務経験ルート

介護現場で働きながら受験資格の取得を目指します。

介護現場での実務経験が3年以上であること、実務者研修講習を修了していることが条件となっています。

(3)福祉系高校ルート

福祉系高校で規定の火木と単位を取得し、受験資格を得ます。

2009年を境に、以降の入学者と以前の入学者とで受験資格の条件が異なります。

(4)経済連携協定(EPA)

経済連携協定(EPA)とは、貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、様々な分野での協力の要素等を含む、幅広い経済関係の強化を目的とする協定のことです。

日本の介護福祉士資格の取得を目的として来日した、インドネシア人、フィリピン人、ベトナム人の方向けのルートです。

介護福祉士国家試験について

介護福祉士の試験は、過去5年合格率が70%前後となっています。

試験は筆記試験と実技試験からなっており、筆記試験はマークシートの五肢択一式です。総得点の60%程度の正答率で、かつ11の試験科目群すべてで得点していることが合格条件です。

実技試験は、「介護等に関する専門的技能」が問われます。取得ルートにより、実技試験免除の対象になる場合もあります。

介護福祉士のステップアップ

介護福祉士あるいはのステップアップとして介護支援専門員(ケアマネージャー)と認定介護福祉士があります。

介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護支援専門員は、「介護保険法」に規定された介護保険に関する専門職で、ケアマネとも呼ばれています。

居宅介護支援事業所や入所施設、地域の相談窓口である地域包括支援センターなどで、高齢者やご家族の相談に応じ、介護サービスの提案と調整を行います。

介護支援専門員協会は国家資格ではなく、民間資格です。厚生労働省令で定める実務経験を必須とし、介護支援専門員実務研修受講試験に合格した後、介護支援専門員実務研修の課程を修了することで、介護支援専門員として登録して初めて業務を行うことができます。

認定介護福祉士

2015年12月に、介護福祉士の上位資格として定められ、介護福祉士のリーダー的存在とし位置づけています。民間資格で、一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構が認証・認定を行っています。

介護福祉士と比べて、更に広い視野・視点を求められます。現場の教育的立場としてだけでなく、利用者や家族を取り巻く様々な職種(福祉事業者や行政、医療機関等)との連携、根拠に基づいたサービス管理、高齢者が地域で長く暮らすための住環境整備や地域の介護力と理解の向上を担っています。

まとめ

高齢者一人ひとりに合った介護サービスを提供し、いつまでもその方らしく生活するためのサポートを行う介護福祉士。直接「ありがとう」と言ってもらえる機会が多いことも、この仕事の魅力の一つです。

介護の現場で長く働きたい方、即戦力として現場で働きたい方にはお勧めの資格と言えるのではないでしょうか。

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